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2016年9月

2016年9月30日 (金)

iPhoneのライトがヒント、安価な内視鏡!

安全な外科治療を手頃な価格で受けられない人は世界人口の3分の2のおよそ50億人。ある外科医が靴下を探しているときに思いついた85ドルの機器が、この状況を変えるかもしれません。

 

 ユタ大学医療イノベーションセンターのトップで外科医のジョン・ランゲル氏がこの機器を考え出したのは、ある日の深夜、急患で呼び出されたときのことです。眠っている妻を起こさないように服を探そうとiPhone(アイフォーン)のライトをつけると、「腹腔鏡の光と同じくらい明るい」と思ったそうだです。

 

 ランゲル医師は大学で担当していたバイオイノベーションのクラスの学生に伝えました。携帯電話の部品を使って低価格の腹腔鏡を作り、コストのせいでこの機器を使った低侵襲手術(身体への負担が少ない手術)が利用できない地域に広めるのはどうだろうと。

 

 開腹手術の代わりに腹部に開けた小さな穴から体内にカメラや手術器具を入れる腹腔鏡手術の機器の価格は通常、2万ドル(約200万円)を超えます。画像処理システムや高精細のビデオスクリーンを含む補助機材にも70万ドルもの設備投資が必要です。これに年間サービス契約が付加されるケースが多く、さらに数千ドルが上乗せされています。

 

 これに対し、ランゲル医師のチームが考案した腹腔鏡「ゼノスコープ」の製造コストは1台当たり約85ドル。大きな画像処理システムやビデオスクリーンも必要ありません。画像は普通のノート型パソコンやスマートフォン上で見られるうえ、パソコンから腹腔鏡に必要な電力を最大8時間確保できます。このシステムを使えば、医師は病院や安定した電力供給がないところでも低侵襲手術を行うことができるのです。

 

 ランゲル医師のチームが設立した企業ゼノコアによると、販売価格は300ドルから500ドルになる見込み。設備投資やサービス契約は不要です。ゼノスコープは「非常に安価なので壊れたら捨てられる」とランゲル氏は話しています。

 

 資金も安定した電力もきれいな水も十分にはない地域で生かそうと、大学院生を中心に超低価格の医療機器が考案されています。大学は技術者や科学者、設計技師、ビジネス専攻の学生の協力を募り、医療の提供に関わる課題を突き止めて、外科治療への差し迫ったニーズへの対応など低価格かつ現実的な解決策を編み出そうとしています。

 

 「世界的な外科手術に関するランセット委員会」の推計によると、多くの低・中所得国では基本的な外科治療の不足により、盲腸の破裂や胆のうの病気、腫瘍、外傷など治療可能な症状で年間1800万人以上が死亡しています。世界保健機関(WHO)と世界銀行は世界全体の医療と経済の水準の引き上げには外科的能力の向上が欠かせないと指摘しています。

 

世界では50億人が安全な手術を手頃な価格で受けられていません。毎年1860万人が手術関係の不備で死亡し、3300万人が手術費用のために破産、14300万人が追加手術を必要としています。2030年までにこうした不備が解消されなければ、失われるGDPは推定123000億ドルに上ります。ゼノスコープにはナイジェリア、ガーナ、中国、モロッコの外科医に加え、将来、宇宙での外科手術を想定する米航空宇宙局(NASA)も関心を示しています。

 

 ただ課題も残っています。ランゲル医師のチームは米食品医薬品局(FDA)と欧州連合(EU)に対し、ゼノスコープを実質的に既存の技術と同等な機器として指定するよう要請しています。要請が認められれば、長期におよぶ臨床試験を実施せずに済みます。ランゲル医師はFDAEUのお墨付きを得てからゼノスコープを本格展開するつもりです。

 

 ゼノコアは製造の準備に向けて、第1回の資金調達で500万ドルを調達する必要があります。同社は発展途上国でゼノスコープの組み立てと流通を担える現地企業との提携を希望していて、米国でも、感染の危険がない使い捨て機器として販売したい考えです。

 

 ユタ州ソルトレークシティのインターマウンテン・ヘルスケアに所属するレイ・プライス医師と近隣の3病院の医師は、ゼノスコープの品質を既存の腹腔鏡機器と比較する試験を行うよう提案しています。製造コストが85ドルの機器と非常に高価な既存の機器の性能が同じであれば、「低侵襲手術のコストが下がり、高額医療が混乱するかもしれない」が、「そうなることを期待する」とプライス氏は語りました。(ソースWSJ

2016年9月29日 (木)

空の軍拡競争、中ロが膨大な予算投入!

米国や欧州の同盟国が展開する戦闘機は、過去20年にわたり世界の制空権を握り続けてきました。しかし今はロシアと中国が兵器開発に膨大な予算を投入しているため、欧米の優位性が脅かされ、新たな軍拡競争が始まりかねない状況です。

 

 ロシアが東ヨーロッパや中東などで存在感を高め、中国も南シナ海に進出を続ける中、両国が開発する新たな戦闘機や対空兵器が数年後にも登場すると考えられています。この動きに対抗するかたちで、西側諸国も自国の次世代戦闘機開発を急がざるを得ない状況です。

 

西側の無関心を突くロシアのウクライナ政策

 「米空軍にとって喫緊の問題は、米軍に匹敵する最新の軍事技術を競争相手が開発していることだ」。6月、就任を目前に控えたデビッド・ゴールドファイン米空軍参謀総長は米国議員らにこう述べました。その2カ月後、米空軍は最新鋭の統合打撃戦闘機F35を認証しました。1990年代に展開されたボスニア紛争での作戦以降、敵地の正確なピンポイント攻撃が西側諸国の軍事作戦の柱となっていますが、F35にはそのための最新ステルス機能が搭載されています。

 

 戦闘機のフェラーリと称される米軍のF222005年に配備されたばかりでまだ比較的新しい戦闘機です。音速の倍のスピードで飛行しながら敵機を攻撃します。最近は爆撃機としても利用されるほか、敵地上空で情報収集活動を行うこともあります。

 

 しかし、米軍の戦闘機の75%以上は1970年代から継続して使われている種類のものです。F15戦闘機は1975年、F16戦闘機は1979年から展開。海軍のF/A18戦闘機も1978年から配備されています。これらの機体はフランスのラファールや欧州4カ国共同開発のユーロファイターと並び、アジアや欧州の同盟国の軍では戦闘機として今も重要な役目を果たし続けています。

 

ロシアと中国の台頭

 

 ロシアは2018年にも同国初となるステルス戦闘機のT50を配備する予定です。双発機のT50は操作性が高く、遠方の敵機を早期発見できる最新機能もあります。同国は最近、最新型の高性能戦闘機「スホーイ35Su35)」やSu34爆撃機をシリアに展開する動きも見せています。ロシア国防省からはコメントを得られませんでした。

 

 中国は長年にわたり戦闘機をロシアに頼り、ライセンス契約をして国内で製造するなどしていました。しかしそれも現状では変わりつつあります。米軍のF22に似た中国の新型戦闘機J20(殲20)は、まだ配備はされていないものの2011年から飛行を開始しました。2012年には米軍のF35に似た次世代機FC-31の飛行試験も始まっています。 

 

 米国防総省(ペンタゴン)は今年、中国軍の分析の中で「西側諸国の空軍との差を、さまざまな性能面で素早く埋めつつある」と評価。中国の国防省はペンタゴンのこの発表に不快感を示し、米軍が中国の兵器開発について「不適切なコメント」をしたと批判しています。

 

 レーダーを回避する技術は米国がロシアや中国をまだリードしています。しかし制空権を巡る激しい競争は、地上でも展開されているのです。

 

 ロシア政府によると同国はより高性能なミサイル防衛システムS400を開発。これまでの倍となる約380キロ離れた飛行機をミサイルで撃ち落とすことが可能になったといいます。同国国防省は8月、ウクライナとの関係が緊迫する中、併合したクリミアにこのS400を配備すると発表しました。ロシアは同防衛システムを他国に輸出しようと売り込んでいます。元米空軍中将のデビッド・デプチュラ氏は、S400が「軍事作戦の展開を大幅に難しくする」と話しています。

 

 中国は今年、ベトナムと主権問題を抱える南シナ海の西沙諸島に地対空ミサイル「HQ9(紅旗9)」を配備しました。

 

 対抗する米空軍は、こうした防空システムの範囲が届かない距離から敵地を攻撃できる長距離ミサイルなどを飛行機向けに開発することを目指します。航空戦闘軍団の指揮をとるハーバート・J・カーライル将官によると、これら新型の戦闘機は2030年には配備できるよう計画を進めているといいます。米海軍は、現在の攻撃機F/A-18E/Fスーパーホーネットの後継機を2035年に配備すべく準備中だそうです。(ソースWSJ

2016年9月28日 (水)

露呈したデジタル広告の闇、疑念深める広告主!

自分たちが出した大金がどの程度効果的に使われ、どのような対価をもたらしたのか確認できない――。デジタル広告について一部の広告主はこんなふうに感じています。これだけでも厄介な事態ですが、それに拍車をかける出来事が相次ぎ、広告主を悩ませています。

 

 先週、広告業界にはびこる透明性の欠如が露呈しました。 フェイスブックが自社のプラットフォーム上での動画広告の平均視聴時間を最大で80%過大に見積もっていたことが明らかになり、メディアやマーケティング業界に衝撃が走りました。

 

 日本では広告代理店最大手の電通が23日、インターネット広告で少なくとも111社に過大請求を行っていたことを認めたのです。電通が不正を認めたきっかけは、広告の効果が出ていないというトヨタ自動車から苦情でした。電通は謝罪し、故意または人為的なミスが原因で不適切業務が発生したと説明しています。

 

 その一方で、広告主は、広告代理店が顧客にだまってメディア企業からリベートを受け取っているのではないかとの疑いを強めています。今年、広告業界を対象に行われたリベートに関する調査ではデジタル広告の契約が焦点の1つだった。ゼネラル・エレクトリック(GE)JPモルガン・チェース、ネーションワイド・ミューチュアル・インシュアランスは取引している広告代理店の監査を開始しました。広告会社は不正を否定しています。

 

 モバイル機器を片時も離さず、以前ほど従来型のメディアに触れることがなくなった消費者には、デジタル広告でメッセージを届けられる――。広告主はこれまで、このように説明されてきました。しかしフェイスブックの一件を含めた不透明な慣行を受けて、デジタル広告には落とし穴やリスクがあるという、これまでもぬぐいきれなかった印象がさらに強まったのです。

 企業の広告担当幹部にとって頭痛の種は、オンライン広告における透明性と信頼できる測定法の欠如だけではありません。広告が閲覧可能な状態になっていなかったり、コンピューターによって広告へのアクセス量が偽造されたりして、広告につぎ込んだ何十億ドルもの資金が無駄になっているのではないかとの懸念もそうです。

 

デジタル広告市場の伸び鈍化か

 

 全米広告主協会(ANA)のボブ・リオダイス最高経営責任者(CEO)によると、複数の問題が同時に発生したことでデジタル広告に対する広告主の見方が大きく変化し、1940億ドル(約195800億円)に上る世界のデジタル広告市場の伸びが鈍化する恐れがあるといいます。ANAにはゼネラル・モーターズやATTなどの大手の広告主が加盟しています。リオダイス氏は「広告主は投資収益の観点から何を得ているのかという疑問を持ち始めており、デジタル分野への投資水準の再評価を進めている」と話しました。

 

 通信会社USセルラーのブランド管理担当バイスプレジデント、グラント・リーチ氏によると、広告主が感じている最大の疑問は「自分たちの買い物には価値があるのか」ということだということです。デジタル広告を疑わしく思っても、従来型メディアから離れて多くの時間を過ごすようになった消費者にメッセージを届けたいのであれば、広告主はデジタル広告、特にモバイル機器向けの広告への支出を増し続けるしかありません。

 

 米広告業界の一部幹部の間では、「大手のオンラインプラットフォームは無責任な『ウォールドガーデン(壁で囲われた庭)』で、メディアや広告が自社プラットフォーム上でどのように消費されているのか限定的な情報しか提供しない」と言われています。フェイスブックの問題はまさにその認識を強めることになりました。

 

第三者による幅広い検証求める声

 

 ビールメーカーのハイネケンでメディア担当バイスプレジデントを務めるロン・アムラム氏は、自身の最大の関心事として「ウォールドガーデンはなくし、(大手のオンラインプラットフォームは)他のベンダーと対等に扱う必要がある」と話しました。アムラム氏と同社の代理店は今週、フェイスブックと会合を開き、問題の影響について議論する予定だといいます。

 

 フェイスブックの問題は従来型の出版社やテレビなど、フェイスブックと広告費を奪い合う競合他社にも影響を及ぼしています。米調査会社イーマーケターによると、460億ドル規模の米モバイル広告市場でフェイスブックは22%のシェアを握っており、順調にシェアを伸ばしています。直近の四半期決算ではモバイル広告収入が80%増加しました。競合他社は広告主を奪おうと、同社の失敗に付け込もうとするかもしれません。

 

 フェイスブックやユーチューブ、ツイッター、スナップチャットといったサイトでは動画の視聴者数は自社で把握していますが、テレビ業界ではニールセンが調査する視聴率が広告契約での基準となっています。

 

 広告枠の買い手とテレビネットワークは長年、ニールセンの視聴率データについて冗談交じりに不満を漏らしてきましたが、広告主は頼るべき独立機関があることに満足しています。

 

 大手のオンラインプラットフォームがそれぞれの価値について話したところで、「それを検証するのは難しい」とUSセルラーのリーチ氏は言います。それでもリーチ氏はデジタル広告向けの支出を削減する気にはならないと言います。

 

 ユニリーバのマーケティング責任者、キース・ウィード氏は「デジタルメディア産業で第三者による幅広い検証が行われなければ、広告主の投資行動に影響する」と指摘します。今回のフェイスブックの一件については、広告主が出した広告費に実質的な影響はなかったとみて問題視しなかった企業もあります。

 

 ソーシャルメディア企業ランドリー・サービスの創業者でCEOのジェイソン・スタイン氏はフェイスブックが動画広告を3秒以上見た人だけを視聴者に数え、その結果、平均視聴時間が過大に見積もられたことについて、「広告キャンペーンの測定基準に使うべきではない。視聴時間を測定するには生データを使うべき」と指摘しました。

 

 WWP傘下の広告代理店ネットワーク、グループMは声明を発表し、フェイスブックが3秒未満の視聴を視聴者から除いたことは「不注意で残念」だが、「今回の過ちを注意深く調査したところ、当社の広告キャンペーンに関して価格決定や顧客への広告提供に一切影響しなかったと判断した」と述べました。

 

 しかし、フェイスブックの過大見積もりが同社への広告費の分配に影響が及んだり、広告キャンペーンの効果について誤解を招いたりした可能性があるとみる企業もあります。フェイスブックのある大口の広告主は「(数字を)実際よりよく見せて、自分たちの利益を増やした具体的な詳細について(フェイスブックから)聞いている」と話しました。

 

 ある広告枠の買い手は、フェイスブックが広告主に返金する必要があるとは思っていない可能性があると指摘。この買い手のチームは動画の視聴時間ではなく、広告の表示回数を保証する契約に基づいてフェイスブックの動画広告枠を購入しているからです。

 

 グループMのロブ・ノーマン最高デジタル責任者(CDO)は動画の視聴者についてより細かなデータを入手できるようになることが必要だと話します。「われわれは視聴者数を知る必要がある。彼らがどんな人間で、どの広告をどの程度見ているか知る必要がある」と。ノーマン氏は「顧客にとって最大の問題は、広告の手段ごとの予算配分について意思決定ができることだ」と話しました。(ソースWSJ

2016年9月27日 (火)

ハリウッド、中国での観客動員増を狙う配役!

映画「ジュマンジ」のリメークを手掛けているプロデューサーたちはこの夏、作品に中国人の俳優を出演させるべく複数の芸能プロダクションに連絡を取りました。しかし、役が男性になるか女性になるかはまだ決まっていないといいます。それどころか作品のストーリーも固まっておらず、その俳優がどのような役回りになるのかすら未定の段階です。

 

 中国が数年後には世界最大の映画市場になるとされている中、米映画界では、作品に中国人の俳優を起用し、同国の観客にアピールをするやり方が広く浸透しています。ハリウッドの大作に重要な役どころで起用された中国人俳優を中国の映画ファンは喜んで応援します。今夏も上海生まれの歌手アンジェラベイビーが映画「インデペンデンス・デイ:リサージェンス」に出演し、話題を呼んだばかりです。 

 

 「まだ何をしたいかは決まっていませんが、製作側としてはとにかく中国の要素を入れたい考えだろう」――。あるエージェントは「ジュマンジ」のリメーク版についてこう話しています。

 

こびを売った配役は批判の的に

 

 ただ、この方法が必ずうまくいくとは限らず、あからさまに観客にこびを売っている配役は批判を受けることもあります。中国で大人気を誇るファン・ビンビンが2014年の映画「X-MEN:フューチャー&パスト」に出演した際は、セリフが「もう時間よ」の一行しかありませんでした。欧米映画に端役で出演する女優のことを中国の映画ファンは「花瓶」と呼んで批判しますが、国営メディアである北京日報もビンビンのその配役が「物議を醸した」と報道しました。

 

 調査会社エントグループによると、世界第2位の映画市場である中国の今年の映画興行収入は現時点で50億ドル(米国は81億ドル)。急速な成長を続けてきた中国映画市場ですが、今年はやや失速が見られます。

 

 中でも注目されるのが、興行収入に占める海外映画の比率低下です。昨年の上半期は興収全体の53.3%が輸入作品であったのに対し、今年はその割合が46.9%となっています。映画館に観客をどう呼び込むか、そこがハリウッドの映画会社にとってポイントとなっているのです。

 

スター・ウォーズ最新作も中国配慮

 

 北京でコンサルタントとして働くティナ・ユーさんは、中国人が出演しているからというだけで映画を見に行こうとは思わないと話します。「そういう映画に出演する中国のスター、特に女優は、花瓶として写っているだけか端役の場合が多い」ため、「見る映画はストーリーで決める」といいます。

 

 その一方、今後公開が予定されている「God Particle(原題)」や「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」などは、欧米の観客には無名でも中国では多くのファンを持つ俳優陣が登場します。

 

 中国で活躍する俳優にとって、ハリウッド映画でいい役に起用されることは「欧米での名声を手に入れるきっかけになる」。そう話すのは米ユナイテッド・タレント・エージェンシー(UTA)でエージェントを務めるダレン・ボゴジアン氏です。ボゴジアン氏はアンジェラベイビーやビンビンといった女優のマネジメントを行う。UTAや他のハリウッドのエージェンシーは、中国人の俳優を担当するための部署を設立し広くマネジメントを手掛けています。

 

 「中国で有名であっても、市場は中国に限定されます。しかし米国で有名になれば、世界で有名になったのと同じだ」とボゴジアン氏は話します。

 

規制かいくぐり歌手でマーケティング

 

 映画「グランド・イリュージョン」の続編を製作した米娯楽大手ライオンズゲート・エンターテインメントは、作品の脚本がまとまる前に中国の人気歌手ジェイ・チョウを配役できるよう話し合いをしたといいます。そのチョウを推薦したのが、同作を中国で配給したレオマス・ピクチャーズ・インターナショナルのチウ・ジエ氏です。

 

 「映画に中国人俳優を出演させる場合、適切でなおかつストーリーにとって重要な役でないといけないと強調した」と同氏は話します。「中国人の俳優が主役にならないのは理解できる。でもこれさえ守れば、地元の観客も批判をしたりはしない」と。

 

 2013年に公開された「グランド・イリュージョン」は中国で2300万ドルの興行成績を収めましたが、今年公開された続編は9700万ドルに到達。ライオンズゲートの作品としては中国で最高の結果を出した作品となりました。

 

 中国人俳優を起用する場合、大切なのは役がストーリーに自然に組み込まれているかどうかだと製作会社の多くは話します。「より自然な流れでストーリーに登場させれば、作品に幅が出るし世界的にもヒットする」と説明するのは、米メディア大手タイム・ワーナー傘下の映画会社ワーナー・ブラザースでキャスティング部門の副部長を務めるローラ・ケネディ氏です。同社は来年、中国人女優ジン・ティエンが出演する「Kong: Skull Island(原作)」を公開します。

 

 最近では映画のテーマ曲をソーシャルメディアのフォロワーが多い人気歌手に歌わせる手法もとられています。映画のマーケティングに関してさまざまな規制がある中国においても、曲がラジオで流れるたびに実質的に映画の宣伝を展開できるからです。「グランド・イリュージョン」の続編に出演したチャウもテーマ曲を担当しました。

 

 米メディア大手バイアコム傘下パラマウント・ピクチャーズのロブ・ムーア副会長は、「このやり方も中国市場でマーケティングを展開するひとつの方法だ」と話しています。ただし俳優をビール缶のような商品として劇中に登場させることには注意をしなければならない、とも同氏は話しています。(ソースWSJ

2016年9月26日 (月)

「破滅への道」たどる中国のインフラ建設!

独裁的支配を最も痛烈に批判する人々でさえ、インフラ建設に関しては、中国が裕福な民主国家に圧勝していることを認めています。

 

 米国は事実上、勝利を断念しています。米国土木学会(ASCE)は4年ごとに、崩れ落ちそうな学校や慢性的に混雑している主要空港、くぼんだ道路や老朽化した輸送システムといった国内のインフラ状況を点検し、全体評価を下します。最新の2013年は「Dプラス」でした。

 

 一方、中国は十分なペースで建設を進められません。北京を走る第6環状高速道路(六環路)が先ごろ開通し、建設作業員は現在七環路(所によっては100マイル外側)の作業に当たっています。これは首都と周辺都市を結び、日本の人口をやや上回る13000万人の「巨大都市」を作る計画の一環です。10年前には存在しなかった高速鉄道網は今や欧州連合(EU)の鉄道より広範に及び、急速に拡大しています。政府の経済計画当局にとってダムや橋、トンネル、地下鉄の新設は目新しいことではないのです。

 

 しかし、それにはどれだけの費用がかかるのだろうか。オックスフォード大学サイード・ビジネススクールの研究者4人がまとめた論文は、第三者が中国のシステムの突出した強みとしてよく称賛する点がむしろ途方もない浪費につながっていると主張し、物議を醸しています。これらの建設は、2014年に積み上げられた債務282000億ドルの3分の1に相当する予算超過を招いたというわけです。規模を縮小しない限り中国は「インフラ主導の金融・経済危機に向かい」、その影響が世界的に波及すると論文は指摘しています。

 

 研究者らは95の道路・鉄道建設プロジェクトのデータを調査しました。予算超過は一般的に民主主義国家とほぼ同水準で、中国はスピードでは圧勝しているが、品質や安全性、環境を犠牲にしているといいます。開通した道路の大部分は交通量が少なく、若干が渋滞しています。どちらにしてもこの結果は非効率極まりないのです。

 

 これらの問題点が全体を象徴するものであるなら、中国の金融崩壊を暗示しているばかりか、建設を加速すれば企業や家計のコストは下がり、経済成長が上向くという世間一般の見方が試練にさらされます。中国の場合、インフラは破滅への道なのかもしれません。

 

 債務が中国経済の泣き所であることにほぼ異論はありません。政府はサービスや消費主導経済へのリバランス(再均衡)を図っているものの、いかなる代償を払ってでも成長を促そうと必死になって建設しています。マッキンゼーは、中国の債務が2000年〜14年に261000億ドル増えたと試算していますが、これは米国と日本、ドイツの国内総生産(GDP)を合わせた数字より大きいのです。

 

 そうした債務はインフラ建設の大半を担う国有企業に集中しています。鉄道建設大手の中国中鉄は、ギリシャの約2倍の債務を抱えています。それでも政府は年内のさらなる鉄道建設に1200億ドルの予算を計上しています。

 

 中国指導部は危険を十分認識しています。人民日報は今年初め、「権威ある人物」(習近平国家主席を指すものと思われる)が語ったものとして、「樹木が空まで伸びることはない。高いレバレッジは必然的に高いリスクを生み出す」という発言を伝えました。

 

 オックスフォード大の論文については懐疑的な見解もあります。調査会社ゲイブカル・ドラゴノミクスの中国担当調査ディレクター、アンドリュー・バトソン氏はブログで、同論文は「いささか曖昧なミクロのデータに基づき、中国について壮大なマクロ的主張を打ち出している」と指摘しています。つまり、中国は他国と同様に個別のインフラプロジェクトでは失敗しているが、金融危機のリスクを招くほど大きな失敗を犯してしているわけではないというのです。

 

 カリフォルニア大学サンディエゴ校のバリー・ノートン教授(中国経済)は、中国モデルの強みはインドのようにボトルネックが浮かび上がるまで待つのではなく、需要に先んじてインフラを建設することだと主張しています。同教授はオックスフォードの論文について問われると、「低リターンのインフラ建設は(経済にできることの中で)最も悲惨というわけではない」と答えました。

 

 それでも、近年は中国のインフラ建設に抑えが利かなくなっているとの見方は広がっています。地方政府は価値あるプロジェクトが枯渇し、実につまらないお金の使い方をしている一方、企業は戦略を仕掛けている。湖南省はスリルを求める観光客を呼び寄せるため、340万ドルを投じてガラスのつり橋を設置しました。同省の省都・長沙市のある企業は、57階建ての高層ビルをわずか19日間で完成させました。

 

 米戦略国際問題研究所(CSIS)で中国の産業政策を専門とするスコット・ケネディ氏は、中国はインフラ支出を続けるべきだが、異なる方法でやるべきだと指摘しています。地域間の貧富の差を是正するため地方部での投資拡大や、病院や学校の整備を重視すべきだというのです。

 

 当然ながら、米国にとってこれらの選択肢は夢物語でしかありません。大統領選では民主党候補のヒラリー・クリントン氏も共和党候補のドナルド・トランプ氏も、成長促進や雇用創出のためインフラ投資を拡大すると公約していますが、資金の調達や拠出を阻む政治的行き詰まりをどうやって打開するかは定かではありません。

 

 紛れもなくはっきりしているのは、インフラという領域において中国は度が過ぎてうんざりするが、米国など西側の民主主義国は到底十分とは言えない、ということです。いずれの行き過ぎも長期的な経済成長や人類の幸福、金融の脆弱(ぜいじゃく)性を脅かすことになります。(ソースWSJ

2016年9月25日 (日)

米大統領選TV討論、戦況一変のチャンス!

米大統領選候補者の直接討論会は重要ではありますが、既存の流れを確認する結果になることが多いようです。1976年に行われた共和党候補のジェラルド・フォード大統領と民主党候補のジミー・カーター・ジョージア州知事の討論会では、フォード氏がソ連の東欧支配を否定するという過ちを犯しました。しかし、フォード氏は討論会以前から既にカーター氏との差を縮めつつあり、その後も接戦が続きました。

 

 1980年にも同じことが起きた。カーター大統領と共和党候補のロナルド・レーガン元カリフォルニア州知事との直接討論会前に行われた世論調査では、レーガン氏がカーター氏をリードしていました。レーガン氏が大統領にふさわしい人物だという見方は討論会での同氏のパフォーマンスによって裏付けられ、レーガン氏は選挙で圧倒的勝利を収めました。

 

 例外は1984年です。その年に行われた第1回目の直接討論会では、当時73歳のレーガン大統領は混乱し、心ここにあらずという感じでした。その結果、レーガン氏の支持率は8ポイント低下しました。しかし、第2回目の討論会では、対立候補の56歳のウォルター・モンデール前副大統領を相手に驚くべき挽回を見せました。レーガン氏は「相手の若さと経験の少なさを政治的目的に利用するつもりはない」と発言したのです。失った8ポイントをすぐに奪い返し、その後さらに支持率を伸ばして49州で勝利を収めました。

 

 26日、3回にわたる直接討論会の第1回目が開かれ、共和党候補のドナルド・トランプ氏と民主党候補のヒラリー・クリントン前国務長官が顔を合わせます。討論会は両者にどの程度影響するのだろうか。両者に満足していない有権者が多いため、いずれの候補の大きなミスも戦況を一変させる可能性があります。しかし、それを当てにすべきではありません。

 

トランプ氏の方が簡単

 

 両候補とも、国民が良くも悪くも自分たちをどう見ているかを理解した上で壇上に立つべきです。そして自らの強みを前面に出し、相手の弱みを突き、自らの欠点を極力目立たないようにすることです。

 

 トランプ氏の方が、やることは簡単だ。彼はアウトサイダーであり、有権者は変化に飢えています。とはいえ、ほとんどの国民は彼には大統領にふさわしい人格と気質が欠けているとみています。トランプ氏は有権者を安心させる必要があるのです。彼は短く、力強い言い回しが得意で、それが強みです。加えて、より大統領らしい口調で話すべきでしょう。メキシコシティーで開いた記者会見のときのように。そこではトランプ氏は怒ったり無礼な態度を取ったりせず、控え目で謙虚でした。

 

 トランプ氏は、26日の討論会は予備選の討論会とは大きく異なることを理解しておくべきだ。予備選の討論会では多くの候補者が壇上に立つ。そのため基本的に連続して記者会見が行われるようなもので、候補者は短い発言を順に行うことになる。深い政策論争に入り込んだときは、他の候補者がわれ先にと発言する中、トランプ氏は黙り込むか、普段よりもさらに短い答えをすれば済んだ。

 

 それに引き換え、26日の討論会は政策に関する2候補間の議論の応酬が中心になります。トランプ氏は知識の深さではクリントン氏に対抗できません。しかし、既存の支持基盤以外にもアピールするためには、無知で底が浅いという印象を与えないようにする必要があります。

 

 相手を過剰に攻撃しないようにも気をつけたほうがいいでしょう。トランプ氏は、私用メールサーバーや健康状態、クリントン財団の利益相反、国務長官時代の実績についてクリントン氏を追及し、同氏の大統領としての適格性を問いただしていくと表明しています。しかし、攻撃的すぎるとみなされれば、クリントン氏に同情が集まる可能性があります。

 

クリントン氏がすべきこと

 

 クリントン氏は、トランプ氏より議論にたけていますが、より難しい課題に直面しています。有権者はクリントン氏には大統領職をこなせる経験や能力、気質があるとは思っています。しかし、その点を強調すれば、自分が現状維持の象徴であることを際立たせることになります。クリントン氏は「第3期オバマ政権」にすぎず、新しいものを何も提供してくれないと考える有権者が増えれば、勝利への道は一段と険しくなってしまいます。

 

 クリントン氏は、合理的だが広範囲に及ぶ変化を望んでおり、それを達成できるだけの経験が自分にはあると有権者を納得させる必要があります。だが、言うはやすく行うは難です。クリントン氏はさまざまな政策を提示することはできますが、優先順位をつけたり、ビジョンを分かりやすく説明したりすることは得意ではありません。とはいえ、クリントン氏にはトランプ氏よりも楽観主義的で調和を重んじる人物という印象があります。今回の失望感の強い大統領選では、それは重要な強みになります。

 

 クリントン氏はトランプ氏に事実確認するチャンスが多々ありそうですが、その際、優越感が出ないようにする必要があります。トランプ氏を挑発し、冷静さを失わせて個人攻撃を仕掛けさせるよう仕向けるべきです。それができれば、ソーシャルメディアで話題に上るようになり、討論会後のマスコミ報道で優位に立てるでしょう。

 

 優れた議論よりも雰囲気作りが重要な場合もあります。2000年の第1回目の直接討論会を見た人の中で、どの政策論争でどちらの候補が優位に立ったかを覚えている人はほとんどいないでしょう。しかし、その場の雰囲気を味方につけ、議論にも勝ったのは共和党候補のジョージ・W・ブッシュ氏です。民主党候補のアル・ゴア副大統領が威嚇するようにブッシュ氏に体を近づけたとき、ブッシュ氏が素っ気なく軽蔑するようにうなずいたことが決め手になりました。身ぶりや口調、見た目が発言内容よりも結果に影響する場合があります。リチャード・ニクソン氏はジョン・F・ケネディ氏との対決で身をもってそれを知ったのです。

 

 討論会が3回あるということは、第1回目の出来が悪くても巻き返せるということです。ジョージ・W・ブッシュ氏もバラク・オバマ氏も第1回目の直接討論会ではいまひとつさえなかったのですが、当選を果たしました。しかし、26日の討論会は1億人が視聴するとみられ、欠点の多い今年の候補者にとっては、この対決がレースの主導権を握るための絶好の機会になるのえす。(ソースWSJ

2016年9月24日 (土)

アップルのSiri:大幅進化してもなお力不足!

アップルは16日に行われた発表会にてヘッドホン端子がない新型iPhone(アイフォーン)を発表し、最新モバイルOSiOS10」も公開しました。しかしそれ以上に大きな出来事が起きていたことに気付いただろうか。同社が長年苦労してきたSiriが、ついに会話型アシスタントとして大きな変貌を遂げたのです。何年にもわたってSiriに罵声を浴びせてきた筆者も、最新版を利用してみたらその性能の向上を実感することができました。

 

 iOS10と利用することで、Siriは配車サービスのウーバーやメッセージアプリのワッツアップなどサードパーティーのアプリも操作できます。20日にリリースされたデスクトップ向け基本ソフト「Mac OSシエラ」を使えばSiriはデスクトップでも利用でき、メール送信などの基本的なタスクもこなせます。新たに発表された「アップルウオッチ・シリーズ2」上でも、Siriは素早く情報を処理します。そして10月に発売されるエアポッズを通せばSiriは無線で操作できます。まるで映画「her/世界でひとつの彼女」の主人公のように、利用者の耳元でSiriが甘い言葉をささやいてくれるのです。人工知能が日常生活に大きくかかわっていく未来社会がついに幕を開けたと言っていいでしょう。

 

 とは言え、最新のSiriの進化を実感すればするほど、その欠点も浮かび上がってきたのも事実です。「すみません、ジョアンナ、よくわかりません」と何度言われたことか。Siriは機能面でもグーグルやアマゾンの音声アシスタントの域にはまだ到達していないと感じたのです。

 

 筆者がこれまでSiriを活用していた唯一のタスクが、朝の目覚まし時計を設定することでした。眠気と戦う中で目覚ましを操作する手間と比べ、Siriは簡単にアラームを設定してくれる。最新版のSiriではそのような使い方がアップル以外のアプリでも可能になるのは便利です。

 

 スマートホンを使って配車を呼ぼうとする場合、これまでは利用するアプリを開き、メニューを操作しなければいけなかったのですが、今は「Siri、ウーバーを呼んで」と言うだけで済みます。「Siri、午後2時にあのキューバ料理屋でランチをしたいとワッツアップでジャラードに連絡して」といったような指示でも、Siriはスペルミスすらせずにちゃんとメッセージを作成し、送信をします。「お昼の割り勘代の10ドルをジャラードに送って」と指示すれば、Venmoなどのサービスで送金をすることも可能です。

 

 しかし一番使う類のアプリの多くがまだSiriには対応していないのも事実。音楽サービスややることリストのアプリ、そしてメールアプリも、アップルが提供している開発キットがサポートしていないのです。それと比べて米アマゾンの音声アシスタント機能「アレクサ」を搭載した機器は、サードパーティー製のアプリを操作できるだけでなく、そのアプリをデフォルトとして設定することすら可能です。

 

 現時点でSiriが対応しているサードパーティーのアプリはとてもよく機能しており、正確に動きます。筆者もSiriと話す機会を増やしましたが、Siriが普段の会話で使われるShoot an email (メールを送る)というような表現でもちゃんと理解していたことには感心しました。

 

 ただし質問をする時は分かりやすいように言葉を選ぶ必要もあります。例えば「次の電車はいつ?」と聞いた際、Siriはウィキペディアの「電車」の項目を立ち上げました。そこで質問を変えて「乗り換えの順序を教えて」と聞き直してみたところ、やっと時間も含む情報を正確に表示してくれたのです。

 

 一般常識に関してはSiriはグーグルやアマゾンの音声アシスタントに後れを取っていることは否めません。「2016年の米国大統領選の第1回候補者討論会はいつ?」という質問で人工知能同士にクイズ対決をさせてみたところ、グーグルは926日の月曜日の午後9時からだと正確な答えを教えてくれました。アレクサは日付は合っていたものの、時間は間違えていました。一方のSiriの返事は「ウェブで、2016年の米国大統領選の第一回候補者討論会はいつ?を検索しました」でした。アップルによると、Siriには2週間に一度のペースで新たなデータを追加し、改善作業を行っているといいます。

 

 デスクトップで利用する場合、Siriはマウスやトラックパッドの代役にはなりませんが、それら機能を大きく補助することができます。大きなスクリーンでマルチタスクをこなしたい場合、こつさえつかめばかなり便利になるはずです。

 

 マウスやキーボードを操作してカレンダーアプリを起動し、そこに予定やメモを書き込む作業も、Siriに代行してもらえば半分の時間で済みます。フェイスブックとツイッター以外は現時点ではMac上でSiriがサポートしているサードパーティーのソフトはありません。なので残念ながらアップル製のアプリを使わなければなりません。

 

 デスクトップ上でひとつの作業をこなしながらSiriに違うアプリを起動してもらう使い方も便利です。音声コントロールやファイルの検索といったシステム関連の作業も、Siriに代行してもらえると助かります。筆者のデスクトップ画面はかなり散らかっているので、この機能は本当に便利でした。

 

 ただしSiriの起動方法には問題があります。iPhoneの場合は呼びかければ自動的にSiriが起動しますが、デスクトップではコマンドボタンとスペースバーを同時に押すか、ドックにあるSiriのアイコンをクリックしなければなりません。それと比較してアマゾンのマイク付き音声認識スピーカー「エコー」やマイクロソフトの「コルタナ」は(プライバシーの観点から少し怖い気はするものの)利用者の声を聞き続けていて、部屋の反対側から話しかけても反応してくれます。

 

 エアポッズを使ってSiriと会話をすると、家にいても仕事をしていても、用事がなくても話を続けたくなってしまうはずです。無線のエアポッズで操作する場合は、エアポッズを2回軽くたたくとチャイム音が鳴りSiriが起動します。声を拾うマイクの性能は驚くほどいいです。地下鉄に乗っている時に曲を早送りし、洗い物をしながら天気予報を立ち上げることもできました。もちろん、従来通りの有線イヤホンを使っても同じことはできますが、無線イヤホンでこれができるのはクールです。人工知能がワイヤレスで人の生活に寄り添う未来の世界がついに到来した感があります。

 

 ただし、そのような夢の未来が完全に実現したというにはまだ早く、エアポッズは確かに近未来的さが魅力ですが、それ以上の製品にはなりきれていません。Siri以外のアシスタントにも言えることですが、音声認識をするアシスタントは人間と自然な会話を続けることがまだできないのです。例えばアップルの最高経営責任者(CEO)であるティム・クックとミーティングを入れるようにSiriに指示したあと、「彼に関する情報」を調べるように追加でお願いしても、Siriはその「彼」が誰を指しているのか理解してくれないのです。

 

 グーグルのアシスタントは利用者に関する情報を集め蓄積して分析しますが、アップルはそのような行為はしないとしています。ライバル会社がそのようなデータを使う中でアップルが今後も彼らと争い続けられるかは不透明です。

 

 SiriSRIインターナショナルが開発し、その技術をアップルに売却しました。SRISiriを共同開発したノーマン・ウィナースキー氏は、音声認識アシスタント開発の難しさは「一言一言を着実に聞き取り、テキスト化すること」ではなく、「会話の内容や意図を理解することだ」と話ししています。

 

 しかしウィナースキー氏は今後20年で、人間の活動の90%が人工知能によって補助されるだろうとも予測さす。「今ジョアンナが行っていることの10%はジョアンナ本人が処理しなければいけませんが、他の90%はSiriのような人工知能に任せることができるだろう」と同氏は筆者に話してくれました。

 

 最新のSiriはそんな時代に向けての第一歩となるかもしれません。まずは「今年の米大統領選の候補は?」といった質問に答えられるようになるところから、取りかかるべきだが。(ソースWSJ

2016年9月23日 (金)

拡大続ける中国の信用リスク!

中国が金融危機に直面する可能性を警告した少数の「中国弱気派」を一流の金融アナリストたちがかつてあざ笑っていました。しかし、過去1年で不良債権のツケを巡るリスクは通説になりました。中国政府には金融システムを下支えするリソースがあるが、融資拡大による経済刺激策の継続で中国の経済的・政治的苦境は複雑化しています。

 

 最近警鐘を鳴らしたのは、スイス・バーゼルの国際決済銀行(BIS)です。最新の四半期国際与信統計によると、中国の国内総生産(GDP)に対する総与信ギャップは現在30.1%となっています。同ギャップは与信伸び率と長期トレンドとの乖離(かいり)を示す指標で、10%を超える数字は通常、危険信号とみなされています。

 

 どの国にも問題を生じさせる具体的な債務水準はが、借入残高が急増していれば、危機が到来する予兆となり得ます。つまり、融資が高いリターンという幻想を生み出し、それが借り入れを正当化するバブル状態を示しています。米国の総与信GDP比率ギャップが10%を超えたのは、住宅バブルがはじける直前の2007年です。ゴールドマン・サックスは今年に入り次のように警告しています。「債務が急増した主要国はいずれも金融危機を経験しているか、GDP成長率の停滞が長引いている」と。

 

 中国の借り入れは驚異的なペースで増えました。世界的金融危機の影響が中国に及ばないよう、中国政府が与信を拡大したためです。中国の対GDP比債務残高は2007年末の150%弱から2015年末には250%超に拡大しました。ちなみに日本は資料が古いですが、2008年は171.1%です。ギリシャは118.6%です。

 

 しかも、中国政府が昨年、無駄な投資の抑制と供給サイド改革に乗り出したにもかかわらず、対GDP比債務残高は増え続けています。これは非常に気掛かりなことです。中国政府は国有銀行に継続的な信用供与をやめさせ、苦境に陥った銀行に返済資金を新たに融資させないようにすると約束しました。そのようなゾンビ銀行は破綻するはずだったのです。しかし、中国ではデフォルト(債務不履行)はほとんど起きていません。

 

 中国政府には慎重になる政治的理由があるのです。改革の実施は成長を減速させることになる上、改革を行うたびに社会不安は高まります。広東省烏坎村では景気が減速した2011年に抗議運動が発生しましたが、今年に入って再びデモが起きています。

 

 中国政府は過去数カ月、政策銀行3行に国有企業の新規投資に融資するよう促しています。銀行は住宅ローンブームをあおり、不動産価格を高騰させてもいます。中央銀行は金利や預金準備率は引き下げていませんが、公開市場操作を通じて銀行にさらに流動性を与えています。

 

 政府統計によると、銀行の不良債権比率は2%という11年ぶりの高水準に近づきつつあります。しかし、当局者でさえ実際の数字がはるかに高いことを認めているのです。銀行アナリストのシャーリーン・チュウ氏は、22%に達する可能性があると予想しています。だとすれば、中国政府は2000年代初めのように銀行システムの資本再編を行う必要があります。

 

 ただし、影の銀行の誕生によって、今回の金融システムの是正は一段と厄介になる可能性があります。国営銀行は普通預金よりも高い利回りを売りにした「理財商品」を抱えており、それらは複雑に入り組んでいます。チュウ氏によると、理財商品は昨年、11000億ドル(約112兆円)増え、総信用伸び率の40%近くを占めるに至っています。

 

 これら短期負債で長期資産の資金を賄っており、この不整合が危機をあちこちで悪化させています。しかも買い手の多くは他の金融機関です。これは2008年の米国の住宅ローン担保証券(MBS)市場をほうふつとさせるものです。預金者はリスクを理解しておらず、理財商品が破綻したときは、銀行が彼らの元本の返済を余儀なくされています。これら投資に対する取り付け騒ぎが起きれば深刻な社会不安が引き起こされ、政府に対する中流階級の信頼が損なわれかねないのです。

 

 中国政府は、金融や財政刺激策に依存した経済が市場主導でレバレッジを解消できるかじ取りするという難題に直面しています。政治的副作用は避けられず、その管理は経済リスクと同じくらい危険な可能性があります。(ソースWSJ

2016年9月22日 (木)

米株急落、トランプ氏の支持率上昇も一因か!

• 乱気流に突入した米国株式市場

 

 「ここでは何かが起きている、でもそれが何なのか、分からないんでしょう、ジョーンズさん」。

 

 ボブ・ディランは50年以上前にリリースされた曲「やせっぽちのバラード」で、金融市場を飲み込む突然の動揺を適切に要約していました。今、表面には表れない暗流が急激な市場の変化を引き起こそうとしています。

 

 英国の国民投票で欧州連合(EU)離脱派が勝利した直後の憂鬱(ゆううつ)症の発作から回復して以来、この夏の大半を過去最高水準近辺でダラダラと過ごしてきた米株式市場だが、利上げへの懸念からレーバーデー(95日)後に急に乱気流に突入した。米国株が急激に売られ、SP500指数が8月半ばのピーク時から3%も急落したのは、米連邦準備制度理事会(FRB)の複数の高官が、920日、21日の連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で主要な政策金利の引き上げについて真剣に検討するべきだと発言したせいだとされている。

 

 とはいえ、その説明には多くの穴があった。例えば、FRBの動向に最も敏感な米短期国債の利回りはほとんど反応を示さず、916日の2年物米国債の利回りは0.77%で、SP500指数がピークに達した815日からの上昇は4ベーシスポイント(bp)だった。さらに言えば、注目を集めた912日のブレイナードFRB理事の講演では、利上げの「非対称的な」リスクが強調された。利上げによる経済への潜在的な悪影響はその恩恵を上回る可能性があるというのだ。講演では、ハト派のブレイナード理事がタカ派に転じ、今週のFOMC会合の結論を示唆するのではないかとうわさされていたが、実際には全く逆のことが起きたわけである。

 

• 米国市場に大きな影響をもたらし得る日銀の政策措置

 

 それでは、株式市場での突然の乱気流の背景にあるものは何だろう。FRBの動きとほぼ無関係で、やはり予想外だった利回りの急上昇である。米国以外の中銀による政策措置の予想がかなり話題になっているが、FOMC会合と偶然にも同じ日程で金融政策決定会合を開く日銀は、特に注目されている。日銀の政策措置の重要性は、FRBのあらゆる行動を大きく上回るだろう。もっとも、FRBは何もしない可能性がかなり高い。

 

 しかし、米国債市場の急落には、ほとんど話題にされてこなかった別の要因も関係しているかもしれない。米大統領選挙に関する世論調査で、両候補の支持率の差が劇的に縮まっているのだ。先週、共和党候補のドナルド・トランプ氏の支持率が急上昇し、かつては11月の本選での勝利が確実視されていた民主党候補のヒラリー・クリントン氏と事実上のデッドヒートとなっている。

 

 トランプ氏の勝利は、より積極的な財政政策の確率を高めることになる。同氏は先週、ニューヨークのエコノミック・クラブで企業の重鎮たちを前にその概要を説明した。同氏は減税、財政支出拡大、貿易や規制の見直しにより3.5%の実質経済成長率を達成する一方で、社会保障および防衛関連を除く支出を毎年1%ずつ削減することで財政赤字に対する影響はゼロになると主張した。

 

 シカゴの大手先物ブローカー、RJオブライエン・アンド・アソシエーツで世界の先物・オプション取引部門のマネジングディレクターを務めるジョン・ブレイディ氏によると、特に世論調査で支持率の差が狭まっているため、市場は財政赤字が拡大する可能性を感知しているという。その場合、長期債と、短期債および長期債の利回り格差を示すイールドカーブの傾きへの評価は間違っていることになると同氏は指摘する。

 

• 利上げの条件は整っていない

 

 トランプ氏は先週、FRBがオバマ政権末期の市場や経済を良く見せるために金利を低く抑えているという非難を繰り返した。予想に反して利上げを行えばそうした批判への反論となるだろうが、データへの依存を公言しているFRBは利上げを正当化するようなデータを持ち合わせていない。

 

 米商務省が先週発表した8月の小売売上高では、自動車、ガソリン、建設資材などを除くコア小売売上高が2カ月連続で0.1%減となり、市場予想を下回った。鉱工業生産も8月に0.4%低下した。それに先立って発表された8月のサプライ管理協会(ISM)製造業景況指数は製造業景気の拡大・縮小の境目である50を下回り、8月の雇用統計では非農業部門就業者数が予想を下回る151000人増にとどまった。

 

 RBCキャピタル・マーケッツの首席米国エコノミスト、トム・ポーセリ氏は「FOMCの判断にはデータ以外の要素も入ってくる」と書いている。予想外の利上げは、FRBが金融上のストレスを測定する要素――高利回りで投資適格級のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)、通貨、株式、物価連動債と通常の国債のスプレッド、ボラティリティーなど――が英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)直後以来目にしていなかった水準に戻ってしまった世界の市場に大混乱をもたらし得る。ストレス水準は特に高いというわけではないが、FRBが、歴史上最も期待されている利上げを実施したいと考えるほどの状況でもないと同氏は結論付けている。(ソースWSJ

2016年9月21日 (水)

ポケモンGOの売り上げはいくら?

モバイルゲームが空前の人気を博せば映画の大ヒット作より大きな収益をもたらすかもしれませんが、ゲームの「興行収入」を把握するのは難しい。このため投資家は暗闇でゲームをさせられているようなものです。

 

 「ポケモンGO(ゴー)」がいい例です。この記録破りの人気ゲームを世に送り出したことによって任天堂は今年、株価が急騰しています。しかし、実際の収益を数字で押さえるのは至難の業です。多くの情報会社が欠けている部分を補おうと試みてきましたが、そうした算出方法は科学と呼べるものではありません。

 

 調査会社センサータワーは今月、拡張現実(AR)ゲームのポケモンGOがこの夏稼いだ売上高が「ウォークラフト」や「インデペンデンス・デイ:リサージェンス」といったハリウッド映画の興行収入を上回ったと述べました。同社によると、910日時点でポケモンGOの売上高は52900万ドル(約540億円)に達しています。

 

 これよりさらに好調だと見る向きもあるほどです。市場データ提供会社のアップ・アニーは、98日時点ですでにポケモンGOによって開発会社などが得た収入が5億ドルを突破していたとし、年内に10億ドルに達する勢いだとの見方を示しました。アップルやグーグルはアプリストアで課金分の30%を手数料として徴収するため、アップ・アニーもゲームの収入を算出するにあたりこれを差し引いている。つまり、同社の推計に基づけばポケモンGOの売上高は7億ドル余りということになる。

 

 楽観的とはほど遠い予測もあります。調査会社プライオリ・データによるポケモンGOの推定売上高は1億ドルをわずかに超える程度です。スーパーデータ・リサーチは35900万ドル近辺と見込んでいます。

 

 問題の根源は、アップルとグーグルが個別アプリの売上高情報を公表していないという事実にあります。さらに、アプリのランキングは単なる売上高順位ではなく、開発会社が自社アプリの順位を押し上げるべくシステムを操作するのを防ぐため、非公開のアルゴリズムを用いています。特に大手は、売上高情報を明かさない会社が多い。ゲームの成功は、多額のアプリ内購入をする「クジラ」と呼ばれる一握りのプレーヤーにかかっており、こうした事実も売上高の算出を一段と複雑にしています。

 

 従って、データ分析会社は頭を使って推測するほかありません。売上高を提供する一部の開発会社からデータを収集し、全体的な市場規模やアプリストアのランキング、レビュー件数といった他の測定基準との相関関係をあぶり出そうとします。センサータワーのようにユーザー調査を行う場合もあります。あるいはスーパーデータのように、開発会社の決済を請け負う決済サービス会社からデータを集める会社もあります。

 

 こうした手法は過去の売れ行きが参考になるゲームには有効ですが、ポケモンGOのような超ヒット作では当てにできない可能性があります。「ビッグデータ」的な分析は過去との相関関係に基づく推論に頼りますが、ゲームが桁違いのヒット作となれば相関関係も成り立たちません。

 

 ゲームの世界でモバイルゲームが主役に躍り出て、投資家が収益を推し量りにくい超ヒット作がたくさん出て来るでしょう。あのスーパーマリオが初めてスマホ向けゲームに登場する「スーパーマリオラン」は12月に配信開始予定でしたが、次なる大ヒット作となるかもしれません。ここ2カ月の任天堂株の乱高下は、投資家が意志決定する上でより優れたデータを必要としていることを浮き彫りにしているのかもしれません。(ソースWSJ

2016年9月20日 (火)

iPhoneとiPad、旧モデル「消費期限」は?

米アップルのモバイル端末用基本ソフト(OS)「iOS」の新バージョンが出るたびに、「iPhone(アイフォーン)」や「iPad(アイパッド)」の旧モデルのユーザーにも、OSのアップデートを促す通知が届きます。しかし、エンジニアがせき立てるような快適さが実現されないこともあります。

 

 今週、最新OSの「iOS 10」とスマートフォーンの最新モデル「iPhone 7」「iPhone 7 Plus(プラス)」が発売されるのに合わせ、旧モデルの鮮度を保つソフトウエア更新がいつまで可能かを、iPhoneiPadの全機種について調査したそうです。

 

 そこで分かったのは、買い換えを促すために、アップルが比較的古い機種についてはサポートを停止したことです。ただ、実際にはサポート期間が伸びている製品が多かったのですが。(iPhone 6を見捨てる理由を探している向きには悪い知らせでしょう)。

 

 最も長持ちしたのは2011年春に発売された「iOS 5」搭載の「iPad 2」です。アップルが3年にわたって販売し、2014年以降は販売を停止しましたが、最新版iOSを使える期間は2013日間に及びました。その記録は今月、「iOS 10」の登場とともに途絶えました。

 

 iPhoneの最長ランナーはというと「iPhone 4S」ですが、今回やはりお払い箱となりました。「iPhone 5」は「iOS 10」でも生き延びています。

 

 初代の「iPhone」と「iPad」は、早々にiOS更新やサポートを打ち切られました。「iPhone 3G」も同様に短かかったのです。

 

 iOSのどのバージョンもリリースのたびに複数の端末が使えなくなりますが、サポート対象モデルの数は増加傾向にあります。ピークは「iOS 9」でiPhoneiPad合わせて20機種でした。「iOS 10」とともにアップルは掃除をしたようですが、全18機種にインストールが可能。充電用「ライトニングポート」のない旧モデルは除外されました。(ソースWSJ

2016年9月19日 (月)

5分でわかる「トランプ氏ではダメな理由」!

共和党候補トランプ氏は、なぜ米国の大統領には不向きなのか。WSJコラムニストがQA形式で持論を展開します。

 

Q: あなたは今回の米大統領選で民主党候補のヒラリー・クリントン前国務長官を応援しているようだが、それで保守的なコラムニストと自称することができるのか?

 

A: 私が応援している理由は、共和党候補のドナルド・トランプ氏が反保守的かつ反米国的で、道徳心がなく、危険だからだ。

 

Q: ではクリントン氏は、米国民としてわれわれが大切にする資質を備えた保守派であり、政治経験がきわめて豊富だということか?

 

A: いやそうではない。彼女は昔からリベラル派で、政治的には日和見主義だし、倫理観に欠けるところもある。

 

Q: それでも彼女を支持するのか?

 

A: そうでなければ良かったが、ほかに選択肢があるだろうか?

 

Q: 選択肢なら、共和党候補がいる。貿易や移民問題をめぐっては、彼はウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の正統派の論調に沿わないだろうが、それ以外では減税や規制緩和、国防の強化、保守派判事の任命といった主張をしている。共和党副大統領候補のマイク・ペンス・インディアナ州知事や、ポール・ライアン下院議長の助言も聞くだろう。

 

A: われわれの選択肢は政策メニューに基づくと思っているようだが、私がトランプ氏に反対する根本的な理由は、彼が大統領には不向きな人間だからだ。

 

Q: ちょっと待ってくれ。少々荒削りなのは認めるが、それは彼が政治家ではないからだ。また、巨万の富を築いたすばらしい実業家でもある。

 

A: もしトランプ氏が納税申告書を公開するつもりなら、あるいは彼のビジネスのうち6事業が破綻しておらず、4000件を超える訴訟を抱えていなかったら、さらに納入業者に対して常に不当な扱いをし、慈善資金を出し惜しみすることがなかったら、その主張を信用してもよいのだが。

 

Q: 会社を経営するのがどういうことかを知らないエリート階級のような話しぶりだ。

 

A: 私の知る限り、成功した起業家は節度を持ち、情報を公開し、誠意ある経営を行っている。

 

Q: それでも彼の成功には異論がないだろう。

 

A: トランプ氏が手に入れたのは成功ではなく、悪評だ。彼と共通点が多いのは、カジノ王のスティーブ・ウィンよりも、世間をにぎわすラッパーのカニエ・ウエストだ。それに、彼はただ荒削りなだけでなく芯まで腐っている。

 

Q: おや。彼が時に無分別なことや政治的に不適切なことを言って物議を醸すからか? あとで後悔するような失言は誰にでもある。クリントン氏はウソをついてばかりだ。

 

A: 違いはこうだ。クリントン氏が自らを政治的に守る戦術としてウソをつくのに対し、トランプ氏は自分を大きく見せ、弱い立場の人々を軽んじるために衝動的にウソをつく。相手が障害のある記者であろうと、家族を亡くした母親であろうとお構いなしだ。

 

Q: 両候補者ともに人格に問題がある。だがわれわれが選ぶのはローマ法王ではなく、米大統領だ。そして保守派としては、彼の意見のほうが私の考えにはるかに近い。

 

A: だけどリベラリズムの本流にいるクリントン氏より、移民排斥を掲げるトランプ氏のほうが、保守主義とかけ離れているのでは。

 

Q: では保守主義をどのように定義する?

 

A: 原則として小さな政府、自由市場、憲法が保障する権利、機会均等、個人の責任、多くの州からなる国家、パックス・アメリカーナ(米支配による平和)を堅持すること。

 

Q: トランプ氏はその大半を信じている。

 

A:  そうだとしても憲法の問題がある。生まれながらの市民権を認めない彼の案は、合衆国憲法修正第14条に抵触する。自身への批判を封じ込めるため「名誉毀損(きそん)法の可能性を広げる」との考えは、報道の自由への脅威となる。「メキシコ系」の連邦地裁判事であるゴンザロ・クリエル氏への攻撃は、米国人の信条に対する挑戦だ。

 

Q: まさしくトランプ氏がいつもまくし立てていることだ。

 

A: 「まくし立てていること」こそ、トランプ氏の内面を見抜くカギだ。直感的にリベラリズムに背を向けている。だから彼は、仏右派政党「国民戦線」のジャン・マリー・ルペン前党首や、米白人至上主義団体「クー・クラックス・クラン(KKK)」の元指導者デビッド・デューク氏から絶賛されている。だから彼は、ロシアのプーチン大統領に称賛を送り続けている。

 

Q: トランプ氏がプーチン大統領を称賛するのは、国民の人気が高く、海外では尊敬され、実行力があるからだ。アイゼンハワーなど歴代の米大統領もそうだったが、オバマ現大統領には当てはまらない。そろそろ有能なリーダーが登場すべきではないか?

 

A: プーチン氏は尊敬されるどころか、恐れられている。思慮深い保守派ならば、効率的な独裁国家より、何もできない民主主義国家をすぐにでも選ぶだろう。

 

Q: わが国は19兆ドルの借金を抱え、殺人率は上昇し、過激派組織「イスラム国」に翻弄(ほんろう)され、数百万人に上る労働年齢の男性が仕事探しをあきらめている。申し訳ないが、今はまともな時代ではない。

 

A: 米国はもっと悪い時期を乗り切ってきた。1970年代を考えてみよ。まともじゃないのは、おどけたリーダーが過激な解決策を説くという唐突な状況だ。フィリピンではドゥテルテ大統領が就任したが、同じタイプの米国人が自由主義世界のリーダーになるのは全く別の話だ。

 

Q: ここは米国だ。幅広い権限をもつ大統領に対し、抑制と均衡をもたらす制度を備えている。制度について言えば、最高裁判事の後任人事で「リベラル派に1世代譲る」事態について言うべきことはあるか?

 

A: 合衆国憲法の厳密な解釈を軽蔑するような人物が、厳格なコンストラクショニスト(法律の解釈者)を指名すると思うか?

 

Q: いいかい。クリントン氏についてはよく知っているし、それはひどいものだ。トランプ氏なら、公約を守る可能性があるうえ、就任後の伸びしろもある。

 

A: 君が米国の制度を心から信頼しているならば、オバマ政権と同様、クリントン氏の任期を乗り切れるはずだ。トランプ氏は候補者から大統領に上り詰めたとたんに虚栄心をむき出しにし、大きな権力を求めるだろう。彼自身が好んで口にするように「私が変わると思うか? 絶対に変わらない」。彼がこの約束を守るのは間違いない。(ソースWSJ

2016年9月18日 (日)

イスラム国の崩壊後に待ち受けている世界!

201474日、黒いターバンを巻いた過激派組織「イスラム国」(IS)のアブ・バクル・アル・バグダディ容疑者は、イラク第2の都市モスルで、カリフ(予言者ムハンマドの後継者)を最高指導者とするイスラム国家を樹立すると宣言しました。シリア東部とイラク西部を制圧し、自らカリフと名乗る同容疑者はイスラム教スンニ派の同胞に向かって「尊厳、権力、権利、リーダーシップ」を取り戻すと告げました。

 

 しかし今や、イスラム国は台頭したのと同じスピードで退潮に転じているように見えるあす。戦闘では一連の敗北を喫し、制圧した都市を一つずつ失っているにもかかわらず、各地でテロ攻撃の頻度を高めています。一時は英国ほどの大きさがあった支配地域は、イラクでもシリアでもこの1年間に縮小の一途をたどり、イラクの要衝ラマディやファルージャ、シリアの古都パルミラやトルコとの国境地帯も失いました。また本部を置くリビア中部の都市シルテからも撤退しつつあります。残る重要拠点であるイラクのモスルとシリアのラッカを失うのも時間の問題です。

 

 では、イスラム国が崩壊したら何が起きるのかという疑問が持ち上がります。その空白を埋めるのが誰になるかで中東地域の未来が決まるでしょう。地上に残された空白はもちろん、より重要なのは、世界中のジハーディスト(イスラム聖戦主義者)の観念上の間隙(かんげき)をどう埋めるかです。

 

アルカイダの復活

 

 2001911日の米同時多発テロから15年たった今、イスラム国崩壊の結果として考えられる可能性の一つは、ライバル関係にある国際テロ組織「アルカイダ」の復活です。イスラム国の残党と同様、アルカイダも存在意義を主張するため、一連の新たなテロを西側諸国などで仕掛けるかもしれません。

 

 オバマ政権下で国務省テロ対策調整官を務めたダートマス大学のダニエル・ベンジャミン氏は「ISIS(イスラム国)を追い払ったからといってジハーディストが消滅するわけではない」とし、「カリフ制の排除は一定の成果だが、それは終わりの始まりではなく、おそらくは始まりの終わりにすぎない」と指摘しました。

 

 バグダディ容疑者が世界のイスラム教徒に自身への忠誠を誓うよう求めたとき、他のジハーディストのリーダーや聖職者らは正当性を認めず、その企てが破綻するのは避けられないと警告しました。アルカイダの最高指導者アイマン・ザワヒリ容疑者は中でも最も敵意に満ちた批判を展開した一人です。

 

「最後のあがき」に警戒

 

 イスラム国が破竹の勢いだった間はこのような批判をものともしなかったのですが、今日のように劣勢続きでは、イスラム国の理論的な土台が危うくなってきます。パリ政治学院のイスラム専門家、ステファン・ラクロワ氏は「領土支配が2014年のカリフ制宣言の根拠となっていたため、領土を失うことは重大な問題だ」と指摘しました。

 

 ただ、領土をすべて失ったとしても、イデオロギー集団またはテロ組織としてイスラム国が完全に消えるわけではありません。むしろ存在感を誇示するように本拠地や西側諸国で世間の関心を引く大量虐殺に打って出る可能性があり、テロ対策専門家は「最後のあがき」に警戒を促しています。

 

顕在化する利害の対立

 

 またこの2年間、イスラム国に対抗するため、西側の民主主義国家からロシア、イラン、シーア派武装勢力、トルコ、クルド民兵組織、スンニ派の湾岸諸国に至るまで異例とも言える協力体制が構築されてきましたが、イスラム国が弱体化すれば、こうしたあり得ないパートナーの間で利害が対立し始めると考えられます。事実、シリア北部ではイスラム国から最近奪還した領土を巡って、米同盟国で北大西洋条約機構(NATO)に加盟するトルコと、米国が支援するクルド人勢力がすでに衝突しました。

 

 ヨルダンのジハーディスト研究者、ハッサン・アブ・ハニエ氏は「ISISが直面している挫折はこれまでより多くの問題を生み出す」と指摘。「ISISとの戦いという大義名分で中東全体の衝突や抗議デモが抑えられてきた面があり、ISIS を排除すればあちこちで衝突が再び勃発する。政府に対する改革要求も活発化するだろう」と述べました。

 

 こうした状況すべてを、ザワヒリ容疑者率いるアルカイダが利用する可能性があります。アルカイダはイスラム国の血なまぐさい攻撃や陰惨なビデオのかげに隠れていましたが、決して手をこまぬいていたわけではなく、同容疑者の下で組織を見直し、より穏健な組織とも手を結ぶなど、現実的な路線への転換を進めてきました。

 

 ここ数週間、ザワヒリ容疑者はイスラム国に対して一段と激しい非難を浴びせています。同容疑者がネット上に公開した演説では、アルカイダがスンニ派を一致団結させることに注力するのと対照的に、イスラム国は底知れない過激思想をもつ異端者であり、禁断の血を流していると断じました。

 

 元駐シリア米国大使でシンクタンク中東研究所の上席研究員であるロバート・フォード氏によると「特に印象深いのは(アルカイダの指導者が)イラクでの失敗やつらい経験から多くを学んだことです。シリアでは残忍さが消え、ジハーディスト以外の宗派とも協力している」といい、「彼らの戦術はつかみ所がなく、地元の大きなサポートもあります。こうした組織を封じ込めるのははるかに困難だろう」と指摘しました。

 

 イエメンや北アフリカにあるアルカイダ関連組織も、イスラム国の衰退に乗じて活動を活発化させることが考えられます。ヨルダンのアナリストで元軍人のマームド・イルダイサト氏は「モスルやラッカをISISから奪還しても、気を緩めることなく、緊張を保ち続けなければならない。油断すれば彼らは必ず復活する」と警告しました。

2016年9月17日 (土)

「iOS 10」で端末買い換えは不要に?

「ビッグニュースです。米アップルが14日から新しいiPhone(アイフォーン)を無料で配布しました」。

 

アップルの最新OSでは、頻繁に利用するアプリに多くの新機能が追加されました。問題は新機能を見つけ出すのが困難なことです。

 

 これは誤って開いたスパムメールではありません。ハードウエアの多少の変更よりソフトウエアの大型アップデートの方が重要だと思う人は、最新モデル「iPhone 7」ば魅力的に見えても財布のひもは締めた方がいい。アップルのモバイル端末用基本ソフト(OS)「iOS 10」を使えば旧モデルのiPhoneでも新鮮さを感じることができるからです。ただし、ヘッドホン用の穴は付いたままだですが。

 

 デザインに大きな変更はありませんが、iOS 10によって、利用頻度の高いアプリに本当に必要だった見直しが行われました。さらに、オンラインサービスの分野でグーグルやフェイスブックなどと競争する知性をアップルが手にした可能性も示されています。

 

 問題はアップデートをすべきか否かではなく、いつすべきかです。アップルからの絶え間ないアップデートの催促に応じなくても、最新OSを要求する他のアプリやアクセサリーがユーザーをせっつくことでしょう。

 

 最新OSにアップデートすればきっと満足できるはずえす。多くの新機能は非常に素晴らしいので、筆者はもっとアップルのサービスを使い始める、あるいは少なくとも気に入っているサービスを使い続けると心に誓いました。

 

メッセージ

 

 改良点:iOS 10では「メッセージ」アプリが早くなった感じがします。また、送られてきたウェブリンクのプレビューを見られるほか、他のアプリと連動させて友人に送金したり、一緒に食事を注文したりすることも可能です。さらに楽しいのはスタンプやGIFメッセージ、手書きメッセージ、アニメスタンプ、「ドゥードゥル(いたずら書き)」ができるフォトメッセージ、レーザーライトが光り輝くような背景を乗せたメッセージなど、多種多様な選択肢がリストアップされていることです。

 

 問題点:こうした機能を探し出すのは、ウォルマートで裁縫用の指ぬきを探すようなものです。全ての機能を探し出せたとしても、手書きメッセージのような一部の機能は余計だと感じるでしょう。「iMessage(アイメッセージ)」はインターネットテキストだけでなくショートメッセージサービス(SMS)も管理しているため、よりシンプルなフェイスブックの「メッセンジャー」などよりもバックエンドで問題が生じてきます。つまり、メッセージが異なるアップル端末と同期できなくなることが頻発する可能性があるのです。

 

 

写真

 

 改良点:新しい「写真」アプリではアルゴリズムを使って撮影したコンテンツが分析されます。画像がクラウドに送られて分析されることはないため、プライバシーも保たれます。右上の虫眼鏡マークをタップすれば、写真アプリ内のコンテンツを検索することができます。筆者の場合、「プードル」と入力したら愛犬の写真が1500枚出てきました。

 

 問題点:特に重たい作業は端末がコンセントにつながれている間に行われるため、このサービスが画像を分析するのに数日かかる可能性があります。アップルは一般的な画像の量であれば一晩でタグ付けされますが、容量が大きければ数日かかる可能性があると述べています。

 

ミュージック

 

 改良点:アップルはついに、欠陥だらけで粗雑な「ミュージック」アプリを、最初からそうあるべきだった姿に変えました。聴きたい音楽を簡単に探し出せるようになり、記憶はあいまいでも探し出したい曲について気の利いたヒントを与えてくれます。そして、ついに最近聴いた曲を呼び出せるタブが登場しました。どうしてこの機能を最初から搭載しなかったのだろう。さらに、多くの曲で歌詞が読めるようになったほか、毎週金曜日には自分だけのプレイリスト「My New Music Mix(マイ・ニュー・ミュージック・ミックス)」が更新されます。

 

 問題点:筆者にアップルのサービスを敬遠させる最大の要因はノート型PCでのオプションが貧弱なことです。

 

改良点:音声アシスタント機能「Siri(シリ)」がもっと仕事をする準備を整えました。アップルは他社製アプリとSiriを連携できるよう機能を拡張したのです。例えば、「Siri、ウィルソンに1ドル送金して」と言えば自動的に決済アプリ「スクエア・キャッシュ」が開かれ、筆者に送金を促します。この機能拡張は車の運転中に便利です。多くのアプリが数週間内にSiriの新機能に対応するようアップデートされるはずです。

 

問題点:Siri画面の隅にある小さな「?」マークをタップすれば質問事例を確認できますが、これはもっとわかりやすくあるべきです。

 

ロックとウィジェット

 

 改良点:今回のアップデートで最も悩ましいのは「スライドでロックを解除する」機能がなくなったことです。パスワード入力画面を表示してロックを解除するには、ホームボタンを押さなければなりません。指紋認証を使っているユーザーも、ホームボタンに指を置いておくだけではなく、ボタンを押す必要があります。(元の設定に戻したければ「設定」→「一般」→「アクセシビリティ」→「ホームボタン」まで行き「指を当てて開く」をオンにする)

 

 アップルは一部でモデルの変更も行いました。ロック中の画面であれホーム画面であれ、左にスワイプすれば「ウィジェット」と呼ばれる通知センターの新画面が登場します。ここには天気やニュース、イベントなどの情報リストが表示されます。

 

 問題点:新しいウィジェットを追加したり削除したりするには、ページの一番下までスクロールして「編集」ボタンをタップする必要があります。タップや長押しでウィジェットを編集できれば便利だったでしょう。

 

その他

 

 改良点:「時計」アプリには新たに「ベッドタイム」タブが追加され、日常の就寝時間と起床時間を設定することで理想的な8時間睡眠を取る手助けをしてくれます。画面の下から上にスワイプして表示させる「コントロールセンター」も整然となりました。そこから右にスワイプすればミュージック操作画面が出てきます。そして最高の改良点は、ついに決して使わないアップルのアプリを消去できるようになったことです。

 

 問題点:コントロールセンターの新画面は素晴らしいのですが、個人的にはWi-Fi(ワイファイ)設定に直接つながるようにしてほしかったということです。(ソースWSJ

2016年9月16日 (金)

5分でわかる「トランプ氏ではダメな理由」!

 共和党候補トランプ氏は、なぜ米国の大統領には不向きなのか。WSJコラムニストがQA形式で持論を展開します。

 

Q: あなたは今回の米大統領選で民主党候補のヒラリー・クリントン前国務長官を応援しているようだが、それで保守的なコラムニストと自称することができるのか?

 

A: 私が応援している理由は、共和党候補のドナルド・トランプ氏が反保守的かつ反米国的で、道徳心がなく、危険だからだ。

 

Q: ではクリントン氏は、米国民としてわれわれが大切にする資質を備えた保守派であり、政治経験がきわめて豊富だということか?

 

A: いやそうではない。彼女は昔からリベラル派で、政治的には日和見主義だし、倫理観に欠けるところもある。

 

Q: それでも彼女を支持するのか?

 

A: そうでなければ良かったが、ほかに選択肢があるだろうか?

 

Q: 選択肢なら、共和党候補がいる。貿易や移民問題をめぐっては、彼はウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の正統派の論調に沿わないだろうが、それ以外では減税や規制緩和、国防の強化、保守派判事の任命といった主張をしている。共和党副大統領候補のマイク・ペンス・インディアナ州知事や、ポール・ライアン下院議長の助言も聞くだろう。

 

A: われわれの選択肢は政策メニューに基づくと思っているようだが、私がトランプ氏に反対する根本的な理由は、彼が大統領には不向きな人間だからだ。

 

Q: ちょっと待ってくれ。少々荒削りなのは認めるが、それは彼が政治家ではないからだ。また、巨万の富を築いたすばらしい実業家でもある。

 

A: もしトランプ氏が納税申告書を公開するつもりなら、あるいは彼のビジネスのうち6事業が破綻しておらず、4000件を超える訴訟を抱えていなかったら、さらに納入業者に対して常に不当な扱いをし、慈善資金を出し惜しみすることがなかったら、その主張を信用してもよいのだが。

 

Q: 会社を経営するのがどういうことかを知らないエリート階級のような話しぶりだ。

 

A: 私の知る限り、成功した起業家は節度を持ち、情報を公開し、誠意ある経営を行っている。

 

Q: それでも彼の成功には異論がないだろう。

 

A: トランプ氏が手に入れたのは成功ではなく、悪評だ。彼と共通点が多いのは、カジノ王のスティーブ・ウィンよりも、世間をにぎわすラッパーのカニエ・ウエストだ。それに、彼はただ荒削りなだけでなく芯まで腐っている。

 

Q: おや。彼が時に無分別なことや政治的に不適切なことを言って物議を醸すからか? あとで後悔するような失言は誰にでもある。クリントン氏はウソをついてばかりだ。

 

A: 違いはこうだ。クリントン氏が自らを政治的に守る戦術としてウソをつくのに対し、トランプ氏は自分を大きく見せ、弱い立場の人々を軽んじるために衝動的にウソをつく。相手が障害のある記者であろうと、家族を亡くした母親であろうとお構いなしだ。

 

Q: 両候補者ともに人格に問題がある。だがわれわれが選ぶのはローマ法王ではなく、米大統領だ。そして保守派としては、彼の意見のほうが私の考えにはるかに近い。

 

A: だけどリベラリズムの本流にいるクリントン氏より、移民排斥を掲げるトランプ氏のほうが、保守主義とかけ離れているのでは。

 

Q: では保守主義をどのように定義する?

 

A: 原則として小さな政府、自由市場、憲法が保障する権利、機会均等、個人の責任、多くの州からなる国家、パックス・アメリカーナ(米支配による平和)を堅持すること。

 

Q: トランプ氏はその大半を信じている。

 

A:  そうだとしても憲法の問題がある。生まれながらの市民権を認めない彼の案は、合衆国憲法修正第14条に抵触する。自身への批判を封じ込めるため「名誉毀損(きそん)法の可能性を広げる」との考えは、報道の自由への脅威となる。「メキシコ系」の連邦地裁判事であるゴンザロ・クリエル氏への攻撃は、米国人の信条に対する挑戦だ。

 

Q: まさしくトランプ氏がいつもまくし立てていることだ。

 

A: 「まくし立てていること」こそ、トランプ氏の内面を見抜くカギだ。直感的にリベラリズムに背を向けている。だから彼は、仏右派政党「国民戦線」のジャン・マリー・ルペン前党首や、米白人至上主義団体「クー・クラックス・クラン(KKK)」の元指導者デビッド・デューク氏から絶賛されている。だから彼は、ロシアのプーチン大統領に称賛を送り続けている。

 

Q: トランプ氏がプーチン大統領を称賛するのは、国民の人気が高く、海外では尊敬され、実行力があるからだ。アイゼンハワーなど歴代の米大統領もそうだったが、オバマ現大統領には当てはまらない。そろそろ有能なリーダーが登場すべきではないか?

 

A: プーチン氏は尊敬されるどころか、恐れられている。思慮深い保守派ならば、効率的な独裁国家より、何もできない民主主義国家をすぐにでも選ぶだろう。

 

Q: わが国は19兆ドルの借金を抱え、殺人率は上昇し、過激派組織「イスラム国」に翻弄(ほんろう)され、数百万人に上る労働年齢の男性が仕事探しをあきらめている。申し訳ないが、今はまともな時代ではない。

 

A: 米国はもっと悪い時期を乗り切ってきた。1970年代を考えてみよ。まともじゃないのは、おどけたリーダーが過激な解決策を説くという唐突な状況だ。フィリピンではドゥテルテ大統領が就任したが、同じタイプの米国人が自由主義世界のリーダーになるのは全く別の話だ。

 

Q: ここは米国だ。幅広い権限をもつ大統領に対し、抑制と均衡をもたらす制度を備えている。制度について言えば、最高裁判事の後任人事で「リベラル派に1世代譲る」事態について言うべきことはあるか?

 

A: 合衆国憲法の厳密な解釈を軽蔑するような人物が、厳格なコンストラクショニスト(法律の解釈者)を指名すると思うか?

 

Q: いいかい。クリントン氏についてはよく知っているし、それはひどいものだ。トランプ氏なら、公約を守る可能性があるうえ、就任後の伸びしろもある。

 

A: 君が米国の制度を心から信頼しているならば、オバマ政権と同様、クリントン氏の任期を乗り切れるはずだ。トランプ氏は候補者から大統領に上り詰めたとたんに虚栄心をむき出しにし、大きな権力を求めるだろう。彼自身が好んで口にするように「私が変わると思うか? 絶対に変わらない」。彼がこの約束を守るのは間違いない。(ソースWSJ

2016年9月15日 (木)

iPhone7、「不安解消」には買い替え価値あり!

 アップルが先週発表した650ドル(日本では72800円)の「iPhone(アイフォーン) 7」と770ドル(日本では85800円)の「iPhone 7 Plus(プラス)」は、瞬間移動でき宙にも浮くような、夢見るスマートフォンではありません。しかし、長年iPhoneを悩ませていた多くの問題が解決され、ヘッドホンジャックがないという点を差し引いても買い替える価値はあります。

 

 いわば「抗不安iPhone」と考えればいいでしょう。アップルは過去10年、世界中のユーザーの血圧をさまざまな方法で上昇させてきました。iPhoneのバッテリーが切れ、誰かに充電器を貸してくれと懇願したり、ひそかに拝借したりしたことはないだろうか。長方形のデリケートな装置が水にぬれそうになり、ひやひやしたことはないだろうか。夜に撮った子供たちの写真が化け物のような顔色で、かわいく撮り直そうと何度も無駄にカメラをタップしたことはないだろうか。

 

 筆者はこの5日間、iPhone 77 Plusを試してみました。過酷なバッテリーテストをしたところ、駆動時間は1時間半伸びていました。iPhone 7を池に落としてみましたが、壊れませんでした。夜に写真を撮ったところ、自慢できるような作品が結構な枚数撮れました。

 

 まさに不安解消だ! とはいえiPhone 7は最先端のスマホとは言えません。ようやくアップルはサムスン電子に追いついただけにすぎないのです。サムスンは半年前に「Galaxy(ギャラクシー)S7」に同等レベルのカメラと防水機能を搭載しています。

 

 iPhone 6の発売から2年たちましたが、iPhone 7の見た目はさほど変わっていません。しかし、アップルはわれわれの忠誠心を保つ多くの理由を与えてくれます。有用な機能を向上させているうえ、比類ない小売店やカスタマーサービスを提供してくれています。iOSは依然最もエレガントなモバイルソフトウエアです。新バージョンの「iOS 10」でも従来通り、便利な新機能を使うために電子メールや写真、やることリストなどのプライバシーを譲り渡さなくてもいいのです。

 

 では、iPhone 7への買い換えを見送る理由になりそうな点を挙げてみましょう。ヘッドホンジャックの廃止です。アップルはその理由をうまく説明できていませんでした。iPhone 7にはこれまで通りコード付きのイヤホンが付いてきますが、円形の端子ではなく、「Lightning(ライトニング)」端子に差し込んで使用します。このほか、手元の古いヘッドホンも使えるようライトニング端子を円形端子に変換できるアダプターも同梱されています。ただし、大きな欠点が1つあります。もう1つ奇妙な変換アダプターを40ドルで買わない限り、ヘッドホンと充電器を同時に使うことができないことです。

 

 これはわずらわしいことではありますが、ワイヤレスヘッドホンを検討するいい機会でもあります。ワイヤレスヘッドホンは近年、技術が飛躍的に向上しています。アップルは10月、純正のワイヤレスイヤホン「AirPods(エアポッズ)」を160ドル(日本では16800円)で発売します。見た目はイヤリングと電動歯ブラシのヘッドを足して2で割ったような感じです。充電が必要なことと、小さいので紛失してしまわないかが心配が、飛行機やオフィスでの試作品の使い心地は良かったです。

 

 では、なぜヘッドホンジャックをなくしたのか? アップルはオーディオ技術を進化させるにはそうした「勇気」が必要だと説明しましたが、説得力に欠けました。自画自賛するよりも、主要なメッセージを貫いた方がよかったのえは。つまり、満員電車よりもぎゅうぎゅう詰めのスマホの内部にスペースを空けることで、われわれが本当に望む実用的なことができるようになると説明すべきだったのです。

 

バッテリー

 

 アップルはスマホのサイズを変えずに性能を向上させることに成功しました。バッテリー容量は昨年のモデルと比較して7では14%、7 Plusでは5%増えました。また、アップルの新型プロセッサーは処理が高速化するとともに、使用していない部分の電源を切る節電機能を備えています。

 

 筆者の厳しいバッテリーテストでは、iPhone 7の駆動時間は10時間半で、7 Plus(バッテリーは7より大きいが、画面も大きいため消費電力も多い)は約10時間でした。新品のiPhone 6s6s Plusと比較して、いずれも約1時間半持ちがよく、1年使用済みの6sとの比較では2時間15分長く持ちました。

 

防水性

 

 われわれのテストでは、防水性能が加わったiPhone 7を金魚鉢や池に30分沈めてみたり、1時間半にわたってプールに出し入れしたりしてみましたが、壊れませんでした。しかし、泳ぐ際に持っていくことはお薦めしません。アップルは防水性能について「水深1メートルで最大30分」としています。また、標準の1年のハードウエア保証は水による損傷はカバーしていません。水にぬれた場合、少なくとも5時間乾かしてから充電する必要があります。

 

 iPhoneを買ってからデジタルカメラの使用をやめてしまった人に朗報があります。iPhone 7で最も改良されたのが、暗い場所での撮影性能です。77 Plusも新しいセンサーや開放絞り値の大きなレンズ、光学式手ぶれ補正機能が搭載されているのです。

 

 筆者のテストで最も劇的な違いの1つが確認できたのが、薄暗いバーで撮った同僚のネイサン・オリバレス・ジャイルズ記者の写真です。6sで撮った写真は彼がどんな表情をしているかがほとんど分かりませんが、7sで撮った写真はグラスを掲げて笑っているのが分かります。

 

 サムスンの「Galaxy S7」と「Galaxy Note(ノート) 7」の素晴らしいカメラとの比較では、引き分けといったところです。筆者が「Galaxy S7 Edge(エッジ)」とiPhone 7で夜に撮影したラジオ・シティー・ミュージック・ホールの写真を比べてみると、Galaxyの方がダイナミックレンジが優れていますがノイズが多く、iPhoneはシャッターをほんの少し長く開きすぎるために露出過度になっているのが分かります。

 

 

 iPhone 7 Plusは画面とバッテリーが7よりも大きく、背面カメラが2つあります。1つは広角撮影、もう1つは望遠撮影用です。被写体に近づけないときに使うと便利ですが、安いオートフォーカスのカメラでももっとズームが可能でしょう。

 

スピーカー

 

 アップルはステレオスピーカーをiPhoneに組み込み、音量を2倍にしました。これは電話会議をしたり、ベッドで動画を見たり、シャワーでポッドキャストを聴いたりする際に非常に助かります。

 

 「ホーム」ボタンは、もはやボタンではありません。画面の一部になっていて、触れると小さく振動する「触覚フィードバック」と呼ばれる技術が使われています。動きが少ないということは壊れにくいということでもありますが、押した感じがしないので、ちょっとだまされているような気がしました。

 

 アップルによるとiPhone 7のディスプレーは前機種よりも25%明るさが増していますが、屋外ではそのメリットがあまり感じられませんでした。iPhone 7はディスプレーに関してサムスン製品よりも遅れています。7の液晶ディスプレー(LCD)にはこれまでと同じ厚い縁取りがありますが、サムスンの有機ELOLED)ディスプレーは端まで続いています。またサムスンのディスプレーは画素が3倍以上なので写真や文字の表示が非常に鮮明で、バーチャルリアリティー(VR、仮想現実)などの新たな技術にも有用です。

 

 購入して2年(あるいはそれ以上)のiPhoneから買い替える価値はあるでしょうか? 答えはイエスです。ではアップルが来年、iPhone発売10周年を記念した豪華な有機ELディスプレー搭載の赤色のモデルを発売した場合、7を手放したくなるだろうか? アップルのために、そうなることを期待したい。(ソースWSJ

2016年9月14日 (水)

静か過ぎる株式市場、急落の兆候か?

• 昨年8月の株価急落は再現するか!  (すでに9日に下がったが参考に載せます。)

 

 猛スピードで動く世界で生活していると、少しでも静けさを味わいたいと思うものですが、株式市場ではそのような静けさは驚きしか引き起こしません。

 

 先週金曜日にSP500指数が2.5%下落するまでは、夏場の株式市場は異様に静かでした。SP500指数が1日に1%も動かない日が44日間続きましたが、多くの投資家は静けさを味わうどころか懸念を抱いていました。昨年8月に、今回と同様に穏やかな相場が長く続いた後、SP500指数が4日間で10%も下落したからです。

 

 現在、昨年の状態が繰り返される兆候が随所で見られます。米連邦準備制度理事会(FRB)による連邦公開市場委員会(FOMC)の開催を今月下旬に控え、利上げに対する懸念が次第に強まりつつあります。バンクオブアメリカ・メリルリンチは先週、相場の無風状態が長く続けば続くほど昨年8月のパニックが繰り返される可能性が大きくなると顧客に忠告しました。強気派でさえも株価が最高値に向かう中で相場が急落する可能性に警告を発しました。しかし、必ずしも静かな期間が株価急落のような爆発的な終わりを迎えるとは限りません。現在の状況は昨年夏の状況とは異なっており、昨年8月の再現は恐らく避けることができるでしょう。

 

• 昨年とは状況が異なる

 

 昨年を振り返ると、ストレスの兆候はあらゆるところにありました。SP500指数は8月に向けて1%上昇していましたが、大部分はFANGと呼ばれる、フェイスブック(FB)、アマゾン・ドット・コム(AMZN)、ネットフリックス(NFLX)、アルファベット(GOOGL)の4銘柄によって下支えされていました。この4銘柄は2015年の初めから2015819日までに平均69%上昇しました。同時期にクレジット市場ではストレス増加の兆候が表れており、BBB格の債券と米国債のスプレッドは着実に拡大していました。そして、中国の景気減速に対する懸念の急激な高まりがきっかけとなり、ダウ工業株30 種平均は4日間で約1700ドル下落したのです。

 

 マクロ・リスク・アドバイザーズのデリバティブ・ストラテジストのプラビッド・チンタウォンワニッチ氏は、株価は低ボラティリティの期間が続いた後、通常は20158月のような調整ではなく、正常な水準まで徐々に上昇すると指摘しています。低ボラティリティの期間後の2カ月間のSP500指数の平均上昇率は2.4%です。「極めてボラティリティの低い期間の後は当然、ボラティリティの高い期間が続くはずですが、必ずしも株価急落のような事態が起こるとは限らない」と同氏は語っています。

 

 先週金曜日に相場は下落しましたが、市場が昨年8月と同様の火薬樽のような状況にあるとは思えません。FANG銘柄の年初来の上昇率は平均4.9%と好調ですが、上場投資信託(ETF)のグッゲンハイムSP500イコール・ウエートETFRSP)の上昇率の8%を下回っており、今回はより多くの銘柄が買われていることを示唆しています。一方、BBB格の債券と米国債のスプレッドは2月のピーク以降縮小し、20158月のようなストレスは見られません。マーケットフィールド・アセット・マネジメントのマイケル・ショール最高経営責任者(CEO)は、「クレジット市場は修復が続いている」と述べましたが、米国債利回りの急上昇が問題を引き起こす可能性があると警告しています。

 

 このように現在の市場は多くのサプライズが起こる可能性はあるものの、そのようなサプライズの影響を受けにくい状況にあります。米大統領選に関する世論調査によるとクリントン氏とトランプ氏の支持率の差はわずかであり、選挙結果には全く確信が持てません。それより直近の懸念材料であるFOMCについて、ショール氏は、市場環境は良好であるため、9月に利上げが行われたとしても英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)決定後のように市場は急落後に回復すると予想しています。同氏は「退屈な相場の後に必ず危機が訪れるとは限らない」と述べています。

 

• 地震がシェール関連銘柄に与える影響

 

 レーバーデーの週末に米国オクラホマ州でマグニチュード5.8の地震が発生しました。この地震はシェールオイル採掘のための水圧破砕法すなわちフラッキングによって溜まった排水の処理が原因とされています。

 

 この地震でコンチネンタル・リソーシズ(CLR)やニューフィールド・エクスプロレーション(NFX)のようなオクラホマ州で原油を採掘する企業の株価が影響を受ける可能性がありました。しかし、両社の株価は休日明けの火曜日に一時若干下げたものの、地震のニュースによる影響は見られませんでした。

 

 コスト削減や原油採掘量の増加への期待から両社の株価は今年大きく上昇しています。年初来の上昇率はコンチネンタル・リソーシズが117%、ニューフィールド・エクスプロレーションが37%だ。両社の株式を保有するトータス・キャピタル・アドバイザーズのポートフォリオマネジャーであるロバート・サメル氏は「地震が影響を与えるとは考えていない」と述べています。(ソースWSJ

2016年9月13日 (火)

中国発のデフレ圧力が止まらない理由!

中国の生産者物価指数(PPI)が下げ止まる日は近いのかもしれませんが、中国からデフレの輸出が止まるということではないのです。

 

 中国の8月のPPIは前年同月比で0.8%低下しました。54カ月連続の低下ですが、デフレ傾向が始まった2カ月後の20124月以降では最小の下げ幅となりました。

 

 その主な要因はコモディティー(商品)価格が安定したことにあります。ただ、中国のPPIの低下は、単に商品価格の動向だけでなく、工業部門の過剰設備も反映しています。過剰設備自体が商品価格に下押し圧力をかけているのです。中国の工業生産が鉄鋼やアルミニウムなどの国際商品価格にどれほど影響を及ぼしているかを見ればよく分かります。

 

 香港金融研究中心のエコノミストらが、中国が11の周辺諸国に与えている影響を分析したところ、商品価格の変動とは無縁の国が中国のPPIの大幅な低下のあおり受けていることが分かりました。

 

 だから、中国のPPI低下が鈍化したことは朗報なのですだ。しかし、これを相殺する要素があります。人民元相場がこの1年で著しく下落していることです。人民元の通貨バスケットに対する実質実効レートは、前年比7%下落しています。元安で、例えば米国では中国からの輸入価格に低下圧力がかかり続ける可能性があります。米国では、先進国全体からの輸入価格は回復し始めましたが、中国からの輸入価格は今年毎月低下しているのです。

 

 また、中国の消費者物価指数(CPI)は8月にわずか1.3%の上昇にとどまり、消費者物価は依然として弱いため、政策担当者は今後もさらなる元安を容認するなど緩和姿勢を維持し続けるでしょう。

 

 中国のPPIはいずれプラスに転じるかもしれないが、その世界への影響が変わるとは限らないのです。(ソースWSJ

2016年9月12日 (月)

「トランプ大統領」まだあり得るか!

ちまたでは米大統領選の民主党候補ヒラリー・クリントン氏が当選を確実にしたような空気が流れています。統計分析サイト「ファイブサーティエイト」やニュース専門放送局CNN、そして米マイクロソフトのリサーチプロジェクト「PredictWise(プリディクトワイズ)」も、クリントン氏が70%の確率でホワイトハウスを勝ち取ると予測しています。逆に共和党候補のドナルド・トランプ氏が勝つと話すコメンテーターは少数派です。

 

 しかしさまざまな数字を見ていくと、追い風はトランプ氏に吹いていることが分かります。彼が大統領の座に着くこともまだ十分あり得る情勢です。

 

 まずは世論調査の傾向を見ていくと、政治専門サイト「リアル・クリア・ポリティクス(RCP)」がリバタリアン党のゲーリー・ジョンソン氏と「緑の党」のジル・スタイン氏を含めた候補者4人の支持率を調べたところ、クリントン氏のリードはわずか2.4ポイントとなっていました。民主党全国大会後の8月にインターネット世論調査会社YouGovとエコノミスト誌が行った共同世論調査では、クリントン氏は6ポイントのリードを保持していました。またABCニュースとワシントンポスト紙が同時期に共同実施した世論調査でも、同氏は8ポイントも先行していました。クリントン氏のリードはわずか1カ月で大幅に縮小したことが分かります。

 

 二大政党以外の候補を含まない調査では、クリントン氏がトランプ氏よりもわずかに優位に選挙戦を進めています。RCPの調査ではその差は3.3ポイント。ただしそのリードもわずか1カ月で半分以上も下がってきました。ましてや二大政党の候補に対する不満が投票者の中で広がれば広がるほど、一対一での世論調査の結果は意味を持たなくなります。リバタリアン党のジョンソン候補は数カ月にわたって7%程度の支持を獲得しており、緑の党のスタイン候補も3%程度の支持を安定的に得ているのです。

 

クリントン氏に不吉な兆候

 

 最新の世論調査も、クリントン氏にとって不吉な兆候を示すものです。この1週間に発表されたほぼ全ての調査でトランプ氏が選挙戦をリードしているか、互角か、誤差の範囲内で劣勢でした。CNNと調査機関ORC6日に発表した調査では、トランプ氏が2ポイント優勢だったのです。1日に公表されたラスムッセンの調査では、トランプ氏が40%の支持を獲得していたのに対し、クリントン氏は39%だった。2日のロイター/イプソスの調査結果も同様の結果。米紙ロサンゼルス・タイムズと南カリフォルニア大学(USC)の共同調査は両者を互角としました。インベスターズ・ビジネス・デーリー紙とTIPPによる共同調査ではクリントン氏が1ポイントのリードをしていましたが、誤差の範囲は3.4ポイントでした。

 

 両者への支持の差が再び縮まってきた背景には何があるのか。もっとも分かりやすい点から挙げると、民主党全国大会の盛り上がりの反動が今クリントン氏を襲っているということでしょう。しかし選挙情勢を変えたのはそれだけではありません。8月末に発表されたABCニュースとワシントンポスト紙の世論調査では、同氏のイメージがこれまでにないほど悪化していることが判明しています。その調査ではクリントン氏に対して悪い印象を持つ人が56%、良い印象を持つ人が41%でした。8月上旬には悪い印象が52%、良い印象が46%だったことを考えると、わずかな期間で彼女のイメージが打撃を受けたこと分かります。

 

 これらはクリントン氏の私用メールサーバー問題を巡る新たな報道や、クリントン財団の資金集めに関する疑惑の影響でしょう。米連邦捜査局(FBI)のジェームズ・コミー長官はクリントン氏の極秘情報の取り扱いが「極めて不適切だった」と話していますが、FBI2日に公開した捜査内容もそれを裏付けるものでした。11月までにはこの問題と関連して少なくとも15000通のメールが新たに公表される可能性があります。クリントン財団の問題については、クリントン氏と夫のビル・クリントン元大統領が即刻理事を辞任し、財団の日頃の運営には関わるべきではないことは既に明らかな状況です。

 

トランプ氏のイメージ向上

 

 一方のトランプ氏は、ここにきてやっと選挙戦に集中して取り組んでいるように見えます。メディアや共和党の身内とけんかをするのは控え、移民政策や経済政策、そしてテロ対策に関する演説をするようになりました。彼のイメージは上向き始めています。わずか1カ月ほど前にブルームバーグが行った調査では、トランプ氏に対して良いイメージを持っている回答者は33%にとどまり、63%の人が悪いイメージを持っていると答えていました。先週行われたロイター/イプソスの調査では、良いイメージが44%、悪いイメージが56%と盛り返しています。

 

 ただトランプ氏は、着実に点数を稼げる「変化」と「政治腐敗」の二つのテーマを十分に活用しきれていません。YouGov/ハフィントン・ポストが6月に行った調査によると、56%の人が米国を「これまでとは違う方向に導いてほしい」と答えています。またAP通信が行った7月の調査では、56%の人がクリントン氏による私的メールサーバーの利用は違法行為であると考えていると答えました。トランプ氏にとってこの調査結果は大きなチャンスを意味しています。

 

 クリントン氏は自分の主張を明確に伝えることに苦労しているように見えます。メディアからの注目を避けるかのように資金集めに集中しており、先月には自身の選挙戦と民主党のために14300万ドルにのぼる記録的な資金を集めました。トランプ氏を批判する広告を展開したことでトランプ氏に多少のダメージを与えたかもしれませんが、それが彼女のリードを確かなものにしたとは言い切れません。

 

 クリントン氏は自分が大統領になるべき理由を示す決定的なビジョンをいまだに見せていません。夫のビル氏は党大会で彼女のことを「変化をもたらすことができる人」と表現したが、今の彼女が必要としているのはその程度のフレーズではない。具体的なビジョンを示すことが難しいならば、支持率が上昇しているオバマ大統領の実績や、場合によってはクリントン元大統領の実績と自身を関連付けて選挙を戦い抜くのもひとつの手段かもしれません。

 

 しかし大統領候補としての明確な方向性も示せず、信頼できない人物で恐らく腐敗しているだろうと世間から見られている以上、クリントン氏は今以上のことをしなければならないことは明らかです。

 

 では、トランプ候補は勝てるのか。獲得できそうな選挙人の数では確かに遅れをとっていますが、当選できることを示すデータはあります。ミシガン、ウィスコンシン、オハイオの各州で先週行われた世論調査では、2人の支持率が拮抗(きっこう)してきていることが分かっています。フロリダ州でも誤差の範囲で争っています。一時は勝てる見込みのなかったノースカロライナ州や、場合によってはアリゾナ州も、予断を許さない情勢になってきました。(ソースWSJ

2016年9月11日 (日)

「シン・ゴジラ」が描く日本のナショナリズム!

日本で公開中のゴジラ映画最新作「シン・ゴジラ」。東京湾に現れ、街を押しつぶすゴジラはいつも通りの破壊的な存在として登場します。しかしシリーズ誕生から62年、29作目の本作品で描かれたゴジラと戦う官僚たちの姿はこれまでとは全く違います。

 

 過去の作品では日本政府は地味な役回りを演じることが多く、政府の頼りない反撃などゴジラはものともしなかった。しかし最新作では官僚は日本の能力を誇示し、戦後の軍事的制約を棚上げすることをいとわない、祖国を守る勇敢なヒーローとして登場します。放射能を吐き出すゴジラを前に政府は延々と対応策の法的根拠を議論するが、結局は攻撃ヘリコプターや戦車、F-2戦闘機などを投入することとなる。これは国民の意識に変化があったことを如実に示しています。

 

 ゴジラはこれまでも国民の意識を映し出す存在でした。核実験による突然変異で誕生したというゴジラの出自は第2次世界大戦中の原爆投下によって日本が受けた苦しみや、米国が戦後、太平洋で行った水爆実験への不安を反映したものです。1970年代になり日本中で公害が問題になると、ゴジラは光化学スモッグを象徴する怪獣ヘドラと戦いました。日本と米国の貿易摩擦が激化した1990年代初めには、外国人のような風貌の未来人が日本の経済大国化を阻止するために送り込んだ、3つの頭を持つ怪獣キングギドラと対決しました。

 

 最新の「シン・ゴジラ」――「シン」には「新」「神」「真」などの意味があるが、製作者はどれを意図したかを明らかにしていません――は安倍晋三首相の下で生まれた新たなナショナリズムを思い起こさせます。安倍氏は国としてのプライドを取り戻すため、さらには自衛隊の海外での活動の拡大が可能となるよう憲法改正に向け努力を続けています。これに対し、中国など一部のアジア諸国は懸念を示しています。

 

 政治思想史が専門でゴジラに関するエッセイを書いたこともある片山杜秀・慶応義塾大学教授は映画について、「今の日本の状況とあまりにも重なるところが多い」と話します。

 

 「シン・ゴジラ」のエクゼクティブ・プロデューサー、山内章弘氏は政治的主張がある作品ではないと言います。しかし、東日本大震災後に東京電力福島第1原子力発電所で起きた原発事故への日本政府の対応に着想を得たと語っています。山内氏は「政府は(対応の)まずさばかりが批判されましたが、そこで力を発揮して立ち回った人たちがいた。その人たちがいたおかげで今の日本がある」 と話します。映画では政府を「象徴というか、日本の代表として」描いたといいます。

 

 1954年に登場し、 ポップカルチャーの象徴として世界中に知られるようになったゴジラですが、製作会社の東宝は2004年、28作でゴジラシリーズを終了すると発表しました。その10年後、ハリウッドの映画会社が使用権を取得して製作した14年公開の「Godzilla ゴジラ」は興行収入52900万ドル(約550億円)の世界的大ヒットとなりました。

 

 この成功はすでに東宝が決めていたゴジラシリーズを復活させる計画に弾みをつけたのです。「シン・ゴジラ」は7月末の封切から1カ月で5000万ドルを超える興行収入を稼ぎ出しました。東宝から米国での「シン・ゴジラ」の権利を獲得した配給会社ファニメーション・フィルムスは10月に北米の一部の映画館で公開する予定を明らかにしています。

 

 映画では官僚は自衛隊による武力行使をめぐる制約について検討しながら、暴れ回るゴジラの攻撃をかわそうとする。こうしたシーンは原発事故――自衛隊はメルトダウン(炉心溶融)を起こした原子炉の冷却作業に当たった――や世界の紛争における自衛隊の役割についての論争を思い起こさせます。

 

 映画を見た人たちに話を聞いたところ、日本という国を支持する気持ちが高まったそうです。学生のマエダ・ヒナコさん(22)は国家権力が無能に描かれているエンターテインメントは好きではなく、「頭のいい人たちがやるべきことを一生懸命やっている」のを見るのが好きだそうです。 母親は自衛隊の宣伝のような映画という感想だったそうですが、マエダさんは映画の中の「自衛隊がかっこよかった」と語っています。

 

 前出の片山教授は「シン・ゴジラ」が「日本がんばれ、まだまだいけるとか、アメリカの属国でもあくまで日米手を携えてがんばっていきましょう」というような感情をかき立てたと話します。そうした感情は「岸・安倍路線」に通じると片山氏は言います。岸・安倍路線とは、安倍首相と祖父の岸信介元首相のナショナリスト的傾向を指します。

 

 映画の序盤はドキュメンタリー作品のようにリアルな描写が続きますが、次々に事件が起きて官僚が日本を救うために従来の制約と決別せざるを得なくなる後半では、リアリズムは影を潜めます。片山教授は後半のシーンについて、憲法改正により緊急時に政府に特別な権限を与えるべきとの保守派の主張を支持することになりかねないと話します。この映画には「危機的なときに民主的手続きをやっていたら間に合わないというメッセージがある」 と片山氏は語っています。(ソースWSJ

2016年9月10日 (土)

米株市場、上昇も企業成長伴わず!

•利回り低下を背景とした株価上昇

 

 95日はレーバーデーです。米国の労働者を取り巻く環境を見ると、就業者数の増加は7年目に入り、失業率は4.9%と9年ぶりの低水準にあります。ところが、2010年以降、労働生産性の伸びは年率0.4%にとどまり、第二次世界大戦以降で最も低い水準にあります。賃金の伸びも、低調なインフレ率と足並みをそろえるのがやっとの状態です。住宅などの実物資産の価値は、株式や債券といった金融資産と比べて過去最低の水準となっています。

 

 しかし、こうしたことは今回の株式相場の懸念材料ではありません。ドイツ銀行のアナリスト、ドミニク・コンスタム氏らの分析によると、19831990年、19962000年、20032007年といった最近の上昇相場をけん引したのは、明らかに企業利益の伸びです。

 

 企業利益が伸びていない今、今年の史上最高値更新をもたらしているのは何か。コンスタム氏によれば、過去4年間の株価上昇の92%はたった一つの要因に集約されるといいます。それは「株式リスクプレミアム」の崩壊です。投資家は株式保有にまつわるリスクを正当化するために、国債より高いリターンを求めます。しかし、国債利回りが急落し、政策金利がゼロまたはマイナスに引き下げられている状況で、この超過プレミアムの意義が失われているのです。

 

 言い換えると、SP500指数構成企業の利益が2014年をピークに伸び悩んでいようと、米国の消費者が経済を下支えする一方で英国の欧州連合(EU)離脱による不透明感で欧州経済が停滞しようと、中国の信用や建設支出が減速しようと、大した問題ではありません。投資家はただ、リターンを得るために株を買うしかないのです。

 

 利益成長を裏付けとせず、国債利回りの低下を背景とした株価上昇は、果たして長続きするのでしょうか。足踏み状態にある昨今の市場の裏にこうした不確かな状況があります。SP500指数は、1日の値動きが1%にも届かない日が既に40営業日続いており、今回の上昇相場では2番目の長さです。8月の出来高は2年ぶりの低水準だったのです。もちろん、夏休みのせいもあるでしょうが、投資家を躊躇(ちゅうちょ)させているのは恐らく、株価収益率(PER)が19倍というバリュエーションの高さと、資本財受注という裏付けが伴わない高値更新でしょう。SP500指数は2月の底値から19%上昇したものの、15カ月前と比べてわずか2%の上昇にすぎません。

 

•姿勢が定まらないFRBに世界中が注目

 

 雇用データを気にしている(ようなふりをしている)のは、むしろ中央銀行えす。米連邦準備制度理事会(FRB)は、政策姿勢を広く知らしめるためか、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)のフェイスブック上に公式ページを開設しました。しかし、FRBの姿勢自体が定まっておらず、失業率が既に1年近くも4.9%前後で推移しているにもかかわらず、FRBメンバーの間では次の一手についていまだ意見がまとまっていません。

 

 過去においては、失業率が4.9%以下の時のフェデラルファンド(FF)金利は平均で4.96%以上でした。ジョーンズ・トレーディングのチーフ・マーケット・ストラテジスト、マイク・オルーク氏は、「各国中央銀行は、価格やバリュエーション、出口戦略を一切考えずにやみくもに資産を買い入れており、世界最大の買い手である」と書いています。

 

 このまま進んでも道がなくなるか、未知の世界に入り込むしかないのですが、そうした事実も、利上げを行うべきは9月か12月かという最近演じられているドラマの陰であいまいにされています。先進7カ国(G7)の中央銀行総裁は、合計して17年もの経験があるにもかかわらず、FRBのわずか0.25%ポイントの利上げに全てをかけているようです。世界全体で、利回りがマイナスの国債は総額で123000億ドルに上り、各国中央銀行が保有する金融資産は合計で25兆ドルと、米国と日本の国内総生産(GDP)の合計額を上回っています。

 

•ハイテクセクターの復活がデフレの原因

 

 今や、人々が集まり、注目するのはレーバーデーのパレードよりインスタグラムです。ハイテクセクターは株式市場における最大セクターの地位を回復し、SP500指数に占める割合は、ハイテクバブル絶頂期の35%には届かないものの21%を占めます。インターネットやモバイルの技術は人々の生活を変えただけでなく、インフレ率や金利がいつまでたっても上昇しない一因にもなっているのです。

 

 例えば、グーグルの親会社であるアルファベット(GOOGL)の時価総額は、かつての巨大企業ゼネラル・エレクトリック(GE)の2倍でありながら、従業員数は5分の1でしかありません。動画配信大手ネットフリックス(NFLX)はレンタルビデオ大手ブロックバスターに取って代わりましたが、従業員数はブロックバスターのピーク時の6万人に対し、ネットフリックスはわずか3700人です。人々の生活に浸透しているアマゾン・ドット・コム(AMZN)は268900人の従業員を抱えていますが、スーパーマーケットチェーン大手クローガー(KR)と比べると約半分です。つまり、誰もがグーグルで働けるわけではなく、より多くの国民が、しかも生産的に働かなければ、持続可能な実質経済成長は見込めないのです。テクノロジーは人々の生活を豊かにしましたが、同時にデフレの原因でもあります。(ソースWSJ

2016年9月 9日 (金)

アップルが新製品発表会で語らなかったこと!

米アップルは7日、「iPhone (アイフォーン)7」と「iPhone 7 Plus(プラス)」を発表。デュアルレンズカメラ技術や新型ワイヤレスヘッドホン「AirPods(エアポッズ)」のほか、2代目「Apple Watch(アップルウオッチ)」、任天堂のスマートフォン向け新ゲーム「スーパーマリオラン」など多くの話題を提供しました。

 

 しかし、アップルがサンフランシスコで開いた2時間近くにおよぶイベントでは、触れられなかったことも多くあります。アップルの舞台裏での動きをまとめてみました。

 

エントリーモデルが32GB

 

 iPhone 77 Plusはエントリーモデルのストレージ容量が16ギガバイト(GB)から32GBに引き上げられた。これは本来、もっと早くに取るべきだった措置です。iPhone 6s6s Plusについても、最低ストレージ容量が32GBに引き上げられ、64GBモデルが廃止されました。

 

 さらにタブレットの「iPad(アイパッド)」も同様の変更が行われています。12.9インチと9.7インチ双方の「iPad Pro」「iPad Air(エア)2」「iPad Mini(ミニ) 4」「iPad Mini 2」いずれもエントリーモデルの容量は32GBになりました。

 

64GBiPhone SEが値下げ

 

 小型の「iPhone SE」は、16GBのストレージが選べる唯一のiPhoneとなりました。エントリーモデルの価格は399ドルで据え置きですが(日本では47800円から44800円に値下げ)、64GBモデルは499ドルから449ドルに値下げ(日本では59800円から49800円に値下げ)されました。

 

iPad Proも値下げ

 

 iPad Proの購入を待っていた人にとっては、我慢のかいがあったかもしれません。アップルは7日、128GB256GBモデルをそれぞれ50ドルと100ドル値下げしました(日本では9.7インチのWi-Fiモデルはそれぞれ12000円と2万円の値下げ、9.7インチのセルラーモデルはそれぞれ14000円と22000円の値下げ、12.9インチのWi-Fiモデルはそれぞれ2万円と28000円の値下げ、12.9インチのセルラーモデルはそれぞれ22000円と3万円の値下げ)。

 

 32GBモデルの価格は据え置き(日本では9.7インチのWi-Fiモデルは4000円の値下げ、9.7インチのセルラーモデルは6000円の値下げ、12.9インチのWi-Fiモデルは12000円の値下げ、12.9インチのWi-Fiモデルは12000円の値下げ)。

 

純金Apple Watchを廃止

 

 アップルは7日にウェブサイトを更新した際、1万〜17000ドルで販売していた18金ケースの「Apple Watch Edition(エディション)」を外しました。代わりに加えられたのが、セラミックケースの新しいWatch Editionです。

 

 セラミックは32ミリモデルが1249ドル(日本では125800円)、42ミリモデルが1299ドル(日本では13800円)。アップルは純金製品を販売しないとは言っていません(この件についてアップルはコメントしてない)。しかし少なくとも、当面は高級なApple Watchには力を入れないようです。

 

端子変換アダプター

 

 iPhone 7では従来の3.5ミリのヘッドホンジャックが廃止されましたが、これは多少物議を醸しています。アップルはユーザーをワイヤレスヘッドホンに完全に移行させようとしていますが、それには時間がかかるとみています。そこで、充電に使用する「Lightning(ライトニング)」端子を3.5ミリのヘッドホンジャックに変換できるアダプターをiPhone 7に同梱(どうこん)しています。これについてアップルが言っていないことがあります。アダプターをなくした場合や追加がほしい場合、9ドル(日本では900円)で購入できるということです。

 

Beatsの新ワイヤレスヘッドホン

 

 新たに発表されたAirPodsは、アップル端末とのワイヤレス接続の管理に新開発の「W1」チップを使用しており、アップル端末にしか対応していません。アップルはW1チップを新しい「Beats(ビーツ)」ブランドのヘッドホン3機種にも搭載します。

 

 アップルは7日、ビーツのヘッドホンの新機種が近く発売されることは明らかにしましたが、価格には言及しませんでした。「Beats X」は、首に掛けておく際に紛失しないようイヤピースがマグネットでくっつくようになっています。近く発売予定で価格は150ドルです(日本では14800円)。

 

 運動時の使用に適した「Powerbeats(パワービーツ)3」は、W1チップが搭載されていること以外は「Powerbeats2」と同じです。こちらも近日発売予定で価格は200ドル(日本では19800円)。「Solo(ソロ)3」もW1チップ搭載以外は「Solo2」と変わらず、300ドル(日本では29800円)で販売中。

 

MacOS Sierraの提供は920

 

 7日のイベントではパソコン「Mac(マック)」については触れませんでしたが、クリスマスシーズン前に何らかの発表をする時間はまだあります。一方で、Mac用基本ソフト(OS)の新バージョン「MacOS Sierra(マックオーエス・シエラ)」が920日から無料配信されることが決まりました。これにより音声アシスタント機能「Siri(シリ)」が利用可能になるほか、「OS X」ブランドが廃止されます。

 

聞き逃した可能性のあるニュース

 

 アップルがイベントで発表したものの、多くの出席者が聞き逃した(またはメディアが報道しなかった)可能性のある情報もあります。例えば、iPhone 77 Plusには新色として光沢感のある「ジェットブラック」が加わりましたが、128GB256GBモデルにしか用意されていません。

 

 7 Plusのカメラでは被写界深度を調整してボケ効果を得られるようになりましたが、この機能は発売時には使用できず、アップルによると「年内にソフトの無料アップデート」で提供するといいます。

 

 第2世代Apple WatchNike+モデルは、他のモデルと同じく99日から受注を開始しますが、販売開始は916日ではなく10月下旬です。

 

 さらにアップルは、業務用アプリ「iWork(アイワーク)」をようやくリアルタイムで共同作業可能にしたと発表しました。「グーグルドキュメント」では何年も前からできていたことです。これにより共同での文書の編集は「Page(ページ)」で、プレゼンテーション作成は「Keynote(キーノート)」で、表計算は「Numbers(ナンバーズ)」で可能になります。iWorkの共同作業機能は、913日提供の「iOS 10」と920日提供の「MacOS Sierra」で配信されるアプリで利用可能です。(ソースWSJ

2016年9月 8日 (木)

新型iPhone、注目はカメラの撮影性能!

米アップルは、最新のスマートフォン「iPhone(アイフォーン)7」でスマホ向けカメラ・ナンバーワンの地位を奪回する構えです。2つの背面カメラがそのカギを握っているのです。

 

 iPhoneは世界で最も人気のカメラの1つでもあり、概して総合的に最も優れたスマホ向けカメラを提供してきました。しかし最近は、韓国・サムスン電子の非常に高性能な「Galaxy(ギャラクシー) S7」やリコール(回収・無償修理)が発生している「Galaxy Note(ギャラクシーノート)7」のカメラに水をあけられています。

 

 そのため、新型iPhoneの背面カメラの改良には多くの視線が注がれました。画面サイズ4.7インチの「iPhone 7」は、背面カメラは1台ですが、従来は大画面モデルの「Plus(プラス)」のみに搭載されていた光学手ぶれ補正機能が加わりました。また、レンズの絞り開放値はF1.8と撮影時により多くの光を取り込めるようになったほか、新しい1200万画素のセンサーはiPhone 6sのセンサーよりも60%高速化されました。さらに、iPhone6sでは2つだったLEDフラッシュライトが4つになり、明るさが50%増しました。

 

 画面サイズ5.5インチの「iPhone 7 Plus」は1200万画素の背面カメラが2つ搭載され、連携して機能します。1つはiPhone 7と同じ通常の広角レンズ。もう1つは望遠レンズで、210倍までのズームが可能に。デュアルカメラでズームがよりスマートで正確になったほか、新たな「ポートレート」モードで撮影すると、被写界深度を狭めて背景をぼやかすことができ、高いレンズの付いた高額なカメラと同じようなボケ効果を得られるようになりました。撮影中は、どのカメラが使われているかを意識することはないでしょう。

 

 背面のデュアルカメラでiPhone 7 Plusはスマホカメラの王者に返り咲けるだろうか。最終的な答えを出すにはもう少し検証が必要ですが、スマホに背面デュアルカメラ方式を採用したのはアップルが初めてではありません。

 

 中国・華為技術(ファーウェイ)の「P9」は背面にレンズを2枚搭載し、より多くの光を取り込んだり、被写界深度効果を調整したりできるようにしています。韓国・ LGエレクトロニクスの「G5」と今月発売予定の「V20」はいずれも背面に2つカメラが搭載されていますが、1つは通常の撮影用、もう1つは広角撮影用で切り替えて別々に使用します。両社のカメラは同じくらい素晴らしいのですが、われわれはサムスンのGalaxy S7のシングル背面カメラに軍配を上げました。いずれもアップルのiPhone 6s Plusのカメラよりも優れていました。

 

 アップルは、今回の改良でiPhone 77 Plusも暗い場所での撮影性能が向上し、色域が拡大したと述べています。また、RAW形式での撮影が可能になり、米アドビシステムズのデジタル写真ソフト「Photoshop Lightroom(フォトショップライトルーム)」などを使ったデスクトップパソコンでの編集に適した大きめの画像が得られます。

 

 iPhone 77 Plusは前面カメラも改良され、画素数が700万画素にアップしました。(ソースWSJ

2016年9月 7日 (水)

輝き薄れるなか新型iPhone発表へ!

2007年の発売から10年目に入ろうとしているアップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」は、成熟しつつあります。

 

 アップルは7日にiPhoneの新型を発表しますが、それには消費者がこれまで2年ごとに期待してきたような目立った新機能が含まれない公算が大きい。

 

 新型は極めて重要な時期に発売される。iPhone販売は初めて減少に転じており、消費者がスマホを買い換えるスパンは長くなっています。さらにアップルはサムスン電子や華為技術(ファーウェイ)といったライバルとの新たな競争に直面しています。

 

 iPhoneは近年、アップルの目覚ましい成長をけん引し、同社を世界最高の企業価値を持つ企業にしました。

 

 アップルが2015926日までの1年間に販売したiPhoneの台数は、5年前の6倍近くに達し、iPhoneは同社の売上高の3分の2近くを占めました。

 

 しかし最近は、同社初の大型画面モデル(14年発売)からの輝きが薄れています。16年度第3四半期(625日終了)のiPhoneの売上高は前年同期比23%減となりました。またアップル株は過去12カ月で4.9%下落しています。

 

 独立系のアップル・アナリスト、ニール・サイバート氏は、「安易な成長の時代は終わり始めている」と述べています。調査会社のIDCは、15年から20年までのiPhoneの販売台数の伸び率が年1.5%にとどまるとの見方を示しています。

 

 これに対応するためアップルは研究開発支出を着実に増やしています。159月までの1年間の研究開発費は81億ドル(約8300億円)と、11年当時の24億ドルから大幅に増加しました。同社は新製品の開発に取り組んでいます。「プロジェクト・タイタン」というコードネームで行っているアップルブランドの車の開発は、その一例です。アップルウオッチ(今週のイベントでアップグレードが発表される可能性がある)が控えめな成功にとどまるなか、ティム・クック最高経営責任者(CEO)は依然としてiPhoneに匹敵するヒット商品を狙っています。

 

 しかし、その再現は難しいでしょう。iPhoneはとりわけ中国で人気となりました。同国では159月までの1年間のアップルの売り上げが587億ドルに達しました。

 

 しかし、その他の国々と同様、中国での売れ行きも勢いが冷め、直近の四半期は前年同期比33%減となっています。

 

 クックCEOは、7月に行ったアナリストとの電話会議で、中国とインドでのアップルの見通しに「大いに励まされている」と述べていました。

 

 しかし、アナリストたちの見方はそれほど楽観的ではありません。彼らは中国でアップルが急激に伸びたのは、同国最大級の携帯通信会社・中国移動での販売が開始されたからだと指摘しています。

 

 サイバート氏は、「中国移動がもう1つあるわけではないし、向こう2年間でiPhoneを買うかもしれない23億人の集団がもう1つ控えているわけでもない」と語りました。

 

 アナリストやアップルウオッチャーは、今週発表の新型iPhoneに大胆な刷新が含まれないとみています。これは、2年ごとにハードウエアの大幅な刷新を行うというアップルの伝統から逸脱する動きです。彼らは、そうではなくて、新型(iPhone7と呼ばれる公算が大きい)が14年に発売されたiPhone6に似たものになると予想しています。画面の大きさは4.7インチと5.5インチのまま維持されるとみています。

 

 アップルは5日、同社の7日の発表を前に飛び交っている「さまざまなうわさ」へのコメントを差し控えました。

 

 ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は今年に入り、アップルが3.5ミリのヘッドホン用プラグをなくす計画だと報じています。これにより、本体はより薄くなり、防水性能は向上します。しかし、専門家たちはこのアイデアを酷評しています。テクノロジーサイトのバージは、これが「ユーザーへの敵対行為で、ばかげている」とし、何百万個ものヘッドホンが使えなくなる恐れがあることを理由に挙げています。

 

 WSJは、アップルがiPhoneの発売10周年となる来年のモデルで、もっと大胆な刷新を計画していると報じました。事情に詳しい人物らによると、ホームボタンをなくして、画面に直接指紋リーダーを埋め込む可能性があるほか、ディスプレーを端から端まで表示できる有機ELのものに変える可能性さえあるといいます。

 

 ジャックドー・リサーチのアナリスト、ジャン・ドーソン氏は、「(iPhoneの)技術は、過去に実現した進歩ほどには大きく進歩できない段階にまで成熟しつつある」と述べています。

 

 それでも、クックCEO7日に登壇する際に果たすべき目的が1つあると同氏は指摘しています。「アップルは2年前にiPhone6ないし6プラスを買った人たちに、iPhone7は買い換えが有意義だと思わせる必要がある」ということです。(ソースWSJ

2016年9月 6日 (火)

任天堂、次世代機にカートリッジ採用へ!

任天堂は次世代ゲーム機にカートリッジを採用する計画です。関係者が明らかにしました。これにより旧式のカートリッジが再評価される可能性もあります。

 

 ゲームソフトの形状としてはデータ容量が大きく単価の安いディスクが主流で、ソニーの「プレイステーション4PS4)」や米マイクロソフトの「Xbox One」のほか、任天堂の「Wii U」もディスクを採用しています。

 

 だが、韓国のサムスン電子や東芝などによる低コスト・大容量のフラッシュメモリーの開発競争が激しくなる中、カートリッジが再び脚光を浴びています。

 

 業界関係者の間では、任天堂が次世代ゲーム機「NX(仮称)」でカートリッジを選択するのは理にかなっているとの見方があります。任天堂のゲーム機のファンには子どもが多いのですが、カートリッジはディスクより傷がつきにくい。またカートリッジには読み込みが速い上、複製が難しく大量生産が迅速にできるといったメリットもあります。

 

 任天堂の広報担当者はカートリッジ採用についてのコメントを控えました。同社はNXに関し、年内発表予定という以外は沈黙を守っています。アナリストの間では、今月15日からのイベント「東京ゲームショウ2016」までに任天堂が何らかの発表を行う可能性を指摘する声が上がっています。(ソースWSJ

2016年9月 5日 (月)

エリート層の失敗とポピュリストの反乱!

国を統治するエリート層へのポピュリスト(大衆迎合主義者)たちによる反乱の嵐が先進民主国家で吹き荒れています。これは昔から存在する政治の物語に付け加えられた最も新しい一章です。統治形態にかかわらず、あらゆる社会には支配階級が存在します。大事なことは、エリート層が私利私欲のために統治しているのか、それとも公益のために統治しているのかという点です。

 

 第2次世界大戦後の数十年間、西欧と米国の支配階級は一般市民の圧倒的多数の生活を向上させる経済・社会政策をなんとか推進してきました。反対に、市民はエリート層に敬意を表し、政府にも厚い信頼を寄せてきたのです。

 

 こうした支配階級は従来の貴族が占めていたわけではなく、富裕層もごく一部を占めるに過ぎなかったのです。しかし時代が下るに連れて、教育を受けた専門家が主導的な役割を担うようになってきました。その多くは比較的、社会的地位の低い階級の出身者でありましたが、彼らは優秀な学校に通い、学友たちと揺るぎない人脈を形成していきました。

 

 彼らの中にはエコノミストもいれば、公共政策や行政の専門家もいました。戦争への貢献が平時の特権に変わった科学者もいます。大勢いたのは弁護士でした。彼らは磨き上げられた分析能力を統治面に活かすことができました。1950年代の造語でいうところの「メリトクラシー(能力主義)」、つまり自分の能力を武器に這い上がってきた人たちです。

 

 特定の分野では大概、能力主義は問題になりません。スポーツでは勝者の卓越した能力が称賛されます。科学では同じ領域の仲間による検証で実績が認められます――専門分野に携わっている人の大半は、その分野で次にノーベル賞を受賞する可能性が高い個人名をいくつか挙げることができます。

 

 政治の分野、特に民主国家の政界の場合はもっと複雑です。民主的な平等とは、個人の能力を含むあらゆる種類のヒエラルキー(階層制)的な要求と衝突する中で実現するものです。第3代米大統領のトーマス・ジェファーソンは第2代大統領のジョン・アダムズに宛てた書簡の中で、選挙のことをこう表現しています。徳と才をもって生まれた「生来の高貴な人」を、権限を伴う社会的地位に引き上げるための最良手段である、と。彼の念頭にあったのは、まさに自分のように、偏見のない教育を受け、巧妙な統治術を学んだ人間だったのです。

 

 しかしこうした見解が1820年代を生き抜くことはありませんでした。後に第7代大統領となるアンドリュー・ジャクソンは一般大衆によるエリート層への反抗を導きました。ジャクソンはエリート層の中の「不正取引」が1824年の大統領選で彼の足を引っ張ったと主張し、1828年の選挙では圧倒的な勝利を勝ち取りました。ジャクソンはこの勝利を富裕層の利害に対する凡人――農民、職人、屈強な開拓者たち――の勝利だと表現しました。それ以降、私利私欲に走るエリート層に反発する高徳な人々のこうした思いが、米国の政治には脈々と受け継がれているのです。

 

 これは米国に限ったことではありません。民主国家ではメリトクラシーは常に守勢に立たされることになります。彼らの正当性は常にその手腕に左右されます――物理的な安定と広く共有される繁栄を提供できる能力や、外交や武力による衝突を成功裏に行なう能力のことです。そうした能力を証明することができなければ、彼らへの信頼は失墜します。

 

 西側諸国全域でまさに起こっているのがこれです。戦争の失敗、不安定な国内情勢、不平等な成長などが国を統治するエリート層の威光を曇らせているのです。英国が欧州連合(EU)からの離脱(ブレグジット)を決めたことは衝撃だったものの、これは同じ路線で発生している一連の驚きの最新事例に過ぎません。

 

 その中の一つがポーランドで行われた昨年の選挙でした。ポピュリストでありナショナリストでもある保守系の最大野党「法と正義」が中道右派の与党「市民プラットフォーム」から政権を奪還したのです。この10年間、ポーランド経済はどのEU加盟諸国の2倍の速度で成長してきました。しかし、フィナンシャル・タイムズの特派員ヘンリー・フォイ記者が米誌アメリカン・インタレストに書いているように、その恩恵は大都市に集中しており、他の地域は停滞しています。フォイ記者は共産主義後の市場経済が「適切な補償なしに伝統的な暮らしを浸食した」と分析しています。

 

 同国の不平等な経済成長は文化面への反感を誘発することになりました。新たに就任したバシュチコフスキ外相は今年1月、ドイツ紙にこう語っています。「われわれはただ、国が抱えているいくつかの病気を治したいだけだ」。外相によると、ポーランド国民の大半は「伝統的・歴史的な意識や愛国心、信仰心、そして男女間の通常の家族生活」に基づいて動いています。だが、前政権の振る舞いは「マルクス主義者のやり方で、世界がまるでただ一つの方向に進化することが運命づけられているかのようでした。複数の文化と人種を混ぜ合わせる新たな方向へ、そしてサイクリストとベジタリアンの世界へ向けてです。しかも彼らは再生可能エネルギーしか利用せず、宗教のあらゆる兆候に牙をむく」と述べました。

 

 新たなメリトクラートは、今度は文化的・経済的反発にさらされることになります。知識経済では教育を受けた彼らが一歩先んじることになり、工業地帯や地方は取り残されます。しかし教育はまた、伝統的な価値観を疑い、文化的な多様性を歓迎する方向に彼らを傾かせます。高学歴の階級は、民族性や国のアイデンティティを重視する排他主義的な考えには動かされず、国際主義や普遍的規範に動かされます。彼らの多くは、国内にいる低学歴の人々やあまり豊かではない地方の人々よりも、外国のエリート層と自分たちを同一視する傾向にあります。

 

 似たような分断は西側諸国全域で歴然としています。勢力バランスの違いにより、政治的な趨勢は国によって異なるものの、苦悩を抱えているという点ではほとんど同じです。危険という意味でも同様です。とくに民主主義にとって危険な状況だといえるのです。(ソースWSJ

2016年9月 4日 (日)

妊娠中の果物摂取、子供の知能向上に影響か!

 妊婦が果物を多く摂取すると、生まれてくる健康な子供の知能指数が高くなる可能性があることが、新たに発表された研究で明らかになりました。

 

 カナダ・アルバータ大学の研究グループが同国の688人の子供を調査したところ、妊婦の果物摂取量の多さと比例して、生まれてきた子供の生後1年後の知能が高い傾向があったといいます。グループは新生児の発達の経年研究をする同国の機関から得られたデータを元に調査を行いました。

 

 4月にEバイオ・メディシン誌に掲載された研究結果はあくまでも予備段階で、ほ乳類や人体での今後の研究の参考にすべき程度のものだと専門家は話します。しかし子供の知能発達に影響を与えるとされる食物はこれまで魚しかなかったことを考えると、今回の発表は大きな出来事です。

 

 アルバータ大学で小児科学を研究し今回の調査も行ったピウシ・マンダネ准教授は、明確な違いが見られた実験結果に驚いたと話します。記憶力や学習能力の研究によく使われるハエを使った実験の再確認を同僚に依頼したところ、自らの調査と一致する結論が得られたといいます。

 

 ただ、マンダネ氏は「妊婦に大量の果物を摂取してもらいたいわけではない」とし、「これはあくまでも1回の研究であり、果物の摂取増加による健康への影響はまだ調査していない」と語っています。

 

 専門家らによると、妊娠中に大量の果物を摂取すると血糖値が上がり、妊娠糖尿病や急激な体重増加などを引き起こす可能性があるといいます。

 

 今回の研究で調査対象となった妊婦の半数は、米政府が推奨する量の果物(1日当たり1.5カップから2カップ)を食べていなかったといいます。マンダネ氏は妊婦への助言として、「この推奨量程度は摂取すべき」と話しています。 

 

果物以外にオメガ3脂肪酸も

 

 妊婦の栄養不足が胎児の発達にどう影響をするのかを調査した研究はこれまでもあり、妊娠初期に葉酸の摂取が足りないと胎児の神経管に影響が出ることや、鉄分やヨウ素を十分に摂取することが胎児の脳の発達に必要であることなどは明らかになってきています。しかし、妊婦の栄養摂取が生まれてくる子供の知能に与える影響を調査した研究は、これまでにあまりありません。

 

 魚などに含まれるオメガ3脂肪酸は脳細胞の膜組織を作るのに必要とされ、妊娠中に多くの魚を摂取した場合、生まれた子供が認知機能テストでより高い点数を得る傾向があるとされています。しかし魚油のサプリなどを使った無作為での実験ではこの結果は実証されていません。また、魚の摂取量だけでなく、それと関連する他の条件があって初めて認知力の向上に結びつくとする意見もあります。

 

 果物の実験に関しても「果物の摂取が大切なのかもしれないし、果物を多く摂取する女性は最初から健康を意識した生活をしているのかもしれない」と、ハーバード・メディカル・スクールなどで栄養学等を教えるエミリー・オーケン教授は指摘しています。ただ、研究成果はいろいろな可能性が含まれているので「より深く調査を進める価値がある」とも同教授は話します。

 

目を疑うほどの研究成果

 

 マンダネ氏の研究は、2008年から2012年にかけてカナダの妊婦3600人を対象として行われた。世帯収入や母親の学歴、ビタミン剤の摂取、母乳で育てたかどうかなどを考慮した他、妊婦の食事に関しては内容やカロリー、そして栄養のバランスなども調査。生まれてきた子供が1歳になる時点で、妊婦の食事が知能発達にどのような影響を与えるのかを研究した。

 

 知能の発達レベルと栄養の項目を調べていくと、果物との関連が目についたといいます。「ここまで大きな違いが見られることに一番驚いた」と話すマンダネ氏は、分析官からデータを渡された時に再検査をするよう指示したといいます。なお実験においては、どのタイプの果物が摂取されたかについての情報はあまり含まれていなかったそうです。

 

 乳児の知能発達を調べるにあたっては、広く使われているベイリー・スケールが使用されました。テストではコップの下に隠されたコインを子供が覚えているかどうかや、ブロックの積み上げなどを通して検査を実施。その結果、妊娠中の母親が推奨量よりも多くの果物を摂取しているほど子供のテスト結果も高く、その傾向は果物摂取量が推奨の6倍から7倍あたりに到達するまで見られたといいます。

 

ハエを使った実証実験では

 

 この結果を受けてマンダネ氏は同僚のフランソワ・ボルダック准教授に実証を依頼。小児神経科を専門とするボルダック氏はハエの遺伝子を操作し、それが記憶力や嗅覚力にどのような影響を与えるかを研究しています。研究室には30万匹以上のミバエを飼っているため、大学では「ハエの人」としても知られる存在です。

 

 野生のミバエは台所に残された果物などを食べますが、研究室ではイースト菌、砂糖、そしてトウモロコシ粉から作られたゼリーが与えられています。しかし実験のため、今回は繁殖や排卵期間中の一部のハエと幼虫にはオレンジジュースとトマトジュースが与えられました。

 

 ボルダック氏はミバエに2種類の香りを嗅がせ、そのうちの一つを嗅がせたあとは軽い電気ショックを足から流しました。2分後、再び同じ2種類の臭いをミバエに嗅がせてその行動を観察。また長期に渡った記憶力も確かめるため、その翌日にも同じ実験を行って反応を試しています。なおミバエは寿命が一カ月程度とされています。

 

 実験の結果、親バエがオレンジジュースやトマトジュースを与えられたハエはテストで30%高い学習能力を見せ、長期的な記憶力では通常の餌を与えられたハエの2倍も高い数値を出したといいます。

 

 「一般的なハエの記憶力と学習能力を向上させた実験は、今回が初めてだと思う」と話すボルダック氏。「生まれた後に果物を摂取させても知能に向上は見られなかったので、脳が発達する段階での摂取が何かしら影響をしているはずだ」と同氏は言います。

 

 マンダネ氏は今後の研究を通じ、具体的にどの栄養素や果物が知能の向上に影響を与えているのか明らかにしてきたいとしています。また乳児が成長するにつれて母親が妊娠中の果物摂取による影響がどう変化するかも観察する予定です。現在、同氏は妊娠中のラットに果物入りのジュースを与え、生まれてくる子供にどのような影響が生じるのかを調べているといいます。現時点で得られたデータは自分たちの主張に沿ったものですが、他者に検証してもらい発表するまでの段階には至ってないそうです。

 

 妊娠中にどの栄養素を取ることが神経の発達に最適なのかを調べ、知的発達障害のリスクがある子を救うような研究もしたいとマンダネ氏は言います。

 

 「知能指数(IQ)が100から105に上がってもあまり違いはありません。しかし85から90になるのは、とても大きい違いだ」と同氏は指摘。「それが可能になれば、社会に大きな違いをもたらすことができると思う」と話しています。(ソースWSJ

2016年9月 2日 (金)

ドル高シナリオ復活、強気どこまで!

投資家らはドル高シナリオをまた引っ張り出してきた。

 

 ドルは29日、3週間ぶりの高値をつけました。米連邦準備制度理事会(FRB)が早ければ9月にも利上げする可能性があるとの期待を反映しています。金利が上がればドル建て資産の投資妙味が増すことになります。

 

 市場参加者らは、ドルが円やユーロ、あるいは一部の新興国通貨に対して一段と上伸する兆候に目を光らせています。今年のドル相場は、多くの国々の低調な景気回復に阻まれてきました。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のドル指数は年初来4%低下し、2016年のドル高を予想した多くのアナリストらの顔をつぶしています。

 

 米商品先物取引委員会(CFTC)とスコシア銀行の資料によると、823日までの週におけるドル高を想定した持ち高は718000万ドルで、7月下旬よりも150億ドル近く減っています。スコシア銀行のチーフ為替ストラテジスト、ショーン・オズボーン氏は、「(投資家らは)現在、ドルの持ち高を低めにとっている」と指摘しました。

 

 ドル相場が大きく動くと、米国株から新興諸国の債券、さらにはドル安を追い風としてきた多くの資源(コモディティー)相場が混乱する可能性があります。

 

 その一つのきっかけとなり得るのが、92日に発表される8月の米雇用統計です。雇用統計が強ければ、FRB当局者らが先ごろ指摘した利上げの根拠が強まる可能性があります。26日にFRBのイエレン議長とフィッシャー副議長は、米経済は今年最初のフェデラルファンド(FF)金利引き上げを正当化するほどの強さがあると語りました。これらの発言を手掛かりに、16通貨のバスケットに対するドル相場を示すWSJのドル指数は1日としては2カ月ぶりの大幅な上昇となりました。

 

 BNPパリバの北米為替戦略責任者、ダニエル・カジブ氏は「今後はドル高の期間になる」と指摘しています。

 

 ドル高は、米国への輸入品を割安にし、米国の消費者や企業の購買力を高め、物価を押し下げます。しかし、国外事業を大規模に展開している米多国籍企業の利益も打撃を受けます。この業種は規模が大きく、米国内の成長が弱いなかで注目を集めています。また、インフレ率がここ数年、FRBが長期目標とする水準を下回り続けている中で、物価にはさらに下ぶれ圧力がかかります。

 

 ドル高は、今年最初の2カ月で多くの資産クラスが世界的に売り込まれたことからも明らかな通り、米国以外の国々にとってはさらに問題をはらんでいる。

 

 原油をはじめとする資源相場はドル建てなので、ドルが強くなると米国以外の買い手にとってはさらに割高になります。このため資源需要が抑えられ、物価の下落循環につながる可能性があります。そして世界の需要軟化は、世界経済の健全性に対し弱気なシグナルを発しかねないのです。

 

 一方、長年にわたり低成長と低インフレに悩まされてきた欧州と日本にとっては、ドル高は朗報になり得えます。これらの国々の通貨高は、金融緩和政策を通じて競争力を高めようとする取り組みを邪魔してきました。

 

 しかし、ドル高は、今年巨額な投資資金流入を受けているブラジルやトルコなどの新興諸国にも打撃となる公算が大きくなります。新興諸国の企業は多くがドルで借り入れを行っており、ドル高になると返済が厳しくなるため、幅広く無秩序な売りにつながる可能性への懸念が高まっているのです。

 

 同時に、FRBの利上げをあてにすることをためらう投資家も多いのです。FRBは昨年12月に1回利上げした後は現状維持を続け、多くの投資家が予想したよりもはるかにゆっくりとした金融引き締めの姿勢をとっています。FRBはまだら模様な米経済の回復を拙速な利上げで損なうことを嫌うと同時に、米国の利上げが世界の市場を混乱させることを恐れているのです。

 

 BNPパリバでは、年末までに円安・ドル高が6%進みドルは108円をつけると予想しています。

 

 しかし、FRBが今年利上げすると予想する投資家でさえ、その後の追加利上げがすぐに続くかについては疑っているようです。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の資料によると、FF金利先物が織り込む来年7月までにFRB2回利上げする確率はわずか30%です。

 

 カナダのトロントを拠点とするAGFインベストメンツの運用担当者、トム・ナカムラ氏は、FRBの今後の利上げ方針を巡る不透明感がドル高相場を抑えると予想しています。同氏は新興国通貨とカナダドルに対する強気見通しを維持しています。「市場にとって、FRBがどのような経路をたどるか考えるのは難しくなっています。ドル相場は大丈夫だと私たちも思いますが、大きな上げ相場にはならないだろう」と語っています。(ソースWSJ

2016年9月 1日 (木)

ヒラリー氏が築いた「米クリントン省」!

ヒラリー・クリントン前国務長官の私用メール問題は五月雨式に詳細が明らかになってきましたが、ここにきて豪雨に変わりました。クリントン氏がなぜ私的な通信設備を使用していのか、そこには何が隠されていたのかが、先週ようやく判明したのです。悪名高い同氏の私用サーバーは、クリントン氏が3年間クリントン財団の「長官」を務めていたことを隠すために設置されていたことが明らかになったのです。

 

 3月に本欄で、クリントン氏の秘密情報の不用意な扱いは重要な問題ではあるが、より重要なポイントが別にあると指摘しました。クリントン氏は国家秘密を暴露しようと思って私用サーバーを設置したわけではありません。それは偶発的な出来事にすぎません。同氏がサーバーを設置したのは、私生活の細部が明るみに出ないようにするためだったのです。すなわち、入念で広範囲に及ぶ資金調達や自己プロモーションのための組織、クリントン財団を取り巻く生活を秘密にしておくためだったというわけです。

 

 クリントン氏が――明確な倫理基準にのっとって――国務長官時代に財団と距離を置いていれば、私用サーバーや私用メールなどそもそも必要なかったはずです。そうであれば、クリントン氏の電子通信の大部分は国務省の職務に関連したものにとどまり、たまにヨガのスケジュールに関わるものが混じる程度だったはずです。連邦情報公開法当局者がのちに国務省のメールを精査したときも、明らかな「私用」メールをさほど苦労することなく選別し公表できたはずです。普通ならこうなっていたはずです。

 

 クリントン氏の私用サーバーのアカウントでやり取りされた同氏の側近、ヒューマ・アベディン氏のメールが先週公表されました。その内容から分かる通り、クリントン氏の問題は公私の区別がなかったことです。同氏にとって国務省と一族の基金であるクリントン財団は一体化された組織だったのです。同じスタッフを雇い、スケジュールを照らし合わせていたほか、財団の献金者が国務省に接近できるようにもなっていました。秘密のサーバーを保持していたのも、本来政府に提出すべき15000通のメールを削除したのもそのためです。

 

財団献金者の優遇を働きかけ

 

 先週公表されたアベディン氏のメールで最も注目されているのが、クリントン財団幹部のダグ・バンド氏が財団献金者を優遇するよう国務省に働きかけていたという憂慮すべき事実です。メールは保守系の行政監視団体「ジュディシャル・ウオッチ」が国務省を相手取った訴訟で公表したもので、その725ページに及ぶメールからは、メールのやり取りの頻度やその大半がいかに陳腐な内容であったかもうかがい知ることができます。バンド氏はクリントン氏にこの会議はできるか、あの会合は開けるか、いつブラジルを訪問するのかといったことを尋ねていました。アベディン氏の返事は、クリントン氏はそれに取り組んでいる、これに関する回答やあれに関する回答を得るだろうといったものでした。これらは単なるちょっとした知り合い同士のメールではありません。彼らはあいさつの言葉や署名は省いていました。これらは同じ目的に従事する2人の間で交わされたメールです。その目的とは、国務省とクリントン財団が1つになった組織のために働くことだったのです。

 

 今回もう1つ明らかになった重要な点は、マスコミの目の付けどころが間違っていたことです。マスコミが焦点を当てているのはクリントン氏が削除したメールです。確かに連邦捜査局(FBI)が復元した15000通のテキストの中に価値ある情報も含まれているでしょう。しかし、クリントン氏は忙しい人であり、国務省と財団を取り巻く日々の生活の細かいことの大半は信頼する側近が処理しています。彼らも私用メールを持っていたのはそのためです。初めからアベディン氏のファイルに目をつけていたジュディシャル・ウオッチは大したものです。次に急いで調査する必要があるのは、クリントン氏が国務長官時代に首席補佐官を務めていたシェリル・ミルズ氏の同様のメールです。

 

 今回明らかになった最も重要なことは、クリントン財団の問題が利益相反「のように見える」というだけにとどまらないことです。これは紛れもなく見返りを求める献金でです。バンド氏はクリントン氏に「われわれの親しい友人」であるバーレーンの皇太子と会談するよう求めるメールを送っていました。これは皇太子がクリントン財団の奨学金制度に数百万ドル寄付することで面会時間を買ったと言っているようなものです。疑いの余地はありません。

 

点と点がつながらない

 

 この点は先週のAP通信の報道でも明らかにされていました。AP通信は、クリントン氏が国務長官1年目に会った外部関係者154人のうち半数以上がクリントン財団の献金者だったと報じました。新興ウェブメディア「Vox Media」のコラムニスト、マシュー・イグレシアス氏らクリントン氏の擁護派は、154という数字には外交当局者や米政府当局者との数千回に及ぶ会合は含まれていないため、その数字は誇張されていると主張しています。

 

 確かにそうでしょう。国家の外交トップとしてクリントン氏は多くの外交当局者や米政府当局者と会う義務がありました。しかし、それ以外の人とはその義務はなかったのです。多忙な国務長官との面会にこぎつけたのは一部の幸運な人たちであり、驚くべきことに、そのほとんどがクリントン財団の献金者だったのです。

 

 クリントン氏にとって幸いなのは、(汚職疑惑は往々にしてそうだが)点と点を線で結ぶことが依然、難しいことです。「もらったもの」(財団への献金)と「見返り」(バーレーンの武器取引)はあちこちに見つけることができますが、それらを結びつける確固たる証拠は見当たりません。

 

 しかし、そこは重要でしょうか。今回発覚したのは、政府高官の1人が設置した私用サーバーの中に、倫理規定があるにもかからず高官が一族の基金とひそかに関わりを持ち続け、公的記録を破壊したことを示す証拠が保存されていたということです。これだけでも、クリントン氏を大統領候補として失格にするには十分ではないでしょうか。(ソースWSJ

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