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2012年6月11日 (月)

奇跡の金属「KUMADAI不燃マグネシウム合金」で世界を変える!

ジュラルミン(duralumin)は、ドイツのDüren(デュレン)ではじめて作られたということから付けられたものです。またdur-(耐性のある、硬い)アルミ、とも解釈可能であるが、両方かけているとしたら秀逸なネーミングだったわけです。発見者はAlfred Wilmで、1906(明治39)年と結構昔に発見されています。強度が高いが軽量かつ加工性が良いという優れた特徴を持つため、航空機材や自動車材料、建築資材、ジュラルミンケースなど、様々な分野に利用されています。材質はアルミニウムに銅4%、マグネシウム、マンガン各0.5%および少量のケイ素を加えた高力合金がジュラルミンです。これにマグネシウム約1.5%、銅約1.2%とした「2024合金」と呼ばれるものが超ジュラルミンとも言われ、亜鉛5.5%、マグネシウム2.5%、銅1.6%とした「7075合金」は「超々ジュラルミン」と言われています。アルミ合金の一種で現在では7000系と呼ばれているものです。現在では航空機に限らず広く使われています。

そしてこの超々ジュラルミンが戦前の日本のゼロ戦に使われていたのです。当時は零戦以外の日本機の主要軍用機の桁材に広く使われていたそうです。これは住友金属が開発したESD材(当時、零戦に使われた「超超ジュラルミン」の名称)は、時期割れ防止に重点を置いて研究した結果、少量のクロームを添加する事によって時期割れを実用上差し支えない範囲に収める事が出来たそうです。そして、これがゼロ戦に使われた超々ジュラルミンのノウハウだったようです。これは従来の超ジュラルミンより軽くて33%強度が高かったので超々ジュラルミンと呼ばれ、これを最も重要な主翼桁材に使用できたことでゼロ戦の軽量化に非常に役にたったのです。つまりこれは当時、世界一優れたアルミ合金だったのです。当然、強度のある材料を使えるということは、それだけ部材を小さくできるし、さらに胴体の構造体に馬鹿穴と呼ばれる穴をたくさんあけてさらに軽量化しました。その軽量化のため、馬力のないエンジンでも敏捷性や最大速度の向上、バランスのよさ、空中戦性能の向上、操縦性の良さなどを実現したのです。これにより重量軽減の目標は達成可能となったのです。この超々ジュラルミンの登場が、零戦を実現不可能と思われた驚異的な性能に引き上げたのです。

しかし1942年(昭和17年)6月、アメリカ軍はアリューシャン列島のダッチハーバーに近いアクタン島の沼地に不時着した零戦をほぼ無傷で捕獲することに成功したのです。米軍は捕獲した零戦を調べて機体の構造体に無数の穴があけられているのに驚いています。そして機体の徹底的な研究により、零戦が優れた旋回性能と上昇性能、航続性能を持つ一方で、高速時の横転性能や急降下性能に問題があることが明らかとなり、その弱点を衝く対抗策として優位高度からの一撃離脱戦法と「サッチウィーブ」と呼ばれる編隊空戦法がアメリカ軍に広く普及するきかっけになったのです。そしてさらに高出力エンジンを載せた戦闘機を開発し、ゼロ戦の性能を上回ることにつながって行ったのです。

こうした「超超ジュラルミン」の大発明が日本で生まれたのにもかかわらず、意外と日本人自身が知らないのではないでしょうか?もちろん専門家の人たちはもちろん、マニアの人たちも知っているでしょうが、一般の人に広く知られているかと言えばそうでもないと思います。こうしたことはもっと多くの人にも知っていてほしいですね。そして、その素材を強度・軽さとも上回り、さらに“不燃性”の判定も受けた、夢の新合金が開発されたのです。これもまた日本発の生まれで『KUMADAI不燃マグネシウム合金』というものです。開発者は、熊本大学大学院教授の河村能人さんです。従来の難燃性マグネシウム合金等と比べ、低コストでの生産が可能で、リサイクルもできるため、航空機の機体や高速鉄道車両の新素材として、世界の産業界から注目されているのです。

マグネシウムは実用金属の中で最も軽く、資源量も豊富な一方で、強度が低く熱に弱いため、
パソコンや携帯電話など、用途は限られていたのです。そこで、ほかの金属と混ぜる“合金”として、強度・耐熱性・発火温度を上げようと、世界各国が開発を競ってきていたのです。河村教授がマグネシウム研究を始めたのは、1999年のことで、国のプロジェクトに加わったのですが、すでにその研究はやり尽くされたと考えられていたのです。しかし河村は恩師の言葉を忠実に守り、一種類ずつ金属を混ぜ強度を測るという地道な作業を何度も繰り返しては実験をしたのです。その試した数、実に450種類。1%単位で配合率を変えながら、検証を繰り返したのです。河村教授には、『muddle through(マドル スルー=泥沼を這い上がる)』という恩師から受けた不屈の信念があったのです。

そうしてできた「KUMADAI不燃マグネシウム合金」は、従来のマグネシウムに比べ約2倍の強度を誇り、発火温度は1105度と、初めて“不燃性”を実現できたのです。この合金に、アメリカ自動車大手GM社をはじめ、国内外の名立たる企業が熱視線を注いでいるのです。こうして常識を打ち破る夢の金属を開発したのです。それは驚くほど軽く、強くて、燃えないのです。マグネシウムは実用金属の中で最も軽い金属です。鉄の4分の1の重さしかなく、埋蔵量が豊富なのも特徴です。ところが、マグネシウムは強度が低く発火しやすい難点があります。550℃~600℃で発火し、一度発火した後に水をかけると水素爆発が起こるため扱いが非常に難しいです。そのため、軽いというメリットがありながらも用途が限られパソコンや携帯電話などの製品の一部にしか使われることはありませんでした。その強度はそれまでのマグネシウム合金の約2倍、1100℃を超えても発火しないマグネシウム合金になったのです。70年以上に渡って新素材が現れなかった航空機やロケット開発に衝撃を与える未来の金属の誕生だったのです。

こうしてみると、「超超ジュラルミン」が日本で発明され、今度は70年後にさらに強い「KUMADAI不燃マグネシウム合金」がまた日本で発明されたことは、日本人としてたいへん嬉しいことです。これも何かの縁でしょうか?日本発のこうした発明が、今後、世界で役に立ってほしいですね。

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宇宙・サイエンス・科学技術」カテゴリの記事

コメント

 日立金属が開発した新型工具鋼 SLD-MAGIC(S-MAGIC)は微量な有機物の表面吸着により、金属では不可能といわれていた自己潤滑性能を実現した。この有機物の種類は広範囲で生物系から鉱物油に至る広い範囲で駆動するトライボケミカル反応であると。潤滑機械の設計思想を根本から変える革命というものもある。
 このトライボケミカル反応にもノーベル物理学賞で有名になったグラフェン構造になるようになる機構らしいが応用化の速度にはインパクトがある。

 今月の、「プレス技術」を読みましたが、冷間工具鋼、SLD-MAGICのトライボロジー特性は凄いですね。微量の油をぬったセミドライ状態で、摩擦させるとまるでDLCのような自己潤滑性が出るなんて。コーティング費用分コストパフォーマンスが良く、いろんな転動・摩擦・摺動部品にも使えそうだ。

 このまえのNHKのクローズアップ現代で、やっとシェールガス革命の事の重要さを認識しました。それでいろいろと調べていると、なんか日立金属の自己潤滑型高性能工具鋼が掘削用のドリルの材質に使われたこともブレークスルーの一助となったとか。

 それにしても日立金属の高性能冷間工具鋼SLD-MAGICのトライボロジー特性は凄いですね。先々月の、日刊工業新聞社の「プレス技術」で読みましたが、微量の油を塗ったセミドライ状態で、摩擦させると先端技術のDLCのような自己潤滑性(摩擦係数が下がる)が出るなんて。耐摩耗性もたかいのでコーティング費用分コストパフォーマンスがよく、巨大な軸受などに対しても耐荷重能も相当応力で2500MPaと高強度でベアリング・金型などのいろんな機械の転動・摩擦・摺動部品などの機械要素に使えそうだ。まさにノーベル賞級の発明だ。

先日、その工具鋼の自己潤滑性とかいう話を日本トライボロジー学会で聞いたが、モリブデンとかカーボン、それにDLCコーティングなどの怪しげな論説とも整合し、油中添加剤の極圧効果にも拡張できる話は面白かった。いわば、世界初の本格的なナノマシンが表面に形成されて自己潤滑性がでるということだ。

資源の少ない我が国にとり貴重な資源であり財産であります、この資源を我が国の利益になるように生かしながら、世界の為に活用してほしいです。

 その材料、遅ればせながら知りました。PV値が驚異の900MPam/minもあるんですね。素晴らしい。

 それって風力発電のベアリングに向いているような気がします。アベノミクスでこの辺の方向にも勢いがついているようです。

 今や時代は低粘度オイルの時代ですから、境界潤滑状態がふえるし、極圧添加剤もSOxの環境問題で入れられないとなると高PV値材料の重要性はますます増えるでしょうね。

化学は無限です 資源の少ない日本にとってこうしたものが大きな財産です これからも我が国は益々こうした研究に力を入れていくべきだと思います

 それにしても日立金属製の高性能冷間工具鋼SLD-MAGIC(S-MAGIC)の自己潤滑性の評価が高い。塑性加工金型のカジリを防ぐメカニズムが最近わかったようで、摩擦面に自動的にナノベアリング状の結晶が生成されるとのこと。耐カジリ性の指標であるPV値も通常の鉄鋼材料の6倍と世界最高水準と報告されている。
 これはどういうことかというと、例えば自動車のエンジンや動力伝達系部品のしゅう動面積を1/6にすることを意味し、大幅な軽量化による低燃費化が期待できることを意味している。トライボロジー技術にはまだまだ発展する力学的な未知が多いように思われる。

 現在の機械構造材料の最大のネックは摺動面。
いくら機械的特性(材料強度・硬さ)が高くても、材料というものは摩擦に弱い。
そのため潤滑油が存在する。しかしながら、それでも弱いので
コーティングをする。
しかし、日立金属が開発した自己潤滑性特殊鋼SLD-MAGICは
コーティングレスで摩擦に強いことが特徴。そのメカニズムは
潤滑油と鉄鋼材料が相互作用を起こし、グラファイト層間化合物
という高性能な潤滑物質を作るためであることが、日立金属技報
2017で公表された。
 これにより機械設計は小型化され、摩擦損失と軽量化の同時
解決が見込まれ、自動車の燃費向上に大いに寄与することが期待
されている。

 やっぱり産業機械の国の競争優位性は境界潤滑をどう制御するかにかかっていて
ドイツ車のダウンサイジングの嵐も、結局ピストンピンにDLCだった。しかしこれは違う。潤滑システムを見直せと言っている。自分の担当の部品だけに固執して表面硬度
をガンガン上げて、相手材を破壊したり、循環システム全体にナノダイヤをまき散らすのは良くないといっているのだ。つまりドイツ方式の部分最適化ではなく全体でドイツを上回るエンジンを作れる展望を示しているのだと思う。

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