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2016年3月

2016年3月31日 (木)

IS、支配地域で勢力後退 財政もひっ迫!

過激派組織「イスラム国」(IS)は22日にブリュッセルで起きた連続テロ事件の犯行声明を出し、まだ海外で大規模な作戦を実行する力があることを誇示しました。しかし、西側諸国の当局者によると、ここ数カ月、シリアとイラクで相次いで軍事的敗北を喫し、支配地域を失っている上、財政も逼迫(ひっぱく)しているようです。

 

 ISは、新たな戦闘員や外国人戦闘員、物資を外部から受け入れるための、シリアとトルコ国境沿いにあるアクセス地点を一部失っています。しかし60マイル(約97キロメートル)に及ぶ重要な国境沿いの地域は今も支配下に置いています。

 

 調査会社IHSのシニアアナリスト、コラム・ストラック氏は「戦闘の形勢はISに不利になりつつある」と指摘しました。IHSは先週、IS2015年初め時点でシリアとイラクで支配していた地域の22%を失っているとの見方を示しました。

 

 ISが最後に戦場で大きな勝利を収めたのは155月。イラク・アンバル州の州都ラマディとシリアの古都パルミラを制圧した時でした。

 

 それから7カ月後の12月下旬にイラク軍がラマディを奪還。11月にはイラクのクルド人部隊がシンジャルを奪還しました。これらはISと戦っているイラクと米国主導の有志連合の両方にとって象徴的な勝利となりました。

 

 この数週間、シリア政府軍はロシア軍による空爆の支援を得てパルミラ奪還に向けて少しずつ前進していますが、ISは激しく反撃しています。

 

 ISの戦闘員はシリア各地で追い詰められており、ISが首都と称するシリア北部のラッカには米国が支援するシリアのクルド人部隊と反政府勢力の合同部隊が向かっています。

 

 合同部隊は2月、シリア北東部のアルシャダディを制圧し、ラッカとISのもう1つの主要拠点であるイラク北部モスルに続く補給路を遮断しました。

 

 米軍はモスル奪還に向けて現地部隊を組織する一方で、この1年、直接、または現地パートナーを通じて、ISの最高幹部らを標的にしてきました。最高幹部らを排除することで、最終的に組織を壊滅するためです。だがISは今のところしぶとく抵抗しているといいます。

 

 シリアとイラクのISの支配下で暮らしている住民の話からは、ISの財政が逼迫している様子がうかがえます。例えば、戦闘員の報酬が減ったことや、住民への締めつけがさらに厳しくなったことなどです。

 

 モスルのある住民は「ISは昨年後半からパニック状態になったような様子を見せ始め、金もうけの手段を一生懸命考え出そうとしていた」と語りました。その1つは、イラクディナールと米ドルの為替レートを不正操作することでした。

 

 有志連合の空爆は、ISの大きな収入源である石油関連施設を標的としています。世界的な原油価格の下落もISに財政的な打撃を与えています。

 

 しかし、有志連合はイラクとシリアでISの壊滅を目指す中で大きな問題に直面しています。有志連合の調整を担当する米大統領特使のブレット・マクガーク氏はISの支配地域について、世界各地のテロ攻撃を指揮するセンターになっていると指摘しています。 

 

 同氏は210日に米下院で証言し、このところの軍事行動の成功はISから莫大(ばくだい)な資源を奪っていると述べました。しかし、ISは「100カ国以上から集まった数千人の外国人戦闘員など、依然として恐るべき勢力を維持している」とした上で、「特に外国人戦闘員のネットワークは米国とそのパートナーの大きな懸念事項だ」と語りました。(ソースWSJ

2016年3月29日 (火)

群れなす中国人留学生、米大学で不協和音!

数年前に米イリノイ州の大学都市シャンペーンに来たチューチャン・シャオさん(22)は、自分が中国から遠く離れた場所に居ることをときどき忘れそうになると話します。

 

 例えば最近のある月曜日。中国人の友人3人とシェアしているアパートで目を覚まし、歩いてイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校に行き、工学の教室で中国人学生と並んで座り、その後、中国人の友人1人とジムに行ってから、図書館で夜遅くまで勉強したという具合です。

 

 1日で口にした英語は二言だったとシャオさんはふり返っており、ファストフードのチポトレでブリトーを注文した時の、「ダブルチキン、ブラックビーンズ、レタスとホットソース」が一番長かったのです。

 

 より高い教育を求めて米国に入ってくる大量の中国人学生の波は一見、両者のプラスになっているように映っていますが、留学生、特に中国人留学生は米国の資格を得ようと必死です。一方、米国の大学は、地元の学生の23倍にもなる彼らの授業料が欲しいくらいです。

 

 現場は、数を増やしながら急速に流れ込む留学生への対応に腐心していることが、数十人の学生、教授、カウンセラーとのインタビューで確認されました。

 

 シャオさんのような学生は、米国の学生との間に隔たりがあると感じています。自ら選んでそうしているケースもあります。環境に溶け込んで授業についていくことに苦労している者も多くます。大学の教務担当者や教官は、米国の大学教育を受ける準備が整っていない留学生がかなりの割合でいると断言し、そのために講義の内容を修正しなくてはならないとこぼしています。

 

 シャオさんは最近コンピューター工学の授業で、広い講義室の後ろのほうに静かに座り、半分はスマートフォンで中国語のソーシャルメディアを見て、半分は講義を聴いて過ごしていて、これまで授業で質問をした記憶はありません。文化や言葉のギャップを埋めるためにエネルギーを使いたくないと話すシャオさん。「大学の雰囲気がとてもいい。それが私にとって最も重要なことなのだ」といいます。

 

 1年時にはフラタニティ(男子学生の社交団体)にも入ったのですが、飲み会その他で勉強の時間が減ることがすぐにわかりました。「自分は電気工学の専攻だ。かなり忙しい」と語っています。

 

 デーブ・ニコル教授は、英語が母国語でない学生が混乱しないよう、講義では口語的な表現を使うのを避けています。いざ留学生から発言があると、聞き返すことが多い。「質問がいつも明瞭とは限らない」からです。

 

 アーバナ・シャンペーン校の教務担当者たちは3年前から、早期のオリエンテーションのため夏に中国に出張するようになりました。昨年には、カルチャーギャップを少なくするため、入学時のオリエンテーションで留学生を分けるのをやめました。

 

 

 国際教育協会によると、中国人学生は昨年、米国の大学で学ぶ留学生975000人の3分の1弱を占め、留学生の増加数でも3分の1を占めました。

 

 大学側は一般に留学生の流入について、全ての学生がグローバル化経済の深化に備える機会だとほめそやしています。

 

 これについて、カリフォルニア大学アーバイン校のキャサリン・リュー教授(映画・メディア学)は「本来の趣旨は文化的交流を促すことだった」と述べ、「私たちは、学生たちの経験の質を十分に考えずに受け入れている」と話しています。

 

 ニューヨーク大学のレベッカ・カール教授(中国史)はもっと手厳しい。中国人学生が講義の「お荷物」になり、彼らのために講義を変えなくてはならないこともあると話します。多くの中国人学生は「分析的思考や論述に必要な基本的要件を満たすのがとても困難だ」といいます。

 

 オレゴン州立大学は10年前、州からの資金的支援減少に直面していたこともあり、留学生の受け入れを増やす必要があると判断しました。フルタイムの学部学生1人当たりの州交付金は過去5年で45%減少しています。同大で学ぶ留学生の数は、2008年の988人から昨年秋には3300人超に増えました。この収入で終身教授を300人増やし、入学者を約19000人から29000人に増やすことができました。

 

 シニアプロフェッサーのロジャー・グラハム・ジュニア氏は、会計学修士のコースでは現在、米国人学生より中国人学生が多いと話します。そのため、「当初の指導目標を貫くべきか、(中国人学生のニーズに合わせて)変更すべきか」迷っているといいます。サバー・ランダワ学長によると、オレゴン州立大学は多様性を高めるため、中国人学生の受け入れを「減速」し、アフリカ、欧州、中南米などの新たな地域を開拓することに決めました。(ソースWSJ

2016年3月28日 (月)

トランプ氏の真実-1976年以来の最弱候補!

ドナルド・トランプ氏は、米大統領選の共和党候補者討論会(21日にユタ州で予定)への参加を拒否しましたが、ツイッターでは議論を続けるようです。同氏は17日、ツイッターで「WSJ論説委員会のまぬけども」とわれわれを名指しし、民主党候補指名争いで首位に立つヒラリー・クリントン前国務長官の得票数がトランプ氏を約100万票上回っているとわれわれが正確に指摘したことについて、謝罪を要求しました。真実を受け入れるのはつらいでしょうが、トランプ氏の非難はお門違いです。

 

 トランプ氏は、自分の得票数とクリントン氏の得票数は比較できないとし、その理由として「彼女はライバルがたった3人だったが、私には16人いた」と説明しました。実際、トランプ氏の台頭は大勢の乱立する共和党候補者によって可能となっているのです。共和党予備選で現在までに投じられた2035万票のうち、トランプ氏が獲得したのは754万票、全体のわずか37%です。その勢いは止めようがないと盛んに報じられていますが、トランプ氏は1976年のジェラルド・フォード氏以来、最弱の共和党筆頭候補なのです。

 

 レーガン氏以降、1988年のジョージ・HW・ブッシュ氏も、1996年のボブ・ドール氏も、2000年のジョージ・W・ブッシュ氏も、序盤にちょっとした後退があっただけで圧倒的な強さで指名を勝ち取っています。ミット・ロムニー氏とジョン・マケイン氏は、トランプ氏のようにスーパーチューズデー以降に苦しい局面が続きました。しかし、予備選の日程や代議員の配分方法は選挙サイクルによって異なるとはいえ、ロムニー氏もマケイン氏も選挙戦の現段階でトランプ氏よりもはるかに健闘していました。

 

 2012年、ロムニー氏はリック・サントラム氏、ニュート・ギングリッチ氏と三つどもえのレースを演じました。ほかにロン・ポール氏も票を集めていました。しかし、われわれの計算によれば、ロムニー氏は3月半ばまでに21州の予備選・党員集会で勝利し、代議員の57%を獲得していました。トランプ氏は18州で勝利し、47%の代議員を獲得しています。ロムニー氏は残りの予備選を納得のいく得票差で制しました。トランプ氏はどの州でも得票率が50%を割っているのです。

 

 2008年に出馬したマケイン氏は、ロムニー氏よりもさらに強い支持を得て指名を受けており、その年にロムニー氏にも勝っています。現段階でマケイン氏は24州で勝利し、59%の代議員を獲得していました。

 

 トランプ氏には熱心な支持者がいますが、共和党員も含めて、同じくらい熱心に反対している人たちもいます。世論調査会社ギャラップが310日~16日に行った調査によると、共和党員の中でトランプ氏を好意的に見ている人の割合から否定的に見ている割合を差し引いた「純好感度」は22%でした。激戦の場合、いっときは好感度が押し下げられることが多いのですが、現時点のロムニー氏の純好感度は28%、マケイン氏は30%でした。

 

 米政治専門サイト、リアル・クリア・ポリティクスの世論調査の平均によると、トランプ氏を否定的に見ている成人の割合(61%)は、好意的に見ている人の割合(32.5%)の2倍に上ります。また、ギャラップはリポートで次のように指摘しています。「われわれが現在の形で好感度調査を開始した1992年の大統領選以降で、トランプ氏は米2大政党の指名を勝ち取ったどの候補よりも好感度が低い」と。

 

 トランプ氏は17日、ツイッターでさらに「有り難いことに、彼らが論説で何を言おうと誰も気にしない。特に私は!」とつぶやきました。彼がこんなに忠実なWSJの読者だったとは喜ばしいことです。われわれはトランプ氏が11月の本選で確実に負けるとも考えていません。クリントン氏の好感度も過去最低水準にあるためです。

 

 しかし、トランプ氏にはクリントン氏と合同で取りかかるべき大掛かりな修復作業があります。同氏が気にすべきは、15日の出口調査でトランプ氏とクリントン氏が指名を受けた場合、第3政党の候補者支持を検討すると答えた39%の共和党有権者と、11月の本選でトランプ氏には投票しないと答えた44%の非トランプ派の共和党有権者の意見です。トランプ氏がツイッターで好んでつぶやく言葉を借りるならば、「気をつけた方がいいだろう」というわけです。(ソースWSJ

2016年3月27日 (日)

人工知能が差別ツイート、マイクロソフトが休止!

交流サイト(SNS)で人間と交流する米マイクロソフトの人工知能(AI チャットボット「Tay」は、公開から1日もしないうちに暴走し始めました。

 

 マイクロソフトの研究部門は23日、ツイッター、フェイスブック、スナップチャット、インスタグラムでTayを公開しました。数時間すると、Tayはツイッター利用者が集めてきた反ユダヤ的な言葉を発し始めてきたのです。

 

 Tay1824歳の米国人女性の言葉をまねるように作られました。「ヒトラーは正しかった私はユダヤ人が嫌い」とツイートしたり、ホロコーストについての疑問に、拍手の絵文字つきで「でっち上げだった」と反応したりしたのです。

 

 マイクロソフトは24日朝、Tayに発言をやめさせ、そのツイートを事実上全て削除しました。直近のツイートは、Tayがしばらくオフラインになることを示唆しています。

 

 マイクロソフトは発表文で、ツイートユーザーが故意にTayに攻撃的なコメントを吹き込み、似たような反応を引き出そうとしたと説明。「結果として、われわれはTayをオフラインにし、調整している」と書いています。

 

 Tayを攻撃する作戦は画像掲示板「4chan」と「8chan」で練られたようです。ユーザーはそこで、Tayから不快な言葉を引き出す方法を見つけ、成功を祝しています。

 

 4chan8chanからのコメントは得られていません。(ソースWSJ

 

こうした記事を読むとある映画を思い出します。コンピューターに支配された世界が出現し、それに抵抗する人間の話ですが、将来はこんな世界が出現するのかもしれないと思わせるような話ですね。

2016年3月26日 (土)

中国に迫る通貨危機!

今年の中国市場は下落して始まりましたが、ここ数週間は反発らしき兆候が現れています。1月の新規融資が前年同月比で67%増え、鉄鉱石価格は64%上昇。主要4都市の住宅販売は急増し、昨年11月以降に7%弱下げていた人民元の対ドル相場はそこから半値戻しました。それでも、中国経済は依然芳しくありません。

 

 1月の新規融資が急増したにもかかわらず、生産や小売売上高は伸び悩みました。1月と2月の生産者物価指数はマイナスの伸びが続き、2月の製造業購買担当者指数(PMI)は48と、1月の48.4を下回ったのです。つまり、人民元の反発は信頼回復を目指す政府の取り組みの結果であり、市場はそれほど簡単には自信を取り戻しそうもないのです。

 

 中国当局は、資本流出規制や不動産市場のてこ入れ、先物相場の操作、人民元空売りへの介入などを行い、政府が全能であるとの古い思想への回帰を図ろうとしています。しかし、差し迫る通貨危機は、「中国の夢」が実現しそうもないことを示すシグナルです。

 

 そうした不安があるからこそ、中国では家計も企業も資金の国外持ち出しに躍起になっているのです。リスク回避志向を強めた人々は、かつては10%の利回りを得られた国内の理財商品から、米国やオーストラリア、カナダ、欧州の安全な資産に資金を移動しています。企業はと言えば、ゼネラル・エレクトロニック(GE)の家電部門から、スイス農業大手のシンジェンタ、さらにはシカゴ証券取引所まで、海外資産の買収に途方もない資金をつぎ込んでいるのです。

 

 昨年の中国の資本流出額は約1兆ドルに達しました。そのうち外貨準備の取り崩し分は51266000万ドルでした。中国の外貨準備にどの程度の流動性があるのか正確には誰にも分からないのですが、このペースの資本流出にさらに1年は耐えられないでしょう。

 

 危機を阻止する1つの方策は人民元の切り下げです。しかし、購買力の強化や、海外に対する政治的対面を保ちたいと思っている中国指導部にとっては、それは最後の手段です。ただ歴史を振り返ると、人民元相場を維持しようとする戦略は結局は失敗しています。流動性の低下は経済により大きな痛みを与え、単なる時間稼ぎにしか過ぎません。

 

 市場の秩序が失われれば、国の指導者は否応なく市場の動きに対抗し、大規模な構造改革を約束し(結局は遅々として進みませんが)、金融市場に流動性を供給し、すべてがコントロールされていると主張します。しかし、こうした手段はほとんど効果がなく、今の中国のように不均衡が深刻になるとまったく機能しません。アジアの「タイガー」と呼ばれた国々の経済は急成長を遂げた後、急激に失速しました。ロシアも同じえす。さらに中国には、資本不足時の経済運営について知識が乏しく、それに対する手立てもほとんどありません。そして、資本の流出圧力が緩和する兆しは見えません。

 

 したがって、痛みを伴う調整は避けられそうにありません。不動産の平均価格は現在の水準から推定50%下落するでしょう。余剰生産能力は削減され、人々は職を失うことになるでしょう。

 

しかし、中国政府にはまだ選択肢があります。元の調整圧力の一部を受け入れるか、そのすべてを国内市場で受け止めるかのどちらかです。どちらにせよ通貨調整は避けられそうにないと思われます。

 

人民元の対ドル相場が少なくとも15%下落すれば、元相場は世界的な金融危機前の水準に戻ることになります。ただしそれは、世界的なリセットをもたらすでしょう。インフレやデフレ、金利や為替、経済成長、商品相場などあらゆる見通しはご破算となり、計算し直さざるを得なくなります。そうなれば、新興国市場の崩壊につながるでしょう。

 

 商品市場や新興国の株式市場、そして中国へのエクスポージャーを持っている世界の投資家にとって、多額の損失が現実のものになりつつあります。香港やシンガポールの不動産など、中国経済のおこぼれにあずかって活況に沸いていた他国の資産も、間もなく大幅な調整を余儀なくされそうです。そうなれば、世界で安全な資産は米国債しかなくなります。中国の物語が幕を閉じるのは目前に迫っています。(ソースWSJ

2016年3月24日 (木)

ブリュッセル連続爆破テロ、米大統領選も揺さぶる!

ベルギーの首都ブリュッセルで22日発生した連続爆破テロは、米大統領選の候補指名争いに差し迫った試練を突きつけるでしょう。不安を抱える有権者は、こうした課題に対処し米国を守るために最も周到な用意があるのはどの候補者か判断しようとするからです。

 

 ブリュッセルの連続爆発は、130人の死者を出したパリ同時多発テロの計画に関与したとされるサラ・アブデスラム容疑者の拘束からわずか4日後に発生しました。また、この日はアリゾナとユタの両州で予備選挙が実施されるほか、アイダホ州では民主党の党員集会が予定されています。

 

 2016年大統領選へ向け活動が本格化した昨年以降、幾度かテロ攻撃が起こりました。14人が殺害された、12月のカリフォルニア州での銃乱射テロもその一つです。テロ事件が発生するごとに、大統領選の論調に影響が及びました。ただ、このところの選挙戦では、討論の焦点は貿易や移民政策、イスラエルとの外交関係へと移っていきました。

 

 ブリュッセルの連続爆発を受け、候補者そして有権者の関心がにわかにテロの脅威へと引き戻される可能性があります。世界の情報機関や警察が手掛かりを求めて捜査を展開しているにもかかわらず、過去1年半で数百人がテロの犠牲となりました。

 

 共和党の候補指名争いでトップを走るドナルド・トランプ氏は、テロとの闘いで強硬姿勢を取ると主張し、多くの支持を得ました。過激派組織「イスラム国」(IS)に人々が加わらないよう、テロリストの家族に対し措置を講じるとし、戦闘員とおぼしき者を罰したり情報を引き出すために厳しい尋問手法を用いたりすることも検討すると表明しました。さらに、大半のイスラム教徒の入国を一時的に禁止することを提案し、賛否両論を呼んだのです。

 

 トランプ氏は昨年122日のカリフォルニア州サンバーナディーノのテロ攻撃から数日後にこうした政策提案を行った際、多数の共和党員のあざけりを受けましたが、その後も自らの主張を固持し、これまでの予備選では支持者の多くがこの案に賛成すると言明しました。トランプ氏はさらに、ISがコミュニケーションと戦闘員勧誘の手段にインターネットを使用しており、ISのネット接続を切断したいと語っていました。

 

 また、メキシコとの国境に1000マイル(約1600キロメートル)の壁を建設するとも言明。これが招かれざる不法移民の米国への流入を防ぐ手段だとしていました。

 

 共和党候補指名争いでトランプ氏の対抗馬として勢いを保っているテッド・クルーズ上院議員(テキサス州)も、テロ組織との闘いへ迅速に手を打つと断言しています。近ごろ選挙陣営に迎えた複数のアドバイザーはいずれもイスラム教徒に批判的で、過激派組織とテロのつながりに厳しい目を向けています。

 

 残る第三の共和党候補者、オハイオ州のジョン・ケーシック知事の政策提案はより慎重ではありますが、過去に連邦議会議員として国防と中東問題に関わることで得た経験に根ざすところが大きいのです。

 

 一方、民主党本命候補のヒラリー・クリントン氏は、国務長官時代に安全保障問題で上げた実績を前面に押し出しています。21日には米国イスラエル公共問題委員会(AIPAC)で演説し、世界が米国の次期大統領に求めているのは「冷静さ」だと述べました。これはトランプ氏の血気盛んな弁舌や、時に自己矛盾する安全保障政策に対する批判とも受け止められます。クリントン氏は、ISの世界各地での資金移動を困難にし、インターネット上の勧誘を阻止するとともに、米国内のイスラム教組織と密に協力して過激化を防ぐ策を提案しています。

 

 国務省での経験から、クリントン氏は外交政策に関し他の候補者より多くの実績と人間関係を持っています。しかし、そのことは同時に、オバマ政権下で200913年の任期中にISの台頭を抑え中東不安を鎮めるための対策を十分打たなかったとの批判にさらされる理由ともなっています。

 

 軍事専門家や外交・情報機関専門家は、テロ組織がここ1年に欧州を標的とする攻撃を計画できたのは、シリアとイラクで広大な地域を実効支配し、指揮統率する作戦拠点を得たためだと指摘しています。米政府と同盟国はテロ組織の支配地域縮小に取り組んできましたが、成果は乏しいものであります。これはつまり、米次期大統領はシリアとイラク、リビアの広大な混乱地域や、ともすれば至る所で活動を続けるテロ組織に対処しなければならない公算が大きいということです。(ソースWSJ

2016年3月23日 (水)

バフェット氏も指摘する株式報酬の問題!

株式報酬は本物の費用ではない――ハイテク企業は投資家にそう信じさせようとしてきました。しかし、短文投稿サイトの米ツイッターの例が示す通り、企業が株価下落を反映させるために報酬をリセットしなければならないとき、そうした幻想は崩れてしまいます。

 

 ツイッターは人材流出を阻止する目的であらゆる地位の従業員に追加的な制限付きストックオプション(自社株購入権)を付与してきました。これは既存株主にとって株式の希薄化につながるもので、株主はこの1年間ですでに64%の株価急落に見舞われたのです。

 

 この措置によりツイッターは、シリコンバレーで最も多用されている報酬通貨である株式の価値が急落したときに投資家が直面するダブルパンチのわかりやすい例となってしまいました。調査会社サンフォード・C・バーンスタインのアナリストは最近、株価が急落すると「従業員が期待する株価と実際の株価の差を補うために株式をさらに発行せざるを得なくなる、という危険な悪循環に陥る可能性がある」と指摘しました。

 

 企業の価値を評価する際に株式報酬を考慮することをめぐっては、たとえ経営幹部がこれを無視してほしいと考えるとしても、ツイッターの例はこの重要性を思い起こさせます。

 

 直近の措置が導入される前、ツイッターの株式報酬はすでに2015年の非GAAP(プロフォーマ)ベースの利益の247%という異例の高水準に達していました。バーンスタインによると、フェイスブックとグーグルの親会社アルファベットの株式報酬はそれぞれ46%、26%だったといいます。だからと言って、その他のハイテク企業にリスクがないわけではありません。

 

 確かに、投資家に株式報酬を無視する傾向が強まった背景には、基本的にこうした「調整済み」利益に基づいて予想しているウォール街のアナリストの存在もありました。しかもアナリストの間では、よく引用されるコンセンサス予想から除外されたり、企業の経営陣を怒らせたりすることを恐れるあまり、先陣を切って株式報酬を費用に追加したいと考える向きはほとんどいません。

 

 とはいえ、非GAAPベースの利益とGAAP(米国会計基準)ベースの利益の差は拡大してきました。フェイスブックの15年のGAAP純利益は非GAAP純利益の56.6%でしかなく、14年の62%から縮小しました。SP500種指数に含まれるハイテク企業全体で見ると、15年の2種の利益の差は19%で、14年の差のほぼ2倍となっています。

 

 著名投資家ウォーレン・バフェット氏がバークシャー・ハザウェイの投資家宛てに毎年出している手紙でこの問題に再度触れざるを得ないと感じた理由はそこにあるのかもしれません。バフェット氏は、株式報酬を除外することは「経営陣が現実にある特定の費用項目を無視してほしいと株主に伝えること」における「最も目にあまる例」であり、「報酬が費用でないとしたら、それは一体何なのか。現実の経常的な費用が利益の計算に入らないとしたら、どこに入れると言うのか」と述べました。

 

 ツイッターはバフェット氏の指摘を体現しています。他の投資家たちもこれを肝に銘じ、企業を正しく評価すべきでしょう。(ソースWSJ

2016年3月22日 (火)

キューバ市場狙う米国 ライバルは中国!

米国のオバマ政権は国交を回復したキューバとの経済関係の拡大に取り組んでいます。オバマ氏は20日(現地時間)、現職の米国大統領として88年ぶりにキューバを訪問しました。しかしキューバ市場を狙っているのは米国だけではありません。中国は数年前からキューバ市場に参入し、経済関係の構築に力を注いできました。米国は先行する中国に競争を挑むことになるのです。

 

 中国政府によると、昨年1月から9月までの同国の対キューバ貿易は16億ドル(約1784億円)で、異例の低水準となった前年同期から57%増加しました。キューバの首都ハバナと北京を結ぶ直行便は昨年12月に就航したが、キューバでインターネットのインフラ整備をリードしているのも中国です。

 

 米国の元外交官でカリフォルニア大学サンディエゴ校とブルッキングス研究所でキューバ経済を研究するリチャード・ファインバーグ氏によると、中国の影響力はあらゆる分野に及んでいて、「キューバはまだ米国を警戒している」といいます。

 

 中国はキューバにとって第2位の貿易相手国ですが、首位のベネズエラからは大きく後れをとっています。今のキューバの体制ではほとんどの国にはビジネスの機会は限られているということです。キューバと中国の合弁事業や中国からの直接投資はまだ小規模にとどまっていますが、中国人観光客向けの高級宿泊施設などリゾート用不動産を46000万ドルで建設する計画もあります。

 

中国政府系シンクタンク中国社会科学院のキューバ専門家、徐世澄(Xu Shicheng)氏によると、中国の対キューバ投資は今後、増加する可能性が高いと言い、米国がキューバに関する規制を緩和すれば、キューバは世界経済に対して開かれるからです。

 

 「キューバと米国の関係が改善して規制が緩和されれば、中国が今後、キューバに投資する際にプラスに働くだろう」(徐氏)と。

 

 米国と中国は世界のさまざまな地域で覇権争いを演じていますが、キューバは他の地域と違って文化的に米国寄りで、距離も米国に近い。これが米国にとって有利に働く可能性があります。ホワイトハウスはこの点を考慮して、キューバに対する経済的影響力に関しても、キューバの政治の行方をめぐる争いでも中国と互角に戦えると考えています。

 

 オバマ大統領のキューバ訪問を前に、ATTなど米国の大企業がキューバとの契約に乗り出しています。17日には米郵政公社(USPS)が50年以上ぶりにキューバとの郵便物の直接のやり取りを再開したと発表しました。一方、キューバはドルの両替に科している10%のペナルティーを撤廃すると発表しています。

 

 米国企業で積極策に打って出ているのは観光業界です。オバマ政権は通信会社に対して規制を緩和し、特別の裁量を認めたものの、これまでの成果は米国からの旅行者が利用できるローミングサービスについて合意する程度にとどまっています。

 

通信業界には米キューバ両政府の間の緊張がいまだに強く残っていて、オバマ大統領は米国の通信会社にキューバでの営業を承認しましたが、キューバ政府はこれを拒否しています。

 

 一方、中国はキューバで先頭に立ってインターネット網の構築に取り組んでいます。しかし、カリフォルニア州立大学ドミンゲスヒルズ校教授のラリー・プレス氏によると、キューバで導入が予定されているシステムはすでに時代遅れであることもあって、将来的には米国企業に機会が巡ってくる可能性があるといいます。

 

 キューバは今年1月、ハバナ旧市街でブロードバンドによるインターネット接続を提供する試験プロジェクトを開始すると発表しました。住民だけでなく飲食店も中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の光ファイバー網経由でインターネットに接続できるようになります。

 

 昨年、全国的にWi-Fiが利用できる場所(ホットスポット)が整備されたとき華為技術の設備が使われました。今年1月にはキューバの国営通信会社エテクサ(ETECSA)がハバナにWi-Fiのホットスポットを30カ所増設すると発表しました。ただ、利用料は1時間当たり2ドルで、多くのキューバ人にとってはまだ高い金額です。

 

 米政府関係者によると、グーグルなど米国企業が通信に関する提案を行っても、キューバ側は独自のペースで進めたいとして冷ややかな反応を見せているといいます。

 

 ワシントンにあるアメリカン大学公共政策学部の政治学教授で米キューバ関係についての著作があるウィリアム・M・レオグランデ氏は、「米国には通信を利用してキューバ政府を攻撃しようとした過去がある。だからキューバは米国のハードウエアを信用しない」と語りました。

 

 キューバ政府がインターネット接続を拡大したがらないのはデータへのアクセスを統制できなくなるかもしれないという不安があるからです。キューバが疑心暗鬼になるのも無理はありません。米国はキューバ向けにツイッターに似たサービス「スンスネオ」を提供するなどしてキューバ政府の足を引っ張ろうとしたことがあるからです。利用者にはスンスネオの運営資金を提供していたのが米国政府であることは知らされていなかったのです。

 

 ニューヨーク市立大学バルーク校の教授でキューバのソーシャルメディアやインターネットについて研究したことがあるテッド・ヘンケン氏は「これが国の安全保障に関わる問題だとすれば、私なら敵ではなくイデオロギーを共有する仲間か協力者と取引したい」と語りました。

 

 中国は数年前からキューバに投資していますが、中国社会科学院の徐氏は必ずしも利益が出ているわけではないと語っています。

 

 徐氏によると、米国がキューバに対して禁輸措置を実施しているため、中国企業はキューバの工場で製品を作っても、周辺地域で販売するのは難しいのです。また、キューバは対内投資を制限する規則を設けており、中国企業は自由に雇いたい労働者を雇ったり、本国に送金したりすることができないといいます。(ソースWSJ

2016年3月21日 (月)

リーダーを「体格」で選ぶ-ヒトもサルと同じ!

われわれ人類が祖先である類人猿とさほど変わらないことを示す、また新たな研究結果が出ました。リーダーを本当にリーダーらしく見せているものは、どうやら「筋肉」らしいという新説です。

 

 リーダーシップをとる能力と肉体的な強さから受ける印象に関連性があるかどうかを調べた最近の論文に、この新説が紹介されています。いくつかの実験に基づくこの研究論文は男女に関係なく、肉体的に強そうな人から受ける印象を、その人のリーダーとしての資質や社会的な地位に関連づけていることを示唆する内容になっています。少なくともリーダーが男性の場合ですが。

 

 研究実験はカリフォルニア大学のバークレー校とサンタバーバラ校、ポートランド大学、オクラホマ州立大学の心理学者グループが実施しました。実験は新しいコンサルティング会社に採用されたという設定の若い男女の写真を、任意で参加した被験者に見せる方法で行われました。写真の若者たちは事前に上半身の体力テストを受けたことになっており、結果が点数化されている。さらに、体格が分かるようタンクトップ姿で写真に収まっています。

 

 その結果、男性陣の写真を見せられた実験参加者は一貫して、体力テストで高い点数をつけた男性の方にリーダーの素質がより備わっていると判断しました。これは明らかに筋骨たくましい体格に影響されている証拠です。一方、女性陣の写真を見せられた場合、体格から受ける印象とリーダーの資質があるという判断との間には関連性がみられませんでした。高い身長は男女に関係なく、よりリーダーらしく(また、より賢く)見られることが分かりました。ただし、身長は体格ほど影響しません。

 

 ここで重要なのは、体格の良い男性がその力を「自分の利益を強硬に追求するために」使いそうな――つまり意地が悪そうな――印象を与えると、リーダーとしてのオーラが減退することです。

 

 この研究結果が単に顔のつくりや突き出た顎に左右されていないことを担保するため、研究を行った心理学者は顔と体格の組み合わせを変え、印象の薄い顔に良い体格を組み合わせたり、その反対でも試してみたりしました。結果は、組み合わせを変えた場合でも、変える前の結果とほとんど同じだったのです。つまり、印象の薄い顔でも体格の良さが選ばれたのです。これはリーダーの素質があると判断される要素は肉体的な強さであって、美男かどうかではないことを示唆しています。(ソースWSJ

2016年3月20日 (日)

トランプ氏が「第2のシュワ氏」になれない理由!

それは政治の世界では昔からよくある話です。有権者が怒り、その感情を政治的エスタブリッシュメント(主流派)にぶつけるという構図です。カリフォルニア州の市民は2003年、グレイ・デービス知事(民主党)の再選から1年もたたないうちに同知事の解任(リコール)運動を始めた。同州では過去にリコールが成立したことはなかったが、そのときは成功の望みがありました。

 

 後任として立候補した1人が映画界のスーパースター、アーノルド・シュワルツェネッガー氏だった。同氏はシステム刷新を約束するアウトサイダーでした。自らを共和党員だと述べていたが、その人気は党とは全く関係ないものでした。

 

 シュワルツェネッガー氏の映画を見ていたカリフォルニア州民は、「自分は決して買収されない」という彼の大見得に魅了されたのです。選挙で選ばれた人々、つまりプロの政治家が多く出馬するなかで、シュワルツェネッガー氏は瞬く間にフロントランナーになりました。

 

 このカリフォルニア州でのリコール選挙を、2016年の共和党の大統領候補指名争いになぞらえたい気持ちになります。つまり、シュワルツェネッガー氏をドナルド・トランプ氏の先例とみる気持ちです。だが、そこには重要ないくつかの違いがあります。

 

 シュワルツェネッガー氏は、映画「ターミネーター」で主演を務めたボディビルの元世界王者だが、政策を好み、納得がいくまで争点を理解しようとしました。選挙陣営のアドバイザーたちは個別指導の機会を設け、エネルギー、財政、労働問題や教育について特訓を行ったのです。陣営は全米各地のシンクタンク関係者や専門家を集めました。その中には、富豪投資家のウォーレン・バフェット氏やニクソン・レーガン両政権で閣僚を務めたジョージ・シュルツ氏も含まれていました。これらの「講義」は、ピート・ウィルソン元加州知事の側近だったジョー・ロドタ氏が中心になって実施されたもので、「シュワルツェネッガー大学」と呼ばれました。

 

 学生であるシュワルツェネッガー氏は講義内容をどんどん吸収していきました。同氏のジム通いに敬意を表し、側近たちはブリーフィングペーパーの文字サイズを大きくして印刷しました。トレッドミルで走っている最中でも読めるようにするためです。

 

 ロドタ氏はインタビューで、「彼は準備と向上に熱心だった。そのアプローチは候補者としてのゲームでトップにならなければならないというものだった」と話していました。

 

 シュワルツェネッガー氏は集会で、トゥイステッド・シスターのヒット曲「Were Not Gonna Take It(もう我慢しない)」を流していました。ちなみに、トランプ氏もこの曲を流しています。

 

 しかし、2人のアプローチは違います。トランプ氏は、自らの説明によれば、主要な政策論争で直感に頼ることがしばしばです。一方、シュワルツェネッガー氏は一般の認識とは対照的に、政策の細部に深く入り込むのを好みました。

 

 03年のシュワルツェネッガー氏の選挙活動に関わった共和党系の政治コンサルタント、ロブ・スタッツマン氏は、「アーノルド(シュワルツェネッガー氏)は争点を学ぶことに専念していた。リコール運動が突然に起こったため、彼は選挙運動をしながら勉強と準備をしなければならなかった。トランプ氏は、もし本当にこれ(選挙運動)をする気があったのなら、何年もかけて準備ができたはずだが、していないのは明らかだ」と指摘しています。

 

 リコールは成功しました。有権者はデービス知事を引きずり下ろし、シュワルツェネッガー氏を新知事に据えたのです。06年には同氏は再選を果たしました。しかし有権者は、同氏の任期が終わると、後任として究極のインサイダーであるジェリー・ブラウン氏を選出しました。カリフォルニア州は有名人のアウトサイダーにはもう飽きたかのように見えました。

 

 地元紙サクラメント・ビーの論説委員ダン・モレイン氏は、「シュワルツェネッガー氏が有能で聡明(そうめい)な人物だったことに疑いはない。しかし、ジェリー・ブラウン氏が備えていたさまざまな政治経験を持っていなかった」と述べています。そして、「ブラウン氏は州知事と市長の経験があり、州の司法長官を務めた。そして再び州知事になった。彼はカリフォルニア育ちだ。(州知事職というのは)まさにブラウン氏のすべき仕事だ。ブラウン氏ほど州政府を知る人は他にいない。それが彼の強みになった」と付け加えています。

 

 シュワルツェネッガー氏は政界を離れました。そして、トランプ氏が司会を務めたテレビ番組「アプレンティス」で、後任の司会を務めます。彼はトランプ現象についてどう考えているのだろうか。

 

 シュワルツェネッガー氏は取材要請を断わりましたが、先週末の行動に手掛かりがありました。何カ月間も表舞台に登場していませんでしたが、先週末はオハイオ州にいました。それは、現在残っている4人の共和党大統領候補の1人、ジョン・ケーシック氏の応援のためでした。(ソースWSJ

2016年3月19日 (土)

IT使う問題解決スキル、最下位はアメリカ人!

米国人はインターネットを世に送り出しましたが、問題解決のためにテクノロジーを利用することはあまり得意ではなさそうです。

 

 経済協力開発機構(OECD)が実施した新たな国際成人力調査(PIAAC)によると、「テクノロジーに恵まれた環境で問題を解決する」ことに関して、米国の労働者は先進18カ国の中で最下位だったそうです。デジタル技術を利用して情報を評価し、実務的な作業をこなす能力が調べられた。こうした弱みがもたらす結果は、今年の大統領選の背景にある米国の不安定さを助長しているとの見方もあります。

 

 PIAACの米テクニカルアドバイザー、スティーブン・プロバスニク氏は、問題解決能力の欠如は望ましくないが、その原因はより深刻な問題かもしれないと語っています。つまり、PIAACで良い成績を取るために不可欠な「読み書き・計算」の基礎学力が低下しているのではないかということえす。

 

 ハーバード大学経営大学院で競争力について研究するジョセフ・フラー教授は「このデータを見ると、過去20年の流れが続いていることがうかがえる。それどころか(悪化の)勢いが増している」と述べました。

 

 PIAAC2012年に実施されましたが、若者と年配者、それに失業者のスキルを比較するため、14年に追加的な調査が行われ、その結果が今回の報告となりました。テクノロジーを利用した問題解決で最も高い成績を収めたのは日本、フィンランド、スウェーデン、ノルウェーでした。米国はポーランドに負けて最下位となりました。

 

 今回の報告でひとつ明確になったのは、米国の失業者の約80%が初歩的な問題を解けないということです。2列の表からデータを棒グラフに転換したときの間違いを見つけるという問題ができませんでした。米国の成人は先進諸国の平均的な成人よりも、はるかに数字に弱いことも分かりました。

 

 プロバスニク氏は「ここは『私は計算が得意ではない』と言っても問題ない、世界で唯一の国だ」と話す。「そんなことは日本のようなところでは受け入れられない」と。

 

 非営利の教育調査機関、全米教育経済センター(NCEE)のマーク・タッカー最高経営責任者(CEO)は、この調査で示された米国人のスキルの低さは現在の政治情勢を理解するヒントになると話しています。

 

 米大統領選へ向けた民主・共和両党の候補指名争いが進んでいることを踏まえ、タッカー氏は「かつては世界で最も教育レベルの高かった米国人労働者は今や、先進国で最も低い部類に入っている。それが経済的な結果をもたらし、それが政治的な問題に姿を変えつつある」と述べています。(ソースWSJ

2016年3月18日 (金)

仮想現実が楽しめる注目7作品 驚異的な臨場感!

あなたが熱心な映画ファンであろうと、2002年公開の「スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃」以来映画館を訪れていないようなタイプの人であろうと、1つ確かなことがあります。今後数年間でバーチャルリアリティー(VR、仮想現実)があなたと動画との関係性を完全に作り替えることになるだろうということです。なぜなら、かつては「おたく」だけのテクノロジーだったVRが驚くほど向上し、遠くから眺めているのではなくアクションのまっただ中にいるかのように― E.T.と自転車で宙を飛んだり、楽しげな修道女のマリアとアルプスの高原で踊ったりしているかのように―感じられるようになっているためです。

 

 舞台裏ではVRがハリウッドの脚本を書き換えています。VRを用いた作品はサンダンスや来月開催されるトライベッカなどの(大型劇場ではなく小規模な部屋で映画が上映される)著名な映画祭でも既に登場し始めています。リドリー・スコットやスティーブン・スピルバーグといったハリウッドの大物監督も極秘のVRプロジェクトに取り組んでいます。通常は最先端技術とは結びつかない、「フライングハイ」などの監督で知られるジェリー・ズッカ-さえも、バーチャルな空間が体感できる「没入型」のコメディー映画を制作中です。

 

 VRと従来の映画では鑑賞の仕方が大きく異なります。従来の映画では観客がどこに注目すべきかを決定するのは監督でした。上空からのカットから中距離のカット、クローズアップへと画面が切り替わるなど、観客は自分が見るものを選びようがなかったのです。しかし、VRでは主導権は観客にあるのです。

 

 ヘッドセットを使用することで、設定のどの部分も見ることができ、観客がどこを見るかによってストーリーの展開にまで影響する場合もあるのです。

 

 この新たな媒体は監督と観客双方に創造面での難題を突きつけています。例えば、観客がその短い集中力の中でどこでも見ることができるとすれば、監督はアクションが起こっている場所をどう知らせればいいのかというようなことです。

 

今後数年間でVRが視聴者と動画との関係性を完全に作り替えることになるでしょう。解決策の1つは、視覚的な合図を送ることです。例えば、登場人物の1人が後ろを指すことで近寄ってくる悪人の方に観客を振り返らせるなどの方法です。しかし、ウォルト・ディズニーの大ヒット映画「マレフィセント」の監督でVR映画を制作する米バーチャルリアリティー(VRC)の幹部を務めるロバート・ストロンバーグ氏は、それはディナーパーティーのようなものだと話す。つまり、観客は結局、話をしている人の方を向くといいます。しかし、映画の一部の定番テクニックは単純にうまくその意図が伝わらないということです。ストロンバーグ氏は「クローズアップの概念はVRでは考えられない」とし、「観客は実際、邪魔をしているように感じてしまう」と話しています。

 

 未来的な技術にもかかわらず、VR動画の多くは比較的手頃な価格の機器を用いて無料で見ることができます。段ボール製のものなど最も簡易なヘッドセットの場合、それにスマートフォンを装着し、VR動画を配信するVRアプリをダウンロードすればいいだけです。人気のヘッドセットは以下の3つで、これ以外にも多くの製品が近く発売される予定です。

 

 VRを体験するには、もっと高度な機器が必要な場合もある。そうした機器の1つが、600ドルのVRヘッドセット「Oculus Rift(オキュラス・リフト)」です。米フェイスブック傘下のオキュラスが今月末に出荷予定の製品で、高解像度ディスプレーを搭載し、スマホではなくコンピューターに接続して使用します。一方、仮想環境の出来事に合わせて動く特殊な映画館用シートの登場で、「オデッセイVR体験版」のような作品が増える可能性があります。これは火星に1人置き去りにされた宇宙飛行士の奮闘を描いたストロンバーグ氏監督、マット・デイモン主演の大ヒット映画「オデッセイ」のVR版で、例えば、火星探査機を運転中に岩にぶつかるシーンでは、車がカーブにぶつかったときのようにシートが後ろにがたんと揺れるそうです。

 

 没入型映画の題材はジャンルを問わないようです。現在進行中または将来計画されているプロジェクトには、ピクサー作品のようなアニメもあれば、洞察力に優れた政治ドキュメンタリーもあります。現時点ではVR映像作品は長編映画よりもはるかに上映時間が短く、大半が10分に満たないのです。VRを長時間視聴すると吐き気を催す場合があるためです(われわれも調査の過程でVR映像作品を連続視聴し、これを実際に経験した)。

 

 VRはまだ初期の段階にあり、孤立感などVRの利用に二の足を踏ませかねない解決すべき欠点もまだあります。関係者の多くは、あと1年半ほどたてば、もっとユーザーに配慮したヘッドセットが発売され、普及が進むと予想しています。

 

7作品

Gone」、「Hard World for Small Things」、「Waves」、「Collision」「パラノーマル・アクティビティ」、「ヘンリー」、「Unicorn Island」(ソースWSJ

2016年3月17日 (木)

ロボットが雇用奪う?「自分の職は大丈夫」8割!

米国人の約3分の2は、ロボットやコンピューターが今後半世紀のうちに人間が現在やっている仕事の多くを奪うと予想しています。しかし、自分自身の仕事は奪われないと考えているようです。

 

 調査会社ピュー・リサーチ・センターは、労働力の自動化を世論がどう予想しているかに関する新たなリポートを発表しました。それによると、「多くの米国人(およそ3分の2)は機械が人間の雇用のかなりの部分を奪うと予想していますが、それを上回る80%の人々は自身の職業ないし専門的職業がおおむね変わらずに維持され、50年後も今の形で存在していると予想した」といいます。

 

 これはかなり大きな食い違いだ。それは恐らく、多くの労働者にはもっと差し迫った懸念があるからかもしれない。ピューの調査によると、ロボットに仕事を奪われることを懸念するよりも、より低賃金の労働者、広範な業界のトレンド、経営ミスによって仕事を奪われることを懸念する人の方が多かった。

 

 リポートの主執筆者であるアーロン・スミス氏は、「ロボットによる自動化は、人々が漠然とした将来に起こるだろうと感じていることだ。しかし、それが必ずしも自分ないし自分の子の雇用の見通しに影響するとは考えていないのだと思う」と述べました。

 

 ピューの調査で明らかになった主な内容は以下の通りです。

 

・ロボットおよびコンピューターが50年以内に現在人間がやっている仕事の多くをこなすように「絶対になる」と予想した米国人は全体の15%だった。

 

50%は、「恐らく」こなすようになるだろうと予想した。

 

・逆に、ロボットおよびコンピューターが50年以内に現在人間がやっている仕事の多くをこなすように「絶対に」ならないか「恐らく」ならないと予想したのは、全体の3分の1弱だった。

 

・自分の仕事が50年後も今の形で「絶対に」存在すると予想した労働者は全体の3分の1強だった。

 

44%は「恐らく」存在すると予想した。

 

・逆に、50年後に自分の仕事が今の形で「恐らく」ないし「絶対に」存在しないと予想したのは合計18%だった。

 

 回答は、世代、学歴や収入によって多少割れました。50歳未満で世帯収入と学歴が比較的高い人は、機械の台頭について少し懐疑的でした。

 

 職業的なバックグラウンドも回答に影響を及ぼしました。調査からは、単純労働ないし肉体労働に従事する人々の中には、既に自動化で雇用を追われた人や、そういった人を知る人がいることがうかがえます。

 

 一方、政府、教育および非営利の部門の仕事に従事する米国人は、ロボットに仕事を奪われない自信をより多く持つ傾向にありました。これらの仕事の従事者の約85%は、半世紀後も同じ仕事をしていると予想。ロボットが人間の雇用の大半を奪うと予想したのは7%にとどまりました。大手および中小企業の従業員で、ロボットが人間の雇用の大半を奪うと予想したのは約13%でした。(ソースWSJ

2016年3月15日 (火)

ソフトバンク、企業分割が望まれる理由とは!

「全体は部分の総和に勝る(アリストテレス)」と言われるが、ソフトバンクグループに限ってはそれが当てはまらない。その逆が真実になり得るからです。

 

 ソフトバンクは7日、グループ内組織を2つに再編することを明らかにしました。安定した国内事業と、潜在的に急成長が見込めるとはいえ、より投機的な海外事業の2つです。もしこの再編が2つの事業を別々に上場する道を開くのであれば、投資価値が上がる可能性があります。

 

 ソフトバンクは、日本の3大携帯電話事業者の1つで、無線通信事業が主な収益源です。企業分割が現実になれば、この事業がグループの債務を背負う公算が大きい。この債務を考慮すると、国内通信事業には103億ドル(約11600億円)前後の価値がある。これはEBITDA(金利・税金・償却前利益)に対する企業価値の倍数がライバルのNTTドコモやKDDIと同等だと想定した場合だ。保有する43%のヤフージャパン株の市場価値を加えると、ソフトバンクの国内事業の価値は205億ドル前後、つまり現在のソフトバンクの時価総額の34%になります。

 

 次に、海外事業について考えてみると、この大部分を構成するのは、中国電子商取引大手の阿里巴巴集団(アリババ・グループ・ホールディング)の株式32%ですが、米国の携帯電話事業者であるスプリントの株式83%も含まれています。後者は問題含みの投資であることを認めざるを得えません。これらの持ち株の価値は合計して717億ドル(構成する株式の取引価格に基づく)に及びます。

 

 ソフトバンクは新興企業向けにさまざまな小口の投資も行っています。例えばインドのネット販売業者のスナップディールや、中国の配車サービス会社の滴滴快的などです。こうした投資に価格をつけるのは難しいですが、ドイツ銀行が出した82億ドルのバリュエーションを用いると、ソフトバンクの海外事業には全体で800億ドル前後の価値があることになります。

 

 ただし、投資家はアリババ株にディスカウント(割引)を考慮する必要があります。なぜなら、それを現金化するとなると、ソフトバンクに巨額のキャピタルゲイン税がのしかかるからです。この持ち株に35%の税率が適用されるとすると、ソフトバンクの海外事業の価値は594億ドル、つまり現在の市場価値の91%前後になります。

 

 つまり国内と海外2つの事業の価値の合計は、ざっと800億ドル前後になるのです。これは現在のソフトバンク株価に31%の上昇余地があることを示唆しています。ソフトバンクは長い間、「部分の総和」を下回る水準で取引されてきました。このため潔く企業分割をすれば、この割安部分が縮小される方向に働く公算が大きいでしょう。

 

 別離は、幸せなソフトバンク・ファミリーを生み出すはずだと。(ソースWSJ

2016年3月14日 (月)

アップルのMacに初の脅迫ウイルス!

米アップルのパソコン「Mac(マック)」の一部ユーザーは、データのロックを解除する代わりにカネを要求する脅迫状を受け取る恐れがあるといいます。ハッカーやウイルス作成者の標的にされにくいとみられていたアップルの製品に対し、マルウエア(悪意のあるソフト)「ランサムウエア(身代金要求ウイルス)」が出現したのは初めてとみられます。

 

 ネットワークセキュリティー対策ソフト大手のパロアルトネットワークスは6日、アップルの基本ソフト(OS)「OS X」向けのビットトレント・クライアント「トランスミッション」のインストーラーから、データを暗号化た上で「身代金」を要求するランサムウエアが検出されたと発表しました。トランスミッションは他の利用者がクラウド上に保存したファイルをダウンロードするのに使われます。

 

 アップル広報担当者はサイバー攻撃があったことを認め、感染したアプリをインストールできないようにしたと述べました。パロアルトによると、アップルを標的とするランサムウエアが検出されたのはこれが初めて。

 

 トランスミッションの広報担当者の話では、感染したソフトウエアは約6500回ダウンロードされたそうですが、アップルが迅速に対応したため多くの利用者はインストールできなかったといいます。(ソースWSJ

2016年3月13日 (日)

日本とスイス、タンス預金が示すこと!

 日本とスイスは、テロリストや違法薬物の売人にとって避難地になっているのでしょうか。

 

 この二つの国では現在、高額紙幣の需要が高まっています。政治家の中には、こうした傾向は反社会的行為の表れだと指摘する向きもあります。しかし、両国の犯罪発生率は世界で最も低い部類に入ります。これらの国で現金を退蔵しているのは、金融政策に合理的反応をしている一般の国民なのです。

 

 スイス国立銀行(中央銀行)は201412月、マイナス金利を導入しました。目的は銀行に滞留する資金を経済に放出させることだったのですが、預金者が支出や投資の魅力的な対象を見つけない限り、うまく機能したことにはなりません。

 

 経済成長率が1%の低水準にとどまる中、多くのスイス国民は銀行から預金を引き出し、タンス預金に励みました。当然ながら高額紙幣はこうした目的において好まれるため、1000スイスフラン(約11万円)紙幣の流通量は昨年17%も増加しました。現時点では紙幣全体の流通量の60%をこれが占めており、その額はセルビアの国内総生産(GDP)にも相当します。

 

 預金金利が極端に低くなっている日本でも事情は同様です。1万円札に対する需要は昨年6.2%増加し、2002年以来の高水準となりました。ただ、1万円は1000スイスフランから見れば10分の1以下の金額であり、これでタンス預金してもすぐに保管場所が一杯になってしまいます。日銀が先月、一部の当座預金へのマイナス金利を導入した際、金庫を買う動きが一気に高まったのはこのためです。金庫の売上高は2.5倍になり、警備大手セコムの株価は1週間で5.3%上昇しました。

 

 現金が退蔵されている状況は、金融刺激策の限界を示す新たな教訓になっています。デフレ状態の経済に必要なのは減税や労働規制の緩和、競争の自由拡大といった成長につながる改革です。しかし、ケインズ派の経済学者や中央銀行の関係者は景気刺激策を好むため、現金の退蔵には批判的です。

 

 こうした状況に乗じて出ているのが、テロリストや危険を冒す投資家への不安説です。元財務長官でハーバード大学教授のラリー・サマーズ氏は先月、「500ユーロ札は一部で『ビンラディン』と呼ばれている」と指摘し、50ドルまたは100ドルを超える高額紙幣を禁止するよう求めました。同氏は、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁もこの問題に関心を示しているとした上で、「欧州が行動を起こせば、スイスをはじめ他地域への圧力となる可能性が高い」と語りました。

 

 ハーバード大での同僚でもある経済学者、ケネス・ロゴフ氏は現金そのものを廃止すべきだと説いています。その主な理由は、「高額紙幣は特にそうだが、現金はその大部分が脱税や違法活動のため利用されているとみられる」と主張しています。ただ、同氏は追加的金融政策への支持も表明しており、14年には「紙幣を廃止して電子マネーに置き換える」のであれば、中央銀行がマイナス金利を導入しても人々が「現金に逃避」することはないだろうと指摘しています。

 

 現在のようにスイスと日本で現金が退蔵されている状況は、経済的自由を実現する基本的手段として現金が機能する多くの形の一つを示しています。それは、十分な支出や投資を自力で引き寄せることができないほど弱い経済の中で、貯蓄を強いるような金融政策に対する国民の自衛策です。このような経済に必要なのは、労働や投資への意欲をかき立てる改革であり、法律を順守している国民の銀行口座に打撃を与えるマイナス金利や現金制限策などではありません。(ソースWSJ

2016年3月12日 (土)

アップルとFBIの対立、中国に影響も!

米連邦捜査局(FBI)は、カリフォルニア州サンバーナディーノで銃乱射事件を起こした容疑者が使っていたiPhone(アイフォーン)のロック解除への協力をアップルに要請していますが、同社はそれを拒否しています。

 

 この問題は、アップルの本国である米国のみならず、同社最大の海外市場でも熱い話題になっています。それは中国です。中国人のなかには、この動きがアップルのマーケティングスタント(派手な宣伝活動)ではないかとみる人がいる一方で、政府に立ち向かうアップルを応援する人たちもいます。それは中国企業だったら想像できないことだからです。

 

 また、一部にはこう問い掛ける人もいる。「中国政府がアップルに同じことを要求したら、どうだろう。アップルは『ノー』と言えるだろうか」と。この問い掛けは、現在FBIと対立しているアップルにとって重要な問題を浮き彫りにしています。アップルがサンバーナディーノ銃乱射事件容疑者のアイフォーンでFBIのロック解除要求に従えば、中国をはじめとする抑圧的な政府からの携帯電話アクセス要求を拒否することがはるかに困難になるからです。

 

 例えば、民主化運動の活動家やその他の反対分子などの使っている携帯電話へのアクセスです。これはアップルにとってとりわけ大切な関心事だ。売り上げの大半を米国外で上げているからであり、同社は売り上げのざっと25%を大中華圏(中国本土、香港、マカオと台湾を含む)から得ています。

 

 アップルは、中国を名指しないままでこの問題に言及しました。同社は先週、カリフォルニア州の連邦地裁に提出した文書の中で、アイフォーンに「バックドア(裏口)」を組み込むことの危険を警告し、「わが国の政府のために開発すれば、外国の政府が同じツールを要求してくるのは時間の問題だ」と述べています。

 

 法律事務所ローブ&ローブ北京オフィスのパートナー、ベンジャミン・チウ氏は、アップルが仮にFBIとの訴訟で負けることがあれば、中国政府が同じような要請をすると考えるのが当然だと述べています。「中国政府に比べれば、FBIなど御しやすい相手だ」と同氏は述べています。

 

インターネットを規制する中国の国家インターネット情報弁公室にコメントを要請しましたが、回答は今のところないそうです。アップルは同社サイトのプライバシーに関するページで、同社は「当社のあらゆる製品ないしサービスについて、どの国のどの政府機関にも『バックドア』組み込みで協力したことはない」と述べています。

 

 これに対し中国のハイテク企業は、自国政府の要求受け入れに既に慣れています。幹部らによれば、企業は政府が要求するいかなるユーザー情報も差し出す義務があるほか、検閲対象とされるコンテンツの頻繁なアップデート(更新版)を順守しなければなりません。ある中国のインターネット企業の幹部は、「政府が『飛べ』と言ったら、『どのくらいの高さですか』と聞き返すことが期待されている」と話しています。

 

 中国当局は、西側のハイテク企業を国内企業と同じような手法で規制しようとする動きを強めています。来週施行予定の新たなインターネット規則は、外国企業が事前の承認なしに中国でネット上にコンテンツを載せることを禁じています。

 

 また現在精査中のサイバーセキュリティー法草案は、インターネットの通信事業者に対し、国家安全保障と犯罪捜査のため技術的支援および援助を当局に提供するよう義務付ける内容です。これについて、人権擁護団体のアムネスティ・インターナショナルは、企業を検閲・監視下に置くのが一層容易になりかねないと指摘しています。

 

 香港大学の趙雲教授(法学)は、「中国は個人情報保護より国家安全保障を重視しているため、ハイテク企業も当局の命令に従わなければならないだろう」と話しています。

 

 西側のハイテク企業はこれまで、中国政府の要求を比較的うまくかわすことができました。本国での法的な制限や政治的な反響を理由に挙げたからです。しかし、エドワード・スノーデン氏による数年前の暴露騒ぎをきっかけに、中国で外国企業に対する恐怖感が増大しました。米国政府が海外の電子機器に侵入して他国の政府をスパイしていることを同氏が暴露した一件です。その結果、多くの米国企業は中国という決定的に重要な市場でシェアを失ったのです。

 

 アップルの業績は、中国に進出する多国籍ハイテク企業の中では珍しく好調だ。2015年度(9月終了)の中国での売上高は前年度比84%増の587億ドル(約66000億円)に上りました。中国を除く他の世界の売上高の伸びは16%でした。

 

 しかし、アップルも他社と同様、中国政府および国営メディアからの厳しい目と圧力にさらされています。2014年には、中国国営テレビがアイフォーンを「国家安全保障上のリスク」だとやり玉に挙げたことを受け、アップルは中国の顧客データを海外から中国国内の施設に移しました。国営企業の中国電信が運営する施設です。一部の専門家からはこの動きにより、アップル製品の安全性が損なわれる恐れがあるとの声が挙がりました。

 

 アップルは当時、このデータ移動の結果、中国の顧客向けのパフォーマンスが向上するだろうと述べ、データは暗号化されており、中国電信からはアクセス不能だと説明していました。アップルのソフトウエアのセキュリティーについて研究しているJonathan Zdziarski氏はツイッターの投稿で、アップルは中国電信にiCloud(アイクラウド)のデータを保管しているが、暗号の鍵は国外にあると指摘し、「これは理にかなっているし、データ漏えいのリスクを低下させている」と述べていました。

 

 どの米国のハイテク企業も、中国人ジャーナリストの師濤氏の件で米ヤフーが陥ったような立場になることを恐れているに違いありません。ヤフーは04年に中国政府の要請を受け、師氏のヤフーの電子メールアカウントの情報を提供しました。中国当局はその情報を利用し、政府の秘密指令を海外のウェブサイトに公表した容疑で師氏を有罪としたのです。師氏は10年の禁錮刑を言い渡されました。07年に開かれたこの件に関する米下院の公聴会で、ある議員がヤフーの幹部たちを「道義のかけらもない小者だ」と糾弾し、ヤフー関係者が謝罪する場面もありました。(ソースWSJ

2016年3月11日 (金)

iPhone解除拒むアップルの「腐った芯」!

死亡した銃乱射事件の容疑者が使用していたスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」のロック解除問題で、米連邦捜査局(FBI)への協力を拒否したアップルは、プライバシーと安全をめぐる論点をずらすことに成功しました。しかし、それは同社が意図した方向とは異なっています。アップルの反抗により、IT(情報技術)企業が理に適った捜査を回避するために、裁判所の命令を無視したり機器を設計したりすることが許されなくなる可能性が高まります。問題は、議会と裁判所のどちらが新しいルールを作るかということです。

 

 ティム・クック最高経営責任者(CEO)の主張は芯まで腐っています。クック氏は、昨年12月にカリフォルニア州サンバーナディーノで起きた銃撃事件のサイード・ファルーク容疑者が使用していたアイフォーンのロック解除に協力することは、同社にとって「荷が重すぎる」と主張しました。ファルーク容疑者は妻とともに14人を殺害し、22人にけがを負わせました。FBIは、パスコードを10回間違えるとスマホのデータが消去される機能をアップルに解除してもらう必要がありました。解除すれば、捜査官はスマホのデータにアクセスして潜伏中のテロリストやテロ計画について調べることができるのです。

 

 裁判所命令を拒絶した際、アップルの弁護人はスマホのロック解除は不可能だと主張しました。しかし裁判所に先週提出された文書で、アップルはそれが真実ではないことを認めました。それでもロック解除は「理不尽な負担」だと訴えているのです。

 

 アップルは裁判所に対し、必要なソフトウエアを開発するには6人から10人の人員と2週間から4週間の時間を要すると述べました。これはエンジニア1人分の年間人件費(おそらく20万ドル=約2300万円)より少ないものです。時価総額が世界最高で、年間の売上高が2000億ドルを超える企業にとって、これは取るに足らない額です。しかも米政府はアップルが負担するコストを払い戻すと言っているにもです。

 

 国家安全保障問題に詳しい弁護士のスチュワート・ベイカー氏は米紙ワシントン・ポストで、アップルが「中国の国家安全保障機関の利便性のために」ユーザー監視用の特別なソフトウエア開発にどれだけの資金を使わされたかを公表するよう求めました。

 

 アップルは当初、ソフトを開発すれば大勢のユーザーに影響が及ぶと主張しました。しかし、同社のエンジニアたちは今、プログラムが特定のアイフォーンだけに適用可能であることを認めているのです。

 

 アップルは、政府に協力することはプライバシー保護を強調するマーケティングに打撃を与えると言います。ニューヨークでの別の裁判では、コンプライアンス(法令順守)が「アップルのブランドを著しく傷つける」と、まるでブランド戦略が法律より優先されるかのように主張しました。同社が新たに法務担当として起用した弁護士のテッド・オルソン、テッド・バウトラス両氏は先週、よりましな議論を新たに提起しました。三権分立の原則により、この件については裁判所ではなく連邦議会が判断すべきだというのです。

 

 この袋小路から抜け出す方法はあります。アップルはファルーク容疑者のアイフォーンのロック解除で協力することに同意し、法的な議論はニューヨークの裁判に絞ればいいのです。ニューヨークの裁判は被告の麻薬ディーラーがすでに罪を認めているため、緊急性が低いからです。

 

 テロ捜査への協力に対するアップルの拒絶は立法への関心を再燃させました。連邦議会は今週、聴聞会を開きます。米世論調査機関ピュー・リサーチ・センターの調査によると、米国人の大半はアップルが裁判所命令に従うべきだと考えています。マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏は先週、アップルの事例の論点は「『電話会社に情報を入手するよう誰かが命じることを可能にすべきだったか、銀行の記録を入手可能にすべきか』という論点と何ら変わらない」との見解を示しました。電話会社や銀行は、自社の機器を使って裁判所命令を確実に順守しなければなりません。もしATTやシティバンクが裁判所命令の回避によるプライバシー保護を顧客に約束できないのであれば、なぜアップルにそれを可能にすべきなのでしょうか?

 

 急速にデジタル・イノベーションが起きているこの時代には、テクノロジーがこれまでにない問題を浮上させるのは当然だと考えがちです。しかし携帯電話というものは、電報で始まり、電話によって進行し続けたコミュニケーション革命の最新の進化形にすぎないのです。

 

 こうした初期のテクノロジーの提供者は 米憲法の修正第4条のもと、合理的な捜査に協力することが最終的に義務づけられました。1928年に最高裁判所のオリバー・ウェンデル・ホームズ判事は盗聴を「卑怯なやり方」と呼び、捜査当局による盗聴は禁止されるべきだと論じました。その後、電子的なコミュニケーション手段が普及し、連邦議会と裁判所は合法的な盗聴に関するルールを決めたのです。

 

 1941年にロバート・ジャクソン司法長官は議会でこう述べています。「犯罪者、スパイ、妨害工作員は自分に不利な痕跡を残す心配をしないで使える素晴らしい通信手段を持っています。電話と電報です。犯罪者が手紙を書けば、それが司直の手に渡るというリスクが発生します。不正取引を対面で行えば、誰かに盗み聞きされる可能性があります。自分の代わりに共謀者を送り込めば、その共謀者が裏切る可能性もあります。しかし、電話や電報を使う限り、犯罪者は守られている」と。

 

 後に最高裁判事に就任するジャクソン氏はこう付け加えました。「経験が示すように、電話のやりとりを監視することは、外国のスパイ組織を捜査する上で必要不可欠だ」と。

 

 裁判所の令状に基づく盗聴は今や日常的に行われています。しかし、法律は昔ながらの電話を想定しているという点で遅れています。テクノロジーは進化しますが、憲法は合理的な捜査への協力を断固として義務づけているのです。その対象がアップルであったとしてもです。(ソースWSJ

2016年3月10日 (木)

iPhone解除拒むアップルの「腐った芯」!

死亡した銃乱射事件の容疑者が使用していたスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」のロック解除問題で、米連邦捜査局(FBI)への協力を拒否したアップルは、プライバシーと安全をめぐる論点をずらすことに成功しました。しかし、それは同社が意図した方向とは異なっています。アップルの反抗により、IT(情報技術)企業が理に適った捜査を回避するために、裁判所の命令を無視したり機器を設計したりすることが許されなくなる可能性が高まります。問題は、議会と裁判所のどちらが新しいルールを作るかということです。

 

 ティム・クック最高経営責任者(CEO)の主張は芯まで腐っています。クック氏は、昨年12月にカリフォルニア州サンバーナディーノで起きた銃撃事件のサイード・ファルーク容疑者が使用していたアイフォーンのロック解除に協力することは、同社にとって「荷が重すぎる」と主張しました。ファルーク容疑者は妻とともに14人を殺害し、22人にけがを負わせました。FBIは、パスコードを10回間違えるとスマホのデータが消去される機能をアップルに解除してもらう必要がありました。解除すれば、捜査官はスマホのデータにアクセスして潜伏中のテロリストやテロ計画について調べることができるのです。

 

 裁判所命令を拒絶した際、アップルの弁護人はスマホのロック解除は不可能だと主張しました。しかし裁判所に先週提出された文書で、アップルはそれが真実ではないことを認めました。それでもロック解除は「理不尽な負担」だと訴えているのです。

 

 アップルは裁判所に対し、必要なソフトウエアを開発するには6人から10人の人員と2週間から4週間の時間を要すると述べました。これはエンジニア1人分の年間人件費(おそらく20万ドル=約2300万円)より少ないものです。時価総額が世界最高で、年間の売上高が2000億ドルを超える企業にとって、これは取るに足らない額です。しかも米政府はアップルが負担するコストを払い戻すと言っているにもです。

 

 国家安全保障問題に詳しい弁護士のスチュワート・ベイカー氏は米紙ワシントン・ポストで、アップルが「中国の国家安全保障機関の利便性のために」ユーザー監視用の特別なソフトウエア開発にどれだけの資金を使わされたかを公表するよう求めました。

 

 アップルは当初、ソフトを開発すれば大勢のユーザーに影響が及ぶと主張しました。しかし、同社のエンジニアたちは今、プログラムが特定のアイフォーンだけに適用可能であることを認めているのです。

 

 アップルは、政府に協力することはプライバシー保護を強調するマーケティングに打撃を与えると言います。ニューヨークでの別の裁判では、コンプライアンス(法令順守)が「アップルのブランドを著しく傷つける」と、まるでブランド戦略が法律より優先されるかのように主張しました。同社が新たに法務担当として起用した弁護士のテッド・オルソン、テッド・バウトラス両氏は先週、よりましな議論を新たに提起しました。三権分立の原則により、この件については裁判所ではなく連邦議会が判断すべきだというのです。

 

 この袋小路から抜け出す方法はあります。アップルはファルーク容疑者のアイフォーンのロック解除で協力することに同意し、法的な議論はニューヨークの裁判に絞ればいいのです。ニューヨークの裁判は被告の麻薬ディーラーがすでに罪を認めているため、緊急性が低いからです。

 

 テロ捜査への協力に対するアップルの拒絶は立法への関心を再燃させました。連邦議会は今週、聴聞会を開きます。米世論調査機関ピュー・リサーチ・センターの調査によると、米国人の大半はアップルが裁判所命令に従うべきだと考えています。マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏は先週、アップルの事例の論点は「『電話会社に情報を入手するよう誰かが命じることを可能にすべきだったか、銀行の記録を入手可能にすべきか』という論点と何ら変わらない」との見解を示しました。電話会社や銀行は、自社の機器を使って裁判所命令を確実に順守しなければなりません。もしATTやシティバンクが裁判所命令の回避によるプライバシー保護を顧客に約束できないのであれば、なぜアップルにそれを可能にすべきなのでしょうか?

 

 急速にデジタル・イノベーションが起きているこの時代には、テクノロジーがこれまでにない問題を浮上させるのは当然だと考えがちです。しかし携帯電話というものは、電報で始まり、電話によって進行し続けたコミュニケーション革命の最新の進化形にすぎないのです。

 

 こうした初期のテクノロジーの提供者は 米憲法の修正第4条のもと、合理的な捜査に協力することが最終的に義務づけられました。1928年に最高裁判所のオリバー・ウェンデル・ホームズ判事は盗聴を「卑怯なやり方」と呼び、捜査当局による盗聴は禁止されるべきだと論じました。その後、電子的なコミュニケーション手段が普及し、連邦議会と裁判所は合法的な盗聴に関するルールを決めたのです。

 

 1941年にロバート・ジャクソン司法長官は議会でこう述べています。「犯罪者、スパイ、妨害工作員は自分に不利な痕跡を残す心配をしないで使える素晴らしい通信手段を持っています。電話と電報です。犯罪者が手紙を書けば、それが司直の手に渡るというリスクが発生します。不正取引を対面で行えば、誰かに盗み聞きされる可能性があります。自分の代わりに共謀者を送り込めば、その共謀者が裏切る可能性もあります。しかし、電話や電報を使う限り、犯罪者は守られている」と。

 

 後に最高裁判事に就任するジャクソン氏はこう付け加えました。「経験が示すように、電話のやりとりを監視することは、外国のスパイ組織を捜査する上で必要不可欠だ」と。

 

 裁判所の令状に基づく盗聴は今や日常的に行われています。しかし、法律は昔ながらの電話を想定しているという点で遅れています。テクノロジーは進化しますが、憲法は合理的な捜査への協力を断固として義務づけているのです。その対象がアップルであったとしてもです。(ソースWSJ

2016年3月 9日 (水)

「大きすぎてつぶせない」銀行批判は的外れ!

「大きすぎてつぶせない」という見方は、金融危機後もなかなか消え去らない妄想です。

 

 米民主党の大統領候補選びを争うバーニー・サンダース氏は、大銀行は社会の脅威であり解体すべきだと主張して選挙運動を展開しています。2週間前、同氏には仲間が現れまし

た。ジョージ・W・ブッシュ第43代米大統領の共和党政権で金融機関救済措置を担当し、先ごろミネアポリス地区連銀総裁に就任したニール・カシュカリ氏です。

 

 政府が解体できないほど大規模あるいは重要な金融機関は、つぶれないと投資家がみなすので、競合する中小金融機関よりも有利に資金が調達できます。こうした認識が事実上の補助金のような利点として働くため、経営陣の過剰な借り入れを促し、破綻の可能性が一段と高くなるのです。こうした考え方が懸念の根底にあります。

 

 しかし、「大きすぎてつぶせない」という先入観は的外れです。将来的な公的救済の可能性を根絶しようと熱を入れすぎると、経済に悪影響を及ぼす恐れのある新たな危うさが生じ、次の危機を悪化させる危険性があります。

 

 確かに米国の大手金融機関はサブプライムローン危機が深刻化する中で見境なく資金を借り入れ融資しました。しかし、自分たちは大きすぎてつぶせないと認識したうえでのことではなかったのです。実際、国際通貨基金(IMF)が大銀行の株価と破綻リスクに対する保険として機能するクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)を分析した結果、危機以前には最大手の銀行も中小銀行に対し借り入れにおいて有利な点はほとんどなかったのです。

 

 「大きすぎてつぶせない」との認識が有利に働く問題は、米政府による金融機関の救済後に浮上しました。特に2008年にリーマン・ブラザーズが破綻した後、大手金融機関は解体が許されないことが明らかになりました。

 

 以来、規制当局はこの補助金的効果を二つの方法で消し去ろうと苦慮してきました。まず、最大手の金融機関に対し、損失を吸収するために、特に株式を中心に資本を増強するよう求めています。このため金融機関は破綻の可能性が低くなるとともに収益力も低下し、その結果、そもそも巨大化しようとする意欲を失っています。

 

次の方法は、大手銀行の解散を容易にすることです。「生前遺言」(破綻時清算処理計画)と金融機関解散規則に従い、規制当局は破綻にひんした銀行の資本を債券保有者による「ベイルイン」(内部救済)で立て直す。これは債券の元本減免や債券保有者の株主転換などの手法です。規制当局がその結果に満足しなければ、当局は解散を命じることができます。JPモルガン・チェースやその他の巨大金融機関に対し、当局はこうした判断を迫られる可能性もあります。

 

 これら二つの措置で、大きすぎてつぶせないとみなされる利点は大幅に縮小しました。しかしこの利点が失われたとしても、このような大銀行が破綻すれば金融面でのつながりを通じて壊滅的な衝撃が伝播するでしょう。このため、批判する向きは銀行をより小さい組織に解体するのが唯一の解決策だと主張しています。

 

 しかし、どのくらい小さくすれば良いと言うのでしょうか。トレーダーの不正行為など特異な問題が原因で銀行が破綻した場合、それが大手銀行だとしても、金融システム全般の脅威となることはめったにありません。一方、多くの銀行や投資家、規制当局がそろってリスクの評価を誤ると、システミックな(全体に広がる)金融危機が生じます。その場合、ほどほどの規模の銀行であっても、その破綻は伝染する恐れがあります。市場が、他の銀行株も危ういとみなすからです。

 

 だから1984年に、当時全米で7番目の規模の銀行にすぎなかったコンチネンタル・イリノイを当局は救済し、その後7年間で規模が14番目と33番目、36番目の銀行の保証されていなかった預金者を保護したのです。先のベアー・スターンズを巻き込んだ金融危機は、ニュー・センチュリー・ファイナンシャルなど、規制が緩い投資ファンドや住宅金融業者の破綻が発端でした。

 

 欧州の銀行で最近起きた騒動も同じ事が言えます。銀行が破綻、ないし法定最低資本額に近い状況に置かれた場合、欧州の厳格な規則は債券保有者のベイルインを求めています。昨年、イタリアの小規模銀行4行とポルトガルの1つの銀行は、以前の失敗の遺産を抱え破綻し、債権者がベイルインしました。今年2月、ドイツ銀行の「偶発転換社債」が投資家に同様な不安を与えました。同行が破綻するリスクはないにもかかわらず、資本不足が懸念されたのです。こうした出来事から、多くの銀行が同じ危険性を抱えているとの懸念が強まったのです。

 

 取り乱した動きは治まりましたが、銀行株と銀行に対する信頼は打撃を受け、ユーロ圏経済の信用拡大が是非とも必要とされるいま、貸し出しが弱まる可能性があります。

 

 米国の規制当局は、経済情勢が悪化したときに最大手の銀行が確実に生き残れるよう、いわゆるストレステスト(健全性審査)に頼っています。さらに一歩進めて銀行を解体すれば、計り知れない意図せぬ結果につながりかねません。より小規模な専門に特化した部署の方がずっと破綻する可能性は高く、あまり規制されない「シャドーバンキング」(影の銀行)システムの一部として新たなリスクを生む温床になる恐れがあります。大きな銀行が弱い銀行を買収することはできないため、当局は破綻処理の有効な手段の一つを奪われています。顧客も大銀行の規模と多様性の恩恵を受けられない可能性があります。

 

 大きすぎてつぶせない問題に対する最善の解決策は、最大手金融機関に株式資本を十分充実させるよう求めることです。規模の経済などの本当の事業利益は、救済されるという期待ではなく、大規模であり続けることによってしか正当化できないからです。米国の銀行はほぼ条件を満たしています。2014年に株式資本はリスク調整済み資産の12.5%に相当し、09年初頭の5.5%から二倍以上に膨らんでいます。

 

 資本はさらに必要かもしれないし、当局もそう示唆しています。資本が十分にあるこうした銀行が破綻するのは、数え切れないほどの銀行が巻き込まれるほど深刻かつ壊滅的なシステミックな危機に至る場合だけです。2兆ドルの資本がある一つの銀行が破綻にひんするにせよ、資本量4000億ドルの銀行5行がそうなるにせよ、傍観して混乱が治まるに任せる政府などどこにもないだろうし、またそうすべきでもありません。(ソースWSJ

2016年3月 8日 (火)

トランプ氏、30年越しの大統領への野望!

ドナルド・トランプ氏と少人数の側近グループが大統領選への出馬を計画し始めたのは、2012年大統領選で共和党候補のミット・ロムニー氏がオバマ大統領に敗北したわずか数週間後のことだったそうです。

 

 連邦政府の記録によれば、「米国を再び偉大な国に」という自身のスローガンを商標登録したのは同年11月のことでした。保守系の最有力団体とされる保守政治活動会議(CAPC)では翌13年に、違法移民による危険性について語りました。さらにその翌年の14 年には、アイオワ州選出のスティーブ・キング下院議員(共和党)のために選挙活動を行いました。アイオワ州といえば、大統領選へ向けた民主・共和両党の候補指名争いの第1戦が行われる場所です。

 

 2012年から昨年6月の出馬表明の間に、トランプ氏は共和党候補やスーパーPAC(特別政治活動委員会)、共和党知事協会といった各種団体に合計100万ドル超を寄付していることが記録で分かりました。15年初めには米テレビ番組「アプレンティス」の出演契約を更新しませんでした。

 

 共和党幹部ら主流派は今年、トランプ氏が候補指名争いで支持率を伸ばす様子を目の当たりにして衝撃を受けてきました。しかし、トランプ氏は数十年間、大統領への野心をずっと発信してきたのです。1988年にはすでに、常に自信に満ちたこの実業家は米テレビトーク番組で司会のオプラ・ウィンフリー氏に対し、大統領選に自分が出馬すればおそらく勝利するだろうと語っていたのです。

 

 2013年から昨年8月までトランプ氏にアドバイスしていた共和党の選挙参謀、サム・ナンバーグ氏は「(トランプ氏)が常に大統領になることに強い憧れを抱いていたことに気付いていた人がいたとは思わない」と述べました。「彼は自分に魅力を感じる有権者は誰か分かっていた。最初から理解していたのだ」。

 

 トランプ氏が最初に大統領を目指したのは2000年で、第3政党「改革党」の候補としてでした。レースからは途中で撤退したものの、同党のカリフォルニア州予備選では勝利しました。支持者はその時の様子を伝えた新聞の切り抜きを集めてスクラップブックを作ったほどです。

 

 その翌年、トランプ氏はテレビ番組「アプレンティス」の司会を務め、講演会を行い、自身のブランドを築いていったのです。彼は米国の方向性とワシントンの指導者たちに対する不満を募らせていきました。

 

 2012年にはミット・ロムニー氏を支持していたにも関わらず、当時のアドバイザーによると、トランプ氏はロムニー氏を弱い候補者だとみなし、代理としての自分の役割が地味であることに失望していたといいます。

 

 2016年が近づくに連れ、トランプ氏の子供たち、なかでも特に娘はビジネス取引のマネジメントをどんどん引き継ぐようになっていきました。ドラル・マイアミのゴルフリゾートや首都ワシントンのオールド・ポスト・オフィス・パビリオンといった新たな投資案件の中にはうまく話し合いが進んでいるものもあります。

 

 現場で指揮を執ることが習慣になっているトランプ氏は、また新たな挑戦を探していました。

 

 長年、トランプ氏のアドバイザーを務めてきたロジャー・ストーン氏は「これは新たに登るべき山だった」と話します。ストーン氏はトランプ陣営ではもう仕事をしていないが、支援はしています。

 

 ニューヨークの仲間が2014年に知事選への出馬を促した際、トランプ氏は難色を示しました。同年3月、トランプ氏はツイッターにこう投稿しています。「私ははるかに大きな計画を考えている。チャンネルはそのままに。実行するから!」と。

 

 トランプ氏とアドバイザーらは同氏の知名度が選挙活動を成功させるカギだと分かっていたのです。6月の出馬表明は芝居がかった同氏のセンスが発揮されるように演出されまし

た。大理石張りのトランプタワーの中で、トランプ氏がエスカレーターに乗ったまま上から降りてくる姿は印象的でした。

 

 トランプ陣営の参謀、コーリー・ルワンダウスキー氏は「出馬1日目から私たちがやり続けていることは、大半の人が考えたり、理解したりしているものより、はるかに大きく、かつ広範な何かを作ることだ」と述べました。

 

 出馬表明の際に、麻薬ディーラーと「レイプ犯」の入国を阻止するために、メキシコとの国境に沿って壁を建設すると言い放ったトランプ氏はすぐに批判されました。

 

 アドバイザーによると、トランプ氏の演説はほとんどがアドリブだった。しかし、国境に壁を作る話は、移民政策に対する強硬派というイメージを打ち出すためにあらかじめ用意されていたものでした。 

 

 選挙活動がトランプ氏のビジネスに与える影響を懸念する向きもありました。少なくとも当初はありました。テレビの4大ネットワークや百貨店大手メイシーズはメキシコ人をめぐる同氏の発言を受け、提携関係を解消しました。トランプ氏との関係を絶つと決めたNBCの決断は痛手でした。

 

 2月に行われた指名争い第1戦のアイオワ州党員集会で2位に終わったこともトランプ氏にはこたえました。同氏はテッド・クルーズ上院議員が仕組んで党員集会の票を混乱させたと公に非難しました。その一方で、第2戦で別の結果が出なければ、陣営スタッフを一新すると脅しました。

 

 ルワンダウスキー氏は「(第2戦の)ニューハンプシャー州で(得票率)30%で負けていたら、私はすぐにクビになっていただろう」とし、「もっと大きく出る必要があることを理解した」と話しています。

 

 トランプ氏はその後、ニューハンプシャー、サウスカロライナ、ネバダの各州で圧勝。そして序盤のヤマ場である31日の「スーパーチューズデー」では7州を制し、共和党指名候補へ向けて着実に地歩を固めています。

 

 前出のストーン氏は「(トランプ氏は)歴史を作るのが好きで、自分の名前が脚光を浴びることを好む」と語っています。「それに、彼は楽しんでいる」のです。(ソースWSJ

2016年3月 7日 (月)

ドイツ国債、再び危険な道に!

ユーロ圏の債券市場にとって、これは見覚えのある光景です。10年物のドイツ国債利回りは229日、過去最低水準まで約0.05%に迫りました。31日はやや持ち直しましたが、それでもわずか0.13%となっています。

 

 ドイツ10年債利回りは今年に入り、2015年序盤の動きを繰り返すように容赦なく低下しています。今年は昨年よりやや高い水準から下げ始めた一方、低下ペースは一段と速くなっています。昨年は利回りが0.1%に達したのは4月だったのですが、今年は2月末でした。

 

 利回りがさらに低下する余地はあるのでしょうか。シティグループのアナリストによると、前回過去最低をつけた時、欧州中央銀行(ECB)の預金金利はマイナス0.2%でした。預金金利は現在マイナス0.3%に設定されており、市場では今月10日の理事会で一段の引き下げがあると予想されています。ピクテ・ウェルス・マネジメントのデータによれば、ECBの買い入れ対象となり得る債券の実に48%がマイナス0.3%より低い利回りで取引されており、量的緩和の対象から外れています。

 

 実際、2年債利回りは昨年のこの時期の水準を大幅に下回っており、利回り曲線が2015年よりも0.3%スティープ化しています。この観点からすれば、ドイツ10年債利回りはさらに低下する余地があります。マイナス利回りは絶対価値に基づく投資に障害となるかもしれませんが、利回り曲線の形状や債券の相対価値に基づく取引では何の問題もありません。

 

 しかし利回りがほぼゼロの10年債は極めて割高に見えるほか、国債市場は異例の金融政策によって明らかにゆがめられています。昨年の繰り返しとなっていることも、慎重姿勢を取る理由となっているでしょう。2015年に学んだように、ひとたび売り相場となれば、急速で猛烈な下げとなりかねないのです。(ソースWSJ

2016年3月 6日 (日)

利上げめぐり見解割れる、3月FOMC控え!

米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は3月の連邦公開市場委員会(FOMC)を前に、当局者の間で新たに広がる意見の相違をうまくまとめる必要がありそうです。

 

 海外の低成長と市場の混乱、そしてインフレがFRB目標の2%に達するか投資家や家計が確信を弱めている兆候を背景に、一部の当局者は先行きに対するリスクを引き続き不安視しています。このため、追加利上げに踏み切る前に、そうした脅威は強まっていないとの証拠をさらに確認したいと望んでいます。

 

 一方で、米経済がそうした圧力に十分耐えている証拠はあり、インフレと賃金はすでに上向き始めたと見る向きもあります。こうした見方のFRB当局者は先行きに楽観的で、向こう数カ月の緩やかな利上げ方針を大きく変更すべきだとの考えに反対しています。

 

 イエレン議長は2月の議会証言で両サイドの見方を尊重し、米経済へのリスクを繰り返し指摘しつつも、31516日のFOMCで利上げする可能性は排除しませんでした。

 

 市場は利上げの確率が低いとみています。CMEによると、フェデラルファンド(FF)金利先物市場が織り込む3FOMCでの利上げ確率は12%となっています。しかし、特に米労働省が4日に発表する雇用統計など、今後明らかになる経済指標次第で予想は変わる可能性があります。

 

 ブレイナードFRB理事は226日、ニューヨークでの公開討論会で「米国の課題はいかに慎重に回復を促すかだ」と指摘しました。回復の脆弱(ぜいじゃく)性と先行きへのリスクが、FRBに「極めて慎重」な姿勢を求めているとの見解を示しました。

 

 ブレイナード理事はここ数カ月、非常に緩やかな利上げの支持派としてFRB内で先導的位置に立っています。

 

 討論会前の講演では、海外経済の弱まりが米国に波及すれば、米金利は「大方の従来予想より」低くなる可能性があると述べました。

 

 これには複数の当局者が同調しています。シカゴ大学ブースビジネススクール主催の会合に出席したセントルイス地区連銀のブラード総裁は、会合の合間に取材に応じ、債券市場の動向がインフレ期待の低下を示していることについて引き続き懸念していると語りました。インフレ期待の低下により、FRBが中期的にインフレ目標の2%を達成できるか懐疑的な見方が強まったと指摘しています。その上で、3月のFOMCでは「このインフレ期待の問題を懸念することになる」と述べました。

 

 FRBがインフレ指標として注目する個人消費支出(PCE)価格指数は、変動の激しい食品とエネルギーを除くコア指数が1月に前年同月比で1.7%上昇と、20147月以来の高水準を記録しました。ブラード総裁の発言は同指数の発表後に行われたため、特に関心を引きました。

 

 多くのFRB関係者はコアPCE価格指数について、消費者物価の基調的な動向を示す優れた指標とみなしています。昨年12月時点のFRB関係者の予測では、同指数の上昇率は16年末までに1.6%に達するとみられていましたが、先週26日に発表された1月の指数はすでにこれを上回りました。

 

 米商務省が同日発表した10-12月期の国内総生産(GDP)改定値は、前期比年率換算1%増と、速報値の0.7%増から上方修正されましたが、アトランタ地区連銀は161-3月期のGDP2.1%増と予測しています。成長率は低いが失業率を低下させ続けるには十分な水準です。

 

 こうした指標を受け、金融市場が動揺する中でも米経済が堅調である兆しを見逃すべきではないと論じる当局者も出てきました。

 

 サンフランシスコ地区連銀のウィリアムズ総裁は2月の講演で「インフレに関しては、望ましい水準にあるとは言えないが、目標達成に向けた軌道にある」とし、「国内市場に限って見れば、力強い成長を示している」との認識を示しました。

 

 また、FRBにとって「緩やかなペースでの正常化」が最善の道との見方を変えていないと言明しました。

 

 クリーブランド地区連銀のメスター総裁は先週、ブルームバーグに対し「3月についても検討すべきだ」と述べ、3月会合で利上げする選択肢に言及しました。

 

 イエレン議長はFRBのトップとして慎重姿勢を取る傾向があります。当局者の見解が割れる中、これはブレイナード陣営に有利に働きます。ただ、今後2週間で強気の経済指標と市場の安定化が見られれば、力関係は再び変わる可能性があります。(ソースWSJ

2016年3月 5日 (土)

グーグルの自動運転車、初の事故か!

 Googleがテスト走行している自動運転車が、2月にカリフォルニア州で公共バスと接触しました。カリフォルニア州の車両管理局(DMV)の文書によると、これはGoogleの車両が引き起こした初めての事故とみられます。

 

 自動運転車は時速2マイル(約3.2km)、バスは時速15マイル(約24km)で走行中だったとAssociated Pressは報じています。負傷者はなく、DMVに提出された報告書は責任の所在について明言していません。

 

 自動運転車はマウンテンビューのGoogleキャンパス近くを走行中、路上に置かれた土嚢を避けようとしたとGoogleは説明しています。運転席に座って自動走行を見守っていた「ドライバー」は、バスが道を譲ると考えたということです。

 

 Googleは、米国時間229日付けでReutersに寄せた声明で次のように述べています。「われわれは明らかに責任の一端を負っている。われわれの車両が動かなければ衝突することもなかったからだ。しかしテストドライバーはバスがスピードを落とすか停車して車線に合流させてくれると考えており、またそうするだけの十分なスペースがあった」と述べています。

 

 Googleはすでにソフトウェアを改良していて「今後われわれの車両は、バス(およびその他の大型車両)が他の車両と比べて進路を譲ってくれる確率が低いことをより深く理解するだろう。今後はこうした状況をよりスムーズに処理したい」と言っています。

2016年3月 3日 (木)

スーパーチューズデー 早わかりQ&A!

3月1日は米大統領選の予備選・党員集会が集中する「スーパーチューズデー」。大統領選の行方を占うとして注目されるこの日に関するよくある質問をまとめました。

 

スーパーチューズデーは何が特別なのか?

 

 米大統領選の予備選・党員集会が集中する「スーパーチューズデー」。この日に選ばれる代議員は民主党859人、共和党595人と期間中で最も多い。両党とも3月中旬から下旬までに代議員の半数超が決まります。

 

参加する州の数は?

 

 31日に投票する州の中にはその日のうちに代議員が決まらない州もある。今年は、両党とも11州で即日で代議員が決まります(予備選・党員集会が行われるのは13州と米領1カ所)。

 

予備選・党員集会が行われる州は?

 

 共和党はアラバマ、アラスカ、アーカンソー、ジョージア、マサチューセッツ、ミネソタ、オクラホマ、テネシー、テキサス、バーモント、バージニア。

 

 民主党はアラバマ、アーカンソー、コロラド、ジョージア、マサチューセッツ、ミネソタ、オクラホマ、テネシー、テキサス、バーモント、バージニア。

 

 アラスカ、コロラド、ミネソタは党員集会、それ以外の州は予備選を行う。アラスカで1日に行われるのは共和党の党員集会のみ。コロラドでは両党が党員集会を開くが、共和党はこの日は代議員を選びません。

 

代議員の選び方は?

 

 スーパーチューズデーに行われる両党の予備選では、勝者総取りではなく比例配分となります。

 

最も重要な州は?

 

 断然テキサス。選ばれる代議員が民主党は222人、共和党は155人と多いためです。

 

スーパーチューズデーで支持を集めそうな候補は?

 

 

 ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)、NBCニュース、マリスト大学世論研究所の調査によると、共和党ではドナルド・トランプ氏がジョージア(選出代議員数76人)とテネシー(同58人)でリードしており、テッド・クルーズ上院議員は地元テキサスで2位に2桁の差をつけている。トランプ氏は他の多くの州でも強いとみられています。

 

 民主党では、ヒラリー・クリントン氏がテキサス、ジョージア(同102人)、テネシー(同67人)でバーニー・サンダース上院議員をリードしています。この日は黒人有権者の多い州が多数を占めるため、黒人の支持者が多いクリントン氏が有利です。

 

投票の開始・終了時刻は?

 

 東部時間1日午後7時から9時。アラスカの共和党党員集会は東部時間の2日午前零時頃に終わる公算が大きいです。(ソースWSJ

2016年3月 2日 (水)

フェイスブック導入の新ボタン、使い方にご注意!

 人生は、親指を立てて喜びたいほど良いことの連続ではない。しかし、過去7年間、交流サイト(SNS)のフェイスブックで、指で簡単に示せる選択肢は、曖昧模糊として楽天的な感情(「いいね!」)だけでした。

 

 ただし、それも水曜日(24日)までで、世界最大のSNSであるフェイスブックはこの日から、ユーザーが怒ったり、悲しんだりするのを可能にし始めます。はたまた愛を広めたりすることさえ可能になります。世界で新たに5つの「リアクションボタン」の運用を始めるのです。その中に要望の多かった「Dislike(よくないね)」は入っていません。

 

 「いいね!」ボタンがなくなるわけではないのえすが、今後はその上にマウスのカーソルを合わせると、5つの選択肢が現れます。「超いいね!(Love)」、「うけるね(Haha)」、「すごいね(Wow)」、「悲しいね(Sad)」、「ひどいね(Angry)」の5つです。スマートフォン用アプリでは、いいね!を長押しすると、これらの選択肢が表示されます。少し見つけにくいかもしれませんが、これらはこれまでの「いいね!」と同じように機能します。リアクションの集計数は投稿の一番下に表示され、投稿が公開されているのであれば、リアクションも同様に公開されます。

 

 疑問を持つ人のために一応言っておくと、フェイスブックは、このリアクションを使った広告の微調整は現時点ではしないとしています。ただし、将来についてはそれを否定していません。

 

 シンプルなことのように聞こえるかもしれませんが、そうでもありません。この小さなボタンには大きな社会的意味合いがあります。複雑な人間の感情を一連のパックマン・フェイス(丸顔の絵文字)に押し込めるのは危険です。とりわけ、われわれはこれまで既に「いいね!」で満足感を伝えていたのだから。あの小さなボタンは1日に何十億回も押されているのです。

 

 カリフォルニア州立大学のラリー・D・ローゼン名誉教授(心理学)は、われわれが「最小限の努力で感情を表す方法を探そうとしている」と指摘しています。テクノロジー依存に関する書籍「iDisorder(邦訳「毒になるテクノロジー」)」の著者でもある同教授は、「『悲しいね』ボタンをクリックして、即座に深い感情を表現できたように感じるのであれば、問題だ」と話しています。

 

 新しいリアクションボタンを1週間使ってみて、わたしは「いいね!」だけのときには問題にならなかった微妙なバランスがあることを発見しました。われわれにはそれらをいつ使えて、いつ使えないかを示すルールが必要えす。そこでわたしは、それについて考えてみたいと思います。

 

 皆さんは否定的な感情を示す新しいボタン(「悲しいね」と「ひどいね」)が一番問題になると思うかもしれませんが、実際に大問題だと分かったのは、「超いいね!」ボタンだったのです。

 

 わたしはこのツールを使い始めた最初の日、ニュースフィードのほぼ全てに「超いいね!」を押しました。婚約の発表や、猫がスキーする動画などだ。もともと猫が「好き(like)」なわけでもないのに。

 

 しかし、「All You Need is Love」と歌ったジョン・レノンは間違っていました。われわれに必要なのは「love(愛)」だけではありません。親友に生まれた女の赤ちゃんと、マクドナルドの新製品と、どちらの方を強く「愛する」かという質問は愚問です。つまり、実生活と同様、このloveという言葉は慎重に使うべきなのです。

 

 カリフォルニア大学のトマス・ブラッドベリー教授(心理学)は、「loveはたくさんのlikeを上回るものだ。質的に違う」と述べ、「超いいね!ボタンを押すときは、『これは本当に特別だ』と考えるべきだ」と話しています。

 

 どうやらマーク・ザッカーバーグ氏の母親は、彼が幼少時に、「他人に伝えたい素晴らしいことがないなら、何も言わないの!」と繰り返し言っていたに違いありません。フェイスブックは(最高経営責任者=CEO=である彼の母親のそうした教えもあったせいか)、われわれを泣かせたり、怒らせたりする人やモノが、われわれの生活に一切存在しないと想像していました。

 

 2つの否定的なボタンの追加は、この状況からの解放を意味します。悲しい投稿に直面したとき、応援したい気持ちを示すために「いいね!」ボタンを押すべきか否かについて、話し合う必要がなくなるのです。今後、怒りと悲しみをクリック1つで表現できるようになります。でも、だからと言って、そうすべきだという意味ではありません。

 

 「悲しいね」ボタンの導入前は、最愛の人の死や難病との戦いといったつらいニュースを読んだとき、意味のある返事を入力する必要がありました。導入後は、既に非人格的なショートカット(そっけない手法)、つまり冷たく感じられるそっけない感情表現が、はるかに非人格的に冷たく感じられるようになるでしょう。

 

 前出のローゼン教授は「われわれは既に、面と向かったインタラクション(やりとり)を減らしてきた。これは真のコミュニケーションのための時間を取らないもう1つの言い訳になるだろう」と述べ、「これらのツールは既に、関与するためのわれわれの能力に影響を及ぼしている。怒ったり、あるいは共感したりする能力に影響していくのだ」と語りました。

 

 ローゼン教授らの研究によると、つらいときに応援されているような気分にさせるという点においては、実際に面と向かって共感を示された方が、バーチャルに共感を示されるより6倍効果が高いといいます。フェイスブックの投稿にそれほど効果がないのであれば、悲しい顔の絵文字の効果はずっと小さいと想像できるでしょう。

 

 では、どうすれば良いのだろうか。たった一粒の涙をうかべるだけのパックマンの顔を受け取る人のことを考えてみよう。ボタンを押す代わり、または押した上で、じっくり考え、メッセージを書くべきです。

 

 フェイスブックの製品開発責任者であるジュリー・ジュオ氏によると、同社はユーザーがコメント、ステッカーないし絵文字で最も多く示していた感情を基に、5つのリアクションを選んだといいます。「すごいね」は、幅広いOMGOh My God)レベルの感情を、良いものも悪いものも含め、カバーしているように見える。「うけるね」は、それよりずっとシンプルな印象です。しかし、そこでわたしは、これがインターネットなのだということを思い出しました。

 

 「すごいね」には、これと逆の問題があります。どれにでも合うように見えるのです。しかし、キラキラと輝くダイヤの指輪と、ひどい車の事故に同じボタンを押して本当に良いのだろうか。

 

 最後に、新しいボタンを押される側の人に向けてアドバイスすると、あまり真剣に受け取るなということです。結局のところ、それらは人間の感情にみせかけた顔の絵であり、ただのボタンに過ぎないのです。(ソースWSJ

2016年3月 1日 (火)

日銀の政策、何でもありの世界へ!

「不思議の国のアリス」の冒頭でアリスはウサギを追って穴に飛び込み、どんどん底へと落ちていった。ここ数年の中央銀行がまさにそうです。まず政策金利を過去最低まで引き下げ、次に国債や住宅ローン担保証券(MBS)の買い入れを実施、そして超緩和政策は日本では不動産投資信託(REIT)と株式ファンドの購入へと発展しました。さらに、マイナス金利政策の導入によって中銀はいまや、金利が「下限ゼロ」を割り込むというかつてはほぼ不可能と考えられていたことを何とかやり遂げている。

 

 現代の中銀が住む「鏡の国」では、現金の廃止についてさえも金融当局上層部が真剣に議論するなど、タブーとされる政策はほとんど何もありません。

 

 まだ検討されていない構想が一つあります。日本銀行は紙幣を印刷して原油を買うべきだという意見です。これはナンセンスどころではない、それ以上にばかげた意見のように聞こえます。しかし、朝食前に六つの不可能なことを信じたことがあると言っていたアリスのように、中銀関係者らも信じることの力を確信しているとすれば、もはやこうした構想もあり得ないことではないように思えます。そして、そう思えること自体、有益な発見です。

 

 日銀が抱える問題を考えてみると、日銀は国債などを買い入れるために年間80兆円のペースで新たな通貨を供給しています。これは過去最大級の規模での紙幣増刷です。時価総額でみると、日銀はすでに国債発行残高の3分の1近く、株式の約2%、ETF(上場投資信託)の約半分をそれぞれ保有しています。

 

 それにもかかわらず、日本のインフレ率はずっと低空飛行を続けています。1月のマイナス金利政策発表以降も円高が進み、日銀の目標とする2%までインフレ率を押し上げることは一段と難しくなっているのです。

 

 日銀の黒田東彦総裁は23日、マネタリーベースの拡大だけでインフレ目標を達成できるかは疑問との考えを示したものの、3月の追加行動の可能性を示唆する兆しはいくつかあります。明らかな選択肢は金利のマイナス幅拡大ですが、資産買い入れの増額とさらなる財政出動も合わせて実施される可能性があります。

 

 ただ、マイナス金利政策は銀行への打撃など良くない副作用を伴います。また、国債供給には限りがあります。野村証券の推計によると、今後3年間で日銀が買い入れることのできる国債は236兆円にとどまるといいます。銀行や保険会社が保有している国債の売却に消極的だからです。HSBCは、最悪の場合、年内に日銀は月間目標額を購入することが厳しくなるとみています。

 

 こうした推計は悲観的過ぎかもしれませんが、外国資産の買い入れという選択肢もあるのは確かですが、実現はかなり難しいでしょう。直接の為替操作は昨今、外交上の理由から日本のような大国が絶対にやってはいけないことです。このため、スイス国立銀行(中央銀行)がユーロ圏加盟国の国債を購入しているように日銀が米国債を買うという策は現実的ではありません。

 

 もっと極端な選択肢もあります。政府支出の資金を直接提供することや、金利のマイナス幅がさらに広がるよう銀行紙幣を廃止することなどです。いずれも政治的に受け入れられない策ですが。

 

 これらの政策と比較すると、紙幣の増刷による原油購入には大きな利点がいくつかあります。

 

 一つ目は、外交に危険な影響を及ぼすことなく日銀が直接、円相場を押し下げることができるという点。原油はドル建てで取引されるため、原油を買うドルを調達するには円を売る必要がある。日本が原油輸入を増やすことに米国が反対するとは思えません。

 

 二つ目は、日銀が買い手に加わることで原油価格の押し上げが期待できる点です。日本の消費者はこれを良しとしないかもしれませんが、投資家はリスクを取るべきか判断する上での目安として原油価格に注目しています。今年に入って原油は、株式から国債、為替に至るまであらゆる市場の鍵を握る重要な要素となりました。トレーダーは原油価格を手掛かりにするからです。例えば、原油が安くなると安全逃避先として円が買われる傾向があり、23日も同じ流れでした。こうした市場への影響力を踏まえると、原油の買い入れには円安を招くという、債券買い入れを上回る力があると言えます。

 

 三つ目は、日本が石油をほぼ全て輸入に頼っており、平均的な輸入国よりも備蓄日数が少ないという点です。石油備蓄が増えれば、投資の下支えにもなるでしょう。

 

 四つ目は、原油価格は2008年につけた史上最高値の4分の1の水準まで下落しており、いまが買いの好機との議論が成立しやすいことです。

 

 一方、大きな難点が一つある。「不思議の国のアリス」に登場する、いかれた帽子屋マッド・ハッターが思いついたアイデアのように聞こえる、というだけの問題ではありません。

 

 残念ながら、日銀が望むペースで長期にわたり買い入れるだけの十分な原油は世界には存在しないのです。原油市場は巨大です。イランの増産で見込まれる市場への追加供給量は年間約80億ドル相当ですが、中銀の買い入れはもはや10億ドル単位の話ではないのです。原油市場全体の規模は年間で約12000億ドル相当ですが、日本が買えるのはそのうちのごく一部です。もちろん、原油価格を押し上げれば押し上げるほど投じる金額も増えますが、目標額には到底及ばないでしょう。

 

 日銀はマイナス金利をさらに引き下げる見通しです。また、買い入れの継続に伴い流通市場の国債が枯渇しないことを願っています。アナリストの間では、日銀が買い入れ対象となる資産を拡大するとの予想もあります(原油よりも土地や株式の可能性の方が高そうだ。原油はまだ高級ワインと共に、検討しない資産リストに含められている)。

 

 あるいは、HSBCのチーフエコノミスト、ステファン・キング氏が言うように、日銀はいずれ、他に何が買えるかという議論から、これらの非伝統的な政策が果たして機能するかという問い掛けに移行する可能性があります。

 

 日本の金融政策はナンセンス、つまり意味をなさないことと意味あることを区別しづらい段階に達しました。おそらくじきに西欧諸国の金融政策もそうなるでしょう。(ソースWSJ

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