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2016年4月

2016年4月30日 (土)

アップル株、決算への低い期待がプラスに!

アップルは26日に1-3月期(第2四半期)決算を発表する予定ですが、いくつかの点でこれまでとは違ったものになるでしょう。売上高とiPhone(アイフォーン)の販売台数はいずれも前年同期比で減少する見通しです。

 

 アップルは過去13年間、四半期売上高が前年同期を下回ったことはありません。アイフォーンの販売台数も2007年の発売以来、前年同期比割れとなったことはありません。

 

 しかし、この前年同期比割れの予想は驚くにあたりません。

 

 アップル自身、1月の10-12月期(第1四半期)決算発表時に1-3月期売上高が減少するとの見通しを示していました。さらに、最近はアップルのさらなる減産計画について相反する報道が飛び交うなか、同社決算への期待値はこれ以上ないほど低下しており、決算がそれを上回らないことは難しい状況です。アナリストの予想では1-3月期のアイフォーン販売台数は5000万台と前年同期比で18%減少する見通し。また、売上高は同10%減の521億ドル、1株利益は同14%減の2ドルになる見通しだです。

 

このさえない数字の原因は何か。アップルは自らの成功の犠牲者だといえます。iPhone 6は昨年、記録的な売上高を上げたので、後継機がその伸びを維持するのはほぼ不可能とみられています。今年iPhone 6sを購入する人は昨年より減るだろう。今年新たに発売されたiPhone SE4-6月期決算の数字には貢献するかもしれないが、それだけではアップルを不振から脱却させることはできません。アナリストの予想では4-6月期のアイフォーンの販売台数も前年同期比で7%減少する見通しです。

 

 問題は次の製品だ。

 

 われわれはiPhone 7(または別の名前のアップルの次世代製品)の流出写真さえまだ目にしていません。次世代製品はアップルを成長路線に戻せるだけの優れた製品でなければなりません。アナリストは新製品がけん引役となり、17年度通期のアイフォーン販売台数は6%増加するとの見通しをすでに立てています。

 

 現在、投資家にとっての気がかりは、まだ見ぬアイフォーンの新製品です。アップルの株価はアイフォーン減速への警戒感が表面化し始めた約1年前にピークを付けています。以来、同社の時価総額は約1800億ドル(約20兆円)減少しました。その結果、アップルのネットキャッシュを除く予想利益ベースの株価収益率(PER)は約8.5倍と低くなっています。アイフォーンの不振は今、株価に過剰に織り込まれています。(ソースWSJ

2016年4月29日 (金)

「大きすぎてつぶせない」、預金者は意に介さず!

「大きすぎてつぶせない銀行」が好きではないという人はたくさんいます。しかし、こうした銀行へ預金することに今なお満足している人も多い。利息などないに等しいにもかかわらずです。

 

 1-3月期は大手米銀にとって波乱含みでしたが、預金の流入は続いました。これは本来なら失望に陥っていたかもしれない1-3月期に浮上した、いくつかの明るい材料の一つでした。

 

 米連邦準備制度理事会(FRB)の統計によると、大手銀4行(JPモルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカ、ウェルズ・ファーゴ、シティグループ)の預金残高は1-3月期末時点で総額42000億ドルでした。前期比2.1%の増加で、米銀全体の預金の伸びを上回りました。

 

 確かに、大手銀の預金は前年同期に比べるとやや減少しました。だが、これはJPモルガンが昨年、バランスシートを縮小して保有すべき余剰資本を減らすため、いわゆる非オペレーショナル預金(日々の現金管理に関係しない遊休の法人預金)を削減したことを反映している公算が大きいのです。

 

 銀行にとってこれは朗報と言えます。近年は大手銀への預金流入が負担となっていました。融資需要が弱く、預金の全てを活用できなかったためです。これが証券保有の拡大につながりました。

 

 しかし、1-3月期はバンカメとシティ、ウェルズ・ファーゴの総融資額が5.8%増加しました。つまり、各行は預金をさらに運用へ回すことができます。実際、総融資額が前年同期比11%増加したJPモルガンでは、1-3月期の預貸率が前年同期の56%から64%へ大きく上昇しました。

 

これが強みとなる理由は次の通りです。バンカメが約7070億ドルの有利子預金に支払った利回りは1-3月期の平均が0.08%にとどまりました。一方、約8930億ドルの融資や貸し出しで手にした利回りは平均3.74%でした。これは約4000億ドルの有価証券で得た利益(市場関連の調整を除く)の2.45%を上回ります。従って、融資が伸びれば各行は少なくとも正味の利ざやを維持できるのです。

 

 当然ながら、1-3月期は市場の混乱や取引活動の減少、長期利回りの低下といった他の大きな悪材料を打ち消す上で、これだけでは不十分でした。しかし、預金が増えていなければ状況はさらにひどかったかもしれません。少なくとも、大手銀の預金者は「大きすぎてつぶせない」ことに腹を立ててはいないようです。(ソースWSJ

2016年4月28日 (木)

プリンスさん死去、楽曲の行方は?!

米人気歌手プリンスさんの急死を受けて、彼が残した多数の未発表曲をめぐりさまざまな臆測が飛び交っています。未発表曲はどのくらいあるのか、公にされるとしたらいつになるのか、誰が決定権を持つのか――。

 

 一方で、発表済みの曲の行方も同様に不透明です。曲の大半はスポティファイやアップル・ミュージックといった人気音楽配信サービスで聴くことができない。

 

 プリンスさんは21日にレコーディング・スタジオ兼自宅で意識のない状態で見つかり、その後死亡が確認された。彼には配偶者や子どもなど明確な相続人がいない。このため、一緒に仕事をしてきた人々は、誰が彼に関する今後のビジネスなどを管理するのか見守っています。その管理者が、楽曲のデジタル権などをめぐりプリンスさんが取ってきた強硬なスタンスを和らげるのかも注目されています。

 

 プリンスさんと仕事をしてきた人々によると、彼は生前、さまざまな弁護士やその他のアドバイザー・グループに依頼し、ビジネスに自らの希望を反映させていました。そうしたグループのメンバーは頻繁に入れ替わっっており、本人が亡くなったことで、今後の見通しが一層不透明になっています。

 

 プリンスさんの広報担当者にコメントを要請したが、返答はなかった。

 

事情に詳しい関係者らによると、彼が長年所属していたレコード会社のワーナー・ブラザーズ・レコードが「パープル・レイン」などの大ヒットアルバムを流通させる権利を持つものの、プリンスさんは自らの音楽に関して異例なほど大きな権限を保持していました。その権限はおおむねパブリッシング(出版)権を通じたものだったといいます。

 

 ミュージックパブリッシャー(音楽出版社)は、楽曲の歌詞とメロディーの権限を持ち、例えば、それを楽譜にすることなどができます。楽曲を商業利用する際には、たいていの場合、音楽出版社と録音の権利を持つレコード会社から別々に許可を取る必要があります。プリンスさんは自らがパブリッシャー(出版者)という異例の立場にあったため、配信サービスなど音楽の流通を希望する会社に対して強硬な姿勢で臨むことで知られていました。

 

 昨年7月、スポティファイなどの多くのデジタル音楽サービスからプリンスさんの楽曲が消えました。スポティファイは、突如消えたプリンスさんのページに次のようなメッセージを載せた。「プリンスのパブリッシャーから全てのストリーミングサービスに対し、彼のカタログを削除してほしいとの要請があった。当社はその要請に応じたが、彼の音楽をできるだけ早期に復活できるよう願っている」。

 

 事情に詳しいある人物によると、プリンスさんはスポティファイのほかアップル・ミュージックともライセンス契約を結ぼうとしたが、できなかったといいます。

 

 プリンスさんは2013年には、彼のカタログの利用に関してデジタル音楽サービスとの交渉に入っていました。ある大手ストリーミング会社の幹部によると、プリンスさんは詳細について決定権を欲しがっていました。楽曲のどのバージョンを入手可能にするのか、それがどのような状況で掲載されるのかといったことだったといいます。

 

 例えば、プリンスさんは1980年代の自らのヒット曲が、他の80年代の曲と一緒にプレイリストに入ることを望まなかった。同幹部によると、この件に関しては、使用料(ロイヤルティー)を上げることがプリンスさんの優先事項ではなかった。「彼は自らのカタログでもうけようとしていたのではない。彼は自らの芸術性をコントロールしたいと思っていたほか、業界の自分の立場を利用して、どうしたら自ら信頼する他のアーティストを手助けできるかを模索していた」。

 

プリンスさんの交渉スタイルは型破りでした。電話をかけてくるのは調整係の人物(これも入れ替わりがあった)だったが、協議自体はプリンスさんと直接行われました。同幹部は、1時間前後に及んだ2回の電話について「わたしも彼も弁護士をつけなかった。彼はわたしが直接交渉したことのある唯一のアーティストだ」と話しました。

 

 このストリーミング会社はプリンスさんの技術的な要求に応えられなかったため、プリンスさんは手を引いた。ストリーミングサービスからの撤退とともに、彼は自らの音楽をめぐる権限を統合し、パフォーマンス権(著作権の一種)の有力仲介組織であるAscapBMIから脱退しあした。これらの組織は会員の代わりにライセンス料を徴収しています。

 

 プリンスさんは、ミュージシャンのジェイ・Zさんが所有するストリーミングサービスの「タイダル」上では自らのカタログを入手可能にしました。タイダルによると、同社は音楽所有者に他の競合ストリーミング会社より高い使用料を支払っている。プリンスさんを含む何人かの主要アーティストは、タイダルの株式を保有しているといいます。プリンスさんはここ数カ月の間に2枚のニューアルバムをタイダルに独占配信していました。

 

 タイダルにはスポティファイと違い、無料で契約できる選択肢がありません。プリンスさんは雑誌「エボニー」とのインタビューで、「スポティファイからなくなった音楽を入手するためには、(カネを払ってタイダルの)会員にならなくてはならなくなった。スポティファイがカネを払わないというなら、楽曲を引き揚げるまでだ」と話していました。

 

 プリンスさんの死を受けて、タイダル以外のストリーミングサービスに彼の楽曲が復活するのか、復活するとしたらいつになるのかは不透明です。前出のストリーミング会社幹部は「これらの決定を誰が下すのかが不明だ。プリンスは全てを自分で決めていた、もしくはそのように見えていた」と話しています。(ソースWSJ

2016年4月25日 (月)

20ドル紙幣などデザイン刷新 早わかりQ&A

ルー米財務長官は、ハリエット・タブマン(黒人女性で奴隷解放運動家)の肖像を20ドル札に載せ、10ドル札にあるアレキサンダー・ハミルトン(初代米財務長官)の肖像はそのまま維持と発表しました。

 

 新紙幣についてポイントをQA形式でまとめました。

 

アレキサンダー・ハミルトンに何が起こったのか

 

 ルー長官は結局のところ、ハミルトンの肖像をそのまま10ドル札に使うことを決定。昨年6月、同長官が新10ドル紙幣に関する刷新プランを発表した直後から、ハミルトンの肖像画を残すよう求める抗議の声がハミルトン擁護団体から上がっていたが、ブロードウェイ・ミュージカルから強いハミルトン援護論がルー長官の耳に届いた。ハミルトンの生涯をヒップホップ調でつづった話題のミュージカル「ハミルトン」だ。こうしたさまざまな抗議を受けて、ルー長官は昨年、デザイン刷新プランの決定を延期していた。

 

女性は10ドル札に登場するのか

 

 新プランでは、ハミルトンを10ドル札から外さず、その裏面に女性参政権獲得を記念してビネット(半身画)を載せるだろう。

 

 草の根団体は当初、女性を20ドル札に登場させたいと願っていた。今回の措置(ハミルトンを10ドル札の表に、そして女性参政権記念のビネットを裏面に載せること)は「ウィンウィン」になるのか。

 

 必ずしもそう言いきれない。ハミルトン信奉者団体と、紙幣に女性を登場させようと主張する権利擁護団体は、1人の女性を20ドル札に登場させ、アンドリュー・ジャクソン(第7代大統領)を外すほうがもっと有意義だという点で一致していたのは事実だ。しかし10ドル札と異なり、新しい20ドル札を導入するタイムフレームは設定され

 

ていない。

 

新しい10ドル札はいつから流通するのか

 

 デザインを刷新した紙幣は、女性が参政権を勝ち取って100周年に当たる2020年に印刷され始めるだろう。

 

20ドル札はどうか

 

 新しい20ドル札を導入する確立したタイムフレームはない。それは多くの年月がかかる可能性もある。20ドル札ははるかに広く流通しているし(それは銀行のATMがストックしている紙幣だ)、セキュリティー上もっと高度な機能が求められるからだ。

 

最も広く使われている紙幣は何か

 

 米連邦準備制度理事会(FRB)によれば、ジョージ・ワシントン(初代大統領)の肖像画が載っている1ドル札は、昨年流通していたあらゆる紙幣の約30%(枚数ベース)を占めた。またベンジャミン・フランクリン(政治家・著述家で、建国の父の一人)をあしらった100ドル札は増加している。それは昨年、紙幣全体の28%を占め、過去20年間で倍増した。20ドル札は第3位の流通紙幣で23%、それに5ドル札が7%で続き、次いで10ドル札の5%となっている。

 

財務省はなぜデザインを刷新したのか

 

 紙幣はセキュリティー目的のためデザインが逐次見直されているが、連邦政府は2008年に連邦裁判所から幾つかの紙幣のデザイン見直しを命じられた。盲人を含む視覚障害者にとって触れるだけでそれと識別できる特色をつけるためだ。

 

 ルー長官は当初、なぜ10ドル札に女性の肖像画を載せようとしたのか。

 

 このデザイン見直しの一環として、当局は2013年、10ドル札を最初に発行すべきだと結論した。それが、新紙幣に女性を確実に登場させようとした  ルー長官の唯一の拠り所だった。

 

誰がデザイン刷新などの決定を下すのか

 

 貨幣上の物理的なイラストは財務省次第だ。これとは別に、米国シークレットサービス(USSS)、FRB、製版印刷局(BEP)などで構成される偽造防止委員会がセキュリティー対策上の特色をいつ、どのようにデザインし、新紙幣を発行するかを決定する。

 

財務長官は紙幣に誰でも登場させられるのか

 

 法律によって、存命中の人物は使えない。また、1ドル紙幣のデザイン変更については連邦議会が法案を通過させなければならない(訳注=デザインを見直すと、自動販売機業界にコストがかかるなどの理由で、財務省は1ドル紙幣のデザイン見直しのための支出が禁止されている)。

 

肖像画のラインアップが最後に変更されたのはいつか

 

 現在流通している7種類の紙幣に登場している歴代大統領や政治家のリストは、1928年に選ばれた。

 

これまで女性が紙幣に登場したことはあるか

 

 マーサ・ワシントン(ワシントン大統領夫人)の肖像画が1981年に1ドルのシルバーノート(銀証書=財務省が発行した旧銀行券で銀と交換できた)に登場して以降、誰もいない。

 

10ドル紙幣と旧20ドル紙幣はどうなるのか

 

 依然として通用する。

 

ブロードウェイ・ミュージカルがジャクソンを救うことはあるだろうか

 

 タブマン、ハミルトン、そしてジャクソンにとって紙幣の世界は十分に広い。ジャクソンは20ドル紙幣の裏面に移動する。ジャクソンは民主党創設の父とみなされているが、他方でハミルトンが享受しているように、金融や米国史の専門家らから好印象を受ける可能性はほとんどない。ハミルトンは移民の孤児で、ジョージ・ワシントン大統領の軍事担当の側近に出世し、後年、米国の金融インフラを創設した。これに対し、ジャクソンはペーパー通貨、つまり紙幣を激しく批判していた。彼はまた裕福な奴隷所有者で、ネイティブアメリカンを南部から強制移住させる政策をとったことでも記憶されている。(ソースWSJ

2016年4月24日 (日)

世界の成長株を選別するコツ!

• 中国の教育サービス会社およびテンセントを選好

 

 モルガン・スタンレーのグローバル・オポチュニティー・ファンド(MGGIX)のマネジャー、クリスチャン・ヒュフ氏はまさにグローバルなファンドの運用を運命づけられていたのかもしれません。英国、米国、ノルウェーでの生活経験があり、わずか10歳で天職に目覚めたようで、当時コカ・コーラの株式を5株買いました。今や運用資産6億ドル以上のファンドを担当します。投資のコツは幼少時にノルウェーで祖父が教えてくれた釣りから学んだとそうです。勝ちそうな銘柄を選ぶには根気と忍耐が必要です。アジアの投資機会に近づこうと、妻の故郷でもある香港にオフィスを構えています。

 

本誌:ファンドは過去3年間にわたり毎年アウトパフォームしましたが、その秘訣(ひけつ)は?

 

ヒュフ氏:持続可能な競争優位性と成長力を持つユニークな会社を探す。質の高い企業は、参入障壁の高さ、あるいは高いリターンの得られる資本配分能力によって守られている。投資アイデアはさまざまなきっかけで生まれる。他のマネジャーも使用するスクリーニングでアイデアが得られることもあるが、スクリーニングだけでは、例えば規制の変化や競争上の脅威の出現などの破壊的な変化に強いかどうかは分からない。社内外で似たような考えを持つ150人の投資家ネットワークを持ち、最高と思う記事の情報を交換し合う。私は個人的には「サイエンティフィック・アメリカン」や「ワイアード」が好きだが、「バニティ・フェア」や「エコノミスト」、あるいはウォーレン・バフェット氏についての記事が好きな人もいる。私が読んだ中で最高の投資アドバイスは、ピーター・リンチ氏の「On Up on Wall Street(邦訳:「ピーター・リンチの株で勝つ」)」だ。企業の最高経営責任者(CEO)や上級幹部にインタビューする際は、各市場の最高のライバルはどこかと聞くと良い。

 

Q:ファンド内で保有比率が高い中国の教育サービス会社、TALエデュケーション・グループ(XRS)とは?

 

A:数学や科学の個人授業の提供会社で、約25都市に約300の学習センターがあり、100万以上の会員がいる。強いブランド力と卓越した教育の質を理由にユニークな存在で、前払い制度のため、資本利益率(ROC)は100%を超えており、非常に資本効率が良いビジネスモデルだ。どの社会でも教育は非常に重要だが、特に中国ではそうだ。中国の学校制度は厳格で、試験中心のため高い得点を取ることが極めて重要だ。課外の個人授業は両親にとって価値が高い。そのため、TALエデュケーションは毎年インフレ率を上回る値上げを実施できる。100以上の都市に参入余地があるため、今後1020年は大きな市場規模の拡大が見込める。教育はマクロ環境に左右されにくい。節約するにも、教育費は削りにくい。

 

Q:中国の持ち株会社、テンセント・ホールディングス(騰訊控股、700.香港)を直接保有する他、同社の株式の約3分の1を保有する南アフリカのメディア複合企業、ナスパース(NPN.南アフリカ)も保有しているが。

 

A:ナスパースの株価はテンセントの持ち分の価値よりも510%安い。つまり他の事業全てを無料で手に入れられるわけで、非常に魅力的だ。原資産も直接保有していないとリスクになるため、テンセントも保有している。テンセントで特に魅力的なのは金融テクノロジー・グループで、とりわけテンペイという決済サービスは、中国市場で劇的な成長を遂げている。業界全体が大きく様変わりする可能性がある。

 

• 韓国のバイオ製薬のバイロメド、ボトックスのメディトックスに投資

 

Q:最近新しく組み入れた銘柄は?

 

A:韓国で、マクロ環境とはあまり関係のない固有の投資テーマを持ち、為替の影響からもおおむね隔離されている非常に面白い会社を過去1年の間に複数見つけた。まず、バイロメド(084990.韓国)は韓国のバイオ企業だが、もし米国で上場したら現在の何倍もの時価総額になるだろう。バイロメドの遺伝子治療薬の臨床試験結果は有望で、米国で第3相治験に入っている案件が二つある唯一の韓国企業でもある。製薬会社全般は特許切れ問題があり、バリュエーションが高く特に魅力的ではないが、バイオ新薬は再現がかなり困難なため、一般の製薬とは異なると考えている。次に、メディトックス(086900.韓国)も好んでいる。世界でも有数のボトックスのメーカーで、通常の3カ月ではなく4カ月おきにボトックス注射をすればよく、注射回数が少ないため、患者にはうれしい。今後世界中にライセンス契約を広める機会がある。

 

• 日本株ではカルビー

 

Q:ファンドは日本をアンダーウエートとしているが、日本株も一部保有しているのはなぜか?

 

A:スナック菓子のカルビー(2229)を保有しているが、私は同社のポテトチップスは世界で最高と思っている。グローバルスタンダードに沿って、今後利益率を拡大する機会があるとみている。スナック菓子業界では通常、一つの国で圧倒的な1位の座を占めると非常に高い利益率を達成できるようになる。カルビーは参入した複数の国で60%近いシェアを持っている。しかし、われわれが最初に同社の株式に投資した時の利益率は1桁半ばしかなかった。今や10%台前半になっている。ペプシコ(PEP)傘下のフリトレーは世界で約20%の利益率を出している。さらに、カルビーはフリトレーと提携したのを受けて、世界中で自社製品を売る機会がある。

 

• 高級ブランドではエルメスとバーバリーを選好

 

Q:世界の高級品もファンドの投資テーマだが、なぜか?

 

A:エルメス・インターナショナル(RMS)を選好しているが、世界一のブランドとわれわれは考えている。まだまだ収益化が進んでいないブランドで、他のブランドに比べて店舗数もかなり少ない。市場を飽和させてブランドイメージを希薄化したくないため、拡大には非常に慎重になる必要がある。しかし、経営陣は、長期的な持続可能性に傾注している。非常に強いブランド力があるため、投下資本利益率や利益率は非常に高い。長期的に見てエルメスは高級品業界の中でも景気循環への耐久力が高い企業だ。

 

 バーバリー・グループ(BRBY.英国)も保有している。バーバリーは確立したブランドではあるものの、最高級品のエルメスのような圧倒的な存在感はない。過去10年間で「若々しい」ブランドとなり、若い層の支持を築いてきた。また、デジタル広告にも力を入れており、広告費の最大50%がデジタルに投入された年もある。若い人が年配の人ほどバーバリーを買いたがらないという問題を抱えていたが、若い層に力を入れる戦略は、可処分所得が年配の人ほど多くないため即効性はないが、そのうち所得も増えてブランド製品に使えるようになるため、利益率拡大の潜在力を高めることができる。

 

• 最大保有銘柄はフェイスブック

 

Q:フェイスブック(FB)は最大保有銘柄で、長期保有しているが、ビデオ広告やバーチャルリアリティーなどの新たなテクノロジーの傾向にどのように適応しているか?

 

A:新規株式公開(IPO)以来フェイスブックを保有している。われわれは同社の長期的な潜在力を信じており、モバイルへの移行のためフェイスブックの将来に懸念が生じていた2012年にも買い増した。この数年のユーザー増加、エンゲージメント増加、価格上昇で素晴らしい成長を遂げた。ビデオ広告はディスプレイ広告の510倍の価格で、実名でのログインのため、性別や好みなどに応じてターゲットを絞った広告が可能になり、ユーザーベースを利用できるユニークな態勢にある。ユーザーのつながりや情報交換の方法の変化をもたらすバーチャルリアリティーは重要なリスクだが、会社側もこれを十分承知しており、むしろ新たな市場にしようとしている。その一つの手段として、2014年半ばにバーチャルリアリティーのゲームや装置を製造するオキュラス・リフトを買収した。

 

• アマゾンの保有を減らした理由

 

Q:アマゾン・ドット・コム(AMZN)の保有を約半分に減らしたが、なぜか?

 

A:クラウドコンピューティングのアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)の価値が市場で知られ始めたからだ。しかし、今後長年にわたり高い収益率で資本を再投資する大きな機会がある。経営陣は短期的な利益を犠牲にしても株主に向けた長期的な価値創造を重視しており、継続的に事業への再投資を行い、微調整を行いながら問題解決をしていくことをわれわれは好んでいる。成功のために失敗をいとわないという、非常にユニークな企業文化を持っている。(ソースWSJ

2016年4月23日 (土)

三菱の長期繁栄が映す日本経済の弱み!

日本一高いビルを建設し、初の国産ジェット旅客機を生産し、さらにはステルス潜水艦を380億ドル(約41000万円)でオーストラリアに売り込もうとしている。それが三菱グループです。

 

 三菱グループの傘下企業が手掛ける巨大プロジェクトが国の威信を取り戻してくれることを安倍晋三首相は期待しています。150年近くの歴史を持つ同グループの隆盛は、日本の巨大企業グループの安定性だけでなく、戦争や金融危機、技術変革を乗り越える能力を際立たせているのです。

 

 同時に、資本と人材が単一の企業グループに集中しているという状況は、安倍政権が直面する困難な課題を浮き彫りにしています。つまり日本経済を再び成長軌道に乗せるためのダイナミックで革新的な企業を創り出すという課題です。インターネット時代に突入して20年がたちますが、日本はITやヘルスケアの分野において高収入の仕事が創出されず、新たな勝ち組企業を作り出せずにもがいています。

 

 経済協力開発機構(OECD)が昨年行った調査によると、日本の上位300社のうち1960年代以降に創設されたのは3割以下にとどまりました。米国では8割近くあるのです。安倍氏はこの問題を認識しており、昨年、米スタンフォード大学を訪問した際にシリコンバレーの活力を日本に持ち込みたいと述べ、適合できない企業は市場から退出するべきだと付け加えました。

 

 変化が遅いことの一因は労働市場にあります。日本では大学新卒者の多くが終身雇用制度のある企業に入社し、その職を手放したがりません。また長引く景気低迷がリスクの高いベンチャーに逆風となっているため、日本経済の問題が固定されがちになっているのです。このため日本銀行は最近、融資を積極化させるためマイナス金利の導入に踏み切ったというわけです。

 

 米国の起業家で、日本政府にテクノロジー政策を助言する齋藤ウィリアム浩幸氏は「それは必ずしも三菱のせいではないが、三菱が酸素を吸い出しているようなものだ」と話しています。

 

 三菱グループの事業は銀行から醸造まで多岐にわたりますが、その中核企業20数社の年間売上高は合計5000億ドルほどになります。これは日本最大の売上高を誇るトヨタ自動車のほぼ2倍です。

 

 三菱グループ企業は制度的には独立しており、持ち株会社はひとつもありません。ただ、グループ企業は株式の持ち合いや伝統的な関係で緩やかなつながりを持っています。三菱の名前とロゴの使用を管理しているのは、グループ企業の代表者で構成される委員会です。

 

 三菱のグループ構造と財務力のおかげで、不振のグループ企業でも確実に生き残れるようになっており、重大な決断が先延ばしされることもあります。三菱自動車が一連のリコール隠しで財務危機に陥った2004年には、複数のグループ企業が40億ドルの救済策に乗り出しました。これは、中小メーカーがひしめき合う日本の自動車業界の構図が維持される一因にもなりました。

 

 一般的に言えば、日本の大企業が新興企業にはじき出される心配はほとんどないのです。帝国データバンクによると、2015年に倒産した上場企業は3社にとどまり、全体の0.1%に満たなかったといいます。米国では毎年数十社が倒産しています。倒産自体は良いことではありませんが、それが日本で極度に少ないことは、大手企業を追い越す新たな技術を持った新興企業がほとんど出ていないことを示唆するものです。

 

 カリフォルニア大学サンディエゴ校で日本型経営論を研究しているウリケ・シェーデ教授は、そのような実態が、日本が動きの速い経済についていくのを難しくしていると指摘しています。「現代を戦い抜くために必要なのは保険でなく、イノベーションと収益力だ」です。

 

 専門家や三菱の従業員らによると、グループが繁栄できる理由のひとつは「お上の意向をくむ」ことにたけているからです。安倍政権下では、それは工業製品の輸出を押し上げられる産業に焦点を当てることを意味します。三菱グループの広報担当者はコメントを控えました。

 

 最近の例を挙げると、独仏勢と競り合っているオーストラリア海軍向けの潜水艦建造で、日本の官民連合を率いているのが三菱重工業です。この取引が実現すれば、戦後に定められた武器輸出規制を安倍氏が緩和して以降で初めての大型案件になります。

 

 三菱重工の宮永俊一社長はインタビューで、日本が受注を勝ち取れれば、他の三菱グループ会社や提携先からのオーストラリア投資にパイプを築くことができると指摘。「当社が非常に効率的な仲介役になれる」と述べました。

 

 三菱重工は日本初の国産ジェット旅客機「MRJ」を生産するメーカーの筆頭株主です。MRJ7090席クラスの旅客機。再三延期されていますが、向こう数年内に米国や日本などの航空会社に納入される見通しです。

 

 昨年秋にMRJが初飛行に成功したのを受け、菅義偉官房長官は「日本の航空機産業の新たな時代の幕開け」と話し、MRJを全世界に売り込む三菱の努力を政府が支援することを約束しました。

 

 三菱地所は1989年にニューヨークのロックフェラーセンターを買収しましたが、売却する時には損失を被りました。同社は2020年の東京五輪開催までに、高さ390メートルの日本一の超高層ビルを建設する計画です。

 

 第2次世界大戦前、三菱は巨大財閥のひとつだったのです。戦後の占領下で、占領軍最高司令官のダグラス・マッカーサー元帥は三菱財閥を解体しました。占領終結後には緩やかなつながりを持つ企業グループが再び結成されました。グループ企業は5%以下の株式を相互に持ち合うことが多いのです。

 

 三菱グループ企業の最高経営責任者(CEO)らは、毎月非公開で開かれる「金曜会」に出席するため丸の内に集結します。三菱地所は丸の内に40以上の不動産物件を保有しています。金曜会メンバーによると、会議では弁当やカレーといった簡単な昼食を取ることが多く、話題は具体的な事業話ではなく雑談が中心になるといいます。

 

 シェーデ氏は「問題の核心に入る必要はない。最も優先されるのは『額に冷や汗をかいている人がいないか確認する』ことだ」と述べました。

 

 それより下のランクでも三菱の従業員の団結を促す組織があります。グループ企業の社員が三菱を去らずに生涯のパートナーを見つけ出す手助けをする結婚紹介センターもその一つです。従業員の結婚式にはグループ企業のキリンホールディングスからビールが差し入れられるのがしきたりとなっています。

 

 三菱重工の宮永氏はグループ企業同士のつながりが誇張される場合があると指摘。発電機器では日立と提携するなど、三菱重工はグループ外の企業とも重要な取引関係を持っていると述べました。

 

 宮永氏は、グループ企業は「ビジネス上の倫理みたいなものを共有しています。もちろん、協力、協業する非常によい機会があれば、こうした倫理やブランドを共有するため提携関係は少しだけ強くなる」と述べました。(ソースWSJ

2016年4月22日 (金)

米ハイテク企業、給与ランキング上位をほぼ独占!

米ハイテク業界は人材不足で従業員の年収が10万ドル(約1100万円)を大幅に上回る水準に押し上げられ、米国企業の給与ランキングの上位をほぼ独占しました。

 

 米求人サイトのグラスドアが20日発表した調査によると、アルファベット傘下のグーグルやフェイスブック、ツイッターなどの企業は、従業員の年収中央値がいずれも15万ドルを超えました。グラスドアが把握できたデータに基づく2016年の給与ランキングでは、上位25社のうちハイテク企業が20社を数えたのです。

 

 ハイテク企業で年収がトップだったのはネットワーク機器大手ジュニパー・ネットワークスで、中央値は25社中3位の157000ドルとなったています。同社を上回ったのは A.T.カーニーとプライスウォーターハウスクーパース(PwC)傘下のストラテジーアンドのコンサルティング2社のみでした。

 

 ハイテク企業とコンサルティング会社以外では、クレジットカード大手のビザが唯一上位25社に入りました。

 

 グラスドアのチーフエコノミスト、アンドリュー・チェンバレン氏は「ハイテク業界では高度な技術を有する労働者が不足していることから激しい人材争奪戦が続いており、給与は前例のない水準に達している」と述べています。

 

 ハイテク業界の給与はこの1年で上昇しました。グラスドアによると昨年の上位15社にも多くのハイテク企業がランクインしていましたが給与は今年より低かったそうです。仮想化ソフトウエア大手VWウエアの年収中央値は、昨年の145000ドルから今年は152133ドルに上昇しています。

 

 グラスドアは、過去1年間に米国在住の従業員少なくとも50人から情報提供を得られた企業について年収をまとめました。基本給のほか、歩合や賞与を含む報酬総額について算出しています。

 

 上位25社はすべて有名企業ではなく、あまり知られていないネットワーク機器大手ジュニパー・ネットワークス、損保向けソフトウエアを提供するガイドワイヤ・ソフトウエア、ケイデンス・デザイン・システムズも上位10社に入りました。

 

 グラスドアのスコット・ドブロスキ氏は「企業は名前だけで有能な人材を集められない時は給与で引き付ける」と指摘しています。

 

 一方、一部の有名ハイテク企業はランク外となりました。ドブロスキ氏によると、アップルやアマゾン・ドット・コムなどの大手は高給取りが多いと見られますが、小売店舗や倉庫などで働く従業員も含まれるため中央値は低くなっています。

 

 この日1-3月期の大幅減収を発表したヤフーも年収中央値が129940ドルで上位25位に入りませんでした。同日に12000人の人員削減を明らかにした半導体大手インテルの中央値は118800ドルでした。

 

 また、ドブロスキ氏は配車サービスのウーバー・テクノロジーズも本部社員に加え、運転手の年収を含めたことで上位から外れたと話しました。同社に対しては、運転手を自営の請負業者とみなすのは不当だとする集団訴訟が起きています。(ソースWSJ

2016年4月21日 (木)

フェイスブックの未来は「ボット」にあるか!

ソーシャルネットワーク大手フェイスブック(FB)のマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は、商取引の未来はメッセージ送信にあると主張しており、12日に同社が開催した年次開発者カンファレンスでも多くのソフトウエア開発者を前にこの持論を展開した。だがこれまでのところ、成果は微々たるもののようだ。

 

 同社のカンファレンスで披露された、オンラインアパレル販売のスプリングによる買い物支援プログラムを利用して新しいジャケットを探してみた。筆者と同社の間でテキストメッセージの交換を通じてやりとりは進んだものの、最終的に提案された商品は筆者の好みに合うものではなかった。さらに筆者はカンファレンスで披露されたもう一つの、1-800フラワーズ(FLWS)によるオンラインのチャットでのフラワーギフトの配達サービスも試してみたが、筆者が希望した送り先には配達できないと言われ、諦めることになった。

 

 やりとりはいずれも、モバイルからダウンロード可能なフェイスブックのメッセージアプリ「メッセンジャー」の中で行われる。商品を購入したい利用者はウェブサイトにアクセスする代わりに、メッセンジャー上で「ボット」と呼ばれるソフトウエアプログラムとのチャットを通じてやりとりを行う。ボットは利用者のいかなる気まぐれにも対応し、商品やサービスを素早く提供するソフトウエアによる執事のようなものと想定されている。ザッカーバーグ氏は、こうしたボットを通じた商品の購入が今後一段と増えると指摘しているが、この点は疑わしい。同氏のビジョンは今のところ時間の浪費にしかつながっていない。

 

• ボットが機械学習の分野でフェイスブックに新たな領域を切り開くのは間違いない

 

 しかし、これはそれほど問題ではない。フェイスブックにとっては、こうしたボットによるチャットを機能させている機械学習のプロセスの方がはるかに重要だ。コンピューターシステムが人間の行動を観察し、人間と同様の機能を実行する方法を習得していく機械学習は、現在ハイテク企業の間で大いにもてはやされている。アルファベット(GOOGL)、マイクロソフト(MSFT)、中国インターネット検索大手のバイドゥ(百度、BIDU)、アップル(APPL)、アマゾン・ドット・コム(AMZN)のほか、多くのハイテク企業が精力的に開発に取り組んでおり、アルファベットのエリック・シュミット会長は機械学習とそれに関連する人工知能の形態こそがコンピューティングの未来に他ならないと述べている。また、IBMIBM)は同社の未来の全てを人工知能の「ワトソン」事業に賭けているようだ。本誌も昨年10月の記事で機械学習が半導体産業に変革をもたらす可能性があると指摘した。

 

 フェイスブックも同様に機械学習を追求し、同分野の一人者であるコンピューター科学者のヤン・ルカン氏を自社の研究所に招致して人工知能事業を行っている。そのような中、同社と競合企業にとって、機械学習システムの訓練データとして用いる、あらゆる類の人間の活動に関するデータを手に入れることが強く必要となっている。

 

 この点でフェイスブックは多くの人にアクセスすることができる強みを持つ。メッセンジャー同社によれば、米国においてメッセンジャーはモバイルアプリの中で利用者が最も早いペースで拡大しており、月間のアクティブユーザー数は9億人に達し、1カ月間にやりとりされるメッセージは10億件に及ぶ。

 

 フェイスブックはボットを通じて、開発者には自社の機械学習システム向けのプログラムの開発を促すとともに、9億人のユーザーに対しては、メッセンジャー上でコンピューターによる応答に対してイエス、ノーの意思表示をすることを促し、このデータを機械学習システムが適切な行動を学習する上でのヒントとして活用したい考えだ。

 

 ボットがメッセンジャー上での多くの商品の購入につながるかは疑わしい。しかし、機械学習というハイテク分野における今後数年の最も重要なトレンドにおいて、ボットによりフェイスブックが新たな領域を切り開くことになるのは間違いなく、このことは同社にとって確実にプラスとなる。(ソースWSJ

2016年4月20日 (水)

円高、物価上昇の足かせに!

日本銀行の黒田東彦総裁はウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の独占インタビューに応じ、ここ数カ月の円高によって2%の物価安定目標の実現に向けた取り組みが損なわれる恐れがあり、追加緩和に至る可能性もあるとの見方を示しました。

 

 インタビューは国際通貨基金(IMF)主催の半期に一度の会合に合わせ、週末に行われました。黒田総裁は今回の発言で、これまで公に示していた円高への懸念を一段と強めた格好です。円はドルに対し年初から11%上昇している。円高は日本の輸出企業に打撃となり、輸入価格に下押し圧力をかけインフレを抑制します。

 

 黒田総裁は、過度の円高が続けば、実際のインフレ率のみならず、企業信頼感や事業活動、さらにはインフレ期待への影響という形で物価の動向にまでも影響を及ぼしかねないと語りました。

 

 日銀はこれまで、輸入価格の上昇や「需給ギャップ」の縮小といった政策効果で円安に大きく頼ってきました。日銀当局者は、円安は輸出を支え株価を押し上げることで需給ギャップの縮小に寄与したと指摘しています。しかし、ここに来て円が上昇しているためこうした効果が脅かされており、黒田総裁は今後の政策決定会合で追加策を講じる公算が大きいと言います。

 

 黒田総裁は「われわれの金融政策は為替をターゲットしたものではないが、為替市場の動向は引き続き十分注視していく。常に強調しているように、可能な限り早期に2%の物価安定の目標を達成するために必要であれば、ちゅうちょなく追加的な緩和措置を検討する」と述べました。

 

 日銀は42728日に政策決定会合を開きます。黒田総裁は実質的にこの会合での追加緩和に道を開いた格好ですが、政策行動を起こすか明確なシグナルを発することは控えました。黒田総裁はインフレ率を2%に押し上げるため必要であればいかなる措置も講じる意向だと強調していますが、踏み込むことはないとする領域が一つあります。「ヘリコプターマネー」だ。これは中銀が、例えば国債買い入れを通じて貨幣を増刷し、政府支出拡大や減税を支える資金をあからさまに調達することを意味します。

 

 黒田総裁はヘリコプターマネーのような政策の活用は意図していないと言明し、財政政策を担う国会と、独立して金融政策を設定する中銀の責任分担をあいまいにすることになるためだと説明しました。(ソースWSJ

2016年4月19日 (火)

クリントン、トランプ両氏とも不人気度上昇!

米大統領選の民主・共和両党の最有力候補であるヒラリー・クリントン前国務長官と不動産王のドナルト・トランプ氏の「不人気度」が高まっていることが、ウォール・ストリート・ジャーナルとNBCテレビの最新の共同世論調査結果で明らかになりました。とりわけクリントン氏の人気が前月から急落しました。

 

 両党の支持者を合わせた登録有権者全体で見ると、民主党指名候補の本命クリントン氏に対し「否定的」な見方をしているのは56%、「肯定的」なのは32%でした。3月に行われた前回調査では、否定的なのが51%、肯定的なのが38%でした。その差は前月の13ポイントから24ポイントと、ほぼ2倍に広がりました。

 

 一方共和党の大統領指名候補争いでトップを走るトランプ氏に対しては否定的な有権者が65%、肯定的が24%で、41ポイント開きました。不人気度は、引き続き両党の候補らの中で最も高い。ただ、クリントン氏と違い、その差は前月と大きくは変わっていません。

 

 共和党の指名候補争いで第2位のテッド・クルーズ上院議員(テキサス州)もイメージが悪い問題を抱えており、否定的に見ている有権者は全体のほぼ半分で、肯定的が26%にとどまりました。民主・共和両党のどの候補も、不人気ぶりに悩まされており、登録有権者の間で好感度が50%を超える候補は1人もいません。

 

 嫌いな人が最も少ないのは、もう1人の共和党候補であるジョン・ケーシック・オハイオ州知事だが、同氏は知名度も低い。登録有権者の間で肯定的なのは約31%で、否定的なのは19%、中立が31%でしたが、「ケーシック氏のことを知らない」、もしくは「分からない」が19%ありました。民主党でクリントン氏に対抗しているバーニー・サンダース上院議員(バーモント州)も、好感度が嫌悪度を上回っており、肯定的な回答者が45%、否定的なのが36%でした。

 

 クリントン氏の人気度がこの1カ月間に急落した背景には、共和党候補だけでなく民主党のサンダース候補からの攻撃が激しさを増していることがあります。最近行われた民主党予備選・党員集会では、サンダース氏がクリントン氏に連続勝利しています。

 

 ただ民主・共和両党のどの候補も、有権者全体ではなくそれぞれの党の支持層の間では好感度が高くなっています。民主党支持層の間ではクリントン氏に肯定的なイメージを持つ人は約63%で、否定的なのが20%でした。共和党支持層では、トランプ氏に対し肯定的な人と否定的な人がいずれも42%で並びました。クルーズ氏は、肯定的が45%、否定的が27%でした。

 

 共和党上層部の中には、全国党大会でトランプ、クルーズの両氏に代えて、ポール・ライアン下院議長(ウィスコンシン州)が党指名候補に選出されることを期待する声があります。しかしそれが実現しても、ライアン氏は大統領選の本選で強力な共和党候補にはならない可能性があります。今回の世論調査で、ライアン氏を否定的に見ている人は28%だったのに対し、肯定的なのが26%にとどまったからです。

 

 調査は、登録有権者1000人を対象に1014日に実施された。誤差はプラス、マイナス3.1%ポイントでした。(ソースWSJ

2016年4月18日 (月)

北朝鮮の集団亡命-洗脳にまさる韓国ドラマ!

先週、中国から13人の北朝鮮人が韓国に亡命しました。10年前のミョン・ソンヒさんのように。

 

 中国で歌手として働いていたミョンさんは、韓国に仕事があるという客の話に心を動かされました。その2年後、ひそかに家族を中国に連れ出し、やっとの思いで韓国にたどり着きました。

 

 ミョンさんは、今回亡命した北朝鮮人は自分と同じことを考えたはずだと言いましたが、家族を平壌の気まぐれな独裁者の手に委ねたことには驚いたと話しました。 

 

 北朝鮮が海外で経営するレストランで働いていたミョンさんはインタビューで「金正恩は自分のおじさえも処刑した。金正恩にとって、亡命者の家族など何の価値もないはずだ」と語っています。

 

 中国東部・浙江省寧波にある北朝鮮レストランの従業員による集団亡命は、海外労働者に対する北朝鮮の監視システムの大きなほころびを示す初めての事例です。韓国政府は今週、北朝鮮軍の大佐が昨年韓国に亡命したことを明らかにしました。

 

 韓国政府関係者や脱北者、専門家によると、こうした出来事を受けて、特に北朝鮮の外貨獲得機関で働く人々への取り締まりが強化される可能性が高いと言います。今年行った核実験やミサイル発射実験に対する制裁の影響で、北朝鮮が同機関以外から得る外貨収入は減少しています。

 

 ソウルのシンクタンク、アジア戦略研究所のパク・スンジェ氏は「北朝鮮は金を稼ぐために、もっと労働者を海外に送りたいと考えているが、そのリスクを見直す必要が出てきた」と述べています。

 

 1990年代初めのソ連崩壊で大きな経済支援が受けられなくなってから、レストラン事業は北朝鮮の収益源の一つになっています。

 

 北朝鮮は中国でレストラン事業を開始した後、中国と同じく昔からの同盟国であるカンボジアに拡大。さらに、東南アジアやロシア、アラブ首長国連邦(UAE)に手を広げました。韓国人は北朝鮮レストランをよく利用しますが、韓国政府は先ごろ、北朝鮮に向かう金の流れを制限するために、自国民に北朝鮮レストランに行くのを控えるよう求めました。

 

 亡命した元北朝鮮政府関係者によると、レストラン事業の収入は平壌の金一族の懐に入ります。韓国政府は、北朝鮮が12カ国の約130軒のレストランから毎年約1000万ドル(約11億円)を集めていると試算しています。

 

 これらのレストランは北朝鮮労働者の海外派遣先の一つです。人権擁護団体の推計では、建設や木材の伐採、繊維などの業界で数万人の北朝鮮人が働いています。彼らの平壌への送金額は年間数千万ドル~10億ドル強とみられているのです。

 

 現在、ソウルでポップオペラ歌手として働くミョンさんは、海外の北朝鮮労働者の生活がどのようなものか明かしてくれました。

 

 ミョンさんたち若い北朝鮮人女性8人は、長春市のレストランにある鍵の掛かった部屋で毎日朝6時に起きます。その後、色鮮やかな朝鮮服を着て、外で踊りながら客の呼び込みをさせられ、胸には金一族の肖像が描かれたピンバッジをつけていました。

 

 北朝鮮の妙香山の名前がつけられたレストランのメーンルームは、部屋いっぱいに北朝鮮の田園地方の絵が描かれています。ミョンさんたちは、冷麺や犬鍋といった朝鮮料理の高級版を中国人や韓国人の客に出していました。

 

 ミョンさんは、同僚たちによるギターやキーボードの伴奏で、ほとんどの人が知っている朝鮮や中国の伝統的な歌をうたっています。ミョンさんのおはこは映画「タイタニック」の主題歌「マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン」でした。彼らにとって唯一の英語の歌でもあります。

 

 ミョンさんによると、彼女がレストランから逃げて中国か韓国の音楽学校に通う手助けをしたいとレストランの客が申し出てくれました。しかしミョンさんは、そうすれば自分の家族が罰を受けることを知っていました。女性従業員たちは、レストランから逃げ出せば、性的奴隷として売られたり、エイズに感染したりすると聞かされていました。そしてエイズについては、北朝鮮の国外でまん延していると教えられていたのです。

 

 レストランの支配人は常に従業員を監視して、数日おきに行われる批判集会では、北朝鮮への絶対的な忠誠から逸脱した点を他の従業員から指摘されたりしました。女性従業員たちは中国に行く前、金一族に対する忠誠心を高めるための厳しい思想教育を受けています。レストランの客が政治の話をすると、雰囲気が一気に悪化したといいます。「客が私たちの指導者である金正日と金日成を批判して、けんかになったこともあった」といいます。

 

 レストランの従業員は、レストランの月間売り上げが2万ドルを超えると金がもらえました。良いときは100ドル前後で、北朝鮮労働者にとっては大金だったのです。支配人は従業員が家族に送金するのを手伝いました。 

 

 ミョンさんは、ほぼ全員が韓国のテレビドラマを見ていたと話しています。韓国のメロドラマは中国で人気がありました。豊かな生活が映し出されたドラマは、ミョンさんを亡命に駆り立てたもう一つの重要な要因だったのです。

 

 ミョンさんは「思想がしっかりしている人でも、韓国ドラマを見れば変わる」と語っています。(ソースWSJ

2016年4月17日 (日)

Z世代、電子メールは「大人のたしなみ」!

人生を変えるような「初」体験といえば、ファーストキスや初めての運転、初の独り暮らしなどを挙げる人が多いでしょう。しかし、Z世代の若者(現在10代~20代前半)が、とてつもなく重要に考えている通過儀礼があります。初めての電子メール送信です。

 

 メリーランド大学3年生のスマンス・ニールマラさんは、「もう大人なので、電子メールも送る」と言う。彼は、電子メールを送る人間になることのほうが、選挙人登録をするよりも大きな通過儀礼のような気がすると言います。

 

 スマートフォンやフェイスブック、スナップチャット、インスタグラムが登場する前の時代をほとんど覚えていないZ世代ならきっと幼い頃から電子メールを活用していたはずと思うでしょう。

 

 しかしZ世代は、年上の世代と比べ電子機器を使うサービスに出合う順序が逆転しています。Z世代の多くはノートパソコンより先にタブレット端末を使用し、ダウンロードより先にストリーミングを行い、電子メールより先にチャットを利用しています。彼らにとって、電子メールは大学に応募したり、履歴書を作成したりするのとほぼ同じようなことなのです。

 

 ジョージ・ワシントン大学に通うザック・カーンさん(21)は、「電子メールについての最初の印象は、両親が仕事で使っているものというものだった」と話しています。

 

 筆者は1621歳の若者15人からこれに似た感想を耳にしました。つまり、電子メールは年上の人とのコミュニケーション手段で、ワイシャツにネクタイを締めることのデジタル版といったところだという感覚です。

 

 ベルギーのアントワープ大学4年生のターニャ・E・バンギャステルさん(21)は、「友達に電子メールを送るなんて考えもしない。『チョーありえない。なんでショートメール(SMS)を送らないの?』って言われると思う」と話します。

 

 フェイスブック登場前に大学に行った筆者のような世代だったら、友人へ心をこめた電子メールを送ったことを覚えているかもしれません。しかし、これもZ世代にとっては思いもよらない話です。

 

 アップルのモバイル機器向け基本ソフト「iOS」向けのゲーム「Impossible Rush」を開発したベン・パステルナーさん(16)に友人に電子メールを送るかと質問すると、「送らない。10代で送る人はいないよ(笑)」と回答してきました。

 

 Z世代は複数のコミュニケーションツールを経験してきました。ショートメール(携帯電話番号を使って送受信できるSMS)から短いメッセージを送るためのAOLインスタントメッセンジャーやMSNメッセンジャー、フェイスブックメッセンジャー、そしてコミュニケーションアプリのクラッシュなどだ。これらは全てチャット中心です。ビジネス用電子メールとは全く別物です。

 

 筆者がインタビューした若者たちの中には11歳のときから電子メールアカウントを持っている人もいました。しかし、使用するのはほとんどが、学校の宿題を受け取るためか、ネットで何かに申し込むときだけだといいます。彼らは年上の大人と連絡を取る必要が生じない限り、電子メールを読むだけの手段として使用しています。

 

 彼らが初めてインターンシップや仕事を始めるころには、まともな電子メールの書き方という難しい技術を習得することが、競争上の強みとなり得ることを知るでしょう(イールマラさんは電子メールについて、SMSの長いバージョンと呼ぶが)。結局、電子メールはいまだに、ほぼ全ての人に到達し、返信をもらえるチャンスのある手段です。

 

 シャビエル・ディペッタさんは、非常に若い起業家として成功できた理由の一つは電子メールを使っていたからだと考えています。

 

 彼は12歳だった2009年に訴訟関連文書の中にユーチューブのスタッフの電子メールアドレスを見つけ、彼のビデオでカネもうけができそうな新しいプログラムについて彼らに直接連絡をとりました。その結果、このプログラムにビデオが採用され、そこで知名度を上げ、14年に立ち上げたソーシャルメディア新興企業の資金200万ドル(約21600万円)を調達することができたといいます。

 

 電子メールを送ろうとしてさまざまなトラブルに巻き込まれた若者も多い。

 

 筆者がインタビューした若者たちの何人かは、SMSなら許されるが電子メールでは許されないようなミスを犯したことがありました。読み返す前の原稿を送ってしまったとか、名前のスペル間違い、良く考えてまとめた文章ではなく、いくつもの短い電子メールを送ったなどです。また、全ての年齢の電子メールユーザーと同様、身の毛もよだつ「全員に返信」地雷を踏んだ若者もいました。

 

 南カリフォルニア大学(USC)とヤフーが実施した調査では、10代の若者が電子メールへの返信が最も速い上、最も短いメッセージを送っていることが判明しました。この調査は、ヤフーメールのユーザー200万人の間での160億通の電子メールを対象に実施したものです。USCの教授で、この研究結果の共同執筆者、クリスティーナ・レルマン氏は、彼らは「電子メールをSMSとして使用している」ようだと話しています。

 

 ミレニアル専門コンサルティング会社ジェネレーショナル・キネティックス共同創業者のジェーソン・ドーシー氏は、職場で電子メールが広く使われていることを考えると、電子メールは少なくともまだ廃れていないと指摘します。廃れるとすれば、それはZ世代が組織の中心となる時かもしれません。

 

 メッセージアプリと違って異なるサービスを利用する人同士が連絡できるといった電子メールの長所が、スパムメールが多いという短所に勝るかなどによって電子メールがこれからも生き残るかどうかが決まるでしょう。短いメッセージの応酬よりも、ゆっくりと思慮深くコミュニケーションを行う場所が必要なので、恐らく電子メールは生き残ることでしょう。(ソースWSJ

2016年4月16日 (土)

スマホ陳腐化、次の革新的技術は?

最近、新しいスマートフォンの発表を見るのと音楽を聴きながら洗濯をするのとでは、どちらが楽しいかよく分からなくなってきました。

 

 新製品を有り難いと思っていないわけではありません。ここ10年のスマホの性能と利用しやすさの進化は、史上最大の技術的偉業の1つです。しかし、スマホのデザインはアダム・サンドラーの映画と同じくらい新鮮味がなくなっています。

 

 ただし、例外も登場しています。筆者が先週手にした韓国のLGエレクトロニクスの最新旗艦モデル「G5」は、単なる改良ではなく再発明に力を入れているメーカーがあることを証明してくれあした。G5には数々の工夫が凝らしてあります。端末下部を外してさまざまなモジュールを挿入できます。背面にはカメラを2台備えており、今後発売されるLGの仮想現実(VR)ヘッドセットや360度の画像が撮影可能なカメラにも対応しています。

 

 とは言え、G5は次に買い替えるべきスマホとは言えません。同じような価格の韓国のサムスン電子の「Galaxy(ギャラクシー)S7」は、気の利いた防水機能やより高性能なカメラ、長持ちするバッテリーを備えています。もちろん、米アップルの「iPhone(アイフォーン)6s」と「SE」も優れた選択肢です。

 

 G5は完成品というよりは試作品に近く、スマホの未来の青写真となる製品だといえます。

 

 そこで筆者はG5を手に革新的なモバイル技術を探ってみました。スマホの革新の中心となるのが今後もソフトウエアであることに変わりはないのですが、スマホを進化させるハードウエア技術も登場しています。

 

 将来のスマホは、ジャガイモの形をしたボディーに体のパーツを差し込んでさまざまな顔が作れるおもちゃ「ミスター・ポテトヘッド」のようになる可能性があります。つまり、カメラを引き抜いて、より性能のいい別のカメラに付け替えたり、割れたディスプレーを外して新しいディスプレーに交換したりできる。それがモジュール設計の特長です。

 

 このアイデアを最初に試したのがG5です。ボタンを押すと下部が外れ、LGが「フレンズ」と呼ぶモジュール類を装着できます。ただ、今はまだ目新しさが先行しているだけのように感じますが。最も画期的なオプションは、カメラ撮影時にスマホを握りやすくする70ドルのモジュールです。ズーム操作機能と容量の大きなバッテリーが備わっていますが、既存のタッチスクリーンの操作をより人間工学的にする効果しかありません。これが大ヒットするとは思えませんが、LGはモジュール設計を外部にも開放することを計画しており、それが助けになるでしょう。

 

 独自のスマホを組み立てられるという点でもっとわくわくするのが、米グーグルの「プロジェクトAra」だ。初期の試作品はG5よりも設計が柔軟で、シンプルな枠組みにディスプレーやバッテリー、Wi-Fiチップ、カメラといった基本モジュールを取り付けて組み立てるようになっています。温度計や酒気検知器といった特殊なモジュールも追加できます。プロジェクトと試験販売は延期されましたが、グーグルはこの研究に引き続き資金を投じています。

 

 未来のスマホは水ぼうそうにかかったような見た目をしているでしょう。発疹のようにたくさんのレンズが付いていて、スマホ撮影の問題点を全て解決してくれます。

 

 G5はその小さな一歩となります。広い景色やグループの撮影に使用する広角カメラと、より鮮明な画質の日常用カメラとを切り替えることができます。ただ、いずれのカメラも、特に暗い場所での撮影に関してはサムスンのGlaxy S7のカメラには及びません。

 

 華為技術(ファーウェイ)が近く発売予定の「P9」もデュアルレンズ仕様です。LGのように2台のカメラが個別に機能するのではなく、連動させることで画質の向上やさまざまな機能を可能にしています。他にもアップルが昨年買収したリンクス・コンピュテーショナル・イメージングなどの新興企業がデュアルレンズ機能の開発に取り組んでいます。

 

 もっと多くのカメラを組み込んだ本当の意味で革新的なスマホの開発に取り組む新興企業もあります。その1つがライト(Light)社で、同社のデーブ・グラナン最高経営責任者(CEO)によると、68台のカメラを搭載したスマホであれば高性能のデジタル一眼レフカメラ並みの高画質な写真の撮影が可能だといいます。アップルやソニー、グーグルのスマホを受託生産する台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業(フォックスコン)がライト社の技術をライセンス供与しています。

 

 未来のスマホでは3D360度の映像も見られるようになるでしょう。スマホをVRメガネに装着する方法やスマホのディスプレーで3Dホログラムとして見る方法があります。

 

 VRの部分は既に登場しています。今はVRに関心がないと思っていても、いずれ無視できなくなるでしょう。サムスンとLGは、スマホの処理能力とグラフィックパワーを活用したVRヘッドセットを既に開発しています。米クアルコムなどの半導体メーカーはチップ性能の向上に力を入れています。

 

 ヘッドセットを装着したくない人向けの製品もあります。新興企業レイア3DLeia 3D)は、特殊な液晶表示装置(LCD)バックライトと光学システムを使用して光の向きを変え、3Dホログラムを映し出すディスプレーを開発しました。映像はスマホの前に浮いて見えます。まだ映画「アイアンマン」のようなレベルには達していませんが、近づきつつあります。

 

 レイアのデービッド・ファッタルCEOは「スクリーンから飛び出た3Dの自撮り映像を指でくるりと回せるようにもなるだろう」と語っています。「そのあとに2D映像に戻ることは、カラーテレビから白黒テレビに戻るようなものだろう」。

 

 最も楽しみなモバイルテクノロジーは、現在のスマホの最大の問題点であるバッテリーの駆動時間を解決してくれるものです。といっても弁当箱サイズのバッテリーパックやLGG5のような交換可能なバッテリーではありません。本当の意味でのワイヤレス充電でえす。

 

 現在のパッドにスマホを置くようなワイヤレス充電ではなく、Wi-Fiのようなタイプのものです。無線電力伝送装置が設置された場所にスマホを持っていくと、スマホに内蔵された受信装置が信号を検出し、自動的に充電を始めてくれるのです。

 

 米オシア(Ossia)やエナジス(Energous)といった企業がこの技術の開発に取り組んでいます。デモを見て、これこそがスマホの電力需要に対する答えだと確信しました。ただし、基準が統一されていないことと身体への安全性という2つの大きな課題があります。オシアのアビド・フセイン最高商用化責任者は、この技術は米連邦通信委員会(FCC)の認可を受ける予定であり、またスマホや腕時計など低電力の端末にのみ使用することを意図しているため、安全性の懸念はないと述べています。

 

 残る問題は、8台の素晴らしいカメラや簡単に交換可能なホログラムスクリーン、切れる心配のないバッテリーを搭載したスマホは一体いつ手に入るのかという点です。ライト社は同社のカメラを複数搭載したスマホは2017年末までには登場する見込みだと述べています。レイア3D17年末までにホログラムディスプレーの商用化を目指しています。オシアのワイヤレス充電技術は17年末~18年初めになる見通しです。

 

 こうした見通しを信じるとしても、実現にはまだ時間がかかります。全てが同時に本格的に普及するわけでもないでしょう。しかし、明るい面に目を向けてみると、手元にある黒い板のようなスマホは、どんどん陳腐化しているのです。(ソースWSJ

2016年4月15日 (金)

アベノミクス行き詰まり招く労働市場の問題!

マツシタ・ケイさん(32)の苦労は、安倍晋三首相が労働市場に目を向ける理由だけでなく、労働市場が日本経済の足かせになっている状況を浮き彫りにしています。

 

 マツシタさんは同世代の多くの人と同じように結婚して、子どもをもうけようと思っている。つまり、安倍氏が推進する「一億総活躍社会」の市民の1人になろうと考えているのです。ただ、マツシタさんはまだ両親と一緒に住んでいます。

 

 2007年に経済学の学位を取得したマツシタさんは、卒業以来、一度も正社員の職に就いたことがありません。いまや有望な正社員候補ではなく、一生賃金の低い非正規社員のままかもしれないという未来に直面しています。

 

 安倍氏の経済政策「アベノミクス」が打ち出されてから3年。ただ、成長率と物価上昇率がともにゼロ近辺にとどまるなど、アベノミクスは行き詰まり感を示しています。この主な原因となっているのが労働市場です。ここを起点に一連の本質的な問題―賃金上昇率の鈍さ、生産性と投資の低さ、そして未婚率の高さと出生率の低さ―が生まれています。

 

 安倍氏は今週、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とのインタビューで「働き方の改革は次の3年の最大のチャレンジになると思う」とし、「(労働市場の改革が)日本が持続的に成長していく鍵になるだろうと思っている」と語りました。

 

 安倍氏は非正規で働く労働者の賃上げ幅を拡大させ、「同一労働同一賃金」の実現を目指すと述べています。同氏は仕事と子育て・介護を両立させなければならない、女性を中心とした労働者の支援を積極化させています。こうしたイニシアチブには保育所や介護施設の数を増やし、育児休業を取得しやすくするといった対策が含まれます。

 

 1990年代のバブル崩壊以降、企業はより柔軟に雇用や解雇ができる方法を模索し、これが非正規社員への依存を強めるようになりました。過剰な生産能力と負債を抱えた「日本株式会社」は人員をカットするか賃金をカットするかという選択に直面し、後者を選びました。ここに映し出されているのは、日本の大企業は雇用を保障する責任を持つ「公共機関」だという見方です。

 

 正社員を保護することで非正規社員が拡大しました。事業環境が悪化した時に解雇しやすい労働者の雇用を企業が増やしたためです。

 

 現在も正社員には実質的な終身雇用が保障されています。いまや非管理職従業員の38%を占める非正規労働者は、正社員と同じ仕事をしていても、正社員よりはるかに低い賃金しかもらえません。非正規社員は正式な訓練をほとんど受けず、労働組合の保護をあまり受けられず、配属が頻繁に変わり、正社員によって昇進の道がふさがれているのです。

 

 「オリエンタル・エコノミスト・リポート」のリチャード・カッツ編集長は、「非正規の仕事にしか就けなければ、30代になるころには魅力的な従業員ではなくなる」と話しました。

 

 これはマツシタさんが置かれている状況と同じです。同氏は「日本では新卒カードが強い。そこで失敗すると非正規に甘んじることになる」と話しました。マツシタさんは現在も正社員の職を探しています。

 

 非正規社員という不安定な地位と低賃金が結婚相手としての魅力を低下させ、これが人口減少という問題につながっています。政府統計によると、非正規社員の30代男性のうち、昨年結婚したのはわずか27%でした。一方、正社員の30代男性は66%に上りました。

 

 経済協力開発機構(OECD)経済局の日本・韓国課長で、チーフエコノミストのランダル・ジョーンズ氏は、労働市場の二極化を改革することが、日本にとって最も重要な課題のひとつだと指摘。これは労働生産性にとっての大きな障害で、現在の日本の潜在成長率を非常に低くしている主因だと述べました。OECD加盟国の中で、日本の労働生産性は下位に位置しています。

 

 ジョーンズ氏によると、正社員を手厚く保護することで有望企業への人材や資金の流れが制限されています。そして、必要な人材確保ができないため、革新的な新興企業はベンチャー資金を呼び込むのに苦戦しているといいます。

 

 安倍氏はかねてから賃上げの重要性を強調してきましたが、当初は労働市場の二極化にあまり注意を払ってきませんでした。むしろ、企業の利益を押し上げて賃上げを促す金融緩和などの政策に重点を置いていました。ただ今年は、日本銀行によるマイナス金利導入にかかわらず景気低迷が続くなか、安倍氏は政策の方向を転換させました。

 

 安倍氏の指示で招集された専門家による検討会が3月にスタートし、ここでは労働市場が賃金に与える影響が審議されるほか、必要な労働法の改正についての進言がまとめられます。安倍内閣は5月にも同一賃金の実現に向けたガイドラインを明らかにする見通しです。また、安倍氏はインタビューで「非正規という言葉をなくしていこうと思う」とも述べました。

 

 一方、多くの人が抜本改革の実現に懐疑的です。かねてからビジネス界の幹部らは正社員を解雇しやすくするべきだと主張してきましたが、安倍氏の同一賃金へのこだわりには警戒感を示しています。同一賃金は現在の法律ですでに求められていますが、実施されることはまれです。企業幹部らによると、これを実施するには負担が大きいというのです。

 

 経済同友会の雇用・労働市場委員会を率いる橘・フクシマ・咲江氏は、「正社員が最も良くて企業は決して誰も解雇すべきではない」など、日本は労働と労使関係について心の持ち方を変える必要があると指摘。労働者には生産性と成果に応じて賃金が支払われるべきで、正社員よりも高い賃金をもらう非正規社員がいてもいいと述べています。

 

 安倍氏が同一賃金の実現を目指していることについて、フクシマ氏は「(安倍氏が)そこに意識を持ち、是正しようとする努力は素晴らしいことだと思う。ただ是正の仕方を間違えると、今度は逆に正規の人(の賃金)を下げて、こちら(別の人)に払おうということになる」と語っています。

 

 安倍氏は全国民が働く必要性を訴えています。同氏が首相に返り咲いてから3年で労働参加率は上昇し、失業率は20年ぶりの水準まで下げましたが、こうした数値は根本的な弱さを覆い隠しています。実際には安倍政権下で正社員の数は減少し、非正規社員の割合は過去最高に達したのです。

 

 ゴールドマン・サックスが1月に発表したリポートによると、世帯主の収入が減る中、パート職に就く既婚女性や60歳超の高齢者の増加が、労働参加率の上昇の大部分に貢献してきました。

 

 島田美奈子さん(36)も新たなパート職に就きました。島田さんの夫は東京にある会社の正社員で、順調に昇進していますが、給与は数年間ほとんど変わっていないといいます。娘の子育てを5年間やった後、彼女は昨年から主婦の就職をあっせんする仕事を始めました。

 

 島田さん夫婦はもう1人子どもを欲しがっていますが、生活をやっていけるとは思っていません。生活を支えるため、夫婦は自分たちの食費や衣料費を節約し始めました。

 

 島田さんは「将来、子供にどのぐらいお金がかかるのかわからない。年を取ったときに自分たちの生活もどうなるかわからない。だから、少ないが貯蓄は定期的にするようにしている」と述べています。(ソースWSJ

2016年4月14日 (木)

脱北女性が語る中国の「犯罪」

中国政府は「北朝鮮の人権侵害の共犯者」だと中国を批判する人物を良く思いません。だからこそ、脱北者のイ・ヒョンソさんが先週、北京で開催された公のイベントでステージに立ち、中国が数千人の脱北者を北朝鮮に送り返したことを激しく非難するには勇気が必要だったのです。強制送還された脱北者は収監されるか、もしくはもっと悪い結末が待ち受けているのです。

 

 イさんはそうしたリスクをよく分かっています。1997年に脱北したイさんは中国で逃亡生活を11年間続けました。韓国で最終的に自由を手に入れるまで、当局から身を隠し、7つの偽名を使いました。昨年、当時の体験記「The Girl With Seven Names(仮訳:7つの名前を持つ少女)」を出版。そして今回、北京で開催された文芸祭に講演者として招待されました。

 

 「私はここ(中国)の北朝鮮人に何が起こっているのか、とても基本的なことを話したい」と、イさんは北京の聴衆に向けて話し始めました。「中国は私たちが越えなければならない場所だが、(中国当局は)北朝鮮の言うことに耳を貸す義務はない(にもかかわらず)、多くの人が捕まっている」と言います。そしてイさんはこう続けました。「中国には多くの悪人が住んでいる。人身売買に関わるような人たちだ。だが同時に、善人もたくさんいる。私はそうした善い人たちには感謝しているが、中国政府には感謝していない」と。

 

 中国は、迫害を受けている国から逃れてきた難民の「送還」を禁じる国際的な難民条約に署名しています。しかし、中国は脱北者が各国の領事館や大使館に逃げ込むのを阻止し、劣悪な環境で拘束したうえで、北朝鮮へ送還しています。国連の人権に関する調査委員会は2014年、こうした行為は「(北朝鮮の)人道に対する犯罪」を助長することになると断じています。

 

 中国は国連による調査をことあるごとに妨害しました。しかし委員会の報告書には、強い文言が並んでいます。脱北者が「逮捕または強制送還された場合、北朝鮮当局者が組織的に、迫害、拷問、長期間の恣意的な拘束を科し、時には性的暴力を加えることもある」と明記されています。さらに、「韓国当局者もしくは国民またはキリスト教会と接触したことが見つかった者は、おそらく強制的に政治犯収容所に『失踪』させられるか、一般収容所に収監される。また、即座に処刑されることさえある」と記されています。

 

 北朝鮮が大飢饉(ききん)に見舞われた1990年代以降、29000人の脱北者が韓国にたどり着きました。逃亡の旅は、まず中国への入国を試み、そこから東南アジアの第三国へ渡り、韓国の当局者に亡命を求めるというのが典型です。

 

 しかし、金正恩第1書記が2011年に政権の座に就き、国境警備隊に越境(脱北)を試みる人物の射殺を命じて以降、逃亡の旅はとりわけ危険なものとなりました。脱北に成功する人の数は2009年につけたピーク時の半数にも満たなくなりました。脱北を手引きする仲介業者は1回の移動に12000ドル要求することもあります。中国は逃亡中の脱北者を通報した者に対して報奨金を出しています。

 

 中国の対北朝鮮政策は依然として、何よりも「安定性」と抑圧を最優先としていることは明確です。大量の難民が流入することを恐れてのことですが、金正恩氏の「犯罪」に手を貸すことで、中国は国内外で評判を損なっています。中国の若者は北朝鮮とのつながりを毛沢東思想の恥ずべき遺物だととらえているのです。 

 

 イさんの体験がそれを物語っています。イさんが北京での講演を引き受けた動機は、中国の動画サイトに掲載された以前の講演の閲覧回数が11万回を超えたことだと話します。イさんは今回の講演も広く関心を呼んでほしいと期待しています。(ソースWSJ

2016年4月13日 (水)

在日米軍、米国民には安い買い物!

日本で先週、集団自衛権の限定行使などを可能にする安全保障関連法が施行されました。これにより、たとえ日本が標的とされていない場合でも、米軍が攻撃を受ければ日本の自衛隊が防衛で協力することができるようになったのです。これは、共和党の大統領候補指名争いでトップを走るドナルド・トランプ氏が米国の同盟諸国を非難し、西太平洋からの米軍撤退を提案する際に見落としている重要な事実のひとつでもあります。

 

 トランプ氏は先月、米国は日本と韓国の「面倒をみているが、(その見返りとして)何も得ていない」と発言しました。同氏は米国が日韓両国とそれぞれに締結している安全保障に関する条約の再交渉もしくは破棄を訴えています。これらの条約は5万人規模の在日米軍と28000人規模の在韓米軍を配備する根拠となっています。

 

 しかし、これらの条約は一方的なわけでも、米国が負担しきれない取り決めでもありません。日本と韓国は現在、駐留米軍経費の半分近くを負担しています。年間で日本は約20億ドル、韓国は約9億ドルです。仮に日韓から駐留米軍が撤退すれば、米国の納税者の負担は増えるでしょう。しかも、壊滅的な戦争が起きてきた地域の平和と繁栄を数十年間にわたって持続させてきた価値を抜きにしています。

 

 太平洋における米軍の4大建設プロジェクトは日韓両国が300億ドル超を負担しているため、米国の納税者の負担はわずか70億ドルに過ぎません。トランプ氏は建設に関わる人間として、そのことを知れば関心を持つかもしれません。米太平洋軍の20154月の記録によると、韓国のキャンプ・ハンフリーズ(韓国平澤市)では2017年までに在韓米軍のほぼすべてを集約させるために拡張工事が進められていますが、110億ドル近くに上る建設費用の93%を韓国側が負担しています。 

 

 日本は岩国の米海兵隊航空基地の必要経費約50億ドルのうち94%を負担しているほか、普天間基地の移転にかかる約120億ドルを全額負担しています。日本はさらに、米領グアム島の新基地に必要な経費30億ドルの36%をあらたに負担しています。

 

 韓国は国内総生産(GDP)の約2.5%を防衛費に充てていて、米国の3.5%を下回るものの、GDP比で世界トップ10に入っています。徴兵制を採用している韓国軍は北朝鮮の核兵器や長距離ミサイルを阻止するための最前線に立っているのです。冷戦時代、日本は西側諸国にとって、太平洋を潜航するソ連の潜水艦に対する防衛の要でした。今日では、東アジアにおける中国の台頭に対抗するうえで重要な砦(とりで)となっています。

 

 GDP1%という防衛費はあまりに少ないですが、日本は4年連続で防衛予算を増やしています。改革論者の安倍晋三首相は米国、東南アジア、オーストラリア、インドとの関係を築いてきました。これがなければ中国は地域の覇権を楽に掌握することになでしょう。

 

 多大な政治的犠牲を払ったうえで、安倍政権は憲法解釈を変更し、集団的自衛権の限定行使を可能にする新たな法律の施行に道を開きました。日本は今や、北朝鮮のミサイルから米国を守ることができます。南シナ海で米軍の艦船がパトロールを行っている際には、中国の政策立案者らは常に日本の海上自衛隊のことも念頭に置かなければならなくなりました。

 

 安倍首相とシンガポールのリー・シェンロン首相はここ数日の間に、アジアにおける米国の役割を称賛し、近視眼的な撤退がもたらすダメージについて警告しました。米国民はこれらの国がフリーライダー(ただ乗りする人)ではないことと、アジアでの前方展開が米国の安全保障にとって重要であることを理解しなくてはならないのです。(ソースWSJ

2016年4月12日 (火)

【FRBウォッチ】利上げ、6月それとも7月か!

米連邦準備制度理事会(FRB)は3週間前の会合で、4月利上げの可能性について議論しました。6日公表された連邦公開市場委員会(FOMC)議事録(31516日分)によると、「複数(の委員)は利上げへ向けた慎重な姿勢を取ることが賢明だとしたほか、早ければ4月にも目標レンジを引き上げるとすれば、ふさわしくない切迫感を示すとの懸念も指摘した」と言います。

 

 ただこれは全会一致の見解ではなく、「数人」の委員は今後の経済指標が引き続き堅調であれば、4月の利上げが必要になるかもしれないと指摘しました。しかし、FRBの言葉で「複数」は「数人」より多く、3月のFOMC後に発表された経済指標は強弱まちまちとなっているため、4月に利上げが実施される可能性は低下しています。

 

 よって市場の注目は、その次の2回、61415日と72627日の会合に移るはずです。

 

 6月の会合の問題点は、翌週の23日に欧州連合(EU)離脱の是非を問う英国民投票が控えていることです。FRBが最近、世界金融市場の混乱をとりわけ懸念していることを踏まえると、欧州や金融市場を揺るがしかねないイベントの前に行動するのはためらう可能性があります。

 

 そのため、一部のアナリストは6月ではなく7月の利上げの可能性に目を向けています。ただ、7月の会合後は議長の記者会見も当局者らの最新経済見通しの発表も予定されていないため、金利政策について説明するのは難しくなるかもしれません。しかしFRBは繰り返し、記者会見の有無は政策決定に影響しないと主張しています。

 

 当然ながら、経済指標の改善が伴わなければ、日程に関する議論は意味をなしません。6月の会合までには雇用統計の発表があと2回、7月の会合までにはあと3回あるほか、インフレや個人消費、企業投資などに関する一連の指標も明らかになります。FRBが利上げへの確信を得るには、持続的な雇用の伸び、インフレが実際に上向いている兆候、低調な1-3月期からの経済成長の加速が必要となります。(ソースWSJ

2016年4月11日 (月)

中国「ブル」絶滅、響く「ベア」のうなり声!

中国の「ブル(雄牛)=強気派」とは、同国経済が遠い未来に向かって全速力で突進していくとみていた人のことでした。

 

 この予測はそれほど現実離れしたものではありませんでした。中国の年間経済成長率は2010年までは2桁に達していました。14年には世界銀行のチーフエコノミストだった林毅夫氏が、適切な組み合わせの経済改革が潤滑油となり、向こう20年は年8%のペースを維持することに自信を示しました。

 

 一方、少数派の「ベア(熊)=弱気派」は大幅な景気減速を予想し、1桁台前半から半ばへの失速もあり得るとみていました。ベアよりさらに数の少ない「パーマベア(常に悲観的なベア)」は中国経済の崩壊を予測していました。

 

 流れはあっという間に変わり、ベアがブルに入れ替わるまでには至っていませんが、その状態に近づきつつあります。

 

 米国の超党派シンクタンク、外交問題評議会(CFR)が主催したワークショップで、教育機関のエコノミスト、金融専門家、地政学ストラテジストの合わせて35人ほどが3つの中国経済の成長シナリオを提示しました。中国指導部が改革に成功し、年率46%の成長を遂げるという「楽観シナリオ」を選んだのは全体の31%にとどまりました。一方、成長率が13%という「失われた10年」に突入すると予想したのは61%。その他は、中国経済は「ハードランディング(硬着陸)」する可能性が最も高いと考えました。

 

 もちろん、これは科学的な調査ではありませんが、興味深いのは中国政府が「中程度から速いペース」の成長(すなわち6.5%以上)を確保するという約束を果たせるかどうか考えた人は1人もいなかったとみられることです。

 

 昔ながらのブルが事実上絶滅したとするならば、習近平国家主席をトップとする中国指導部が経済改革に専念していないのではとの疑念が広がっていることが主な理由です。

 

 むしろ、習主席は腐敗撲滅運動や国内の反体制派の弾圧、メディアの操縦、治安当局に対するコントロール強化、南シナ海での米国との覇権争いに力を入れているように見えます。

 

 皮肉なことに、CFRのワークショップでハードランディングを予想した人たちは、楽観シナリオの最も有力な論理的根拠を持っていたかもしれません。CFRのフェロー、マイケル・レビ氏によると、彼らは経済がどん底に落ち込むことで指導部は動かざるを得なくなり、「中国は良い方向に向かう」と考えていました。

 

 これは重要なことです。なぜなら、ローレンス・サマーズ元米財務長官が先ごろ書いたように、中国は過去数世紀で初めて「世界経済から受けるのと同じくらい大きな影響を世界経済に与える」ようになっているからです。サマーズ氏は、数十年にわたり驚くべき成長を遂げてきた中国経済が「平均ペースに戻る」のは避けられないとみています。つまり、中国の経済成長率は平均並みとなり、他の国々と共に2%前後で推移するという見通しです。

 

 中国政府は今年の経済成長率目標を6.57%に設定しています。昨年の成長率は6.9%と、四半世紀ぶりの低水準に沈みましたが、エコノミストらはその数字について、ほぼ確実に水増しされていると指摘しています。

 

 ウォール街のヘッジファンドや国際的な金融機関、多国籍企業は、中国経済の減速に伴う世界的なコモディティー(商品)価格とエネルギー価格の急落による衝撃に耐えてきました。そして今、中国経済がさらに下振れした時(下振れした場合、ではない)に世界に及ぼす影響を見極めようとしています。

 

 国際通貨基金(IMF)は中国の経済成長率予測を徐々に引き下げており、来年は6%に低下すると予想しています。

 

 ある意味、景気減速は喜ぶべきこととも言えます。中国は、重工業と製造業がけん引する古い高度成長モデルによってもたらされる環境破壊や健康被害にもはや耐えられません。同モデルを維持するために、このまま急ピッチで企業債務を積み上げていく余裕もありません。

 

 また、エコノミストが指摘し続けているように、10兆ドル規模の世界2位の経済大国である中国は、経済成長が緩やかになっても大きな影響力があります。中国は現在、世界の経済成長の約3分の1を担っています。

 

 しかし重要な問題は、中国政府がある種の危機を引き起こして、世界経済をリセッション(景気後退)に傾けることなく、サービス業・消費主導型の成長モデルへの移行に伴う景気減速に対処できるかどうかです。

 

 米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は懸念を表明している1人です。利上げペースを落とす根拠を説明した際に、特に中国の景気減速がもたらすリスクに言及しました。 

 

 他の米国のシンクタンクも同様に懸念しています。戦略国際問題研究所のマシュー・グッドマン氏らは、緩やかな成長が続くというのが依然として最も可能性の高いシナリオだが、「世界はもはやハードランディングのリスクを無視できない」と書いています。

 

 また、中国で政治的緊張が高まっている中で、「最も確実なのは、中国の経済成長率は今後も期待を裏切るものになるということだ」と付け加えました。

 

 少なくとも西側諸国では、中国経済の見通しについて悲観論が主流となっています。または、CFRのレビ氏が言うように、46%の成長率なら「上出来」とされています。

 

 ベアはようやく脚光を浴びるようになりました。そして、パーマベアのうなり声のせいで、イエレン議長などの中央銀行関係者は夜も眠れずにいます。(ソースWSJ

2016年4月10日 (日)

香港と「パナマ文書」、知っておくべき5つのこと!

世界の各メディアの報道によると、パナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」から流出したとされる資料の非常に多くで香港に関する言及がありました。

 

 流出した資料の内容についてウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)はまだ独自では検証していませんが、そこでは富裕層や企業が秘密のオフショア会社をどのように利用していたかが示されています。モサック・フォンセカはいかなる不正行為についても否定しています。

 

 香港と「パナマ文書」について知っておくべき5つの項目を以下に挙げました。

 

1.  モサック・フォンセカにとって最も忙しい場所は香港

 

 「国際調査報道ジャーナリスト連合」(ICIJ)によると、約40年にわたり、モサック・フォンセカは他の管轄地域のどこよりも多く、香港で銀行や法律事務所などと仕事をしていた。ICIJは流出したとされる約1100万の資料の検証に当たった。

 

 ICIJのデータによると、2015年末時点で、モサック・フォンセカが手数料を得ていた企業の29%が香港と中国の事務所を通じて法人組織を立ち上げていました。

 

 香港の税務当局はコメントを求める要請に返答しませんでした。中国税務当局のメディア対応担当はコメントを求めると電話を切りました。

 

2.  資料では複数の著名な中国人に言及

 

 急速な経済成長によって国民の所得が増加した中国。ボストン・コンサルティング・グループによれば、現在では富豪の数は米国に次いで世界で2番目に多い国です。

 

 中国の個人や企業は、人民元安や政府による汚職撲滅に危機感を募らせ、資産を国外に移動する動きを加速させています。

 

 複数の報道によると、流出した資料には、習近平国家主席の義理の兄弟をはじめ複数の著名な中国人がオフショア企業の取締役や株主として取りざたされています。

 

 中国の法律は国民がオフショア企業に投資することを禁じていませんが、今回の報道で、汚職撲滅の取り組みに対する不信感が高まる可能性があります。

 

3.  アジア最大の不動産開発業者についても言及

 

 英紙ガーディアンの報道によると、香港市場に上場する新鴻基地産(サンフンカイ・プロパティーズ)は2012年にモサック・フォンセカに対し、幹部が管理する英領バージン諸島のペーパーカンパニーを解散するよう要請しました。

 

 この幹部、陳鋸源(トーマス・チャン)氏は、新鴻基地産の共同会長だった郭炳江(トーマス・クオック)氏と香港高官の間を贈収賄を仲介したとして2014年に禁錮6年の刑を言い渡され、郭氏には禁固5年の刑が言い渡されました。陳氏からのコメントは得られていません。新鴻基地産の広報担当者は、オフショア企業に関する法律を常に順守してきたと説明しました。

 

4.  中国の法律が香港のオフショア活動促進に一役

 

 豪グリフィス大学のジェーソン・シャーマン教授は、オフショア会社の設置にからむ香港企業が非常に多い理由の一つは、中国国民が自国の司法制度への信頼を欠いているためだと指摘しています。

 

 オフショア会社を通して不動産を所有する富裕層は、プライバシーやセキュリティーといった合法的な理由のほか、資本の国外流出に関する中国の厳しい制限を回避しようとしている可能性があります。

 

 また、特定産業で外資を制限する中国の規制のため、企業がオフショア持ち株会社を設置している可能性もある。例えば、14年にニューヨーク証券取引所に上場した電子商取引最大手の阿里巴巴集団(アリババグループ)はケイマン諸島を登記地としています。

 

5.  香港への影響はまだ不明

 

 パナマ文書の影響はアイスランドをはじめ一部の国に広がっていますが、香港への影響は現時点では不明です。現地報道によると、一部当局者は香港は規制のしっかりとした金融センターだと強調し、マネーロンダリング(資金洗浄)の懸念を一蹴しました。

 

 研究者やコンサルタントらは、オフショア会社の設置には多くの正当な理由が存在すると指摘。香港には世界の主要金融センターと比べて、汚職の可能性を伴うより大きな問題はなさそうだと強調しています。(ソースWSJ

2016年4月 9日 (土)

トランプ氏、全国大会前の過半数確保は困難!

米大統領選の共和党候補指名争いで、トップを走る不動産王ドナルド・トランプ氏は5日に行われるウィスコンシン州予備選では負けると予想されています。そうなれば、7月の共和党全国大会前に同氏の獲得代議員数が、指名を得るのに必要な過半数の1237人に達する可能性はますます狭まることになります。

 

 これまで行われた同党の予備選・党員集会のうち、ノースダコタ、コロラド、ワイオミングの各州の代議員およびペンシルベニア州の代議員71人のうち54人は、特定の候補を支持する必要のない非拘束代議員。このため、ウォール・ストリート・ジャーナル紙の分析によれば、トランプ氏が党大会で第1回の投票で指名を確実にするためには、残りの州の予備選で、特定候補を支持する必要のある拘束代議員の約70%を確保しなければなりません。ウィスコンシン州の結果に関係なく、予備選が終了する67日までに、同氏が指名を確定するのは不可能とみられています。

 

 テッド・クルーズ上院議員(テキサス州)は、ウィスコンシン州で42人の代議員を得たとしても、拘束代議員数が党大会までに過半数に届くことはありません。クルーズ氏が党大会の第1回投票で指名を得るには、残りの州を勝ち続け、特定候補を支持する必要のない代議員、さらにはすでに指名争いから撤退した候補に投票した代議員からの支持を得る必要があります。予備選で脱落した候補の代議員の一部は、第1回投票から自由に投票できます。

 

 トランプ氏は、現在736人の代議員を確保していますが、残りの拘束代議員のうち66%を獲得しなければ、党大会前に決着はつけられません。クルーズ氏の場合は、代議員数は463人で、残りの拘束代議員の全員を獲得したとしても過半数には達しません。ただクルーズ陣営は、非拘束代議員や撤退候補の代議員から支持を得られると見込んでいます。ジョン・ケーシック・オハイオ州知事は獲得代議員が143人で、党大会で複数回の投票が行われない限り、指名候補に選ばれることはありません。

 

 クルーズ氏は、ウィスコンシン州で勝利すれば、31日のテキサス、オクラホマの両州予備選以来の勝利を手にすることになります。しかし419日のニューヨーク州、426日のその他の北東部5州のいずれの予備選も、トランプ氏が優勢とみられています。クルーズ氏は2日ウィスコンシン州アッシュワベノンで記者団に対し、「党大会での決着となれば、私は非常に有利となると思う」と述べ、党大会で複数回の投票に持ち込めば勝利を収められると自信を示しました。

 

 これに対しトランプ陣営の首席ストラテジストであるエド・ブルックオーバー氏は、「われわれの予測では、トランプ氏はコロラド、ワイオミング、ノースダコタ、ウィスコンシンの各州で獲得代議員がゼロであっても、最終的には過半数の1237人に届く」とする一方、「クルーズ氏はウィスコンシン州で圧勝しなければならず、トランプ氏が党大会の第1回投票で過半数を確保できないというのは幻想である」と語っています。

 

 ブルックオーバー氏によれば、トランプ陣営はニューヨーク州予備選で95人の代議員のうち8589人を確保して、その他北東部州で大勝し、カリフォルニア州で172人の代議員のうち少なくとも3分の2を奪取すると想定しています。同氏はまた、第1回投票で指名を得るのに、ネブラスカ、モンタナ、サウスダコタの各州の代議員から支持を得る必要はないとしています。一方クルーズ陣営は、ブルックオーバー氏の予測は、北東部諸州やカリフォルニア州の情勢分析があまりに楽観的過ぎると反ばくしています。

 

 最新の世論調査によると、ウィスコンシン州予備選ではトランプ氏は最大で6人の代議員を獲得すると予想されていますが、同氏が同州でそれ以上に健闘し、残りのすべての予備選で代議員全員を確保したとしても、過半数に到達できるのはカリフォルニア、モンタナ、ニュージャージー、ニューメキシコ、サウスダコタの各州の予備選が行われる67日になります。(ソースWSJ

2016年4月 8日 (金)

新興国市場の回復は本物か!

国際金融協会(IIF)によると、新興諸国の株式や債券は3月に急伸し、月間の資金流入額は約2年ぶりの高水準に達したそうです。新興国市場は7カ月にわたって資金流出に見舞われた後、2月には流入が徐々に再開しました。

 

 IIFによれば、3月はブラジル株式市場への資金流入が特に顕著でした。魅力的なバリュエーションと政治の変革への期待が背景となっています。また、大幅に売り込まれていた韓国の株式にも投資家需要が戻ったと言います。

 

 JPモルガンのアジア・新興国株式担当チーフストラテジスト、エイドリアン・モワット氏は「新興国の株式でまずまずの利益を得られることにかなり満足している」とし、「ここでは間違いなく変化が生じている」と指摘しました。

 

しかし、新興国の投資利益は数年にわたって期待外れであり、今回の上昇も一時的なものにすぎないのでしょうか。

 

 さまざまな要素がその答えを方向付けるでしょう。米連邦準備制度理事会(FRB)はこれまで示唆した通り、年内に2回利上げするのか。ドルはどの程度上昇するのか。原油やその他商品(コモディティー)の相場の先行きはどうか。そして人民元相場を含め、中国からどのようなサプライズが出るのか。

 

 投資家はこのほか、それぞれの新興国における政治的・経済的課題も考慮に入れるでしょう。例えばブラジルではリセッション(景気後退)の深刻化が見込まれており、汚職スキャンダルが拡大する中、ルセフ大統領は弾劾手続きに直面しています。

 

 ナティクシス・アセット・マネジメントの新興国債券担当マネジャー、ブリジット・ルブリ氏はブラジルの政治的混乱について、「非常に困難な状況が続くだろう」との見方を示し、同市場へ参入する前に「具体的な何かを確認する必要がある」と語っています。

 

 新興国の株式は、FRBが量的緩和の縮小を示唆した2013年以来、数年にわたり停滞しています。5年前に新興国株へ投資した100ドルは、現在の価値が95ドルを下回っています。一方、先進国株のベンチマークに同じ額を投資していれば、現在の価値は135ドル近くに増えていたといいます。

 

 年初来2.6%高という新興国株のパフォーマンスは、他の株式市場の大半を上回っています。今年これまでのところ、米SP500種指数は0.5%高、欧州主要企業600社で構成するStoxx600指数は8.9%安となっています。新興国の株式は15年まで、3年連続で大幅下落していました。

 

 IIFによると、新興諸国の株式や債券に3月は推定総額368億ドル(約41500億円)の資金が流入しました。これは19カ月ぶりの高水準となっています。コモディティー相場が今年に入って反発し、FRBがゆっくり利上げを進めるとの見方が強まる中、新興国市場に投資家が戻ってきたのです。

 

 ベアリング・アセット・マネジメントのマルチアセット・ファンドマネジャー、キエム・ドー氏は、イエレンFRB議長は今月利上げを見送ったことにより「世界に和平を申し出た」形だと述べました。東南アジアを含む新興国の中央銀行はこれで資本流出をあまり心配せずに利下げすることができると言います。

 

 しかし、こうした動きはやや直観と相いれません。というのも、FRBが今月利上げを見送った背景には、世界経済の成長の弱さや金融市場の変動に対する懸念もあったからです。

 

 新興国に見られる上昇相場は国によってばらつきがあります。インドと中国の株式相場は低迷していますが、南米や比較的規模の小さいアジア諸国(タイやインドネシアなど)の株価は急伸しています。ブラジル株は国内政治の混乱をよそに、年初来約26%高を記録しているのです。

 

 新興国市場の反発で株価は割高になりましたが、株価収益率でみるバリュエーションは今も、08年の世界金融危機や199798年のアジア金融危機につけた最低水準に近いのです。新興国は経済成長率の低さや高水準に上るドル建て債務に苦しめられています。米国の金利上昇に伴い、一部の新興国はドル建て債務の返済が難しくなるとみられています。

 

 JPモルガンのモワット氏は「この相場上昇が持続可能かどうかは、一つの重要な要素で決まるだろう。それは、新興国株が妥当な収益の伸びを実現できるかどうかだ」と述べています。(ソースWSJ

2016年4月 7日 (木)

テスラの「モデル3」、24時間で11.5万台超受注!

 米電気自動車メーカーのテスラ・モーターズのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、新型車「モデル3」の受注台数が24時間で115000台を超えたことを明らかにしました。予想を上回るペースとしています。

 

 マスク氏は331日夜にロサンゼルス近郊で開いたイベントでモデル3を披露。1回の充電の航続距離は215マイル(約340キロメートル)以上で、大人5人が楽に乗ることができると説明しました。

 

 会場は熱心なファンとオーナーでいっぱいで、その中でマスク氏は、モデル3の基本モデルでも停止状態から60秒以内に時速60マイルに加速できると述べました。

 

 モデル3の最低価格は約35000ドル(約390万円)で、2017年に発売される予定。マスク氏は、最高の安全性能評価が得られるとの見通しを示し、「来年発売できると確信している」と笑いながら語りました。テスラはこれまで新製品の発売が予定より遅れています。

 

 モデル3の発売は、年間販売台数を最終的に50万台に引き上げるというマスク氏の計画が資金難に直面することを懸念するアナリストや投資家の注目を浴びています。テスラが赤字を食い止め、キャッシュフローをプラスにするには、モデル3を予定通りに発売することが極めて重要です。(ソースWSJ

2016年4月 6日 (水)

サクラの故郷は日本か中国か、企業の広告が物議!

春が到来し、木々の花が開き始めています。そして、例年のことながら、植物の起源をめぐる歴史的な遺恨試合が今年も始まっています。

 

 日中関係は、第2次世界大戦の遺産から領有権をめぐる争いまで多岐にわたって緊張してきました。今ではそれに桜の花論争が加わっています。

 

 桜は長い間、日本の象徴のように扱われてきましたが、中国の熱狂的な桜ファンがこれに反論しています。今月、東京・渋谷のビルにあるスクリーンに中国の桜を宣伝する広告が登場したのです。中国内陸部の武漢市の企業がこの広告費用を出しました。

 

 この広告には「世界の桜の故郷である武漢に来て鑑賞を」とあり、武漢大学のサクラをPRしています。この画像が今月、ソーシャルメディアで話題になりました。

 

 この広告をめぐる報道を受けて、中国ではネットでの議論が活発になり、ここ数日はソーシャルメディアで関連投稿の閲覧数は約1100万に達しました。武漢大学の桜は有名で、同校は花見シーズンには訪問者数を制限する必要に迫られているほどです。

 

 広告主である国有ネット金融企業Hanjin Bankは今回の広告について、ウォール・ストリート・ジャーナルに対し、武漢のイメージとともに、企業イメージも高めるために出したと回答しました。同社は、「桜の花は武漢の観光にとって新たな呼び物だ」とし、「桜を最も愛する国民である日本人に桜を宣伝することで注目を集めることを期待している」と説明しました。

 

 桜の由来ははっきりせず、ヒマラヤ山脈を起源とすると考えている学者たちもいます。

 

 中国桜花産業協会の何宗儒会長は、桜の起源が中国だと強く確信している一人です。同協会はサクランボ産業に関連する企業からなっています。

 

 会長は、貧しかった中国はかつてはリンゴなど利益につながるような木を好んでいたと指摘。「しかし、今では富裕になり、われわれはチャイニーズドリームを追求している。桜の花は中国ルネサンスの一例となり得る」と語りました。同会長はまた、桜の木の栽培を促進する企業、Trendseeの会長も務めています。

 

 桜の起源をめぐる論争は別として、桜の花にまつわる歴史的な論争はさまざまあります。Trendseeの研究グループの副責任者は、中国での桜の花の一般的な認識は、戦時中の敵国である日本との負の関係に引き続き損なわれているとの見方を示しています。同社の研究グループは独自に深紅色の花を開発しようと決めたといいます。「チャイナレッド」と呼ぶ色で、中国で幸運の印とみなされる色です。

 

 同副責任者は「中国独自の品種を開発できれば、日本の桜の花は必要なくなる」とし、「これこそ日本に抵抗するとともに、愛国的な真の方法だ」と続けました。

 

 桜論争にかかわっているのは中国だけではありません。昨春は韓国メディアが特定の種類の桜の木は韓国が起源だと主張し、日本のネット上などで激しい反論が飛び交ったのです。(ソースWSJ

2016年4月 5日 (火)

9.7インチiPad Pro、PCに取って代われるか!

米アップルは先週、新しい9.7インチのタブレット端末「iPad Pro(アイパッド・プロ)」を発表した際、大胆な主張を展開した。マーケティング担当フィル・シラー上級副社長は、現在発売から5年以上たつウィンドウズ搭載パソコン(PC)を使用している6億人の消費者は、この新型アイパッドを「PCに代わる究極の製品」とみなすだろうと述べた。

 

 価格はタブレット本体が600ドル(日本では66800円)で、キーボード付きケースが150ドル(日本では16800円)。合計するとアップルの過去最安の「ノートPC」と同程度だ。

 

100ドルの「Apple Pencil(アップル・ペンシル)」はアイパッド・プロを究極のメモ端末に変えてくれる ENLARGE

100ドルの「Apple Pencil(アップル・ペンシル)」はアイパッド・プロを究極のメモ端末に変えてくれる PHOTO: DREW EVANS/THE WALL STREET JOURNAL

 新型アイパッド・プロは昨年11月に発売された900ドルの12.9インチのアイパッド・プロとは位置づけが異なり、価格面でウィンドウズ・ノートPCの中位機種に真っ向から対抗する製品だ。

 

 そこで筆者はアップルの挑戦を受けて立つことにした。新型アイパッド・プロを米デルの600ドル、11.6インチのノートPCInspiron(インスパイロン)」と東芝の430ドルの「Chromebook(クロームブック) 13」と比較してみた。その結果、新型アイパッド・プロは多くの一般的なPC作業をこなせるものの、使い勝手や快適さで大幅な妥協が必要な場合があると感じた。

 

 PCに代わる究極の製品が本当のノートPCであることに依然変わりはないが、アイパッド・プロの長所はノートPCの従来のコンピューティング面での短所を補って余りある。

 

iPad Proで事足りるとき

 

 新型アイパッドが旧型アイパッドよりも優れているのは明らかだ。しかし意外なことに、メモを取ったり、ウェブを閲覧したり、音楽を聴いたり、ビデオ電話をしたりといった基本的な作業については、アイパッド・プロは大半のノートPCと比較しても優れている。アイパッド・プロはトースターのトレーほどのサイズで常時電源をオンにしておける上、サイズが2倍ほどのノートPCと比べて処理速度が2倍だ。

 

アイパッドに初めてローズゴールドが加わった ENLARGE

アイパッドに初めてローズゴールドが加わった PHOTO: DREW EVANS/THE WALL STREET JOURNAL

 アップルの「A9X」プロセッサーと2ギガバイトのRAMが搭載されたiPad Proは、ウィンドウズ10と「Core(コア) i3」プロセッサー搭載のデルのノートPCよりも、ウェブ閲覧や複数のブラウザータブの処理が高速だった。それに比べ、アイパッド・プロにほぼ匹敵するマイクロソフトの500ドルの「Surface(サーフェス) 3」は処理が遅く、バッテリーの持ちも悪かった。一方、東芝のクロームブックはアイパッド・プロと同じくらいスクロールや複数のタブの処理がスムーズだった。

 

 新型アイパッド・プロの9.7インチのディスプレーは、よりサイズが大きいノートPCと並べると小さく見えるが、画質が鮮明で目にもやさしい。新たに採用された「True Tone(トゥルートーン)」ディスプレーは、光の具合によって青みを抑え白い紙のような色合いに調整してくれるため、電子書籍を読んだり、メールをチェックしたりするのにいい。

 

 重さ500グラム弱の新型アイパッド・プロはクアッドスピーカーも、重さ約1.4キロのデルと東芝のいずれのノートPCよりも音が大きく、豊かだった。また、前面のカメラはビデオ電話の映像がデルのウェブカムよりも鮮明だった。

 

新たに採用された「True Tone(トゥルートーン)」ディスプレーは青みを抑え、より自然に見せてくれる ENLARGE

新たに採用された「True Tone(トゥルートーン)」ディスプレーは青みを抑え、より自然に見せてくれる PHOTO: DREW EVANS/THE WALL STREET JOURNAL

 さらに、アイパッド・プロは再起動が不要で、バッテリー駆動時間も長い。筆者はアイパッド・プロで約7時間作業することができた。画面輝度を約65%に設定し、ウェブサイトを次々に閲覧するバッテリーテストを行ったところ、8.5時間とデルと東芝のノートPCよりも1時間長く持った(アップルのノートPCMackBook Air(マックブック・エア)」よりは2時間短かった)。ただし、アイパッド・プロをタブレットではなくノートPCと位置づけたいのなら、充電端子の位置を変える必要がある。画面の真横からケーブルが突き出た状態で作業してみればその必要性が分かるだろう。

 

 100ドル(日本では11800円)の純正スタイラス「Pencil(ペンシル)」は、アイパッドを素晴らしいメモ帳へと変えてくれる。大型のアイパッド・プロと異なり、9.7インチのスクリーンは会議でメモを取るときに腕にちょうどいい具合に収まる。

 

本当のノートPCが必要なとき

 

 こうした数々の長所があるとはいえ、アイパッド・プロには1つ大きな問題がある。操作が処理に追いつかないことだ。つまり、純粋な処理性能は高いものの、より多くの作業を簡単かつ快適にこなすのに必要なツール――本当のノートPCでは当たり前とされているツール――が不足しているのだ。

 

アップルの使い勝手の悪いキーボード ENLARGE

アップルの使い勝手の悪いキーボード PHOTO: DREW EVANS / THE WALL STREET JOURNAL

 9.7インチのスクリーンに合うよう設計された窮屈な「Smart Keyboard(スマート・キーボード)」は、入力の際に肘を締めなければならず、飛行機で両側を挟まれた席に座っている気分になる。しかも、暗い場所での作業に不可欠なバックライトがない。スクリーンは1つの角度にしか調整できず、膝の上に載せて使おうとすると落ちてしまう。

 

 ハードウエアの難点はこれだけではない。デルの600ドルのノートPCはストレージが128ギガあるが、アイパッド・プロはわずか32ギガだ。256ギガのモデルもあるが、価格は900ドル(日本では102800円)する。また、USB端子が3つあるデルや東芝のノートPCと異なり、アイパッド・プロにはUSB端子が1つもない。妥協策の1つは、イーサネットアダプターやマイク、USBハブを接続できるアップルの40ドル (日本では4500円)の「Lightning(ライトニング) - USB 3カメラアダプタ」を使うことだ。

 

 すぐに解決できそうにない問題の1つがiOSだ。画面に異なるアプリを2つ並べて表示することはできるが、マルチタスクの実現にはまだ時間がかかりそうだ。例えば、「Safari(サファリ)」ブラウザーの2つのページや「Word(ワード)」アプリの2つのドキュメントなど、同じアプリのウィンドウを2つ並べて表示することはできず、「Google Docs(グーグル・ドックス)」など多くのアプリがそうした機能をサポートしていない。クロームブックやウィンドウズ・ノートPCの方が、絶えず画面にタッチすることなくアプリやウィンドウを簡単に並べ替えることができ、作業がずっと速かった。指よりもトラックパッドの方がたやすいケースは多々ある。

 

iOS 9では、異なるアプリを2つ並べて表示することはできるが、同じアプリの2つのウィンドウを並べて表示することはできない ENLARGE

iOS 9では、異なるアプリを2つ並べて表示することはできるが、同じアプリの2つのウィンドウを並べて表示することはできない PHOTO: DREW EVANS/THE WALL STREET JOURNAL

 ファイル管理機能の不足も、もう1つの大きな障害だ。従来のノートPCでは、どこにどのドキュメントがあるか、どのように保存、検索、共有すればいいかが分かっている。iOSの場合、「PowerPoint(パワーポイント)」のプレゼンテーション資料を電子メールで送ろうとしたところ、「メール」アプリでただ添付すればいいというわけにはいかなかった。まずパワーポイントを開き、送信するドキュメントを探し、「共有」ボタンを押してアップルのメール・アプリに送る必要がある。

 

 アイパッド・プロのiOSは、「プロ」と呼ぶには単純にあまりにもモバイルOSに近すぎる。結論を言えば、アップルはモバイル端末とデスクトップシステムのほどよい妥協点を見いだす必要がある。

 

 手持ちのノートPC9.7インチのアイパッド・プロに置き換えられるかと聞かれれば、イエスと答える。しかし、ノートPCに代わる「究極の」製品かと聞かれれば、ノーだ。アイパッド・プロはノートPCよりも手軽で万能で持ち運びやすい別の種類のコンピューターだ。しかし、本当のノートPCは従来の作業をもっと手早くこなすことができる。少なくとも、今のところはそうだ。(ソースWSJ

2016年4月 4日 (月)

アップルが逃している黄金の商機!

米アップルのマーケティング担当フィル・シラー上級副社長は先週、タブレット型端末「iPad Pro(アイパッド・プロ)」新機種はいまだに古いパソコンを使っている人々をターゲットにしていると発言し、パソコン業界の残留兵に一斉攻撃を浴びせました。これは素晴らしい考えです。5年以上前のパソコンを使っている6億人のユーザーにアイパッドが雨のように降り注ぐ様子を想像してみてください。

 

 とはいえ、アップルのアイパッド・プロがその期待にこたえられるかどうかは、少なくとも現時点では不透明です。ひとつには、アイパッド・プロは、それをパソコンのように操作するために必要不可欠な機能を備えていないことが挙げられます。最も重要なのはマウス、あるいはタッチパッドです。2つめの理由は、アップルが業務支援ソフトの開発者がアップストアを通じて稼ぐことを必要以上に困難にしていることです。そのためアイパッド・プロの実用性が損なわれているのです。

 

 競合の米グーグルと米マイクロソフトがタブレットとしても、パソコンとしても利用可能なハイブリッド型の端末を競って開発するなか、アップルはスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」で先鞭を付けたタッチパネル式の端末市場を独占するという黄金の機会を逃しています。

 

 パソコンの販売高は減少の一途をたどっているものの、それでもまだ大きな市場ではあります。昨年は主に法人向けに約28000万台が販売されました。

 

 しかし、アイパッド・プロはノート型パソコンの代わりにはなりにくいのです。アップルの幹部は以前これに反論しましたが、パソコンとして「実務」をこなす上でアイパッド・プロが抱えている欠点は致命的です。

 

 20141月に競合他社がタッチパネル式のスクリーンを備えたパソコンを市場に投入した際、アップルのソフトウエア・エンジニアリングの責任者、クレイグ・フェデリギ氏は同社製品の見本市「マックワールド」でこう述べました。「ハードウエアにタッチパネルを搭載するのは容易だが、それは(ユーザーにとって)良い体験になるだろうか。そうではないと思う」と。

 

 しかし、その1年半後、アップルはフェデリギ氏が批判したものに驚くほどよく似た製品を市場に投入しました。キーボード付きのタッチパネル式タブレットです。現状、アイパッド・プロに対する評価はまちまちです。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のIT(情報技術)コラムニスト、ジョアンナ・スターンはアイパッド・プロにタッチパッドがないことを嘆き、そのためにパソコン代わりとしては使いにくいと指摘しました。

 

 20159月期のアイパッドの販売高が、2年前のピーク時に比べ23%減となった2つめの理由は、アイフォーン成功のカギであったアプリの開発者に制約を課していることです。

 

 ウクライナを拠点にソフトを開発しているリードル社のマーケティング責任者、デニス・ザダノフ氏は「友人が『アップストアでカネを稼ぎたい』と言ってきたときには、思いとどまるように長い時間をかけて説得する」と話します。同社はアップストアが2008年にサービスを開始して以降、最もよく売れている生産性向上アプリを手掛けています。

 

 ザダノフ氏によると、アップルはアプリ開発者がユーザーと直接つながったり、ユーザーにアプリのアップグレード版を購入するよう促したりすることを困難にさせています。つまり、アプリ開発者はメーリングリストを通じてユーザーに通知することができないのです。メーリングリストはリピーターの確保や、他のソフトやサービスの提供に重要なツールです。

 

 その結果、リードルが2009年に初めて販売を開始したアプリは同社への忠誠度が非常に高いユーザーからすら追加的な利益を得ることができなかったといいます。同社によると、こうしたアプリの顧客生涯価値はわずか2ドルだといいます。

 

 ユーザーがよそで購入したソフトを補完する無料アプリを提供しているソフトウエアメーカーにとってはアップストアには利点があります。マイクロソフトのような大手なら特にそうです。ゲームメーカーであれば、アプリ内で追加機能やアップグレードを販売することができます。ただし、アップルには売上高の30%を支払わねばならなりません。

 

 アイパッドが直面している課題で克服できないものは何一つない。実のところ、アイパッドがパソコンに取って代われるかという質問は不適切かもしれません。タブレット端末の将来性は、アプリ開発者やユーザー、それにアップルがハードとソフトをうまく組み合わせることで初めて確かなものになるのです。しかも、これまでと完全に異なる方法で使えるように組み合わせることによってです。

 

 それがどんなイメージなのかを理解するために、これまでパソコンが使われてこなかった職場、建築現場を見てみましょう。建物の青写真を印刷された紙からアイパッドの画面表示に置き換えるアプリを手掛けるプラングリッド社が良い例です。プラングリッドの共同創業者で最高経営責任者(CEO)のトレイシー・ヤング氏は、建築現場にはタブレットが無理なくなじむと話します。

 

 また、同社のアプリは特定の機器に依存しません。タッチスクリーン搭載の平らな機器であれば、アイパッドであろうと、グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」搭載の機器であろうと、マイクロソフトのタブレット「サーフェス」であろうと対応可能です。

 

 業務支援ソフトがなかった時代のことを思い出すのは難しいですが、スプレッドシートやドキュメントやプレゼンテーション資料の作成は筆者たちの仕事ではありません。それらは仕事を完遂するための単なる道具にすぎないのです。機器類やインターフェースが進化するのに伴い、われわれは仕事をこなすための新たな、かつより直接的な方法を手に入れてきました。

 

 タブレット――そしてアップルが幸運であればアイパッド――が最終的には、ほぼすべてのパソコンに取って代わるだろうと筆者がいまだに考えるのはまさにそうした理由からです。しかし、5年前から使っている古いパソコンがすぐさまアイパッド・プロに置き換えられるという考えは甘いでしょう。(ソースWSJ) 

2016年4月 3日 (日)

尿で発電する技術、貧困地域を照らせるか!

世界の最も貧しい地域では、エネルギーが不足している。尿から電気を生み出す見通しに一部の科学者が色めき立っているのはこのためです。

 

 人間の排せつ物は、つまるところ、どのコミュニティーにも大量にあるものの1つです。また、研究により、微生物燃料電池(MFC)という装置を使い、少量の尿で少量の電気をつくれることが実証されました。平均的な人間は1日に1リットルから2リットル弱の尿を排出します。

 

 問題は、発電量がわずかな割に燃料電池のコストが高いことです。しかし、英国の研究チームが最近、発電量を増やしながらも、実験的な燃料電池のコストを抑える方法を考案しました。この結果、尿を発電源とする燃料電池は、大きさが約6.5平方センチメートル未満でコストが1.503ドル(約170340円)になりました。発電量は依然としてわずかですが、電池は数滴の尿で稼働するものであり、開発は正しい方向に向かっています。

 

 微生物燃料電池に注目が集まっているのは、自然に発生する微生物を使って室温で稼働し、しかも有害な廃棄物がほとんど出ないという理由からです。電池内の微生物は、尿に含まれる尿素などの有機物を分解することで電子を放出します。燃料電池はこの電子をアノード(電子が出て行く極)からカソード(電子を受け止める極)に流れる電流に変えることができます。

 

 アノードには反応速度を上げるためにプラチナが含まれていることがしばしばですが、英国の科学者チームは、炭素布とチタンワイヤーで代用することでコストを抑えられることを発見しました。チームはブドウ糖と卵のタンパク質(どちらも生ゴミに多い)でできた触媒も追加しました。電極の長さを2倍にしたところ発電量が10倍に増え、3つの小さな燃料電池を互いに重ねても同様に10倍になったといいます。

 

 ただ、これらの小さな装置がすぐにラスベガスの夜を照らせるようになるわけではありません。1個の燃料電池が2-3滴の尿で発電するのは、100万分の1ワット未満です。専門家の間には、発電量があまりにも少ないため、尿を使った燃料電池が普及することはないと見る向きもあります。ペンシルベニア州立大学の微生物燃料電池専門家、ブルース・ローガン氏は、「尿は発電源としての価値より、肥料としての価値の方が高いのではないかと思う」と話しています。同氏は英国チームの研究には参加していません。

 

 この技術を実世界で使えるほどスケールアップするのは、物理学の法則上難題ですが、論文の執筆者の1人であるイオアニス・イエロポロス氏は既に、尿を発電源とする燃料電池を多数使って携帯電話に電力を供給しているといいます。共同執筆者の1人であるミレラ・ディ・ロレンソ氏によると、現在努力を集中しているのは、より大きな燃料電池を作ることではなく、「電池の有効なミニチュア(小型)化と乗法化」の実現だといいます。同氏によれば、尿を発電源とする燃料電池は、他の再生可能燃料と競うことを目的としておらず、どこにでも普遍的にある廃棄物を使う目的で作られています。

 

 同チームは、この技術のおかげで、最終的には開発途上国の電気の全くない場所で小さな電気が提供できるようになるよう望んでいるといいます。(ソースWSJ

2016年4月 2日 (土)

原油安が景気浮揚に寄与していない理由!

今までの原油安による経済成長支援効果がこれほど小さいのはなぜなのでしょうか。これは経済に関わる大きな謎の一つです。原油と株式は現在、強い正の相関があります。本来ならこの逆、つまり負の相関が成立しなければおかしいのです。原油安は米国のような原油輸入国にとって減税と同じ効果を持つからです。

 

 国際通貨基金(IMF)の3人のエコノミストは興味深い理論を提示しています。原油が値下がりすると実際のインフレ率と期待インフレ率が低下し、ひいてはそれが通常は金利低下につながる、という理論です。ところが、大半の経済大国では金利はすでにゼロかゼロ近辺で、もう下げ余地はありません。期待インフレ率が低下する一方で名目金利が下がらなければ、名目金利からインフレ率を差し引いた実質金利は上昇し、「生産高や雇用の伸びが完全に抑えられてしまう可能性が極めて高い」というわけです。

 

 これと同じ理由から、中銀はデフレを懸念していれば、原油価格の上昇に利上げで対応することはしないでしょう。つまり、ひねった見方をすれば、原油高は「実質金利を抑えることで景気拡大効果をもたらし得る」ということです。

 

 昨年の市場動向はこの理論を裏付けています。原油価格が急落する中、債券の名目利回りが低水準にとどまる一方で実質利回りは上昇し、両利回りの差に相当する期待インフレ率は低下しました。今年は原油価格が持ち直し、実質利回りはやや低下しています。

 

 理論的には、原油価格が一度動いたからといってインフレ率に長期的な変化が起きることはないはずです。だが各種調査や物価連動債相場は、遠い先の期待インフレ率と原油価格の動きが強い相関関係にあることを示しています。これは市場のダイナミクス(力学)を反映しているのかもしれません。一方、中銀はコモディティー(国際商品)価格の下落によるディスインフレ効果を相殺できないのではないかという見方を織り込んでいる可能性もあります。日本銀行を特に悩ませてきたのがこの原油安のディスインフレ効果です。日銀は実際のインフレ率と期待インフレを押し上げるために積極的な量的緩和を進めてきましたが、エネルギー価格の下落が物価目標達成の障害となっているのです。

 

 原油安でも景気が上向かない背景は他にもあります。原油安が株価や経済成長を押し下げてきた理由の一つは、米国の原油生産量が以前よりもはるかに多いことです。米国は依然として原油輸入国ですが、シェールオイルの増産が著しく、原油価格が数年にわたり持続的に1バレル=100ドルを上回っていたため、シェールオイル企業によるジャンク債(投資不適格債)の発行が相次ぎ、産油量は急増しました。しかし原油価格の急落でこれらの企業は投資を大幅に削減し、デフォルト(債務不履行)が広がる可能性が高まりました。こうした経緯を踏まえると、原油とジャンク債の相場が強い相関関係にあることは説明が付くでしょう。企業による先物取引を用いた価格ヘッジの影響で、両者の相関はさらに強まった公算が大きいのです。

 

 さらに、ガソリン価格の下落が個人消費にプラスの影響を与えていることを示す証拠があります。ただ、設備投資の落ち込みを相殺するほど大きなものではありません。このところ債券の名目利回りが上向かない一方で実質利回りが低下しているという事実からは、債券市場がインフレ加速と成長低迷を見込んでいることがうかがえます。

 

 とはいえ、IMFのエコノミストらは原油価格が下落してもプラスの影響が全くないと主張しているわけではありません。金利がゼロ近辺にある場合、別の効果が発生すると言っているだけです。一般的には原油安には個人消費を押し上げる効果が期待できますが、現在はこのプラス作用が実質金利による景気押し下げ効果によって一部相殺されています。実質金利の影響がプラス効果を完全に消してしまうほど大きいかどうかははっきりしません。しかしこうした相殺効果の発生が、原油安でも従来のように景気回復が進まない理由と考えられます。

 

 IMFのエコノミストらは次のように結論付けています。原油価格の低迷により、企業や政府のデフォルトに加えて「インフレ期待のさらなる迷走」が進み、「ただでさえ神経質になっている金融市場を不安定にする恐れがある。そのような悪循環が起きる可能性を考えると、需要の後押しがなおさら喫緊に必要と言える」と。(ソースWSJ

2016年4月 1日 (金)

米企業利益率の低下、株価は影響逃れられるか!

米企業の利益率は圧力にさらされており、この状況はしばらく続きそうだ。株価にとって良い兆候ではない。

 

 米商務省は25日、201510-12月期の米企業利益を公表したが、好調と呼べるものではなかった。

 

 税引き後の総利益は前年同期比15%減と、各企業の情報に基づいて投資家が想定していた水準をはるかに下回った。ファクトセットによると、10-12月期のSP500種指数構成企業の1株当たり利益は、再編費用や株式報酬を除くプロフォーマ・ベースで3.6%減となっていた。

 

 こうした費用の少なくとも一部を反映したことが、商務省の公表値が大きく落ち込んだ主な要因だ。また、この統計は大手上場企業ではなく米国内で経営する中小規模の上場および非上場企業(外資系企業を含む)の利益が対象で、米企業が海外で稼いだ利益については除外している。そのため、米経済全体の利益をより正確に表す目安としてみられることが多い。

 

 さらに、商務省の統計はSP500企業のプロフォーマ利益に最近になってようやく表れ始めた利益率に対する圧力が、しばらく前には始まっていたことを示唆した。ファクトセットがまとめた10-12月期のSP500企業の売上高に対する利益の比率は10.1%と、7-9月期に記録した過去最高の10.4%からわずかに低下した。

 

 だが国内総収入に占める税引き後利益の割合(米経済全体の利益率の目安)は10-12月期に7.5%にとどまった。20134-6月期に10%のピークをつけて以来、低下傾向が続いている。

 

 この利益率指標の低下にはエネルギー企業の大幅赤字が反映されているが、それだけが要因ではない。

 

 まず、原油価格が急落する約1年前には利益率のピークがきていた。そして、商務省の統計ではエネルギー以外の業界の税引き前利益(税引き後利益は非公表)も低調だった。

 

 一方、労働者にとっては状況が上向きつつある。10-12月期の従業員給与は対GDP53.6%と、前年の52.8%から上昇した。50年平均の55.8%は依然として下回っているが、今後も上昇が続く可能性はある。

 

米企業の利益率は圧力にさらされており、この状況はしばらく続きそうです。株価にとって良い兆候ではありません。

 

 米商務省は25日、201510-12月期の米企業利益を公表しましたが、好調と呼べるものではありませんでした。

 

 税引き後の総利益は前年同期比15%減と、各企業の情報に基づいて投資家が想定していた水準をはるかに下回りました。ファクトセットによると、10-12月期のSP500種指数構成企業の1株当たり利益は、再編費用や株式報酬を除くプロフォーマ・ベースで3.6%減となっていました。

 

 こうした費用の少なくとも一部を反映したことが、商務省の公表値が大きく落ち込んだ主な要因です。また、この統計は大手上場企業ではなく米国内で経営する中小規模の上場および非上場企業(外資系企業を含む)の利益が対象で、米企業が海外で稼いだ利益については除外しています。そのため、米経済全体の利益をより正確に表す目安としてみられることが多いのです。

 

 さらに、商務省の統計はSP500企業のプロフォーマ利益に最近になってようやく表れ始めた利益率に対する圧力が、しばらく前には始まっていたことを示唆しました。ファクトセットがまとめた10-12月期のSP500企業の売上高に対する利益の比率は10.1%と、7-9月期に記録した過去最高の10.4%からわずかに低下しました。

 

 しかし国内総収入に占める税引き後利益の割合(米経済全体の利益率の目安)は10-12月期に7.5%にとどまりました。20134-6月期に10%のピークをつけて以来、低下傾向が続いています。

 

 この利益率指標の低下にはエネルギー企業の大幅赤字が反映されていますが、それだけが要因ではありません。

 

 まず、原油価格が急落する約1年前には利益率のピークがきていました。そして、商務省の統計ではエネルギー以外の業界の税引き前利益(税引き後利益は非公表)も低調だったのです。

 

 一方、労働者にとっては状況が上向きつつある。10-12月期の従業員給与は対GDP53.6%と、前年の52.8%から上昇しました。50年平均の55.8%は依然として下回っていますが、今後も上昇が続く可能性はある。

 

 労働市場の引き締まりは続いており、人材をめぐる競争激化を示唆するように離職の意向を示す人が増えています。よって、従業員の交渉力が高まり、企業は給与の引き上げを余儀なくされる可能性もあります。

 

 生産性が急速に上昇していればそれほど大きな問題ではないのですが、その傾向はみられていません。米労働省によると、10-12月期の就業1時間当たりの労働生産性は前年同期比でわずか0.5%の上昇にとどまっています。何年にもわたり設備投資を抑えている企業の生産性が急速に改善し、労働コストの上昇を埋め合わせる見込みも低いのです。

 

 従って、世界的な環境が改善しても、利益率はさらに圧迫されかねません。利益の回復はあまり期待できそうにありません。(ソースWSJ

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