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2015年9月21日 (月)

土星の衛星エンケラドス、氷の下に全球を覆う海!

海水を噴出していることで知られる土星の衛星エンケラドスが、氷の外殻の下に全球を覆う海を隠し持っていることが明らかになりました。地球外生命探査の候補を探す研究者にとっては朗報です。

 

 科学者たちは、NASAの土星探査機カッシーニが撮影したエンケラドスの画像7年分以上を人力で分析することにより、エンケラドスが土星のまわりを公転しながらわずかにふらついていることを発見しました。このふらつきは非常に小さいが、表面から核まで完全に固体であるような衛星のふらつきとしては大きすぎるということで、ふらつきを最もうまく説明できるのは、全球を覆う液体に外殻が浮いていると考える場合だといいます。

 

 米SETI研究所のマシュー・ティスカレノ氏は、「表面と核が強固につながっていたら、核がおもりになるので、ふらつきは観測よりずっと小さくなるはずです」と説明しています。つまり、「表面と核の間に全球を覆う液体の層があると考える必要があるのです」と。

 

 米ワシントン大学のビル・マッキノン氏は、この研究はしっかりした手法で行われていると評価しています。彼によると、今回の発見はカッシーニが収集した重力データにもとづく過去の研究と矛盾しないし、エンケラドスの特徴のいくつかを説明するには全球を覆う海を考えるのが最も容易であるといいます。

 

 エンケラドスには間欠泉があり、宇宙空間に向かって塩水と有機分子を噴き出している(これを「プルーム」と言います)。2005年にカッシーニが初めてこのプルームを発見して以来、エンケラドスは宇宙生物学者が行ってみたい場所ランキングの上位にあります。

 

 NASAジェット推進研究所の宇宙生物学者ケビン・ハンド氏は、「私たちが探しているのは、化学物質を豊富に含み、長い年月にわたって存在していると考えられる、液体の水からなる海です」と言います。

 

 ところがエンケラドスについては、プルームこそ確認されたものの、それが長い年月にわたって存在している海に由来している証拠はほとんど得られていませんでした。初期の理論では、おそらく衝突によって形成された、局所的な小さい海があると考えられていましたが、そのような海は新しすぎて、生命が誕生しているとは考えにくいといいます。

 

 けれども今回の発見のように、エンケラドスの海が全球を覆っているなら、長期にわたって安定に存在することができるため、微生物が誕生している可能性が出てきます。「全球を覆うほどの海を一時的な現象として説明するのは困難です。生命が誕生している可能性にとって、プラスの材料になります」とハンド氏は言います。

 

 今回のエンケラドスのほかにも、氷の外殻の下に海の層がある天体はいくつか知られています。例えば、木星の衛星であるエウロパやガニメデは、木星や他の巨大衛星の重力の影響で発生する熱により、内部海が液体の状態を保っていられることが分かっています。

 

 一方、土星のエンケラドスについては未知の部分が多い。海の深さも、海が液体でいられるための熱の発生要因も、南極の氷の外殻だけが間欠泉が噴出するほど薄くなっている理由も分かっていません。

 

 ハンド氏は、「南半球の海底だけが活動しているということでしょうか?」と問いかけています。「エンケラドスの海とその下の惑星物理学的活動をめぐる秘密は、氷の外殻によって覆い隠されているのです」。

 

 カッシーニ探査機は2017年まで土星系の探査を続け、最後に土星に突入する予定になっているので、今後も新たな情報をもたらしてくれるはずです。カッシーニが次にエンケラドスに近づくのは今年の10月で、最後のフライバイ(接近通過飛行)は12月に行われます。 

 

 地球から打ち上げられた探査機が宇宙を旅して小さな氷の天体に接近するたびに、私たちは、こうした天体の成り立ちを理解できていないことを痛感させられます。今年に入ってからも、NASAの探査機ドーンが、小惑星帯の準惑星ケレスに到達して、その脆(もろい)くてクレーターだらけの素顔を明らかにしました。同じくNASAの探査機ニューホライズンズが、太陽系の端にある冥王星の近くを猛スピードで通過しながら、この興味深い準惑星の観測を行ったことも記憶に新しいところです。これからの数十年間、数多くの探査機が太陽系のさまざまな天体を探査して、その秘密を明らかにし、旅先から別世界の絵葉書を送ってくれることでしょう。(ソース ナショナルジオグラフィック)

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