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自然・環境問題

2016年6月19日 (日)

「原発支持」に転換する米環境団体!

米国で影響力の強い環境団体のうち数団体が、長年にわたる反原発の立場を軟化させています。環境保護論者の優先課題は気候変動に移っており、反原発運動に大きな変化が生じています。米国では採算が悪化している一部原子炉が閉鎖されつつありますが、環境団体の態度の軟化はこの国の原子力業界が直面する最大の政治的ハードルを低くしています。

 

 米国で最も多くの原子力発電所を所有するエクセロン社のジョー・ドミンゲス執行副社長は、「歴史的には、こういった団体が原発に反対してきただけに、反対派の中で彼らの存在感が薄れているのがかなり目立つ」と述べています。原発は温室効果ガスを排出せず、連邦政府のデータによれば、米国の電力の約20%、カーボンフリー(二酸化炭素=CO2を出さない)電力の60%を賄っています。しかし最近は安価な天然ガスや、原子力より再生可能燃料を好む各州の方針に押され、全米で十数基の原子炉が向こう数年間に閉鎖される予定か、すでに閉鎖されています。

 

 米国で最古参の大手環境団体のシエラ・クラブは、既存のすべての原発を政府の運転許可期間より前倒しで閉鎖することを支持するという長年の立場を放棄するか否かについて議論しています。シエラ・クラブの指導部は、同団体が石炭や天然ガスを使用する発電所の閉鎖を訴えるなか、既存の原子炉が再生可能燃料に転換する際の仲立ちや代替的エネルギー源になるとみています。環境団体の環境防衛基金(EDF)も同様に、原発に関する方針をどの程度調整すべきかについて判断を示そうとしており、財務的に苦しい原子炉の維持を支持する可能性があります。

 

 イリノイ州では、シエラ・クラブやEDFのほか、天然資源保護協議会(NRDC)などの環境団体がエクセロン社や州議会議員との間で、向こう2年間に2基の原子炉を閉鎖するという同社が6月初旬に下した決定を覆すための法案づくりを進めています。実現すれば、エネルギーの効率化と再生可能燃料を推進する一方で、二酸化炭素を排出せずに電力を生む原子炉の稼働継続が保証されることになります。

 

 前出のドミンゲス氏は、こうした変化はエネルギー企業の損益に明らかな影響をもたらすと述べ、「原発政策で州レベルの合意をとりまとめることが可能だなどと、以前は考えていなかった」と話しています。シエラ・クラブのマイケル・ブルーン専務理事は、同団体がエネルギーの大半を石炭火力発電所の閉鎖と天然ガス火力発電所の新設の阻止に集中していると語っています。

 

 既存の原発の維持に反対していた環境団体の変化は2つに分かれています。様子見の姿勢をとる団体と、イリノイ州のように原発の維持に向けて積極的に動いているグループです。ただし、市場の状況からみて、新規に稼働を開始する原発はほとんどありません。このため、議論はもっぱら、既存の原子炉の行方に集中しています。主要な環境団体の大半は、原発新設には反対の立場を維持しています。

 

 環境保護論者は長年、さまざまな懸念や要因から原発に反対の立場を取ってきました。破滅的な事故(2011年に起きた福島の原発事故で高まった)を起こすリスク、放射性廃棄物の保管の問題、核兵器拡散の恐れ、それに太陽光や風力といった再生可能エネルギーを好んだためです。

 

 過去23年間、気候変動がほぼすべての主要環境団体の最優先課題となり、気候科学と政策の両方の分野で影響力を持つ指導者が立場を変化させており、今では二酸化炭素を出さない電力を支持する向きが多数を占めています。彼らは、約60カ所の原発にあるおよそ100基の原子炉の存続を支持しています。原子力は安定しない風力や太陽光と比較すると安定した電力源となるからです。

 

 その一方で、グリーンピースなどの環境団体は、放射線放出や核燃料廃棄物の処理など環境上のリスクは気候変動防止の利益をはるかにしのぐとして、既存の原発の閉鎖に向けて積極的な活動を続けています。(ソースWSJ

2015年12月 9日 (水)

北京市、大気汚染で初の「赤色警報」発令!

北京の市民は、どれほど大気汚染が悪化すれば北京市政府が最も深刻な「赤色警報」を発令するのかと長いこと思案してきました。

 

 北京市はこれまで赤色警報の発令を控えてきました。それに伴い、当局が一連のスモッグ対策を実施することが義務づけられるためです。例えば、車両の半分が走行を禁止され、学校閉鎖が勧告され、屋外の建設作業も禁止となります。赤色警報は、少なくとも理論的には、最低3日連続で大気汚染指数が300を超えると当局が予想する場合に出されます。

 

 中国の大気汚染指数は500が最大で、政府はこの水準を「重度の汚染」としています。

 

 北京市は7日、初めて赤色警報を発令しました。対策の実施は8日午前からとなります。同市の環境保護局は汚染が10日まで続くとみています。(ソースWSJ

2015年11月 7日 (土)

シベリアで氷河期の絶滅ライオン見つかる!

ロシアのシベリアにある氷河期の永久凍土層から、凍った状態のホラアナライオンの子どもが複数体発見されました。これほどの保存状態で発見されたのは、同種としては初めてのことだそうです。

 

 公開された写真からわかるように、発見されたホラアナライオンのうち少なくとも1頭は、毛皮までそのまま保存されていました。このサンプルは、少なくとも1万年以上この状態だったことになります。

 

「私の知る範囲では、先史時代のネコ科の動物がこのレベルの保存状態で発見されたことはありません。つまり、これは本当に驚くべき発見です」と言うのは、ネコ科の化石を専門とする米デモイン大学のジュリー・ミーチェン氏です。

 

 

 ホラアナライオンは、1810年に初めて文献に登場して以来、ユーラシア大陸や北米大陸でその痕跡が見つかっています。しかし、これまでに発見された化石は、骨と足跡に限られていました。

 

 科学者らは、発見の詳細については口をつぐんでいます。ロシアのサハ共和国科学アカデミーの古生物学者アルバート・プロトポーポフ氏は、1117日に予定されている記者会見で初期所見を発表するため、今は質問に答えないとしています。同じ記者会見の場で、同地域でのもうひとつの大発見である「ユカ」(ケナガマンモス)についても取り上げるといいます。

 

 それでも、インターネットはホラアナライオンの話題で持ちきりです。氷河期の子ライオンの写真は、ネコ科の愛好家と古生物学者の双方をにぎわせており、ミーチェン氏は「初めて見たときは信じられませんでしたが、どうやら真実のようだとわかったときは、畏敬の念を抱きました」と言っています。

 

 ホラアナライオンは、現在のライオンの亜種ですが、ゴツゴツした洞窟だけでなく広い草原でも行動していたため、ステップライオンの別名を持っています。

 

 今回の発見の重要性は見た目だけにとどまりません。科学者は、「これらの幼獣の死因に関する情報や寄生虫保有量を知ることができるはず」とミーチェン氏は言い、さらには、胃の中に母乳が残っていれば、親ライオンが何を食べていたのかを知ることができるかもしれないといいます。今回の発見は、それほど古くない極寒の世界への新たな窓を開いたのです。(ソース ナショナルジオグラフィック)

2015年10月17日 (土)

動物の楽園になった世界の立入禁止区域5カ所!

戦争、原発事故、そして貧困が生み出すものはほとんど悲劇でしかないが、時に人間にとっての大惨事が野生の動物に繁栄をもたらすことがあります。ゲリラ戦、放射能や化学兵器による汚染で、人間が住むことができなくなってしまったところに、今は野生生物が戻ってきて、急速な勢いで数を増やしている土地が世界各地にあるのです。

 

ウクライナ、チェルノブイリ原発立入禁止区域:原発事故

 英国ポーツマス大学の地球・環境科学教授で、チェルノブイリ原発周辺の野生生物を調査する環境科学者ジム・スミス氏は、20151012日に最新の調査結果を発表し、30年近く人間の手が入らなかったチェルノブイリ原発周辺の危険地帯に、動植物がすんでいる現状を報告しました。

 

 1986年、ベラルーシとの国境に近いウクライナでチェルノブイリ原子力発電所が事故を起こし、4100平方キロの土地から116000人が避難を余儀なくされました。スミス氏によると、この事故で立入禁止区域に指定された土地に、現在はオオカミ、ヘラジカ、イノシシ、クマ、オオヤマネコ、シカ、その他多くの動物たちがすみ着いているといいます。「人間がいなくなると、自然界が繁栄します。世界最悪の原発事故の後でさえそうなのです」と、スミス氏は言います。

 

 ほぼ無人となった避難区域は期せずして野生生物の楽園へと変わり、希少なヨーロッパオオヤマネコや、この付近でほぼ1世紀近く見ることのなかったヨーロッパヒグマなどの大型の草食動物や肉食動物も多く確認されました。

 

 モウコノウマや、この地へ導入された絶滅危惧種のヨーロッパバイソンも数を増やし、オオカミの数は放射能汚染のない同様の保護区と比較して7倍にも上ります。スミス氏は続ける。「放射能レベルが動物たちにとって安全であるというわけではありません。彼らのDNAが損傷を受けていることは確実ですが、土地開発や人間が居住することのほうが、野生生物にとっては脅威であるということです」。

 

朝鮮半島、非武装中立地帯:軍事境界線

 世界で最も武装化された国境は、南北朝鮮を隔てる長さ249キロ、幅4キロの「非武装中立地帯」である。その内部には地雷が点在し、掩蔽壕(えんぺいごう)、塹壕、塀、ゲート、有刺鉄線、さらには数千もの兵士が周囲を取り囲む。しかし、そこには驚くほど多種多様な絶滅危惧種が生息しているといいます。

 

 「自然公園」と化した土地は、ニューヨーク市の面積をわずかに上回る広さで、沼地、山、平原、潮汐湿地、湖、海岸が広がり、希少なタンチョウやマナヅル、ツキノワグマのすみかとなっている。非武装地帯のすぐ外の民間人統制区域にも、希少なアムールヒョウやシベリアトラがいると考えられています。北朝鮮と韓国の間に緊張が続く限り、ここは野生生物にとって安全な生息地として残されるでしょう。

 

 北は米国アラスカ州プルドーベイから南はアルゼンチンの最南端ウシュアイアまでを繋ぐ全長数万キロのパンアメリカンハイウェイは、途中パナマとコロンビアの国境約80キロの区間のみ道が途切れ、人を寄せ付けない熱帯雨林や沼地、山に覆われています。

 

 中央政府の権力が弱いため道は整備されておらず、コロンビア政府に抵抗するゲリラ軍をはじめ、麻薬密売人や放浪者の温床となっているのです。しかしここは同時に、ユネスコ世界遺産にも登録されているパナマ・ダリエン国立公園に指定され、広さ5750平方キロの園内にはブラウンクモザルやヒワコンゴウインコ、ジャガー、オウギワシなど多くの絶滅危惧種が生息しています。

 

 環境保護団体「パナマ・ワイルドライフ・コンサベーション」で保全プログラムのアドバイザーを務めるリカルド・コレア博士は「道路が完成されていないことがかえって良かったのでしょう」と語ります。「ゲリラや貧困が開発の妨げになっているのは確かですが、それによって地域の生物多様性が保たれているのです」。

 

ヨーロッパ、鉄のカーテン:壁の崩壊

 朝鮮半島の非武装中立地帯と違って、ベルリンの壁と鉄のカーテンはとうの昔に崩壊しました。全長12500キロ、欧州最北端から地中海まで24カ国を通るグリーンベルトは、かつては東西ヨーロッパを隔てる死の境界線であったのですが、今では豊かな自然が広がり、絶滅危惧種を含む約1200種の動植物が生息しています。

 

 「比較的狭い土地ですが、大変貴重な土地でもあります」と語るのは、ドイツの環境保護団体「BUND」の副代表であり、中央ヨーロッパ・グリーンベルトの地域コーディネーターでもあるメラニー・クロイツ氏だ。「ここからわずか数キロ離れたところにはいない生物が、ここで確認されています」。

 

米コロラド州、ロッキーマウンテン・アーセナル国立野生生物保護区:有害な過去

 デンバーのダウンタウンにそびえる高層ビルを背景に、クロアシイタチやアメリカバイソンなど330種以上が、ここロッキーマウンテン・アーセナル国立野生生物保護区に生い茂る丈の短い草の間を行き来している。第2次世界大戦当時は化学兵器製造施設がありましたが、現在は保護区となった65平方キロの平原地帯は、プレーリードッグ、ハクトウワシ、コヨーテ、シカ、その他様々な鳥や植物のすみかとなっています。

 

 「戦時中はフェンスで囲まれ、中にいたシカの群れやコヨーテはそのままここにすみ着いて、子孫を残してきました」保護区で10年以上管理官として働くエドワード・タグリエンテ氏は言う。「野生生物が減少している最大の原因は、生息地の消失です。農業、採鉱、都市開発、さらには化学兵器製造といった人間の活動が、彼らのすみかを破壊しているのです」。

2015年10月16日 (金)

マンモスを絶滅させたのは人間か? 気候変動か?

米国ミシガン州で、ほぼ完全なケナガマンモスの骨格がこのほど発掘されました。このマンモスについていくつかの疑問が浮上しています。マンモスはなぜ、この場所で死んだのだろうか? また、氷河期の終わりとともにマンモスが絶滅したのは、人間のせいなのだろうか?

 

 ミシガン大学の古生物学者ダン・フィッシャーは、この発見に関するニュースのなかで、先史時代の人類がこのマンモスを殺して解体し、すぐには食べない分を冷たい湖に沈めて冷蔵したのではないかという説を披露しました。ほかの科学者たちは、骨の切断痕などを調べないかぎり、死因はわからないといういます。

 

 北米では、氷河期の末に絶滅した哺乳類が、ケナガマンモス以外に36種知られています。こうした動物が人間のせいで絶滅したのかどうかについては、いまだに激しい論争が続いています。人間以外の有力な絶滅の原因として考えられているのは、気候変動です。

 

 928日、ミシガン州チェルシー近郊で、大豆畑の水はけをよくするために深い穴を掘っていた男性たちが、約12000年前にこの地をのし歩いていたケナガマンモスの骨を掘り当てました。

 

 連絡を受けて現場に駆けつけたフィッシャー氏のチームが発掘した骨には、牙のついた完全な頭蓋骨も含まれていました。ケナガマンモスはヨーロッパからアジアを経て北米までの広い範囲で見つかっていますが、ミシガン州では10体ほどしか出土していません。近縁の、より原始的なアメリカマストドンが約300体発見されているのに比べると、非常に少ないのです。

 

 イリノイ州立博物館の古生物学者クリス・ウィドガは、ミシガン州では氷河の消長があったため、マンモスはあまりいなかっただろうと考えています。「ミシガン州が氷の下にあった時代には、この地域のゾウの仲間はマンモスしかいませんでした」とウィドガ氏は言っています。マンモスは、氷床の南の寒冷な草原地帯で草をはんでいたのだろう。「氷が解ける頃には、マストドンがマンモスを駆逐していました」。

 

 だから、1体とはいえマンモスの骨が新たに出土したことは大いに喜ぶべきことなのです。ウィドガ氏は、マンモスの牙に残った痕跡を詳細に調べてその生涯を推測したフィッシャーの研究を引き合いに出して、「たった1カ所の発掘調査からでも、非常に多くの情報を得ることができるのです」と言います。

 

 ほかの専門家たちは、今回見つかったマンモスが氷河期に人間によって殺されたという結論に飛びついてはならないと言います。「この時代に湖や沼地だった場所でマストドンが発見されるのは珍しくありませんし、マンモスが発見されたこともあるからです」とウィドガは言います。

 

 骨に残った切断痕などの証拠がないかぎり、米国中西部の古代の湖や沼地の跡からばらばらになったゾウの骨格が見つかる理由は、ほかにも考えられるからです。例えば、水中に沈んでいた死体がいちど浮き上がってきてから分解したと考えることもできます。「適切な方法で調査され、その結果が論文として発表されるまでは、正しく評価することはできません」と彼は言います。

 

 ワシントン大学の動物考古学者ドナルド・グレイソンによると、人間がマンモス狩りをしたりマンモスの死体を食べたりしていたことを示す決定的な証拠は非常にまれだといいます。彼は今年、南メソジスト大学のデヴィッド・メルツァーとともに発表した論文で、北米には氷河期に人間が哺乳類を殺していたとされる遺跡が76カ所ありますが、人間がマンモス狩りをしていた証拠があるのはそのうちの12カ所だったとして、人間は氷河期に北米の動物を絶滅させた主要な原因ではないと主張しています。

 

 この時代の絶滅の鍵となるのは気候です。人間が北米大陸に移動してきたのと同じ時期に、寒冷で乾燥していた地球の気候は急激に変化して、温暖で湿潤になったからです。

 

 この変化により、ケナガマンモスが好む寒冷な草原地帯は急激に失われました。ユーラシア大陸からバイソンがやって来たり、かつて「マンモス・ステップ」と呼ばれる草原が広がっていた場所が森林になったりするなどの生態系の変化もあって、マンモスは従来の生息域に住めなくなっていったのです。最後にシベリア北部のウランゲリ島に隔離集団が残りましたが、これも約4000年前に絶滅しました。

 

 とはいえ、絶滅の理由が一つだけであることはめったにありません。最後に残ったマンモスが死んだ理由は、最初にこの種が絶滅に向かうことになった理由と必ずしも同じではないでしょう。(参考記事:「マンモスは植生の変化で絶滅?」)

 

 チェルシーのマンモスが秘密を打ち明けてくれるようになれば、氷河期の終わりの生と死をめぐる論争を少しだけ決着に近づける事実も明らかになるでしょう。(ソースナショナルジオグラフィック)

2015年10月11日 (日)

謎の人類ホモ・ナレディ、手足は極めて異例だった!

 謎多き人類の祖先「ホモ・ナレディ」の手足の特徴を分析した結果が、106日付の科学誌「Nature Communications」に掲載されました。

 

 南アフリカのライジング・スター洞窟で発見された化石人骨を基に、2つの研究チームが運動の様子を再現。いずれもナショナル ジオグラフィック協会の助成を受け、一方のチームは足の骨107個を、他方はほぼ完全な右手の骨26個をそれぞれ詳しく調べました。

 

 その結果、ホモ・ナレディの足は多くの点で驚くほど現生人類に似ていることが明らかになったのです。足首の関節、他の4本と平行になった親指、幅の広いかかとは、2本の脚で直立して効率よく歩く生活に十分に適応した生物のものだったのです。一方、土踏まずがそれほど発達しておらず、足指の骨が曲がっている点は類人猿に近いことがわかりました。

 

 曲がっている手の指は、ホモ・ナレディが軽々と木に登れたことを示します。同時に、長く力強い親指と衝撃を吸収できる手首で、道具を使いこなすこともできたとみられています。

 

 このように対照的な特徴が混ざっている状態を、現生人類を含むヒト属(ホモ属)において科学者がはっきり目にするのは初めてのことです。特に、ホモ・ナレディの樹上生活を強く示唆する点は異例です。

 

 ホモ・ナレディの足に関する論文の著者、米ニューヨーク市立大学リーマン校のウィリアム・ハーコート・スミス氏は、「彼らは、ヒト属の一員としては独特な運動の形態を有していました」と語ります。「直立二足歩行」「木登り」「手で道具を扱う」という3種目で競う先史時代のトライアスロンがあったなら、彼らはきっと活躍できるだろうと。

 

 人類は進化の過程で、いつ木から下り、大地を歩き始めたのだろうか。その判断はまだ難しい。アウストラロピテクス属として知られるルーシーなど、ごく初期の人類の祖先たちは、少なくとも400万年前には直立二足歩行をしていました。だが、樹上生活もまだ続けており、同時に石器も使っていた可能性があります。

 

ホモ・ナレディには極めて原始的な特徴と、極めて現代的な特徴が奇妙に併存していたのです。とはいえ、ヒト属の系統から見つかっている樹上生活の証拠は少ないのです。科学者たちは、「器用な人」を意味するホモ・ハビリスは約200万年前の時点でも木登りの能力を保っていた可能性があると推測していますが、根拠はわずかな化石の断片しかありません。そんな中、ホモ・ナレディの手が物語るのは、彼らが驚くほど現代的な足で二足歩行をしながら、類人猿のように巧みに木に登る能力も保っていたということです。

 

「人類の進化の大部分で、我々の祖先たちは歩行と樹上生活の能力を並行して活用しており、それが変化にうまく対応できた一因です」と語るのは、米ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校のビル・ジャンガーズ氏です。「ホモ・ナレディも例外ではありません」

 

 ライジング・スター洞窟の人骨の年代測定はまだ行われていないため、ホモ・ナレディが人類進化の系統樹のどこに入るかは明らかではありません。形態だけに基づくなら、初期のヒト属に近いように見えます。ホモ・ナレディの手に関する論文の著者、英ケント大学のトレーシー・キビル氏は、「それが正しければホモ・ナレディの年代はおよそ200250万年前となり、道具の使用を容易にした手の特徴はこれまで科学者たちが考えていたよりも早く現れたことを意味します」と話しています。

 

 一方、ホモ・ナレディが10万年前のような比較的新しい年代と判明すれば、現生人類と同時代に生きていたヒト科の種が、曲がった指などの原始的な特徴を保っていた(あるいは、独自に発達させていた)ことになります。キベル氏は「どちらのシナリオも非常に興味深い」と話しています。

2015年10月 5日 (月)

蛍光に光るウミガメを発見、世界初!

ネオンのように鮮やかな赤と緑に輝くこのウミガメは、なにも有毒な物質を持っているわけではありません。これは絶滅寸前とされるウミガメの一種タイマイ。南太平洋のソロモン諸島で、米ニューヨーク市立大学の海洋生物学者デビッド・グルーバー氏が、爬虫類として初めて生物蛍光によって輝くタイマイを発見しました。

 

 生物蛍光とは、体表面に青い光などがあたると違う色の光を放出する能力のことで、とくに緑、赤、オレンジ色に光るものが多い。生物自身が化学反応によって発光したり、発光する微生物を寄生させて光ったりする「生物発光」とは別物です。

 

 最近の研究により、サンゴをはじめ数多くの魚、サメ、エイ、シャコ、カイアシ類と呼ばれる小型の甲殻類などが蛍光を放つことがわかってきましたが、海にすむ爬虫類までがその能力を持っていることは、これまで知られていませんでした。

 

 グルーバー氏は今年7月末、小型のサメとサンゴの生物蛍光を撮影するためにソロモン諸島を訪れました。ある晩、彼のチームがワニを警戒しながら撮影を行っていたとき、「どこからともなく、この蛍光色に光るタイマイがやってきたのです」とグルーバー氏は言う。頭も体も、全体が赤と緑のネオンのように輝く模様に覆われたその姿は、まるで大きな宇宙船のように見えたそうだ。

 

 今回の調査旅行中、光るタイマイの撮影に成功したのはこの1度きりだったそうですが、近くに若い個体を数匹飼っている人たちがいると聞き、その蛍光能力を調べてみたところ、すべての個体が赤い光を放ったといいます。タイマイが何のために蛍光に光るのか、あるいは他の場所のタイマイも同様の能力をもつかはまだわかりません。

 

 生物蛍光は通常、獲物を見つけたり、引きつけたりするため、あるいは防御やコミュニケーションのために利用されます。そしてタイマイの場合は、カムフラージュの役割を果たしているとも考えられています。

 

 タイマイの甲羅は、日中、ゴツゴツとした岩礁にあるすみかで身を隠すのにうってつけで、グルーバー氏も、見つけ出すのに相当苦労させられることがあるといいます。蛍光能力をもつなら、蛍光生物が多くすむサンゴ礁などもまた、いい隠れ家になるでしょう。今回観察されたタイマイの甲羅で光っていた赤は、蛍光発光する藻類であった可能性もあありますが、緑の方は確実にタイマイ自身から放出されていたものだとグルーバー氏は言います。

 

 光るタイマイの発見により、数々の新たな謎が浮かんできました。たとえばタイマイ自身は蛍光の光を視認できるのか、また蛍光能力はどうやって得たのか(食物に蛍光物質が含まれている? それとも体内で生成する?)、他のウミガメも同様の能力を持っているのかなど、解明すべき課題は山ほどあります。

 

「タイマイは非常に数が少なく、厳重に保護されているため、研究の対象にするのに向いていません」とグルーバー氏は言う。ここ数十年の間に、世界中に生息するタイマイの数は90%近く減少しています。グルーバー氏は現在、タイマイの近縁種で、やはり絶滅が危惧されてはいるもののまだ数が多いアオウミガメを研究対象とすることを検討中といいます。

 

タイマイは地球上の生物の中でもとくに数が少なく、保護の重要性もきわめて高いのです。しかしその生態は、今も謎に包まれたままです。(ソース ナショナルジオグラフィック)

2015年9月28日 (月)

27日は、中秋の名月、28日は今年もっとも大きく見える満月「スーパームーン」!

今年の「中秋の名月」は927日で昨日でした。今日、28日は今年もっとも大きく見える満月「スーパームーン」。「中秋の名月」とは旧暦の815日に出る月を指し、満月とは限りませんが、今年はスーパームーンの前日となり、晴れていたので美しい月を臨めました。

 

地球に近づくため大きく見える満月「スーパームーン」は28日夜、関東地方などで雲の間から観測できそうです。今年もっとも小さく見えた満月(3月6日)に比べ、直径は1・14倍となり、明るさも3割ほど増すといいます。27日は「中秋の名月」(旧暦の8月15日)で、2日続けて「お月見」が楽しめるかもしれないのです。

 

 国立天文台によると、月は地球の周りを楕円(だえん)状の軌道で回っており、今年は28日午前10時46分にもっとも地球に近づき、同11時51分に満月となります。日本では月が地平線の上に出ていない時間帯のため見られませんが、夜になれば大きな明るい満月が上ります。

 

 気象庁天気相談所によると、28日夜は全国的に雲が多いと予想されていますが、本州を中心に雲間から大きな月を楽しめる可能性があるといいますので、お楽しみに。

2015年9月27日 (日)

アマゾンの巨大ダムが7割の動物を絶滅させる恐れ!

世界の国々が水力発電施設の建設計画を推し進める中、巨大なダムによって哺乳類や鳥類、カメなどが絶滅の危機に直面していると警告する最新の研究報告が出されました。少なくともアマゾンでは、その不安が現実になっているといいます。

 

 今月1日に英国イーストアングリア大学の研究グループが「PLOS ONE」に発表した論文によると、ブラジルに建設されたバルビナダムは、かつて手つかずの森林が広がっていた地域を、3546の島々が浮かぶ人工湖へと変貌させた。その結果、そこに生息していた数多くの脊椎動物が姿を消してしまったのです。

 

「私たちのまさに目の前で、動物が次々に絶滅しているのです」。論文を共同執筆したカルロス・ペレス氏はブラジル出身で、同大学環境科学部の教授だ。「現地では、非常に高い確率で局所絶滅が起きていることが明らかになりました」と語っています。しかもそれは、禁猟区や生物保護区域でも起きているといいます。

 

 2年に及ぶ調査をまとめた論文が発表された前日、ブラジルは米国との共同声明を出し、イングランドの面積にほぼ匹敵する1200万ヘクタールの森林を2030年までに回復させると誓約しました。また、太陽光、風力、地熱発電の利用を大幅に拡大することも約束しました。すでに、ブラジル北西部の熱帯雨林を流れるウアトゥマ川のバルビナダムにも、水上に浮かべるフロート式の太陽光パネルを設置する計画があります。

 

 ブラジルは現在、電力の大半を水力発電に頼り、増え続けるエネルギー需要を満たすために数百という新規ダムの建設を計画しています。他の多くの発展途上国同様です。水力発電はしばしば、「グリーンな」エネルギーとして称えられ、再生可能エネルギーのなかでは発電量が世界中で最も多いのです。

 

 ペレス氏は、「多くの場所において、水力発電は効果的な発電方法です」としながらも、その効果のほどは地形に大きく左右されることも指摘します。ブラジルの低地では、落差のある水流を作るために水位を上昇させる必要があり、すなわち巨大なダムが必要となるのです。一方急峻な山地であれば、小さなダム湖で事足りえます。

 

 つまり、水没面積に対する発電量は、平地にある水力発電所の方が、山の中の発電所よりもはるかに少なく、おまけに、ダム湖が大きくなれば二酸化炭素を吸収する樹木や植物も多く失われてしまうため、支払われる環境的代価も大きいのです。

 

 

 これまでも、漁業の収入減や先住民立ち退き問題などを含め、ダム建設で引き起こされる様々な影響が調査されてきましたが、今回のペレス氏らの研究は、より広い範囲を対象に、多様な脊椎動物への影響を調べたものです。

 

 調査対象となった生物は36種。「1ポンド(450グラム)以上の生物は全て調べた」といいます。250メガワットの発電能力を持つバルビナダムは、1989年に操業を開始しました。その結果、3129平方キロの原生林が湖底に沈み、3000以上の小島が誕生したのです。

 

 その中で、今も多様な生物が生息している島はわずかです。研究チームは36の比較的面積の広い島へ調査に入り、そこに生息する動物の絶滅率が42%にもなっていることをつきとめました。ダム湖全体では、その数字は70%に達すると推定しています。

 

 米カリフォルニア大学バークレー校の再生可能・適正エネルギー研究所所長ダニエル・カメン氏は、調査結果について「驚くべき内容ではない」としながらも、大規模ダムが生物多様性に与える実際の影響を「綿密に検証したすばらしい」研究であると評価しています。

 

 カメン氏は、巨大水力発電計画が次々に出てくる背景について、「国際的な投資を呼び寄せることに関心が集まってしまっているためです」と説明しました。発展途上国は、規模の大きなプロジェクトの方が、小規模なものよりも投資を集めやすいと考えているのです。

 

 ペレス氏も同意見です。大規模ダムは「地域社会ではなく、大手エンジニアリング会社のためにあるようなものです」。こうしたメガダムはしばしば、遠くへ電力を送る送電線が必要となりますが、これも非効率的であると指摘しています。

 

 中には、地域社会が巨大ダムの計画に反対して勝利したケースもあります。昨年、チリ政府は国民の強い反対に遭った結果、パタゴニアの最も豊かな自然を誇る2本の川に計画されていた5基のダム建設を中止したのです。(ソ-ス ナショナルジオグラフィック)

2015年9月26日 (土)

史上2番目の大量絶滅、原因は有毒金属とする新説!

史上2番目に大きいとされる4億年前の大量絶滅は、海中で爆発的に増加した有毒金属が原因だった可能性があるとする論文を、フランス、リール大学などの研究チームが学術誌「Nature Communications」に発表しました。高濃度の鉛、ヒ素、鉄などが、古代の海で繁栄していたプランクトンに似た微生物に重度の奇形を生じさせたといいます。

 

 この大量絶滅は、44500万年前~41500万年前、オルドビス紀からシルル紀にかけて起きました。当時、地球上の生物はほぼすべて海中に生息していたのですが、全生物の85%が消え去りました。地球の歴史上、過去5度ある大量絶滅のうち2番目に規模の大きいものでした。原因についてはこれまで、急速な気温低下や火山ガスによる大気汚染、極超新星の爆発など、さまざまな説が提示されてきたが、今のところ決定的な証拠は見つかっていません。

 

 今回発表された論文は、海の化学成分の変化に注目しています。海底にはもともと金属が沈殿していますが、栄養分の増加(富栄養化)などによって海の酸素濃度が低下すると、そうした金属が水に溶け出し、結果、金属への接触が増えたプランクトンに奇形が起こったと考えられます。「複数の個体が結合したものや、器官が通常の数倍に大きくなった個体、つながった卵を思い浮かべてください」と、論文の著者である古生物学者タイス・ヴァンデンブルック氏は語っています。

 

 ヴァンデンブルック氏の研究チームは、リビア砂漠に掘られた深さ2000メートルの穴から採掘した化石を分析しました。この化石からは予想より100倍も多くの奇形の例が見つかり、重金属濃度は最大で予想の10倍に達したといいます。奇形はとくに、キチノゾアンと呼ばれるボトルのような形状をした生物に顕著に現れていたそうです。

 

 論文の共著者で、米国地質調査所の地球化学者ポール・エムスボ氏によると、同様の奇形は今日の海水・淡水生物にも見られ、これは高濃度の有毒金属にさらされた証拠だといいます。たとえば現生の珪藻類はきれいな形の殻に覆われていますが、「その殻がジグザグにゆがむなど、変形している例が見られます」。こうした珪藻類の奇形は、水の金属汚染を調べる際の手がかりとされています。

 

 太陽光やpH濃度、塩分濃度の変化によっても海洋生物の奇形は起こりますが、オルドビス紀からシルル紀にかけての大量絶滅の初期に、こうした変化が起きた証拠はほとんど見つかっていません。このため、きわめて高濃度の有毒金属が絶滅の原因であったと考えられ、他の時期の大量絶滅においても何らかの影響を及ぼした可能性があるといいます。重金属は貝の形成を阻害し、また魚、鳥、人間の体にも有害です。鉛はあらゆる脊椎動物にとって有毒であり、ヒ素はガンの原因となります。

 

 なぜ海中の酸素欠乏が生じたのかは定かではありませんが、おそらくは窒素などの栄養分が増えたことで植物の成長が加速し、酸素を使い果たしてしまったのだろうと推測されます。

 

 現在、デッドゾーンと呼ばれる酸欠海域が世界各地で拡大しています。たとえば米国ミシシッピ川河口では、都市部や農場から窒素を豊富に含む排水や肥料が流れ込み、巨大な酸欠海域が生じています。さらには温暖化の影響で深海の酸素が減少し、非常に広範囲の海域が、海洋生物が生息できない状況に陥っているといいます。こうした海域では、今後さらに重金属の濃度が高まる可能性もありますが、過去に大量絶滅を引き起こしたような規模になることはまずないでしょう。

 

 それでも「論文では古代の海の変化に注目していますが、現代の海にも類似する点があります。人間が世界の海に流出させている物質が引き起こす現象を解明するために、この研究が大きな一助となるかもしれません」とエムスボ氏は言っています。(ソース ナショナルジオグラフィック)

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