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2011年1月11日 (火)

人工光合成に根岸さん挑戦!

光合成は、主に緑色植物や植物プランクトン、藻類など光合成色素(代表的なものがクロロフィル)をもつ生物が行う光エネルギーを化学エネルギーに変換する生化学反応のことを言います。光合成生物は光から変換した化学エネルギーを使って水と空気中の二酸化炭素から炭水化物(糖類:例えばショ糖やグルコースやデンプン)を合成します。そして水を分解する過程で生じた酸素は大気中に放出しています。それ以外にも、光合成細菌が光のエネルギーを利用して二酸化炭素と水から有機物を合成していますが、一般的には光合成と言えば植物の光合成を指します。

緑色植物の光合成は葉緑体で行われ、酸素の発生を伴います。光合成反応には多数の複雑な代謝回路が関係するのですが、その代謝回路の違いから、C3植物、C4植物、CAM植物に区別されるそうです。大部分の植物はC3植物で、C4植物はC3植物の2倍の光合成速度をもつ、トウモロコシやサトウキビなどの大型のイネ科植物がこれにあたるのだそうです。そしてCAM植物はというと、乾燥した環境に適応して進化したグループで、夜間に気孔を開いて二酸化炭素を取り込み、光合成の材料とするもので、パイナップルやベンケイソウ科の植物が代表的な例だそうです。

では人工光合成とはクロロフィルを使わず、クロロフィルと同様の作用を起こす特殊な触媒(白金を主とした金属化合物)を利用するのだそうです。と言うのも「人工光合成」が植物と同じように「光エネルギーで水と二酸化炭素から酸素とブドウ糖を作ること」とするなら人工光合成ではないし、そもそもこれは今の化学レベルでは実現できません。人工的にブドウ糖を作ることがたいへん難しいのです。ましてや材料として水と二酸化炭素だけで作るのは現在の化学では不可能に近いのだそうです。

しかし、光合成の本質とは実はブドウ糖を作ることではなく、光が葉緑素に当たると葉緑素はプラスとマイナスを作りだします。このうち、プラスが水を分解して酸素を出します。一方、マイナスは二酸化炭素をブドウ糖に変えるための道具(NADHと言います)を作りだします。そして、最後に残ったエネルギーで仕事をするためのエネルギーを溜める物質(ATPと言います)を作りだします。この後NADHとATPが二酸化炭素をブドウ糖に変えるのですが、この部分では光は関係ありません。

ということで、光合成の一番大事なところは光でプラスとマイナスを作りだすとことです。しかしこれだけならすでに人工的に実現されている太陽電池がそうです。また、光合成の次の段階は水を分解して酸素を出すところですが、これも実現されています。「光触媒」という言葉を聞いたことがあると思いますが、それがそうです。ここまでは人工的に実現されているのです。この先のNADHを作るところとか、ATPを作るところが大変難しいわけで、これからの課題なのです。ましてやブドウ糖を作るということは全くメドも立っていない状況です。

と言うことで前置きが長くなりましたが、今回ノーベル賞を取った根岸英一パデュー大特別教授が、地球温暖化の原因になっている二酸化炭素から医薬品など有用な化合物を取り出す人工光合成の実現を目指す計画を立ち上げたそうです。温暖化防止にはCO2を吸収する森林の保全が重要とされていますが、今回の計画はCO2を原料として役立てようと言う狙いだそうです。ノーベル賞受賞対象は炭素でできた化合物を自在に結び付けて別の化合物を作る「クロスカップリング反応」と言うものですが、この技術を使ってCO2から別の化合物を合成するのが目的です。そして自然界でできている光合成を人工的に作りたいとしています。

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