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2012年3月20日 (火)

白川郷、世界遺産の景観維持で公共駐車場廃止へ

世界遺産(2012年1月25日)には歴史的建造物や遺跡などの文化遺産、貴重な生態系などの自然遺産、両方の要素を持つ複合遺産の3種類があり、人類共通の財産として保護を図るのが目的です。各国の政府が国連教育科学文化機関(ユネスコ)に登録を推薦、諮問機関による現地調査とユネスコへの勧告を踏まえ、毎年開かれる世界遺産委員会で登録の可否が決まります。これまでに文化遺産725件、自然遺産183件、複合遺産28件が登録済みで、新規登録の審査は年々厳しさを増しているそうです。

そうした数多くある世界遺産の中で、岐阜県の白川村の合掌造りの集落も世界文化遺産に登録されています。行った事のない人でも、白川郷が夜の暗闇の中で浮かび上がる幻想的な合掌造りの集落の美しさに惹かれた方もいたと思います。私も今年の冬、白川郷のライトアップを見に行ってきました。本当に美しかったです。高速道路が北陸まで開通したことでここを訪れる人はうなぎ上りで、白川郷を訪れる観光客は、登録前で約60万人程度だったそうですが、世界遺産に登録された1995年12月以降、訪れる人も激増し、平成8年に100万人、そして2001年に入ると150万人を突破しているのです。人口わずか2000人程度の小さな村に、秋田県の人口117万人を遥かに上回る観光客が押し寄せているのですから、問題が発生しないほうが不思議なくらいです。特にここには住民が現在も住んでいるところだけに自然や景観と生活を調和させることに苦心しているようです。

「荻町集落の自然環境を守る会」では、合掌造り家屋について「売らない、貸さない、壊さない」の三原則を掲げ、保存活動を行っているそうで、この集落の合掌造り家屋は、おおむね江戸時代末期から明治時代末期に建てられたものが多く、荻町の合掌造り集落は妻を南北に向けて整然と並んでいるところに特色があり、家ごとの塀がないことと相俟って、それが独特の景観を形成しているのです。それは集落の北側にある高台の城山城址があるのですが、その展望台から荻町集落全体を見渡すことができ、この集落の特長をよく確認できるところでもあります。それも夜の明かりのともった集落を上から見ると、白銀に映える灯りの美しさはまるで童話の世界のような美しさがあります。ただ真冬の夜景を見るためにはその高台に上る必要があるのですが、その坂が凍結しているので登るときはまだいいのですが、下っていくときには立っているだけで滑ってしまうほど大変危険な坂です。来年行かれる方は特にこの点に注意したほうが良いです。滑って腰の骨を折ったと言う話も聞きましたので。にも関わらず、手すりもなければロープすらなく、それに道が上り下りに分けられていないので、降りる人と上る人でごった返し、渋滞が発生し30分も展望台に行くまでかかるほどです。ここは危険なのでぜひ白川村の人も対策を立てたほうが良いと思います。

荻町の合掌造り家屋の中で特徴的なのは和田家住宅です。これは江戸時代に塩硝の取引で栄えた名主の家で、国の重要文化財に指定されているところだそうです。江戸時代末期の建築と推測され、高山大工が建てたとされる明善寺庫裏と酷似した間取りを持つことから、こちらも高山大工の作と推測する者もいるそうです。有力者の家屋であるため他よりも大きく、特別な客を迎えるための式台が存在している点で通常の合掌造り家屋と大きく異なります。そして入館料を払えばここへ入ることもできます。ちなみに集落の南にある白川八幡神社からは、東にある埋蔵金伝説をもつ帰雲山へ林道が伸びていて、日本三百名山の猿ヶ馬場山への登山道入口となっているそうです。この話は聞いたことがありましたが、この白川郷だとは知りませんでした。

ここでいままで問題になっていた事があったそうです。それは観光客らが利用する集落内唯一の公共駐車場(約30台収容)が、景観の維持や収入悪化を理由に本年度末で廃止されることが分かったそうです。同地区は今後、観光客らに、集落外の公共駐車場を利用し徒歩で集落に入るよう呼び掛けるそうです。同村では今年秋になって一部住民が私有地を無許可で民間駐車場にする問題が表面化し、住民の間で集落内の駐車場の在り方について協議がされ、18日に開かれた地区総会で「駐車場が景観を悪化させている」として廃止を決定したものです。

佐藤一弘区長(53)は「集落の景観維持のために、まずは公共駐車場をなくすことから
始めた。村に返還する用地を観光に役立つ場として活用してほしい」としています。区としては、無許可の民間駐車場をやめるよう住民を説得しており、佐藤区長は「(今回の決定を機に)民間駐車場の自粛につながる流れができることを望む」と述べています。同村では景観維持のため、集落内への大型バスの乗り入れ規制を既に始めていますが、その結果、公共駐車場を利用するバスの減少で収入が悪化したことも廃止を後押しする理由でもありました。村の外にある大型の公共駐車場と言っても川を隔ててあるので歩いて行ってもすぐのところにあり、またつり橋を渡って村に入るのですがそれがまた夜の明かりに映えていい眺めなのです。それに街の中の駐車場がなくても観光客にとって不便になるほどではありません。文化遺産を守るためには多少の不便は致し方ないことであり、文化遺産は観光振興のためにあるものではないとうことを忘れてしまっては本末転倒となってしまいます。

白川村の文化遺産を後世の子孫にまで残すためにも、生活のためという大儀を持ち出して観光に邁進したのでは世界遺産の意味を履き違えているし、結局は、郷土(日本)の誇る世界遺産を失うことにもなりかねないと思います。細く長く大切にしていってほしいですね。
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